第1章「イクメン見習い」
フェニックスはグリフィンに、例の森に連れて来て貰った。
確かに森は、前に来た時よりも、どんよりとして、
ジメジメとしているような気がした。
フェニックスは確認したいことをグリフィンに聞く。
「その迷惑なキノコの化け物は、この森にしか居ないのですか?
他で見かけたとかは?」
「イーグル、その辺はどうなのじゃ?説明せい。」
「はい、フェニックス様。例のキノコの化け物は、この森にしかおりません。
私と仲間で、他の森にも被害がないか、確認しましたが、この森にしか被害がなく、
他の森に、棲みついてる様子はないみたいです。」
「そうですか。では、この森だけと言う事でいいですね?」
フェニックスはそう微笑んで、グリフィン達に最後の確認をした。
グリフィンもイーグルも、静かに頷いて見せた。
「なら、少々手荒になってしまいますが、私の力で、
その迷惑なキノコの化け物は焼いてしまいましょう。」
「?!」
グリフィンもイーグルも、フェニックスの言葉を聞いて、ビックリする。
そして、イーグルが慌てて、フェニックスに意見する。
「フェニックス様!恐れ多い事と承知しておりますが、
その、この森を、そのキノコの化け物と一緒に焼き払われると
言う事でございましょうか?!」
「こら!イーグル!フェニックス様に何てことを!」
「あはは。いいんです、グリフィン。誤解させた私が悪いのです。
イーグル、よく見てて下さいね?」
フェニックスは、イーグルに優しく微笑んだかと思うと、目を閉じ、一気に意識を集中させる。
フェニックスの周りだけが、淡く輝き出す。そして、幻獣語で、
何かを呟く。
『我が古より深い繋がりがある、火の精霊よ。
我が深き繋がりにおいて、我が声に答えよ。
お前の火炎で、悪しきモノ共のみ焼き尽くせ!
真の姿で、地上を這え!サラマンダー!!!』
フェニックスがそう呟き、片腕を空にあげると、炎で出来た、
大きなトカゲのような生き物が現れて、それが数体に分裂したかと思うと、
凄い速さで、森の中を這い回った。数分もしない内に、あちらこちらで、
キノコの化け物の悲鳴が聞こえる。
もちろん、森が燃えるようなことはない。フェニックスが
呼び出したサラマンダーは、キノコの化け物だけを的確に攻撃しているのだ。
「たぶんですが、あの類のモンスターは、時間を空けずに、一気に殲滅しないと、
また増殖する恐れがあります。なので、少々手荒ではあるのですが、
サラマンダーを使って、一気に殲滅しました。
なので、イーグル?私は焼き払ったのは、あの迷惑なキノコの化け物「だけ」ですので、
森には、ほぼほぼ害はないと思いますよ?」
フェニックスは、イーグルに向かって、そう笑いかけた。
イーグルは、フェニックスの実力に言葉を失い、すぐに膝を折って、
深く頭を下げてフェニックスに謝罪をした。
「申し訳ございません!私のような者が、勘違いをし、フェニックス様に意見するなど!」
「全くじゃ!フェニックス様が森ごと、モンスターを焼き払うわけがなかろう!」
イーグルの言動に、グリフィンが怒る。
フェニックスは、それを見て、困った顔をする。
「イーグル。そんな事はやめて下さい。私はグリフィンと貴方達の暖かいもてなしに、
感謝して、しただけのことなんですから。ラリイも凄く喜んでました。
だから、ちょっとした勘違いで謝罪なんてしなくていいんですよ。」
「フェニックス様・・・本当に有り難うございます。」
イーグルはフェニックスの言葉に感動しているのか、顔を下にしたまま、しばらく動かなかった。
「やれやれ、全く、わしの里の若い者は、フェニックス様、
本当に有り難うございます。これで、この森が救われたおかげで、わし達も助かります。」
「グリフィンまで・・・そんなことを言って。
私こそ、世話になったのですから、お礼はいいのに。
でも、もう一つだけ、私から贈り物しますね。」
フェニックスは再度、片腕を空に上げて、さっきとは別の幻獣語を呟く。
『名もなき生命の精霊よ、この地の弱っているモノ達に、
生命の加護を与えたまえ。リジェループ!!!』
フェニックスがそう呟くと、腐っていた草木が、一気に元気を取り戻し、
枯れていた草木には、新しい芽が出ていた。
森が全体的に、生命力を取り戻したのだ。
