巻物ミッション⑤「十五年後の土井先生再び」(長編第2章)
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とある平日の午後。
私は職員室でひとり資料を作っていた。
山田先生と土井先生は実技の授業中。
早く戻ってこないかなぁなんてのんびり考えていると…
ポンッ
聞き覚えのある音に筆を止めた。
この音は…!
確かめようと顔を上げた瞬間。
「頑張ってるね。」
優しい声とともに大きな手に頭を撫でられた。
「土井先生!いま、巻物の音…が……」
穏やかに微笑む優しい眼差し。
無造作にひとつに束ねて揺れる髪。
聞き間違うことのない大好きな声。
しかし、振り返り見上げた先にいたのは、先刻まで話していた土井先生ではなかった。
「やあ、また会えたね。」
「ど…土井、先生…!?」
青空のような青い小袖を着た、未来の土井先生が立っていた。
大人びた優しい双眸。
私が驚いて固まっていると、土井先生は私に巻物を手渡した。
そこには、『15年後の土井先生と出かける』と記されている。
「この巻物はいつも突然だからね…。またたまみに会えたのは嬉しいけど。」
驚くでもなく落ち着いた雰囲気の土井先生。
一年は組に振り回されて胃を痛めたり怒鳴ったりしている彼が、15年経てばこんなに落ち着くのだろうか。
いや、だからこそ多少のことでは動じない…例えばこんなふうに15年前に呼び出されても動じないような…こんな落ち着いた雰囲気になるのだろうか。
うまく言葉が出なくてじっと見つめていると、土井先生が私の書いていたプリントを覗きこんだ。
その距離の近さにどきりとする。
「巻物には出かけるって書いてあるけど、たまみは仕事、今大丈夫なのかい?」
そうやって私を気づかってくれるところは今と同じ…。
「はい、大体はできてるので少し位なら大丈夫です。」
「じゃあ、小袖に着替えてきてくれる?」
「わ、わかりました…!」
土井先生には違いないのだけれど、何だかこう悪いことをしているような気がしてしまった。
しかし巻物の指示には従わなければ。
やましいことはないと自分に言い聞かせ、私は急いで自室で着替えて職員室に戻った。
「お待たせしました…。」
土井先生は障子のそばで壁に背をもたれて立っていた。
こちらを見ると、にこりと笑って私を抱き寄せる。
「あ、あのっ…?!」
「それ、一緒に作った小袖だね。昔は照れて言えなかったけど…可愛いよ。」
耳元で囁かれて、どうしていいか分からないくらい真っ赤になる。
そんな私の様子を知ってか知らずか、土井先生は私の頭をぽんぽんと撫でて髪に口づけた。
「…さて、小松田くんに見つかると面倒だし、ちょっと我慢しててもらおうかな。」
そう言うとおもむろに私を横抱きに抱いて持ち上げた。
「ちょっ、土井先生っ!?」
「跳ぶよ。」
土井先生は私を抱いたまま部屋をでて大きく跳んだ。
勢いよく屋根を駆けあがり、土井先生の目が校庭を一瞥した。
一年は組の良い子達が手裏剣投げの練習をしている。
土井先生は口角をあげ「懐かしいな…。」と呟いて、一気に塀から学園を出た。
驚いたことに、小松田さんに捕まることもなかった。
「ど、土井先生!どこへ行くんですか?」
学園の外へ出ても勢いの衰えないその走りに不安になって聞いてみる。
「どこへでも。どこがいい?」
力強い歩みとは真逆に、とても優しい声音。
いつもより余裕のある優しい瞳に間近で見つめられて、私は思わず頬を染めた。
「ふ…二人になれる場所がいいです…」
土井先生は少し驚いた顔をして、ふっと微笑んだ。
「今の自分に焼きもちを焼かれそうだな。」
「あ!そ、そういう意味じゃなくて…!誰かに見つかったら説明が大変だなって…!」
「うん、分かってるよ。」
にこにこしながら走り続ける未来の土井先生。
私は赤くなりながら、その力強い腕の中で止まらぬ胸の高鳴りを静めようと必死だった。
私は職員室でひとり資料を作っていた。
山田先生と土井先生は実技の授業中。
早く戻ってこないかなぁなんてのんびり考えていると…
ポンッ
聞き覚えのある音に筆を止めた。
この音は…!
