第63話 七夕
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夜。
いつものようにたまみの部屋に忍んで行く。
彼女は読んでいた本を置いて嬉しそうに私を出迎えた。
「たまみ、ちょっと外に出ないか。」
「どうしたんですか?」
不思議そうに首を傾げる彼女に微笑みかけてから、私は廊下の気配を探り静かに障子をあけた。
周りに誰もいないことを確認してからたまみを手招きして呼び寄せ、横抱きに抱き抱えた。
「!?」
驚く彼女にひとつ微笑んで、勢いよく跳躍して屋根に登り、一番高いところまで駆けあがる。
そしてそのままゆっくりと屋根に腰を降ろした。
あぐらをかいた自分の膝の上にたまみを横抱きに抱えたまま。
「は、半助さん…!?」
「…ほら、上を見てごらん。」
「上…?」
今夜は月が陰り星が綺麗に見える夜だった。
そして、見上げた先には…
白く優しく輝く天の川。
「すごい…!!」
たまみが感嘆の声をあげた。
「毎年この季節には雨がよく降るけど、今日は晴れたから綺麗に天の川が見えてよかった。…たまみに見せたいと思ったんだ。」
「綺麗…!こんなにはっきりと見えるなんて…!」
たまみは瞬きもせずにじっと星を見つめていた。
その横顔に私もつい口許が緩む。
「織姫と彦星もこれならちゃんと逢えますね」
たまみは優しくそう言うと、そっと私の襟元に頬を寄せた。
「でも…私は好きな人とは離れたくないから…年に一回しか会えないのは耐えられないなぁ…。」
その言葉に、昼間の事を思い出した。
「…さっき庄左ヱ門が私に渡した短冊。」
「笹の一番上に飾ったやつですか?」
「うん。何て書いてあったと思う?」
「うーん、そうですねぇ…『一年は組の平均点が上がりますように』とかですか?」
「ははは、いかにも書きそうだな。でもそうじゃなくて…」
私は天の川を仰ぎ見た。
「あの短冊には…」
たまみの手に手を重ね、視線を彼女に戻す。
一瞬迷ってから、私は手に力を入れて静かに言った。
「『土井先生とたまみさんがずっと仲良く一緒に居られますように。一年は組一同』って書いてあったんだ。」
「えっ…!」
たまみがびっくりして私を見た。
「いつもなら、余計なお世話だとか言ってるところなんだが…つい、そのまま飾ってしまった…。」
私は頭をかいて笑った。
あいつらが私達の為にわざわざ願い事を書いてくれたことが…あいつらのその気持ちが嬉しかった。
そして何より。
それは私が本当は書きたかった願い事でもあった。
生徒に心のうちを見透かされてしまったような気がして、つい驚き固まってしまった。
てっぺんに飾ってほしいと庄左ヱ門が言ったのは、他の目に触れないようにということなのか、それとも天から見やすく叶いやすくなるようにとのことなのか。
…たまみは、どう思うのだろう。
そっと顔を伺い見ると、彼女は嬉しそうに微笑んでいた。
「みんな本当に優しいいい子達ですね…。」
「そうだな。」
それは、たまみもそう願ってくれているということだろうか。
ずっと、一緒に居たいと…。
「…私達のこと気づかれてるんでしょうか?」
「どうかな…。子どもは知らないところでよく見てるからなぁ。もしかしたら何か気づかれているのかもしれないが…。」
困ったなぁと二人で苦笑する。
…それにしても。
たまみは好きな人とは離れたくないのか…そんな気はしていたが…。
しかしそれなら、もし私と共にいてくれるなら…このまま忍術学園で一緒に働いてもらって…子どもは私とたまみと…たまにきり丸で交代しながらお世話して…。
赤子を背負ってあやしながら授業する自分の姿を想像し、そしてそんなことまで妄想している自分に気づいて思わず笑ってしまいそうになった。
そんな私の想いなど知るよしもなく、たまみがそっと私の胸に頬を寄せた。
「…願い事、叶いますように…。」
