第58話 包帯
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「利吉さん!」
「たまみさん…?」
「どうしたんですか?!まさかケガを…!?」
「いや、大したことないんですけど…」
利吉さんがばつの悪そうに苦笑いすると、後ろからきりちゃんとしんべヱくんが利吉さんを前に押した。
「利吉さん、怪我してるんですよ!ちゃんと診てもらってくださいい!」
「医務室なら薬代もかからないし診といて貰った方がいいですよ。」
「君たち大袈裟だな…。」
二人を宥めようと伸ばした腕に血が滲んでいた。
忍装束が大きく破けている。
「利吉さん、その腕…!」
「はは、少しドジってしまいました。ぬかるみに足をとられた瞬間、敵の刀がかすってしまって。応急処置はしたのですが…。」
それを聞いて善法寺くんが「失礼します。」と真剣な目で利吉さんの腕を持ち、応急処置のあとを外して傷を見た。
「刀傷…深くはありませんが、熱が出たらいけません。消毒して薬を塗っておきましょう。縫合の必要はないと思います。あと、濡れた服も着替えてください。そのままでは風邪をひきます。」
善法寺くんが医師のように冷静に言うと、利吉さんは苦笑した。
「プロになればこんな傷は別に珍しくもないし、薬だけ貰ったら自分でするからいいよ。」
その言葉に私は驚いた。
「珍しくない…のですか?」
私の反応に驚いた利吉さんは、まるで当然とでも言うように頷いた。
「職業柄ある程度は…。」
「…!」
いつかの山田先生の言葉が脳裏に甦った。
土井先生が忍務から中々戻らなかったときに山田先生が言っていた覚悟…忍として生きる以上は死と隣り合わせであるということを。
「…心配、してくれてるんですか?」
利吉さんが意外そうに言う。
私にはその表情こそが意外だった。
「当たり前じゃないですか。怪我をして普通だなんて、そんなの…!」
それ以上言葉が出てこなかった。
そんな私の様子を見て、利吉さんがニコリと微笑む。
「あなたにそんな風に心配してもらえるなら、怪我をするのも悪くないですね。」
「何を言って…!」
「あはは、冗談です。…大丈夫、それでもちゃんと帰ってきますから。」
「帰ってきても怪我をしていたら心配じゃないですか…!」
利吉さんは嬉しそうに笑った。
「笑い事じゃないですよ…!」
「そうですね…。たまみさんにそんなことを言って貰えるのが嬉しくてつい。」
利吉さんがいつもの爽やかな笑顔を見せてそんなことを言うものだから、私は困ってしまって一歩下がった。
すると善法寺くんがオホンと咳払いをして利吉さんに言った。
「とにかく、ここは忍術学園の医務室で利吉さんは患者なんですから、言うことを聞いてもらいますよ。」
「…悪いね、じゃあ頼むよ。」
利吉さんが諦めてそう言うと、乱太郎くんが既に着替えと手拭いをついたての向こうに用意していた。
「利吉さんどうぞ。山田先生から予備の着物を借りてきたので、これに着替えてください。あとで山田先生もこちらに来られるそうです。」
「そうか、ありがとう。」
利吉さんが着替えている間に、善法寺くんの指示で乱太郎くんが薬棚から軟膏を、伏木蔵くんが包帯を取り出した。
利吉さんが着替え終わりついたてから出てくると、善法寺くんが傷を消毒してその薬を塗っていった。
「さ、あとは包帯を巻くだけです。」
「あ、ちょっと待って。」
利吉さんが突然こちらを振り向いた。
「包帯は、たまみさんに巻いてもらおうかな。」
「えっ!?私ですか!?」
急に指名されて私は焦った。
包帯など巻いたことがない。
「巻き方が分からないんですけど…」
「初めてですか?それは光栄です。」
利吉さんがニコニコとこちらを見る。
困って善法寺くんに目線を移すと、「では僕が指示する通りに巻いてください。」と言われた。
白く使い古された包帯を手に持つ。
かなり緊張しながら、緩すぎて包帯がずれてしまわないように…強すぎて血流を止めてしまわないように…善法寺くんの指示に沿って慎重に巻いていく。
「きつくないですか?痛くないですか?」
「はい。初めてのわりにお上手ですね。」
「あ、まだ動かないで…」
最後に巻き終わりを結ぶと、利吉さんが嬉しそうに微笑んでお礼を言った。
「ありがとうございます。…君たちにも手間をかけたね。」
利吉さんが乱太郎くん達の方を見る。
乱太郎くんと伏木蔵くんはえへへと照れて、善方寺くんはにこりと笑った。
「傷は1週間程で塞がってくると思いますが、炎症が起きたり感染症の兆候が表れたらすぐに来てください。」
「わかった。」
「濡れた忍装束、いま洗ってきますね。」
私がそう言うと利吉さんは申し訳なさそうに言った。
「それぐらい自分でやりますよ。」
「腕の怪我に響いたらどうするんですか。私がします。」
