長編番外編 おそろしい巻物
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「利吉くんっ!!」
ハッと目を開けると。
目の前にはたまみさんではなく、土井先生のドアップ顔。
「ど、どっ…どい、先生…っ!?」
何事か分からず固まると、土井先生は私の手を首から振り払った。
つまり、私が引き寄せようとしていたのはたまみさんではなく土井先生で…。
困惑しつつも慌てて起き上がろうとすると、体勢を崩して畳に転がり落ちた。
え…まさか…土井先生の膝枕で寝ていた!?
転がり落ちた先に誰かの膝が見えて見上げると、そこには驚愕の表情を浮かべたたまみさんが座っていた。
「り、利吉さん、やっぱり土井先生のことが…す、好きだったのですね…っ!!?」
「えっ??」
「利吉さん、座ったまま寝てたんですよ。土井先生が布団に横たわらせてあげようとしたらそのまま倒れちゃって…。膝枕するような体勢になって…そしたら突然利吉さんが土井先生の首に腕を回して…く、口づけしようとして…!!」
たまみさんが真っ赤な顔で捲し立てるように説明してくれた。
土井先生がニコリと殺気を放ちながら笑む。
「利吉くん…私にしたことはまぁいいとして、『たまみ』とか寝言で言ってたけど…一体どんな夢を見ていたんだい?」
「…夢?」
夢。
…ゆめ、だと…!?
先程までの記憶を辿ってみる。
一体、どこから…!?
たまみさんを見ると、訝しむような顔をしていた。
まさか…。
「えー…、ちょっと記憶が曖昧なのですが…私はどうやってここに…?」
「さあ…私と土井先生が職員室に戻ったときにはここで寝てましたよ?」
「…では、医務室には…」
「利吉さん、お怪我されてるのですか?今すぐ新野先生に…!」
ああ、やはり。
私が医務室で目覚めたところから…たまみさんの反応がいつもと違ったところから、あれは全て夢だったのか…。
ということは、眠る前の最後の記憶は…タソガレトキに潜入して巻物を手にしたところか。
そう思い至った瞬間、ぞくっとした。
まさか、先程の異様にリアルな長い夢は巻物の効果か何かか…!?
懐を触ってみても何もない。
巻物は手に入れられなかったようだ。
しかし怪我もしていないところをみるとタソガレドキに見つかった訳でもなさそうだ。
…意味が、分からない。
唯一分かるのは、ついに手にいれたと思った彼女は幻だったということだけで…。
どうせ夢ならもっと積極的に…色々しておけばよかった…。
いや、あんな可愛いたまみさんを見られただけでも得をしたと思うべきか…。
それにしてもリアルだったな…。
落胆を隠しきれずうなだれると、たまみさんが心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「具合が悪いのですか?今すぐ保健室に…!」
「たまみさん…」
先程の『夢』での感覚が忘れられずつい彼女に触れようとしたとき、土井先生が私の腕をつかんだ。
「利吉くん、無理はいけない。保健室には私が付き添おう。」
「土井先生…いえ、具合が悪いわけでは…」
言いかけたとき、私のお腹がぐぅと音を立てて鳴った。
たまみさんが驚いて立ち上がる。
「お腹がすいてたんですね。待っててください、今すぐ作りますから。」
気持ちが切り替えられず、ぼんやりたまみさんを見ていると、土井先生がスッと立ち上がり遮った。
「たまみ、ずっと食堂で立ち仕事するのも疲れるだろう。私が作るからここでさっきのテストの採点をしてくれるかい?ほら、利吉くん行くよ。」
土井先生が有無を言わせぬ口調と冷めきった笑顔で私を立たせた。
「ちょうどきり丸がいなごをつかまえたとか言っていたから…いなごの雑炊でいいかな。」
目が笑っていない。
あからさまに怒っている。
が、たまみさんが不満そうに私の腕をつかんだ。
「利吉さん、私ですら土井先生の手料理なんてあまり食べたことないのに…ずるいです!」
「えっ!?」
「まさか、ここまでのやりとりは全部土井先生の手料理を食べさせて貰うための布石ですか…!?」
「いえっ、そんなはずないでしょう!第一いなごの雑炊なんて…!」
「忍者食よりマシだろう。わざわざ作ってやろうと言ってるんだ、利吉くん早く来なさい。」
「利吉さん!やっぱりさっきのも寝ぼけたフリしてわざと…本当は土井先生のことを狙って…!?」
「だから、そんな訳ないでしょう!」
「土井先生の手料理ならいなごの雑炊でもいいということなんですね!?」
「あぁもうっ!だから違うと…!!私が食べたいのはたまみさんだけです!!」
ぴたっ。
三人の動きが止まった。
しまった、『たまみさんの手料理』と言おうとして言い間違えた。
うっかり本音が出たわけではなく…とも言いきれないが…単に言い間違えただけなのだが、たまみさんは真っ赤になって狼狽えているし、土井先生は私の腕をつかんで中庭へと引きずっていった。
「…利吉くん、言ってもわからない子にはお仕置きが必要かな…?」
凄まじいまでの殺気。
廊下にはたまみさんと数人の生徒がオロオロとこちらを見ている。
私は何故こんなことになったのかと大きく息を吐いたが…珍しく本気になった土井先生と勝負するのも悪くないなと思い直した。
「いいですよ、土井先生…。そのかわり、私が勝ったら彼女は貰いますからね!」
そうして何だかよく分からないまま、私と土井先生の何度目かも分からない戦いがまた始まったのだった…。
ハッと目を開けると。
目の前にはたまみさんではなく、土井先生のドアップ顔。
「ど、どっ…どい、先生…っ!?」
何事か分からず固まると、土井先生は私の手を首から振り払った。
つまり、私が引き寄せようとしていたのはたまみさんではなく土井先生で…。
困惑しつつも慌てて起き上がろうとすると、体勢を崩して畳に転がり落ちた。
え…まさか…土井先生の膝枕で寝ていた!?