「…そうだな。」
手と手を重ね、私達は暫く静かに天の川を眺めていた。
いつものようにたまみの部屋に忍んで行く。
彼女は読んでいた本を置いて嬉しそうに私を出迎えた。
「たまみ、ちょっと外に出ないか。」
「どうしたんですか?」
不思議そうに首を傾げる彼女に微笑みかけてから、私は廊下の気配を探り静かに障子をあけた。
周りに誰もいないことを確認してからたまみを手招きして呼び寄せ、横抱きに抱き抱えた。
「!?」
驚く彼女にひとつ微笑んで、勢いよく跳躍して屋根に登り、一番高いところまで駆けあがる。
そしてそのままゆっくりと屋根に腰を降ろした。
あぐらをかいた自分の膝の上にたまみを横抱きに抱えたまま。
「は、半助さん…!?」
「…ほら、上を見てごらん。」
「上…?」
今夜は月が陰り星が綺麗に見える夜だった。
そして、見上げた先には…
白く優しく輝く天の川。
「すごい…!!」
たまみが感嘆の声をあげた。
「毎年この季節には雨がよく降るけど、今日は晴れたから綺麗に天の川が見えてよかった。…たまみに見せたいと思ったんだ。」
「綺麗…!こんなにはっきりと見えるなんて…!」
たまみは瞬きもせずにじっと星を見つめていた。
その横顔に私もつい口許が緩む。
「織姫と彦星もこれならちゃんと逢えますね」
たまみは優しくそう言うと、そっと私の襟元に頬を寄せた。
「でも…私は好きな人とは離れたくないから…年に一回しか会えないのは耐えられないなぁ…。」
その言葉に、昼間の事を思い出した。
「…さっき庄左ヱ門が私に渡した短冊。」
「笹の一番上に飾ったやつですか?」
「うん。何て書いてあったと思う?」
「うーん、そうですねぇ…『一年は組の平均点が上がりますように』とかですか?」
「ははは、いかにも書きそうだな。でもそうじゃなくて…」
私は天の川を仰ぎ見た。
「あの短冊には…」
たまみの手に手を重ね、視線を彼女に戻す。
一瞬迷ってから、私は手に力を入れて静かに言った。
「『土井先生とたまみさんがずっと仲良く一緒に居られますように。一年は組一同』って書いてあったんだ。」
「えっ…!」
たまみがびっくりして私を見た。
「いつもなら、余計なお世話だとか言ってるところなんだが…つい、そのまま飾ってしまった…。」
私は頭をかいて笑った。
あいつらが私達の為にわざわざ願い事を書いてくれたことが…あいつらのその気持ちが嬉しかった。
そして何より。
それは私が本当は書きたかった願い事でもあった。
生徒に心のうちを見透かされてしまったような気がして、つい驚き固まってしまった。
てっぺんに飾ってほしいと庄左ヱ門が言ったのは、他の目に触れないようにということなのか、それとも天から見やすく叶いやすくなるようにとのことなのか。
…たまみは、どう思うのだろう。
そっと顔を伺い見ると、彼女は嬉しそうに微笑んでいた。
「みんな本当に優しいいい子達ですね…。」
「そうだな。」
それは、たまみもそう願ってくれているということだろうか。
ずっと、一緒に居たいと…。
「…私達のこと気づかれてるんでしょうか?」
「どうかな…。子どもは知らないところでよく見てるからなぁ。もしかしたら何か気づかれているのかもしれないが…。」
困ったなぁと二人で苦笑する。
…それにしても。
たまみは好きな人とは離れたくないのか…そんな気はしていたが…。
しかしそれなら、もし私と共にいてくれるなら…このまま忍術学園で一緒に働いてもらって…子どもは私とたまみと…たまにきり丸で交代しながらお世話して…。
赤子を背負ってあやしながら授業する自分の姿を想像し、そしてそんなことまで妄想している自分に気づいて思わず笑ってしまいそうになった。
そんな私の想いなど知るよしもなく、たまみがそっと私の胸に頬を寄せた。
「…願い事、叶いますように…。」
「…そうだな。」
手と手を重ね、私達は暫く静かに天の川を眺めていた。