私が言い切ると、利吉さんも諦めたのか「すみません」と苦笑した。
「たまみさん…?」
「どうしたんですか?!まさかケガを…!?」
「いや、大したことないんですけど…」
利吉さんがばつの悪そうに苦笑いすると、後ろからきりちゃんとしんべヱくんが利吉さんを前に押した。
「利吉さん、怪我してるんですよ!ちゃんと診てもらってくださいい!」
「医務室なら薬代もかからないし診といて貰った方がいいですよ。」
「君たち大袈裟だな…。」
二人を宥めようと伸ばした腕に血が滲んでいた。
忍装束が大きく破けている。
「利吉さん、その腕…!」
「はは、少しドジってしまいました。ぬかるみに足をとられた瞬間、敵の刀がかすってしまって。応急処置はしたのですが…。」
それを聞いて善法寺くんが「失礼します。」と真剣な目で利吉さんの腕を持ち、応急処置のあとを外して傷を見た。
「刀傷…深くはありませんが、熱が出たらいけません。消毒して薬を塗っておきましょう。縫合の必要はないと思います。あと、濡れた服も着替えてください。そのままでは風邪をひきます。」
善法寺くんが医師のように冷静に言うと、利吉さんは苦笑した。
「プロになればこんな傷は別に珍しくもないし、薬だけ貰ったら自分でするからいいよ。」
その言葉に私は驚いた。
「珍しくない…のですか?」
私の反応に驚いた利吉さんは、まるで当然とでも言うように頷いた。
「職業柄ある程度は…。」
「…!」
いつかの山田先生の言葉が脳裏に甦った。
土井先生が忍務から中々戻らなかったときに山田先生が言っていた覚悟…忍として生きる以上は死と隣り合わせであるということを。
「…心配、してくれてるんですか?」
利吉さんが意外そうに言う。
私にはその表情こそが意外だった。
「当たり前じゃないですか。怪我をして普通だなんて、そんなの…!」
それ以上言葉が出てこなかった。
そんな私の様子を見て、利吉さんがニコリと微笑む。
「あなたにそんな風に心配してもらえるなら、怪我をするのも悪くないですね。」
「何を言って…!」
「あはは、冗談です。…大丈夫、それでもちゃんと帰ってきますから。」
「帰ってきても怪我をしていたら心配じゃないですか…!」
利吉さんは嬉しそうに笑った。
「笑い事じゃないですよ…!」
「そうですね…。たまみさんにそんなことを言って貰えるのが嬉しくてつい。」
利吉さんがいつもの爽やかな笑顔を見せてそんなことを言うものだから、私は困ってしまって一歩下がった。
すると善法寺くんがオホンと咳払いをして利吉さんに言った。
「とにかく、ここは忍術学園の医務室で利吉さんは患者なんですから、言うことを聞いてもらいますよ。」
「…悪いね、じゃあ頼むよ。」
利吉さんが諦めてそう言うと、乱太郎くんが既に着替えと手拭いをついたての向こうに用意していた。
「利吉さんどうぞ。山田先生から予備の着物を借りてきたので、これに着替えてください。あとで山田先生もこちらに来られるそうです。」
「そうか、ありがとう。」
利吉さんが着替えている間に、善法寺くんの指示で乱太郎くんが薬棚から軟膏を、伏木蔵くんが包帯を取り出した。
利吉さんが着替え終わりついたてから出てくると、善法寺くんが傷を消毒してその薬を塗っていった。
「さ、あとは包帯を巻くだけです。」
「あ、ちょっと待って。」
利吉さんが突然こちらを振り向いた。
「包帯は、たまみさんに巻いてもらおうかな。」
「えっ!?私ですか!?」
急に指名されて私は焦った。
包帯など巻いたことがない。
「巻き方が分からないんですけど…」
「初めてですか?それは光栄です。」
利吉さんがニコニコとこちらを見る。
困って善法寺くんに目線を移すと、「では僕が指示する通りに巻いてください。」と言われた。
白く使い古された包帯を手に持つ。
かなり緊張しながら、緩すぎて包帯がずれてしまわないように…強すぎて血流を止めてしまわないように…善法寺くんの指示に沿って慎重に巻いていく。
「きつくないですか?痛くないですか?」
「はい。初めてのわりにお上手ですね。」
「あ、まだ動かないで…」
最後に巻き終わりを結ぶと、利吉さんが嬉しそうに微笑んでお礼を言った。
「ありがとうございます。…君たちにも手間をかけたね。」
利吉さんが乱太郎くん達の方を見る。
乱太郎くんと伏木蔵くんはえへへと照れて、善方寺くんはにこりと笑った。
「傷は1週間程で塞がってくると思いますが、炎症が起きたり感染症の兆候が表れたらすぐに来てください。」
「わかった。」
「濡れた忍装束、いま洗ってきますね。」
私がそう言うと利吉さんは申し訳なさそうに言った。
「それぐらい自分でやりますよ。」
「腕の怪我に響いたらどうするんですか。私がします。」
私が言い切ると、利吉さんも諦めたのか「すみません」と苦笑した。