「強すぎる回復魔法は、逆にバランスを崩しますから、これくらいにしておきますね。
この調子なら、すぐに前と同じくらいの元気さを、この森も、
取り戻せることでしょう。」
「おお・・・フェニックス様・・・ここまでして下さるとは、
わしは・・・わしは・・・」
「グリフィン、何も、そこまで泣かなくても。」
フェニックスは、泣き出してしまったグリフィンを、優しく宥めた。
どうやら、過去の子供の頃の事を思い出してしまったのだろう。
フェニックスが、こうしてグリフィンの前で、魔法を使うのは、
実に数百年ぶりだったから。
「さぁ!グリフィンも、イーグルも、里に帰りましょう♪
私も、ラリイを連れて、幻獣界の仕事を再開しないとならないので。」
「ぐず・・・そうですな。フェニックス様はお忙しい身。
名残惜しいですが、里に帰って、お見送りせねば。
これ!イーグルお前も行くぞ!」
「はい。長。フェニックス様。」
フェニックス達は、里に戻り、グリフィンは、里の者達に、
森に居た、悪しきキノコの化け物は、フェニックスが退治し、
その上、森の回復までしてくれた事を皆に聞かせて、感謝させた。
その歓声と言ったら、フェニックスも、予定では、早くに
旅立つつもりでいたのだが、思いの他、古代鳥人族達に
捕まって、時間が遅くなってしまった。
が、代わりにラリイの育児に役立ちそうな本やら、道具を貰う事が出来て、
そう言った面では悪い事ではなかった。
「ラリイ!♥良かったですね!そのお洋服♥とってもお似合いですよ♥
まさか、古代鳥人族の方々から、ラリイ用のお洋服まで、貰えるなんて♥
ラリイは幸せな赤ちゃんですね♥」
「あううう!きゃう!ふぇんに!!!」
「あはは。ラリイも嬉しそうで何よりです♥♥♥」
フェニックスは、新しい洋服を着て、喜んでいそうなラリイに、
大満足であった。
嫌なら泣いて嫌がるだろうから、きっと嫌がってはいないのだろう。
フェニックスが触ってみても、肌心地の良い生地で出来ているのがわかる。
しかも軽い生地で、いい感じに暖かい。
それから、よーく見てみると、フェニックスの形を模したワッペンが、
胸についているのである。
「おお・・・こんな細かい配慮がされているとは!やりますね!
これは、私もラリイの親として、負けられません!ね?ラリイ!」
「おぅうう!!」
フェニックスの意気込みに、ラリイも可愛く答える。
フェニックスは、そんなラリイを見て、また例の親馬鹿が、
炸裂しつつも、次に決めていた目的地に向かった。
確かに森は、前に来た時よりも、どんよりとして、
ジメジメとしているような気がした。
フェニックスは確認したいことをグリフィンに聞く。
「その迷惑なキノコの化け物は、この森にしか居ないのですか?
他で見かけたとかは?」
「イーグル、その辺はどうなのじゃ?説明せい。」
「はい、フェニックス様。例のキノコの化け物は、この森にしかおりません。
私と仲間で、他の森にも被害がないか、確認しましたが、この森にしか被害がなく、
他の森に、棲みついてる様子はないみたいです。」
「そうですか。では、この森だけと言う事でいいですね?」
フェニックスはそう微笑んで、グリフィン達に最後の確認をした。
グリフィンもイーグルも、静かに頷いて見せた。
「なら、少々手荒になってしまいますが、私の力で、
その迷惑なキノコの化け物は焼いてしまいましょう。」
「?!」
グリフィンもイーグルも、フェニックスの言葉を聞いて、ビックリする。
そして、イーグルが慌てて、フェニックスに意見する。
「フェニックス様!恐れ多い事と承知しておりますが、
その、この森を、そのキノコの化け物と一緒に焼き払われると
言う事でございましょうか?!」
「こら!イーグル!フェニックス様に何てことを!」
「あはは。いいんです、グリフィン。誤解させた私が悪いのです。
イーグル、よく見てて下さいね?」
フェニックスは、イーグルに優しく微笑んだかと思うと、目を閉じ、一気に意識を集中させる。
フェニックスの周りだけが、淡く輝き出す。そして、幻獣語で、
何かを呟く。
『我が古より深い繋がりがある、火の精霊よ。
我が深き繋がりにおいて、我が声に答えよ。
お前の火炎で、悪しきモノ共のみ焼き尽くせ!
