巻物ミッション①「◯◯しないと出られない部屋」(長編第1章)
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土井先生は弐の札を手に取り読み上げてくれた。
「『互いに相手の名前を艶っぽく呼ぶ』」
ぽかーん…
「え、どーゆーことですか?」
私は土井先生の手にある札を覗き込んだ。
確かにそれしか書いてない。
不可解な指示に、瞬時に色々考えこむ。
つや…艶っぽくとは。
え、色っぽい感じで呼ぶってこと?!
ちょ、待って、それってどんな…単に名前を呼ぶだけじゃダメってこと…!?
なぜか脳裏に伝子さんが浮かんだ。
シナッとくねりながら「あら、半助ったらぁ〜」とか言いそう…。
私にもそうしろと!?
無理すぎる…!
どうすべきかと土井先生を見ると、彼は大きく息を吐いて頭をかいた。
「……たまみさん、これ、やらないと出られないんですよね…?」
「そ、そうかと思われます…。」
「…わかりました。」
バサッ
不意に土井先生が頭巾を外し長い髪をおろした。
…か、カッコいい……
急にどうしたのかと驚きつつ見惚れてしまった。
土井先生は無言のまま私の前にスッと立った。
「………どい…せんせ…?」
「……」
土井先生の真剣な顔。
いつものにこやかな土井先生じゃない。
真っ直ぐに私を見つめる瞳は、まるで獲物を狙う狩人のような鋭い眼差しで…。
「…!」
思わず息を飲んだ。
目がそらせなくて、蜘蛛の巣にかかった蝶のように身動きできなくなった。
土井先生の足が、静かに間合いを詰める。
反射的に後ずさった私は背中を壁にぶつけた。
「!」
目線が後ろに向きかけた瞬間。
土井先生の左手がそれを止めるようにトンッと壁に伸ばされた。
驚く間もなく、土井先生の右手が私の顔の横に置かれて、私は彼の両腕に囲まれ壁に縫い止められた。
「…!!」
土井先生の顔が、ゆっくりと近づく。
長い前髪が私の頬を掠めた。
止まりそうなほど激しく鼓動を打つ心臓。
熱の籠もった声音が柔らかく耳元で響いた。
「たまみ…」
「!!!!!!!」
ぞくり
全身に甘い衝撃が走った。
大きな手が私の髪に触れる。
ちゅ…
首筋にそっと触れる唇の感触。
微かな吐息が耳をくすぐる。
「…半助って呼んでください…。」
甘い声が耳元で囁かれた。
完全に固まっていると、土井先生が私の首筋にゆっくりと舌を這わせた。
「やっ!」
「…たまみ」
「…は、はんすけ、さんっ…!」
パァァァッ
「「!?」」
突然、白い光に包まれた。
目をあけると、そこはいつもの職員室。
「………も、戻った…!?」
赤い顔のまま呆然とする私。
まさかいまのは幻…
え、土井先生のことが好きすぎて白昼夢を見た的な!?
それとも巻物が私の妄想を具現化…いやいやいやいや、待って、それは…!
おそるおそる隣の土井先生を見上げてみた。
土井先生は頭巾を外したままポカンとしている。
よかった、幻ではなかった…。
「今のは何だったんだ?」
「さ…さぁ…何でしょうね…。」
ドキドキして目が合わせられなかった。
何が起きたのか色んな意味で分からなかったけれど、それどころではないほどに私は動揺していた。
先程の声が、感触が、生々しく残っている。
私はニヤける顔を必死で隠そうと手で顔を覆い、障子の方を向いていた。
いまのは!
私が指示通りの声を出せるように、土井先生がわざとやっただけ!
そう、これは、土井先生の優しさ!
落ち着いて!
真に受けたらだめ!
必死で気持ちを沈めようと深呼吸していると…
「…続き、しますか?」
「ぇ!?」
「してほしそうに、見えたので。」
「そ、そんなこと…!」
「…冗談です。」
「…っ!!」
か、からかわれた!?
