第59話 トランプ
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まずは、カードを引く順番。
山田先生のカードをたまみさんが、たまみさんのカードを私が、私のカードを利吉くんが、利吉くんのカードを山田先生が引くということになった。
ペアのカードを捨てて、手元に残った枚数は皆同じ位。
さて、誰が最初にババを持っているのか…。
利吉くんは…無表情。
彼は持っていないな。
幼い頃から見ているので私には分かる…もしババを持っていたら、微かにだが不機嫌な目になるはずだ。
たまみさんは…口角が上がっている。
ババを持っているわけじゃなさそうだ。
となると山田先生か…。
山田先生の表情を読みとくことはできないので、あとの二人から推測していくしかない。
じゃんけんをして、利吉くんからカードを引くことになった。
真剣な目でじっと私を探ってくる。
ゆっくりカードを選んでいるが、私はババを持っていないのでどれを選んでも同じようなものだ。
利吉くんがスッと一枚引いて、手元のカードとペアになったようでニヤリとしながらカードを減らした。
次に、山田先生が利吉くんから引く。
ペアにはならなかったようで、そのままたまみさんが山田先生から引いた。
たまみさんもペアができたようでカードを減らした。
次は私がカードを引く番。
スッと左右に手を伸ばしても、たまみさんの瞳は揺らがなかった。
…ここにババは無さそうだな。
私は真ん中のカードを引き、手元のカードとペアができたので減らした。
暫くそんなやりとりを続け、皆のカードが減ってきたとき、たまみさんの表情が固くなった。
…ババが動いたか。
彼女は手元のカードをよくきって私に差し出した。
そんなことをしたらババを持ってると宣言してるみたいじゃないか…。
たまみさんのカードはあと三枚。
伸ばした手を左右に動かし、右のカードに指を触れると、彼女が微かに口角をあげた。
次に真ん中のカードに指を触れると、たまみさんがぴくりと肩を動かして悲しげな顔をした。
上目づかいに、無言で「それは引かないで」とお願いするような…きゅるんとした目で見つめてくる。
なんだこれは、可愛いじゃないか…!
ババ抜きにこんな楽しみかたがあったとは。
しかし、これは勝負。
可哀想だが、ここは心を鬼にして勝ちにいかねばならない。
私はそのまま真ん中のカードを引いた。
「!」
なっ、ババだと…!?
表情は変えないようにちらりとたまみさんを見ると、彼女はふふふと笑いを堪えているようだった。
や、やられた…!
まさか、彼女がそんなひっかけを使ってくるだなんて…!
普段素直すぎるくらい素直な彼女なだけに、まさかその表情がフェイクだとは疑わなかった。
…動揺を悟られてはいけない。
私はなに食わぬ顔でカードを利吉くんに差し出した。
私のカードはババを含めて三枚。
利吉くんは私の顔をじっと睨んで観察してきた。
もちろん、私が表情を崩すことはない。
やがて利吉くんは真ん中のカードに手を伸ばし…
ババを引いた。
ババ抜きは真ん中を引きやすいというのは本当のようだ。
利吉くんは見るからにしまったという顔をする。
相変わらず真面目すぎて顔に出てるよ利吉くん…。
当然、山田先生もその表情には気づいて緊張が走った。
山田先生が利吉くんから慎重にカードを引く。
利吉くん、だからそんなに真剣になりすぎると顔に出ているよ…。
山田先生はカードを引いて、手元の枚数を2枚に減らした。
次いで、たまみさんがカードを引く。これでペアができれば彼女はあがりだったが、残念ながらペアはできなかったようでそのまま私に差し出した。
迷うことなくスッとカードを引くと、私の手元のカードとペアができた。
それを捨てると、私のカードはあと一枚。
「私の勝ちですね…!」
私がニヤリとすると、利吉くんが悔しそうにカードを引いた。
