第127話 遠足の下見
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「やっと到着しましたね…!」
たまみが満面の笑みを浮かべた。
結局、少し遠いがここまで二人で歩いて目的の温泉まで辿り着いた。
秘湯と銘打つだけあってなかなかに山奥だ。
しかしたまみと二人で歩くのはとても楽しかった。
もちろん、道中危険な場所がないか等、みるべきところはきちんと確認もした。
それでも緑のなか手を繋いで可愛い妻と歩く時間…それだけで非常に癒された。
山奥の少し古びた温泉は予想以上に大きな建物で、食事処も併設されていているようだった。
建物の構造を確認しつつ早速受付に向かう。
「温泉、一緒に入れたらいいのにですね。」
不意にたまみが私の腕に腕を絡ませて上目遣いに甘えてきた。
…二人きりでお湯のなか……。
あらぬ妄想が脳裏に浮かび、私は大きく咳払いをした。
「ンンッ!…今日は、遠足の下見だからな。」
いかんいかん。
いや、そんなことは私とて何度も考えたわけで…。
だがしかし、今は仕事で来ているのだ。
私はたまみの頭をぽんぽんと撫でながら邪念を振り払った。
「…それより、石鹸を踏んで転んだりしないよう気をつけるんだぞ。足元をよく見て走らずに…」
「ふふ、子どもじゃないんだから大丈夫ですよ。」
のんきに笑う彼女のおでこを私は指で軽くつついた。
「いつだったか、石鹸を踏んでハデに転んだだろう。」
あれは福引で温泉の券を当てたとき。
きり丸や利吉くん達も偶然居合わせて焦ったやつだ…。
「そういえば、そんなこともありましたね。」
たまみは思い出したのかクスクスと笑った。
ちょっと目を離すと色々起こるから本当ならずっとそばに居たいが仕方ない。
受付を済ませるべく番頭に話しかけようとすると。
「いらっしゃいませ。ご夫婦ですか?」
「えっ?ああ、はい、2名で…」
「お客様は運がいい!ちょうどいま一番人気の部屋があいていますよ。」
「部屋?いや、泊まりではなくただ温泉に…」
「はい、大丈夫です。温泉のあとにゆっくりお部屋でお寛ぎいただき、そのままお食事を召し上がってもお帰りになっても、そのときの気分で自由に申しつけてくだされば大丈夫ですので。」
「は、はあ…。」
よほどオススメなのか、番頭はぐいぐい勧めてきた。
一番人気の部屋?
温泉のあと涼んでお茶を飲んだりする場所がいくつかあるということか。
「いまなら初めてのお客様限定でお試し価格、半額になっておりま」
「それでお願いします。」
たまみが食い気味に一歩前に出た。
半額ときいて飛びつくあたりきり丸の影響が大きい…。
しかし聞いてみると半額でもなかなかの値段だった。
まぁとりあえず、一番人気とやらを確認しておけばどんな感じのところか分かりやすいだろうか…。
何となく胡散臭いなと警戒しつつも、たまみのワクワクした顔につい流されてしまい、私はそのまま受付を済ませることにした。
「…えっ。」
「………これ、は……。」
案内されたのは、こじんまりとした部屋。
部屋の奥に戸があり開けてみると、その先には小さな庭と小さな温泉がひとつ。
お湯は地面から沸きだしているようで、そこに水を足して湯温調整できるよう仕掛けが施されていた。
庭の左右は木の壁でついたてのように仕切られているが、水の流れる仕掛けが繋がっているようなので、両隣の部屋も同じような感じなのかもしれない。
…つまり各部屋の奥に温泉があるということか!?
「…これは……温泉つきの個室…!?」
「す…すごいですね……」
「あ、ああ…。」
予想外のことに暫し呆然とする私とたまみ。
どうりであの値段設定なわけだ…。
落ち着いて部屋をぐるりと見渡すと、置物には「子宝祈願」とか彫られているし、ご丁寧に布団まである。
番頭は「一番人気」と言っていたが、もしやこの温泉は…そういう目的のところなのか!?