確かめようと顔を上げた瞬間。
「頑張ってるね。」
優しい声とともに大きな手に頭を撫でられた。
「土井先生!いま、巻物の音…が……」
穏やかに微笑む優しい眼差し。
無造作にひとつに束ねて揺れる髪。
聞き間違うことのない大好きな声。
しかし、振り返り見上げた先にいたのは、先刻まで話していた土井先生ではなかった。
「やあ、また会えたね。」
「ど…土井、先生…!?」
青空のような青い小袖を着た、未来の土井先生が立っていた。
大人びた優しい双眸。
私が驚いて固まっていると、土井先生は私に巻物を手渡した。
そこには、『15年後の土井先生と出かける』と記されている。
「この巻物はいつも突然だからね…。またたまみに会えたのは嬉しいけど。」
驚くでもなく落ち着いた雰囲気の土井先生。
一年は組に振り回されて胃を痛めたり怒鳴ったりしている彼が、15年経てばこんなに落ち着くのだろうか。
いや、だからこそ多少のことでは動じない…例えばこんなふうに15年前に呼び出されても動じないような…こんな落ち着いた雰囲気になるのだろうか。
うまく言葉が出なくてじっと見つめていると、土井先生が私の書いていたプリントを覗きこんだ。
その距離の近さにどきりとする。
「巻物には出かけるって書いてあるけど、たまみは仕事、今大丈夫なのかい?」
そうやって私を気づかってくれるところは今と同じ…。
「はい、大体はできてるので少し位なら大丈夫です。」
「じゃあ、小袖に着替えてきてくれる?」
「わ、わかりました…!」
土井先生には違いないのだけれど、何だかこう悪いことをしているような気がしてしまった。
しかし巻物の指示には従わなければ。
やましいことはないと自分に言い聞かせ、私は急いで自室で着替えて職員室に戻った。
「お待たせしました…。」
土井先生は障子のそばで壁に背をもたれて立っていた。
こちらを見ると、にこりと笑って私を抱き寄せる。
「あ、あのっ…?!」
「それ、一緒に作った小袖だね。昔は照れて言えなかったけど…可愛いよ。」
耳元で囁かれて、どうしていいか分からないくらい真っ赤になる。
そんな私の様子を知ってか知らずか、土井先生は私の頭をぽんぽんと撫でて髪に口づけた。
「…さて、小松田くんに見つかると面倒だし、ちょっと我慢しててもらおうかな。」
そう言うとおもむろに私を横抱きに抱いて持ち上げた。
「ちょっ、土井先生っ!?」
「跳ぶよ。」
土井先生は私を抱いたまま部屋をでて大きく跳んだ。
勢いよく屋根を駆けあがり、土井先生の目が校庭を一瞥した。
一年は組の良い子達が手裏剣投げの練習をしている。
土井先生は口角をあげ「懐かしいな…。」と呟いて、一気に塀から学園を出た。
驚いたことに、小松田さんに捕まることもなかった。
「ど、土井先生!どこへ行くんですか?」
学園の外へ出ても勢いの衰えないその走りに不安になって聞いてみる。
「どこへでも。どこがいい?」
力強い歩みとは真逆に、とても優しい声音。
いつもより余裕のある優しい瞳に間近で見つめられて、私は思わず頬を染めた。
「ふ…二人になれる場所がいいです…」
土井先生は少し驚いた顔をして、ふっと微笑んだ。
「今の自分に焼きもちを焼かれそうだな。」
「あ!そ、そういう意味じゃなくて…!誰かに見つかったら説明が大変だなって…!」
「うん、分かってるよ。」
にこにこしながら走り続ける未来の土井先生。
私は赤くなりながら、その力強い腕の中で止まらぬ胸の高鳴りを静めようと必死だった。