真の姿で、地上を這え!サラマンダー!!!』
フェニックスがそう呟き、片腕を空にあげると、炎で出来た、
大きなトカゲのような生き物が現れて、それが数体に分裂したかと思うと、
凄い速さで、森の中を這い回った。数分もしない内に、あちらこちらで、
キノコの化け物の悲鳴が聞こえる。
もちろん、森が燃えるようなことはない。フェニックスが
呼び出したサラマンダーは、キノコの化け物だけを的確に攻撃しているのだ。
「たぶんですが、あの類のモンスターは、時間を空けずに、一気に殲滅しないと、
また増殖する恐れがあります。なので、少々手荒ではあるのですが、
サラマンダーを使って、一気に殲滅しました。
なので、イーグル?私は焼き払ったのは、あの迷惑なキノコの化け物「だけ」ですので、
森には、ほぼほぼ害はないと思いますよ?」
フェニックスは、イーグルに向かって、そう笑いかけた。
イーグルは、フェニックスの実力に言葉を失い、すぐに膝を折って、
深く頭を下げてフェニックスに謝罪をした。
「申し訳ございません!私のような者が、勘違いをし、フェニックス様に意見するなど!」
「全くじゃ!フェニックス様が森ごと、モンスターを焼き払うわけがなかろう!」
イーグルの言動に、グリフィンが怒る。
フェニックスは、それを見て、困った顔をする。
「イーグル。そんな事はやめて下さい。私はグリフィンと貴方達の暖かいもてなしに、
感謝して、しただけのことなんですから。ラリイも凄く喜んでました。
だから、ちょっとした勘違いで謝罪なんてしなくていいんですよ。」
「フェニックス様・・・本当に有り難うございます。」
イーグルはフェニックスの言葉に感動しているのか、顔を下にしたまま、しばらく動かなかった。
「やれやれ、全く、わしの里の若い者は、フェニックス様、
本当に有り難うございます。これで、この森が救われたおかげで、わし達も助かります。」
「グリフィンまで・・・そんなことを言って。
私こそ、世話になったのですから、お礼はいいのに。
でも、もう一つだけ、私から贈り物しますね。」
フェニックスは再度、片腕を空に上げて、さっきとは別の幻獣語を呟く。
『名もなき生命の精霊よ、この地の弱っているモノ達に、
生命の加護を与えたまえ。リジェループ!!!』
フェニックスがそう呟くと、腐っていた草木が、一気に元気を取り戻し、
枯れていた草木には、新しい芽が出ていた。
森が全体的に、生命力を取り戻したのだ。
「強すぎる回復魔法は、逆にバランスを崩しますから、これくらいにしておきますね。
この調子なら、すぐに前と同じくらいの元気さを、この森も、
取り戻せることでしょう。」
「おお・・・フェニックス様・・・ここまでして下さるとは、
わしは・・・わしは・・・」
「グリフィン、何も、そこまで泣かなくても。」
フェニックスは、泣き出してしまったグリフィンを、優しく宥めた。
どうやら、過去の子供の頃の事を思い出してしまったのだろう。
フェニックスが、こうしてグリフィンの前で、魔法を使うのは、
実に数百年ぶりだったから。
「さぁ!グリフィンも、イーグルも、里に帰りましょう♪
私も、ラリイを連れて、幻獣界の仕事を再開しないとならないので。」
「ぐず・・・そうですな。フェニックス様はお忙しい身。
名残惜しいですが、里に帰って、お見送りせねば。
これ!イーグルお前も行くぞ!」
「はい。長。フェニックス様。」
フェニックス達は、里に戻り、グリフィンは、里の者達に、
森に居た、悪しきキノコの化け物は、フェニックスが退治し、
その上、森の回復までしてくれた事を皆に聞かせて、感謝させた。
その歓声と言ったら、フェニックスも、予定では、早くに
旅立つつもりでいたのだが、思いの他、古代鳥人族達に
捕まって、時間が遅くなってしまった。
が、代わりにラリイの育児に役立ちそうな本やら、道具を貰う事が出来て、
そう言った面では悪い事ではなかった。
「ラリイ!♥良かったですね!そのお洋服♥とってもお似合いですよ♥
まさか、古代鳥人族の方々から、ラリイ用のお洋服まで、貰えるなんて♥
ラリイは幸せな赤ちゃんですね♥」
「あううう!きゃう!ふぇんに!!!」
「あはは。ラリイも嬉しそうで何よりです♥♥♥」
フェニックスは、新しい洋服を着て、喜んでいそうなラリイに、
大満足であった。
嫌なら泣いて嫌がるだろうから、きっと嫌がってはいないのだろう。
フェニックスが触ってみても、肌心地の良い生地で出来ているのがわかる。
しかも軽い生地で、いい感じに暖かい。
それから、よーく見てみると、フェニックスの形を模したワッペンが、
胸についているのである。
「おお・・・こんな細かい配慮がされているとは!やりますね!
これは、私もラリイの親として、負けられません!ね?ラリイ!」
「おぅうう!!」
フェニックスの意気込みに、ラリイも可愛く答える。
フェニックスは、そんなラリイを見て、また例の親馬鹿が、
炸裂しつつも、次に決めていた目的地に向かった。