たまみの顔をチラリと伺い見てみる。
彼女もまた部屋の雰囲気から察したようで私の意図を探るようにこちらを見上げた。
「半助さん…えっと、あの、もしかして……」
「い、いやいやいや!違う!遠足の下見とか偽って実はいかがわしいところに連れ込もうとしていたとか、そういうあれじゃないから!!」
反射的にブンブンと手を振ってそう説明した。
しかしそれが逆に言い訳がましく聞こえて、私は内心焦った。
シナ先生に渡された案内にはそんなことは書かれていなかったはずだ…!
なにより遠足の候補と言っていたし!
え、温泉を間違えた?!
いや、地図も確認したし名前も合っていた…!
色々考えを巡らせる私の横で、たまみは私の様子を見てクスクスと笑った。
「そんなの疑ってないですよ。…別にそうだったとしても……。半助さんはここ、お気に召さなかったですか?」
「えっ!?私は…その…予想外だっただけで別にイヤとかそういうわけでは……」
「……なんだか子宝祈願の温泉!って感じぽいですね。」
「そ、そう…だな…。」
これはちょっと、遠足の行き先としては相応しくないな…。
いや、もしかするとこれは、シナ先生に意図的に仕組まれたか…。
「半助さん」
「ん?」
「これなら一緒に温泉に入れますね!」
「!!」
えへへと嬉しそうに微笑むたまみ。
「い、いや、しかし今日は一応下見として調査に来ているのだから…」
目を反らしてしどろもどろにそう言うと、たまみは私に抱きつきながらいたずらっ子のように笑った。
「下見とはいえ、私の分は自腹で払ってますし、少しくらい自由にしてもバチはあたらないのでは?」
「…し、しかし……」
「下見調査も後からきちんとすれば問題ないですよ。」
「…………」
「ね?」
「………ッ!」
こんなに可愛くおねだりされて、ほだされない男がいるだろうか、いやいない。
私は観念して大きく息を吐いた。
「…いいのかい?」
「何がですか?」
私はたまみの腰をぐいっと引き寄せて耳元で囁いた。
「…本当に子宝に恵まれてしまうかも。」
「…!」
彼女はピクリと肩を揺らしたあと、私の耳元にそっと囁き返した。
「…嬉しい……」
誘うように甘く微笑むたまみ。
潤んだ熱い瞳に、もう抗うことなど出来なかった。
そのままゆっくり唇を重ねると、私は彼女の腰紐をそっとほどいた……。
たまみが満面の笑みを浮かべた。
結局、少し遠いがここまで二人で歩いて目的の温泉まで辿り着いた。
秘湯と銘打つだけあってなかなかに山奥だ。
しかしたまみと二人で歩くのはとても楽しかった。
もちろん、道中危険な場所がないか等、みるべきところはきちんと確認もした。
それでも緑のなか手を繋いで可愛い妻と歩く時間…それだけで非常に癒された。
山奥の少し古びた温泉は予想以上に大きな建物で、食事処も併設されていているようだった。
建物の構造を確認しつつ早速受付に向かう。
「温泉、一緒に入れたらいいのにですね。」
不意にたまみが私の腕に腕を絡ませて上目遣いに甘えてきた。
…二人きりでお湯のなか……。
あらぬ妄想が脳裏に浮かび、私は大きく咳払いをした。
「ンンッ!…今日は、遠足の下見だからな。」
いかんいかん。
いや、そんなことは私とて何度も考えたわけで…。
だがしかし、今は仕事で来ているのだ。
私はたまみの頭をぽんぽんと撫でながら邪念を振り払った。
「…それより、石鹸を踏んで転んだりしないよう気をつけるんだぞ。足元をよく見て走らずに…」
「ふふ、子どもじゃないんだから大丈夫ですよ。」
のんきに笑う彼女のおでこを私は指で軽くつついた。
「いつだったか、石鹸を踏んでハデに転んだだろう。」
あれは福引で温泉の券を当てたとき。
きり丸や利吉くん達も偶然居合わせて焦ったやつだ…。
「そういえば、そんなこともありましたね。」
たまみは思い出したのかクスクスと笑った。
ちょっと目を離すと色々起こるから本当ならずっとそばに居たいが仕方ない。
受付を済ませるべく番頭に話しかけようとすると。
「いらっしゃいませ。ご夫婦ですか?」
「えっ?ああ、はい、2名で…」
「お客様は運がいい!ちょうどいま一番人気の部屋があいていますよ。」
「部屋?いや、泊まりではなくただ温泉に…」
「はい、大丈夫です。温泉のあとにゆっくりお部屋でお寛ぎいただき、そのままお食事を召し上がってもお帰りになっても、そのときの気分で自由に申しつけてくだされば大丈夫ですので。」
「は、はあ…。」
よほどオススメなのか、番頭はぐいぐい勧めてきた。
一番人気の部屋?
