第126話 あさがお
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アルバイトを無事に終えて図書室へ向かっていると、アサガオを植えている辺りに土井先生とたまみさんが並んで立っているのを見つけた。
「あれ、今日は土井先生も水やりしてるんですか?」
たまみさんや一年は組、上級生の先輩方がアサガオの周りに集まって騒ぐ光景はよく見るけど、土井先生がここにいるのは初めて見たかもしれない。
声をかけてみると、土井先生がチラリとこちらに目を向けた。
「きり丸か。…いや、ちょっと悪い虫がついていると聞いたから、私も様子を見ておこうかと思ってな。」
「!?」
土井先生の空気がピリピリしている…!?
「へ、へえ~…そ、そうなんですか…」
俺は思わず一歩後ずさりした。
えっ、何かあったのか!?
恐る恐るたまみさんを見上げてみると、何だか苦笑いしているようだった。
大事件ではなさそうだ。
でも、この静かな怒りのオーラみたいなのは一体なんなのだろう。
害虫って言ってたっけ。
そんなに悪い虫がついているのか。
新種の虫…もしかして、どこか敵の忍者が忍術学園に毒虫か害虫をばらまいたとか…?
それにしても、なんでよりによってアサガオなんだ。
アサガオはたくさん種が採れるから…一つの種からたくさん種が実るから小銭が稼げると話していたのに…銭儲けの邪魔をするとは許せない!
「俺も悪い虫、探します…!」
「えっ!?い、いや、きり丸……」
アサガオの根本にしゃがみこみ一緒に害虫を探そうとすると、土井先生が困ったように何か言いかけた。
あ、刺されると危ない虫とかかな。
聞こうとしたとき、同時に遠くから大きな声がした。
「おーい、害虫対策になるもの持ってきたぞー!」
「…これはこれは大木先生。」
!!?
凍りつくような土井先生の声。
ピリッとした空気で、大木先生に冷たい視線を向けている。
「お忙しいところわざわざありがとうございます。」
「おお、土井先生。ちょうど美味しいラッキョウ漬けができて、それを持ってくるついでだったから問題ない。これを撒けば害虫も減るはずだから、一緒に手伝」
「いえいえ、そこまでお手を煩わすには及びません。」
「ん?土井先生の方が忙しいだろう?土仕事は専門家に任せて…」
「いえ。妻のたまみを手伝うのは、夫として当然のことなので。」
土井先生がピシッと言いきった。
そして、俺はハッと気づいた。
これ、もしかして!
土井先生が様子を見に来た悪い虫って、大木先生のことか!?
アサガオじゃなくて、たまみさんに寄り付く悪い虫を駆除しに来たってこと!?
土井先生を見上げると、真顔で大木先生を真っ直ぐ見返しながらたまみさんを庇うように立っている。
大木先生は悪びれる様子もなく、「そうか?なら渡しておこう。」とあっさり引き下がった。
あんまり普通に言うから、大木先生は本当に善意だけのようにも見えるけど…でも今までも何か色々あったみたいだしなぁ。
「あの、大木先生、ありがとうございます。」
たまみさんがお礼を言うと、大木先生はニッと笑って手を振った。
「気にするな。」
その二人のやりとりを土井先生が面白くなさそうに見ている。
…えぇぇ~、ちょっと俺、まずいとこに首をつっこんじゃったんじゃないの!?
変な巻き添えをくわないうちに退散しよう…。
そろりそろりと逃げようとしていると、大木先生がアサガオの花を指で揺らして言った。
「まぁしかし花に虫が寄ってくるのは自然の摂理。少し葉を食べるくらいなら多めにみてやってもいいとは思うが。」
「…葉を食べたいなら他所の野草にしてもらいたいですね、これは大事に育てている花なので。」
「虫にとってそういうのは関係ないからな。」
「迷惑このうえないですね。」
土井先生が苦虫を噛み潰したような顔でそう答えた。
………えええええ!?
これは本当の虫の話なのか!?
それともまさか、たまみさんに悪い虫が寄ってくるのも仕方ないとかそういう…いやそんなはずないよな!?
俺が驚いて立ち止まった、そのとき。
「危ないっ!」
ビュンッ!バサバサバサッ!!
何か大きなものが飛んできて、土井先生が俺とたまみさんを庇って伏せた。
何事かと飛んできたものを見てみると…。
「え、これ……」
まわりに男物の着物が散乱している。
「ああっ!?」
声をあげ動揺するたまみさんの目線の先では、アサガオの上に褌が散らばっていた。
「……ふん、どし……?」
一体なんで。
するとまた聞きなれた声が聞こえてきて…。
「利吉っ、お前どこに投げて…ッ!」
「父上が避けるから…!洗濯物が散らばってしまったじゃありませんか!!」
いつもの山田先生の洗濯物問題…!?
投げられた洗濯物の風呂敷づつみが塀にぶつかり風呂敷がほどけ事もあろうにアサガオの上に散乱してしまった。
「ちょっ、これ、アサガオが…!」
たまみさんが焦って褌を拾おうとすると、利吉さんが慌てて止めた。
「たまみさん、そんなものを触っては…!」
「利吉くん、たまみに触るな!」
「土井先生!しかしたまみさんが父上の褌を触る方が嫌でしょう!」
「なんだなんだ人の洗濯物をバイ菌みたいに!」
「わっはっは!案外これで害虫も駆除できたりしてなぁ。」
「大木先生、笑ってないで拾うの手伝ってください!」
…そうして結局、何だかギャーギャーと騒ぐうちにとりあえずみんなで虫除けと水を撒いて解散することになった…。
「あれ、今日は土井先生も水やりしてるんですか?」
たまみさんや一年は組、上級生の先輩方がアサガオの周りに集まって騒ぐ光景はよく見るけど、土井先生がここにいるのは初めて見たかもしれない。
声をかけてみると、土井先生がチラリとこちらに目を向けた。
「きり丸か。…いや、ちょっと悪い虫がついていると聞いたから、私も様子を見ておこうかと思ってな。」
「!?」
土井先生の空気がピリピリしている…!?
