第61話 温泉へ行こう
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「わあ、大きな温泉だねぇ~!」
こ、この声はしんべヱ…!
なぜこんなところに…!
「しんべヱが福引き当てたおかげで俺達までこんなとこにタダで入れるなんてラッキー!」
きり丸まで…!
「ペアチケットだから一人分余ってたところに、ちょうど利吉さんと出くわしてよかったですね。」
乱太郎……ん、いま利吉くんって…!?
「ああ。合戦場で硝煙の臭いが付いてしまったから忍術学園で水浴びしようと思ってたんだが…君達に出会ってよかったよ。こんな温泉は久しぶりだ。」
り、利吉くんまでいるのか!?
隣のたまみと目を見合わせる。
彼女も驚いて口に手を当てていた。
「本当は土井先生を誘おうと思ってたんですけど用事があるらしくて。利吉さんラッキーでしたね!」
そうか、きり丸はこれに誘おうとしてくれていたのか…。
しかし困った。
これはどう切り抜けるべきか…。
正直に話して向こうを向いてもらっている間にたまみを脱衣所に行かせるか…?
いや、しかしこいつらのことだ。
また一年は組のなかで私とたまみが二人で温泉に入っていただのと話して、それが広まってややこしいことになるのは目に見えている…。
しかし、利吉くんに見つかるのは時間の問題だ。
こうなったら…。
私は近くにあった小さな石を利吉くんの方に投げた。
利吉くんがこちらに気づいて視線を向ける。
私は彼に矢羽根で話しかけた。
『利吉くん、私だ。』
『土井先生?!』
『ちょっと訳あって、少しの間、そいつらと一緒に外の方を向いておいてくれないか。』
利吉くんが怪訝そうな顔をする。
『訳は後で話すよ。頼む…!』
利吉くんはいぶかしみながらも頷いた。
「あっ、そこにいるのはカブトムシじゃないか?ほら、大きな角が…。」
「えっ、どこですか~?」
「ほら、あそこの竹藪のなか。」
四人の視線が外に向けられた。
「たまみ、今だ。脱衣所に急いで。」
「は、はい!…み、見ないでくださいね。」
私が目線を四人に向けると、彼女がお湯のなかを静かに進んでいった。
ふと、その先の手すりを見ると、そこに大きな手拭いが掛かっている。
たまみがお湯から上がり、それをくるっと体に巻いた。
…あ。
しまった、後ろ姿をばっちり見てしまった。
というか、手拭いを巻いたところで濡れていて形が丸分かりじゃないか…。
音をたてぬよう急いで脱衣所に向かう彼女。
私は四人がこちらに気づかないかハラハラしながら様子を伺いつつ、つい目で彼女を追ってしまった。
利吉くんはたまみの気配には当然もう気づいているが、私の言葉通りにきり丸達と外を向いてくれていた。
たまみが小走りであと少しで脱衣所に辿り着くというとき、地面に石鹸が落ちているのが見えた。
ま、まさか…。
案の定それを踏むたまみ。
「きゃっ!」
「危ないっ!!」
考えるより先に体が動いていて、たまみが床に体をぶつける直前に抱き止めることができた。
「び、びっくりしました…!」
「大丈夫か!?こっちこそびっくりした…!」
腕の中でたまみがテヘヘと笑う。
まったく…。
「びっくりしたのはこっちなんすけど…」
「「あ」」
振り返ると、四人が唖然としてこちらを見ていた。
「土井先生、これはどういうことですか…」
利吉くんがひきつった顔で聞いてくる。
「い、いや、違うんだ。ここ、実は混浴で…!」
「「「「えっ」」」」
やはり四人とも気付いてなかったようで、私が女性用の脱衣所を指差すと驚いた。
「でも何で土井先生とたまみさんがいるんですか?」
乱太郎が聞いてきた。
乱太郎としんべヱは私達が付き合っていることを知らないからな…。
「だ、団子屋の福引きで当たったんだ。折角だから日頃手伝ってくれてるたまみさんを労おうと思ってだな…。」
「…なるほど。そういう口実で、混浴の温泉にたまみさんを誘ったと?」
利吉くんがジト目で睨んでくる。
「混浴とは知らなかったんだ…!すぐに出ようと思ったんだがきみたちが入ってきて…」
「そうですか。…そのわりに随分のぼせた顔をしてますが。」
「う…」
確かに、何だかんだで長く浸かっていたかもしれない。
彼女の顔は赤くなっていた。
「まーまー。ここはひとつ、お昼ご飯で手を打とうじゃないですか!」
「え?」
きり丸が割って入ってきた。
「土井先生がみんなに隣の飯屋でお昼をごちそうしてくれたら僕達は何も見てないってことで!土井先生は口止めできるし、僕達はご飯食べれるし、悪い話じゃないでしょ!」
「…きり丸、目が銭になってるぞ。」
「土井先生も、二人で温泉に入ってた〜なんて広まったら困るでしょ?」
「ぐっ…。」
私は大きなため息をついた。
「わかった。私は先に出ているから…。」
「まいどありっ!」
上機嫌になるきり丸の横で、乱太郎としんべヱが苦笑いをしていた。
利吉くんは納得いかないといった顔をしていたけれど、黙って顔を背けている。
私はたまみを立たせて脱衣所に行かせると、「なぜこんなことに…。」と一人呟いてその場を後にした。
こ、この声はしんべヱ…!