「甘味、ご馳走になります。」
頭を下げると、山田先生は苦笑して頷いた。
「やっぱり半助は強いな。」
「土井先生、すごいですねぇ~。」
「たまたま土井先生の運が良かっただけでしょう。」
「運も実力のうちだよ利吉くん。」
私は自分の役目を終えてほっとひと安心した。
さて、最後まで残るのは誰か…。
先程私から引いたカードで利吉くんはペアができなかったようで、そのまま山田先生に差し出した。
山田先生もまた真剣な表情でカードを引く。
山田先生もペアができなかったようで、またそのままたまみさんに差し出す。
たまみさんは右のカードを引くと、ぱあっと嬉しそうな顔をしてカードを捨てた。
これで残りは一枚。
「私もあがりです!」
彼女が嬉々としてそう言うと、利吉くんは苦笑してその一枚を引きペアを捨てた。
たまみさんがふーっと息を吐いて手でパタパタと扇いだ。
「あー緊張しました。」
「お疲れ様。でもまだ勝負はついてないよ…ほら、親子対決だ。」
山田先生と利吉くんがトランプを片手に真剣に睨みあっている。
利吉くんがカードを山田先生の目の前に突きだす。
「さぁどうぞ、父上。どちらでもお好きな方を。」
挑戦的な目。
山田先生は暫く利吉くんの顔をじっと見たあと、迷いなく左のカードを選んだ。
「!」
利吉くんの顔に動揺が見えた。
山田先生がニヤリと笑って、ペアになったカードをぱらりと捨てた。
「ふっ、まだまだだな利吉。」
「な、なぜ分かったのですか…!」
「何年お前の父親をしていると思ってる。…さ、これで潔く諦めるんだな。」
山田先生はご機嫌になって職員室を出ていった。
私はうなだれる利吉くんの肩を叩いて慰めながら、小声で話しかけた。
その言葉を聞いて、利吉くんが驚いて私の顔を見る。
私は利吉くんにウインクをしてみせて、「次の休みが楽しみだね。」と言った。
山田先生のカードをたまみさんが、たまみさんのカードを私が、私のカードを利吉くんが、利吉くんのカードを山田先生が引くということになった。
ペアのカードを捨てて、手元に残った枚数は皆同じ位。
さて、誰が最初にババを持っているのか…。
利吉くんは…無表情。
彼は持っていないな。
幼い頃から見ているので私には分かる…もしババを持っていたら、微かにだが不機嫌な目になるはずだ。
たまみさんは…口角が上がっている。
ババを持っているわけじゃなさそうだ。
となると山田先生か…。
山田先生の表情を読みとくことはできないので、あとの二人から推測していくしかない。
じゃんけんをして、利吉くんからカードを引くことになった。
真剣な目でじっと私を探ってくる。
ゆっくりカードを選んでいるが、私はババを持っていないのでどれを選んでも同じようなものだ。
利吉くんがスッと一枚引いて、手元のカードとペアになったようでニヤリとしながらカードを減らした。
次に、山田先生が利吉くんから引く。
ペアにはならなかったようで、そのままたまみさんが山田先生から引いた。
たまみさんもペアができたようでカードを減らした。
次は私がカードを引く番。
スッと左右に手を伸ばしても、たまみさんの瞳は揺らがなかった。
…ここにババは無さそうだな。
私は真ん中のカードを引き、手元のカードとペアができたので減らした。
暫くそんなやりとりを続け、皆のカードが減ってきたとき、たまみさんの表情が固くなった。
…ババが動いたか。
彼女は手元のカードをよくきって私に差し出した。
そんなことをしたらババを持ってると宣言してるみたいじゃないか…。
たまみさんのカードはあと三枚。
伸ばした手を左右に動かし、右のカードに指を触れると、彼女が微かに口角をあげた。
次に真ん中のカードに指を触れると、たまみさんがぴくりと肩を動かして悲しげな顔をした。
上目づかいに、無言で「それは引かないで」とお願いするような…きゅるんとした目で見つめてくる。
なんだこれは、可愛いじゃないか…!