一瞬、抗議しようとした。
けれど、見上げた土井先生は私と同じように壁を向いて耳が赤くなっていて…。
そうして二人とも、暫く無言で気まずいまま立ち尽くしていたのだった。
「『互いに相手の名前を艶っぽく呼ぶ』」
ぽかーん…
「え、どーゆーことですか?」
私は土井先生の手にある札を覗き込んだ。
確かにそれしか書いてない。
不可解な指示に、瞬時に色々考えこむ。
つや…艶っぽくとは。
え、色っぽい感じで呼ぶってこと?!
ちょ、待って、それってどんな…単に名前を呼ぶだけじゃダメってこと…!?
なぜか脳裏に伝子さんが浮かんだ。
シナッとくねりながら「あら、半助ったらぁ〜」とか言いそう…。
私にもそうしろと!?
無理すぎる…!
どうすべきかと土井先生を見ると、彼は大きく息を吐いて頭をかいた。
「……たまみさん、これ、やらないと出られないんですよね…?」
「そ、そうかと思われます…。」
「…わかりました。」
バサッ
不意に土井先生が頭巾を外し長い髪をおろした。
…か、カッコいい……
急にどうしたのかと驚きつつ見惚れてしまった。
土井先生は無言のまま私の前にスッと立った。
「………どい…せんせ…?」
「……」
土井先生の真剣な顔。
いつものにこやかな土井先生じゃない。
真っ直ぐに私を見つめる瞳は、まるで獲物を狙う狩人のような鋭い眼差しで…。
「…!」
思わず息を飲んだ。
目がそらせなくて、蜘蛛の巣にかかった蝶のように身動きできなくなった。
土井先生の足が、静かに間合いを詰める。
反射的に後ずさった私は背中を壁にぶつけた。
「!」
目線が後ろに向きかけた瞬間。
土井先生の左手がそれを止めるようにトンッと壁に伸ばされた。
驚く間もなく、土井先生の右手が私の顔の横に置かれて、私は彼の両腕に囲まれ壁に縫い止められた。
「…!!」
土井先生の顔が、ゆっくりと近づく。
長い前髪が私の頬を掠めた。
止まりそうなほど激しく鼓動を打つ心臓。
熱の籠もった声音が柔らかく耳元で響いた。
「たまみ…」
「!!!!!!!」
ぞくり
全身に甘い衝撃が走った。
大きな手が私の髪に触れる。
ちゅ…
首筋にそっと触れる唇の感触。
微かな吐息が耳をくすぐる。
「…半助って呼んでください…。」
甘い声が耳元で囁かれた。
完全に固まっていると、土井先生が私の首筋にゆっくりと舌を這わせた。
「やっ!」
「…たまみ」
「…は、はんすけ、さんっ…!」
パァァァッ
「「!?」」
突然、白い光に包まれた。
目をあけると、そこはいつもの職員室。
「………も、戻った…!?」
赤い顔のまま呆然とする私。
まさかいまのは幻…
え、土井先生のことが好きすぎて白昼夢を見た的な!?
それとも巻物が私の妄想を具現化…いやいやいやいや、待って、それは…!
おそるおそる隣の土井先生を見上げてみた。
土井先生は頭巾を外したままポカンとしている。
よかった、幻ではなかった…。
「今のは何だったんだ?」
「さ…さぁ…何でしょうね…。」
ドキドキして目が合わせられなかった。
何が起きたのか色んな意味で分からなかったけれど、それどころではないほどに私は動揺していた。
先程の声が、感触が、生々しく残っている。
私はニヤける顔を必死で隠そうと手で顔を覆い、障子の方を向いていた。
いまのは!
私が指示通りの声を出せるように、土井先生がわざとやっただけ!
そう、これは、土井先生の優しさ!
落ち着いて!
真に受けたらだめ!
必死で気持ちを沈めようと深呼吸していると…
「…続き、しますか?」
「ぇ!?」
「してほしそうに、見えたので。」
「そ、そんなこと…!」
「…冗談です。」
「…っ!!」
か、からかわれた!?
一瞬、抗議しようとした。
けれど、見上げた土井先生は私と同じように壁を向いて耳が赤くなっていて…。
そうして二人とも、暫く無言で気まずいまま立ち尽くしていたのだった。