なぜこんなところに…!
「しんべヱが福引き当てたおかげで俺達までこんなとこにタダで入れるなんてラッキー!」
きり丸まで…!
「ペアチケットだから一人分余ってたところに、ちょうど利吉さんと出くわしてよかったですね。」
乱太郎……ん、いま利吉くんって…!?
「ああ。合戦場で硝煙の臭いが付いてしまったから忍術学園で水浴びしようと思ってたんだが…君達に出会ってよかったよ。こんな温泉は久しぶりだ。」
り、利吉くんまでいるのか!?
隣のたまみと目を見合わせる。
彼女も驚いて口に手を当てていた。
「本当は土井先生を誘おうと思ってたんですけど用事があるらしくて。利吉さんラッキーでしたね!」
そうか、きり丸はこれに誘おうとしてくれていたのか…。
しかし困った。
これはどう切り抜けるべきか…。
正直に話して向こうを向いてもらっている間にたまみを脱衣所に行かせるか…?
いや、しかしこいつらのことだ。
また一年は組のなかで私とたまみが二人で温泉に入っていただのと話して、それが広まってややこしいことになるのは目に見えている…。
しかし、利吉くんに見つかるのは時間の問題だ。
こうなったら…。
私は近くにあった小さな石を利吉くんの方に投げた。
利吉くんがこちらに気づいて視線を向ける。
私は彼に矢羽根で話しかけた。
『利吉くん、私だ。』
『土井先生?!』
『ちょっと訳あって、少しの間、そいつらと一緒に外の方を向いておいてくれないか。』
利吉くんが怪訝そうな顔をする。
『訳は後で話すよ。頼む…!』
利吉くんはいぶかしみながらも頷いた。
「あっ、そこにいるのはカブトムシじゃないか?ほら、大きな角が…。」
「えっ、どこですか~?」
「ほら、あそこの竹藪のなか。」
四人の視線が外に向けられた。
「たまみ、今だ。脱衣所に急いで。」
「は、はい!…み、見ないでくださいね。」
私が目線を四人に向けると、彼女がお湯のなかを静かに進んでいった。
ふと、その先の手すりを見ると、そこに大きな手拭いが掛かっている。
たまみがお湯から上がり、それをくるっと体に巻いた。
…あ。
しまった、後ろ姿をばっちり見てしまった。
というか、手拭いを巻いたところで濡れていて形が丸分かりじゃないか…。
音をたてぬよう急いで脱衣所に向かう彼女。
私は四人がこちらに気づかないかハラハラしながら様子を伺いつつ、つい目で彼女を追ってしまった。
利吉くんはたまみの気配には当然もう気づいているが、私の言葉通りにきり丸達と外を向いてくれていた。
たまみが小走りであと少しで脱衣所に辿り着くというとき、地面に石鹸が落ちているのが見えた。
ま、まさか…。
案の定それを踏むたまみ。
「きゃっ!」
「危ないっ!!」
考えるより先に体が動いていて、たまみが床に体をぶつける直前に抱き止めることができた。
「び、びっくりしました…!」
「大丈夫か!?こっちこそびっくりした…!」
腕の中でたまみがテヘヘと笑う。
まったく…。
「びっくりしたのはこっちなんすけど…」
「「あ」」
振り返ると、四人が唖然としてこちらを見ていた。
「土井先生、これはどういうことですか…」
利吉くんがひきつった顔で聞いてくる。
「い、いや、違うんだ。ここ、実は混浴で…!」
「「「「えっ」」」」
やはり四人とも気付いてなかったようで、私が女性用の脱衣所を指差すと驚いた。
「でも何で土井先生とたまみさんがいるんですか?」
乱太郎が聞いてきた。
乱太郎としんべヱは私達が付き合っていることを知らないからな…。
「だ、団子屋の福引きで当たったんだ。折角だから日頃手伝ってくれてるたまみさんを労おうと思ってだな…。」
「…なるほど。そういう口実で、混浴の温泉にたまみさんを誘ったと?」
利吉くんがジト目で睨んでくる。
「混浴とは知らなかったんだ…!すぐに出ようと思ったんだがきみたちが入ってきて…」
「そうですか。…そのわりに随分のぼせた顔をしてますが。」
「う…」
確かに、何だかんだで長く浸かっていたかもしれない。
彼女の顔は赤くなっていた。
「まーまー。ここはひとつ、お昼ご飯で手を打とうじゃないですか!」
「え?」
きり丸が割って入ってきた。
「土井先生がみんなに隣の飯屋でお昼をごちそうしてくれたら僕達は何も見てないってことで!土井先生は口止めできるし、僕達はご飯食べれるし、悪い話じゃないでしょ!」
「…きり丸、目が銭になってるぞ。」
「土井先生も、二人で温泉に入ってた〜なんて広まったら困るでしょ?」
「ぐっ…。」
私は大きなため息をついた。
「わかった。私は先に出ているから…。」
「まいどありっ!」
上機嫌になるきり丸の横で、乱太郎としんべヱが苦笑いをしていた。
利吉くんは納得いかないといった顔をしていたけれど、黙って顔を背けている。
私はたまみを立たせて脱衣所に行かせると、「なぜこんなことに…。」と一人呟いてその場を後にした。