転がり落ちた先に誰かの膝が見えて見上げると、そこには驚愕の表情を浮かべたたまみさんが座っていた。
「り、利吉さん、やっぱり土井先生のことが…す、好きだったのですね…っ!!?」
「えっ??」
「利吉さん、座ったまま寝てたんですよ。土井先生が布団に横たわらせてあげようとしたらそのまま倒れちゃって…。膝枕するような体勢になって…そしたら突然利吉さんが土井先生の首に腕を回して…く、口づけしようとして…!!」
たまみさんが真っ赤な顔で捲し立てるように説明してくれた。
土井先生がニコリと殺気を放ちながら笑む。
「利吉くん…私にしたことはまぁいいとして、『たまみ』とか寝言で言ってたけど…一体どんな夢を見ていたんだい?」
「…夢?」
夢。
…ゆめ、だと…!?
先程までの記憶を辿ってみる。
一体、どこから…!?
たまみさんを見ると、訝しむような顔をしていた。
まさか…。
「えー…、ちょっと記憶が曖昧なのですが…私はどうやってここに…?」
「さあ…私と土井先生が職員室に戻ったときにはここで寝てましたよ?」
「…では、医務室には…」
「利吉さん、お怪我されてるのですか?今すぐ新野先生に…!」
ああ、やはり。
私が医務室で目覚めたところから…たまみさんの反応がいつもと違ったところから、あれは全て夢だったのか…。
ということは、眠る前の最後の記憶は…タソガレトキに潜入して巻物を手にしたところか。
そう思い至った瞬間、ぞくっとした。
まさか、先程の異様にリアルな長い夢は巻物の効果か何かか…!?
懐を触ってみても何もない。
巻物は手に入れられなかったようだ。
しかし怪我もしていないところをみるとタソガレドキに見つかった訳でもなさそうだ。
…意味が、分からない。
唯一分かるのは、ついに手にいれたと思った彼女は幻だったということだけで…。
どうせ夢ならもっと積極的に…色々しておけばよかった…。
いや、あんな可愛いたまみさんを見られただけでも得をしたと思うべきか…。
それにしてもリアルだったな…。
落胆を隠しきれずうなだれると、たまみさんが心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「具合が悪いのですか?今すぐ保健室に…!」
「たまみさん…」
先程の『夢』での感覚が忘れられずつい彼女に触れようとしたとき、土井先生が私の腕をつかんだ。
「利吉くん、無理はいけない。保健室には私が付き添おう。」
「土井先生…いえ、具合が悪いわけでは…」
言いかけたとき、私のお腹がぐぅと音を立てて鳴った。
たまみさんが驚いて立ち上がる。
「お腹がすいてたんですね。待っててください、今すぐ作りますから。」
気持ちが切り替えられず、ぼんやりたまみさんを見ていると、土井先生がスッと立ち上がり遮った。
「たまみ、ずっと食堂で立ち仕事するのも疲れるだろう。私が作るからここでさっきのテストの採点をしてくれるかい?ほら、利吉くん行くよ。」
土井先生が有無を言わせぬ口調と冷めきった笑顔で私を立たせた。
「ちょうどきり丸がいなごをつかまえたとか言っていたから…いなごの雑炊でいいかな。」
目が笑っていない。
あからさまに怒っている。
が、たまみさんが不満そうに私の腕をつかんだ。
「利吉さん、私ですら土井先生の手料理なんてあまり食べたことないのに…ずるいです!」
「えっ!?」
「まさか、ここまでのやりとりは全部土井先生の手料理を食べさせて貰うための布石ですか…!?」
「いえっ、そんなはずないでしょう!第一いなごの雑炊なんて…!」
「忍者食よりマシだろう。わざわざ作ってやろうと言ってるんだ、利吉くん早く来なさい。」
「利吉さん!やっぱりさっきのも寝ぼけたフリしてわざと…本当は土井先生のことを狙って…!?」
「だから、そんな訳ないでしょう!」
「土井先生の手料理ならいなごの雑炊でもいいということなんですね!?」
「あぁもうっ!だから違うと…!!私が食べたいのはたまみさんだけです!!」
ぴたっ。
三人の動きが止まった。
しまった、『たまみさんの手料理』と言おうとして言い間違えた。
うっかり本音が出たわけではなく…とも言いきれないが…単に言い間違えただけなのだが、たまみさんは真っ赤になって狼狽えているし、土井先生は私の腕をつかんで中庭へと引きずっていった。
「…利吉くん、言ってもわからない子にはお仕置きが必要かな…?」
凄まじいまでの殺気。
廊下にはたまみさんと数人の生徒がオロオロとこちらを見ている。
私は何故こんなことになったのかと大きく息を吐いたが…珍しく本気になった土井先生と勝負するのも悪くないなと思い直した。
「いいですよ、土井先生…。そのかわり、私が勝ったら彼女は貰いますからね!」
そうして何だかよく分からないまま、私と土井先生の何度目かも分からない戦いがまた始まったのだった…。