温泉のあと涼んでお茶を飲んだりする場所がいくつかあるということか。
「いまなら初めてのお客様限定でお試し価格、半額になっておりま」
「それでお願いします。」
たまみが食い気味に一歩前に出た。
半額ときいて飛びつくあたりきり丸の影響が大きい…。
しかし聞いてみると半額でもなかなかの値段だった。
まぁとりあえず、一番人気とやらを確認しておけばどんな感じのところか分かりやすいだろうか…。
何となく胡散臭いなと警戒しつつも、たまみのワクワクした顔につい流されてしまい、私はそのまま受付を済ませることにした。
「…えっ。」
「………これ、は……。」
案内されたのは、こじんまりとした部屋。
部屋の奥に戸があり開けてみると、その先には小さな庭と小さな温泉がひとつ。
お湯は地面から沸きだしているようで、そこに水を足して湯温調整できるよう仕掛けが施されていた。
庭の左右は木の壁でついたてのように仕切られているが、水の流れる仕掛けが繋がっているようなので、両隣の部屋も同じような感じなのかもしれない。
…つまり各部屋の奥に温泉があるということか!?
「…これは……温泉つきの個室…!?」
「す…すごいですね……」
「あ、ああ…。」
予想外のことに暫し呆然とする私とたまみ。
どうりであの値段設定なわけだ…。
落ち着いて部屋をぐるりと見渡すと、置物には「子宝祈願」とか彫られているし、ご丁寧に布団まである。
番頭は「一番人気」と言っていたが、もしやこの温泉は…そういう目的のところなのか!?
たまみの顔をチラリと伺い見てみる。
彼女もまた部屋の雰囲気から察したようで私の意図を探るようにこちらを見上げた。
「半助さん…えっと、あの、もしかして……」
「い、いやいやいや!違う!遠足の下見とか偽って実はいかがわしいところに連れ込もうとしていたとか、そういうあれじゃないから!!」
反射的にブンブンと手を振ってそう説明した。
しかしそれが逆に言い訳がましく聞こえて、私は内心焦った。
シナ先生に渡された案内にはそんなことは書かれていなかったはずだ…!
なにより遠足の候補と言っていたし!
え、温泉を間違えた?!
いや、地図も確認したし名前も合っていた…!
色々考えを巡らせる私の横で、たまみは私の様子を見てクスクスと笑った。
「そんなの疑ってないですよ。…別にそうだったとしても……。半助さんはここ、お気に召さなかったですか?」
「えっ!?私は…その…予想外だっただけで別にイヤとかそういうわけでは……」
「……なんだか子宝祈願の温泉!って感じぽいですね。」
「そ、そう…だな…。」
これはちょっと、遠足の行き先としては相応しくないな…。
いや、もしかするとこれは、シナ先生に意図的に仕組まれたか…。
「半助さん」
「ん?」
「これなら一緒に温泉に入れますね!」
「!!」
えへへと嬉しそうに微笑むたまみ。
「い、いや、しかし今日は一応下見として調査に来ているのだから…」
目を反らしてしどろもどろにそう言うと、たまみは私に抱きつきながらいたずらっ子のように笑った。
「下見とはいえ、私の分は自腹で払ってますし、少しくらい自由にしてもバチはあたらないのでは?」
「…し、しかし……」
「下見調査も後からきちんとすれば問題ないですよ。」
「…………」
「ね?」
「………ッ!」
こんなに可愛くおねだりされて、ほだされない男がいるだろうか、いやいない。
私は観念して大きく息を吐いた。
「…いいのかい?」
「何がですか?」
私はたまみの腰をぐいっと引き寄せて耳元で囁いた。
「…本当に子宝に恵まれてしまうかも。」
「…!」
彼女はピクリと肩を揺らしたあと、私の耳元にそっと囁き返した。
「…嬉しい……」
誘うように甘く微笑むたまみ。
潤んだ熱い瞳に、もう抗うことなど出来なかった。
そのままゆっくり唇を重ねると、私は彼女の腰紐をそっとほどいた……。