第57話 触れたくて
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朝。
小鳥のさえずりとともに目が覚めると、隣にはきり丸とたまみがいた。
二人の気持ち良さそうな寝顔に、もう一度眠ろうかと思ったものの、何となく眠るのが勿体ない気がして暫く眺めていた。
少しすると、たまみのまぶたが動いてゆっくりと目が開いた。
「おはよう。」
小さくそう言うと、彼女は私を寝ぼけ眼で眺めたあと驚いて目を見開き、次に恥ずかしそうに伏し目がちに「おはようございます…」と呟いた。
ころころと変わる表情に思わず笑みがこぼれる。
きり丸を起こさないようにそっと布団から抜け出した。
顔を洗いに井戸に向かおうとすると、たまみも一緒に行こうと歩み寄ってきた。
その姿を見て私は固まった。
「あ、ちょっと髪が落ちてこないようにしますね。」
「いや、その…それよりも…。」
私は咳払いをして、壁の方を見ながら自分の襟元をとんとんと叩いた。
たまみは不思議そうにそれを見て、次の瞬間慌てて自分の襟元がはだけていたのを直して真っ赤になった。
「す、すみません…!」
「いや…き、気をつけて…。」
私は頬をかいて足早に井戸に向かった。
一瞬、むしろそのまま黙って眺めていようかなどと思ったことは口にしないでおく。
「半助さん、髪、結いましょうか?」
二人で井戸から戻ると、たまみが櫛で私の髪をといてくれた。
ゆっくりと通る櫛が気持ちいい。
時折、柔らかい指が首に触れてくすぐったかった。
「はい、できましたよ。」
「ありがとう。じゃあ私も…。」
櫛を受け取り、今度は私がたまみの髪を結った。
先程とりあえずまとめていた髪を一旦ほどき、するすると指触りのよい髪に櫛をいれる。
「たまみの髪は綺麗だな…。」
思わず髪に口づけると、たまみは恥ずかしそうに俯いた。
「そ、そうですか?…半助さんがお手入れしなさすぎなんですよ。」
「はは、それはそうかもしれないな。」
髪を一つにまとめ、束ねようと彼女の元結を手にした。
「あれ、これは…私があげたやつかい?」
それは、彼女が学園に来た初日に私が自分の元結をほどいて渡したものだった。
「はい、覚えてましたか?」
「うん…たまみ用にちゃんと新しいのを用意したらよかったな。」
「いえ、これがいいんです。…半助さんが使ってたというのが嬉しいから…。」
またなんと可愛らしいことを。
私は髪を結い終わると後ろから彼女を抱きしめた。
「…たまみ……」
「半助さん…」
そのとき、ふと視線に気づいて横を見ると、きり丸が寝転がったまま肘をついてこちらを見ていた。
「朝ご飯、僕が作りましょうか?」
「きっ…!起きてたのか!」
私はパッと離れて立ち上がった。
「い、いいから、きり丸はもう少し寝てなさい。」
慌てて台所に行こうとするとたまみがついてきた。
「あ、私が作りますから…!」
そんな私達を見てきり丸は「朝っぱらから…」と呆れ顔で笑っていた。
小鳥のさえずりとともに目が覚めると、隣にはきり丸とたまみがいた。
二人の気持ち良さそうな寝顔に、もう一度眠ろうかと思ったものの、何となく眠るのが勿体ない気がして暫く眺めていた。
少しすると、たまみのまぶたが動いてゆっくりと目が開いた。
「おはよう。」
小さくそう言うと、彼女は私を寝ぼけ眼で眺めたあと驚いて目を見開き、次に恥ずかしそうに伏し目がちに「おはようございます…」と呟いた。
ころころと変わる表情に思わず笑みがこぼれる。
きり丸を起こさないようにそっと布団から抜け出した。
顔を洗いに井戸に向かおうとすると、たまみも一緒に行こうと歩み寄ってきた。
その姿を見て私は固まった。
「あ、ちょっと髪が落ちてこないようにしますね。」
「いや、その…それよりも…。」
私は咳払いをして、壁の方を見ながら自分の襟元をとんとんと叩いた。
たまみは不思議そうにそれを見て、次の瞬間慌てて自分の襟元がはだけていたのを直して真っ赤になった。
「す、すみません…!」
「いや…き、気をつけて…。」
私は頬をかいて足早に井戸に向かった。
一瞬、むしろそのまま黙って眺めていようかなどと思ったことは口にしないでおく。
「半助さん、髪、結いましょうか?」
二人で井戸から戻ると、たまみが櫛で私の髪をといてくれた。
ゆっくりと通る櫛が気持ちいい。
時折、柔らかい指が首に触れてくすぐったかった。
「はい、できましたよ。」
「ありがとう。じゃあ私も…。」
櫛を受け取り、今度は私がたまみの髪を結った。
先程とりあえずまとめていた髪を一旦ほどき、するすると指触りのよい髪に櫛をいれる。
「たまみの髪は綺麗だな…。」
思わず髪に口づけると、たまみは恥ずかしそうに俯いた。
「そ、そうですか?…半助さんがお手入れしなさすぎなんですよ。」
「はは、それはそうかもしれないな。」
髪を一つにまとめ、束ねようと彼女の元結を手にした。
「あれ、これは…私があげたやつかい?」
それは、彼女が学園に来た初日に私が自分の元結をほどいて渡したものだった。
「はい、覚えてましたか?」
「うん…たまみ用にちゃんと新しいのを用意したらよかったな。」
「いえ、これがいいんです。…半助さんが使ってたというのが嬉しいから…。」
またなんと可愛らしいことを。
私は髪を結い終わると後ろから彼女を抱きしめた。
「…たまみ……」
「半助さん…」
そのとき、ふと視線に気づいて横を見ると、きり丸が寝転がったまま肘をついてこちらを見ていた。
「朝ご飯、僕が作りましょうか?」
「きっ…!起きてたのか!」
私はパッと離れて立ち上がった。
「い、いいから、きり丸はもう少し寝てなさい。」
慌てて台所に行こうとするとたまみがついてきた。
「あ、私が作りますから…!」
そんな私達を見てきり丸は「朝っぱらから…」と呆れ顔で笑っていた。