「へ、へえ~…そ、そうなんですか…」
俺は思わず一歩後ずさりした。
えっ、何かあったのか!?
恐る恐るたまみさんを見上げてみると、何だか苦笑いしているようだった。
大事件ではなさそうだ。
でも、この静かな怒りのオーラみたいなのは一体なんなのだろう。
害虫って言ってたっけ。
そんなに悪い虫がついているのか。
新種の虫…もしかして、どこか敵の忍者が忍術学園に毒虫か害虫をばらまいたとか…?
それにしても、なんでよりによってアサガオなんだ。
アサガオはたくさん種が採れるから…一つの種からたくさん種が実るから小銭が稼げると話していたのに…銭儲けの邪魔をするとは許せない!
「俺も悪い虫、探します…!」
「えっ!?い、いや、きり丸……」
アサガオの根本にしゃがみこみ一緒に害虫を探そうとすると、土井先生が困ったように何か言いかけた。
あ、刺されると危ない虫とかかな。
聞こうとしたとき、同時に遠くから大きな声がした。
「おーい、害虫対策になるもの持ってきたぞー!」
「…これはこれは大木先生。」
!!?
凍りつくような土井先生の声。
ピリッとした空気で、大木先生に冷たい視線を向けている。
「お忙しいところわざわざありがとうございます。」
「おお、土井先生。ちょうど美味しいラッキョウ漬けができて、それを持ってくるついでだったから問題ない。これを撒けば害虫も減るはずだから、一緒に手伝」
「いえいえ、そこまでお手を煩わすには及びません。」
「ん?土井先生の方が忙しいだろう?土仕事は専門家に任せて…」
「いえ。妻のたまみを手伝うのは、夫として当然のことなので。」
土井先生がピシッと言いきった。
そして、俺はハッと気づいた。
これ、もしかして!
土井先生が様子を見に来た悪い虫って、大木先生のことか!?
アサガオじゃなくて、たまみさんに寄り付く悪い虫を駆除しに来たってこと!?
土井先生を見上げると、真顔で大木先生を真っ直ぐ見返しながらたまみさんを庇うように立っている。
大木先生は悪びれる様子もなく、「そうか?なら渡しておこう。」とあっさり引き下がった。
あんまり普通に言うから、大木先生は本当に善意だけのようにも見えるけど…でも今までも何か色々あったみたいだしなぁ。
「あの、大木先生、ありがとうございます。」
たまみさんがお礼を言うと、大木先生はニッと笑って手を振った。
「気にするな。」
その二人のやりとりを土井先生が面白くなさそうに見ている。
…えぇぇ~、ちょっと俺、まずいとこに首をつっこんじゃったんじゃないの!?
変な巻き添えをくわないうちに退散しよう…。
そろりそろりと逃げようとしていると、大木先生がアサガオの花を指で揺らして言った。
「まぁしかし花に虫が寄ってくるのは自然の摂理。少し葉を食べるくらいなら多めにみてやってもいいとは思うが。」
「…葉を食べたいなら他所の野草にしてもらいたいですね、これは大事に育てている花なので。」
「虫にとってそういうのは関係ないからな。」
「迷惑このうえないですね。」
土井先生が苦虫を噛み潰したような顔でそう答えた。
………えええええ!?
これは本当の虫の話なのか!?
それともまさか、たまみさんに悪い虫が寄ってくるのも仕方ないとかそういう…いやそんなはずないよな!?
俺が驚いて立ち止まった、そのとき。
「危ないっ!」
ビュンッ!バサバサバサッ!!
何か大きなものが飛んできて、土井先生が俺とたまみさんを庇って伏せた。
何事かと飛んできたものを見てみると…。
「え、これ……」
まわりに男物の着物が散乱している。
「ああっ!?」
声をあげ動揺するたまみさんの目線の先では、アサガオの上に褌が散らばっていた。
「……ふん、どし……?」
一体なんで。
するとまた聞きなれた声が聞こえてきて…。
「利吉っ、お前どこに投げて…ッ!」
「父上が避けるから…!洗濯物が散らばってしまったじゃありませんか!!」
いつもの山田先生の洗濯物問題…!?
投げられた洗濯物の風呂敷づつみが塀にぶつかり風呂敷がほどけ事もあろうにアサガオの上に散乱してしまった。
「ちょっ、これ、アサガオが…!」
たまみさんが焦って褌を拾おうとすると、利吉さんが慌てて止めた。
「たまみさん、そんなものを触っては…!」
「利吉くん、たまみに触るな!」
「土井先生!しかしたまみさんが父上の褌を触る方が嫌でしょう!」
「なんだなんだ人の洗濯物をバイ菌みたいに!」
「わっはっは!案外これで害虫も駆除できたりしてなぁ。」
「大木先生、笑ってないで拾うの手伝ってください!」
…そうして結局、何だかギャーギャーと騒ぐうちにとりあえずみんなで虫除けと水を撒いて解散することになった…。