ババ抜きにこんな楽しみかたがあったとは。
しかし、これは勝負。
可哀想だが、ここは心を鬼にして勝ちにいかねばならない。
私はそのまま真ん中のカードを引いた。
「!」
なっ、ババだと…!?
表情は変えないようにちらりとたまみさんを見ると、彼女はふふふと笑いを堪えているようだった。
や、やられた…!
まさか、彼女がそんなひっかけを使ってくるだなんて…!
普段素直すぎるくらい素直な彼女なだけに、まさかその表情がフェイクだとは疑わなかった。
…動揺を悟られてはいけない。
私はなに食わぬ顔でカードを利吉くんに差し出した。
私のカードはババを含めて三枚。
利吉くんは私の顔をじっと睨んで観察してきた。
もちろん、私が表情を崩すことはない。
やがて利吉くんは真ん中のカードに手を伸ばし…
ババを引いた。
ババ抜きは真ん中を引きやすいというのは本当のようだ。
利吉くんは見るからにしまったという顔をする。
相変わらず真面目すぎて顔に出てるよ利吉くん…。
当然、山田先生もその表情には気づいて緊張が走った。
山田先生が利吉くんから慎重にカードを引く。
利吉くん、だからそんなに真剣になりすぎると顔に出ているよ…。
山田先生はカードを引いて、手元の枚数を2枚に減らした。
次いで、たまみさんがカードを引く。これでペアができれば彼女はあがりだったが、残念ながらペアはできなかったようでそのまま私に差し出した。
迷うことなくスッとカードを引くと、私の手元のカードとペアができた。
それを捨てると、私のカードはあと一枚。
「私の勝ちですね…!」
私がニヤリとすると、利吉くんが悔しそうにカードを引いた。
「甘味、ご馳走になります。」
頭を下げると、山田先生は苦笑して頷いた。
「やっぱり半助は強いな。」
「土井先生、すごいですねぇ~。」
「たまたま土井先生の運が良かっただけでしょう。」
「運も実力のうちだよ利吉くん。」
私は自分の役目を終えてほっとひと安心した。
さて、最後まで残るのは誰か…。
先程私から引いたカードで利吉くんはペアができなかったようで、そのまま山田先生に差し出した。
山田先生もまた真剣な表情でカードを引く。
山田先生もペアができなかったようで、またそのままたまみさんに差し出す。
たまみさんは右のカードを引くと、ぱあっと嬉しそうな顔をしてカードを捨てた。
これで残りは一枚。
「私もあがりです!」
彼女が嬉々としてそう言うと、利吉くんは苦笑してその一枚を引きペアを捨てた。
たまみさんがふーっと息を吐いて手でパタパタと扇いだ。
「あー緊張しました。」
「お疲れ様。でもまだ勝負はついてないよ…ほら、親子対決だ。」
山田先生と利吉くんがトランプを片手に真剣に睨みあっている。
利吉くんがカードを山田先生の目の前に突きだす。
「さぁどうぞ、父上。どちらでもお好きな方を。」
挑戦的な目。
山田先生は暫く利吉くんの顔をじっと見たあと、迷いなく左のカードを選んだ。
「!」
利吉くんの顔に動揺が見えた。
山田先生がニヤリと笑って、ペアになったカードをぱらりと捨てた。
「ふっ、まだまだだな利吉。」
「な、なぜ分かったのですか…!」
「何年お前の父親をしていると思ってる。…さ、これで潔く諦めるんだな。」
山田先生はご機嫌になって職員室を出ていった。
私はうなだれる利吉くんの肩を叩いて慰めながら、小声で話しかけた。
その言葉を聞いて、利吉くんが驚いて私の顔を見る。
私は利吉くんにウインクをしてみせて、「次の休みが楽しみだね。」と言った。