第56話 花椀
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「ただいまー。」
「ただいま戻りましたぁ。」
二人が食材を買って帰って来た。
私もちょうど洗濯が終わって家の中に入ったところだった。
「きりちゃん、その野菜はすぐに使うから出しておいてね。」
「はーい。」
きりちゃん?
きり丸は気にする様子もなく普通に接している。
買い出しに行っている間に何かあったのだろうか。
「あ!」
たまみがしまったという顔をした。
「お米、重いから帰りに買おうと思って忘れてました…!ちょっと行ってきます!」
慌てて出ようとする彼女をガシッとつかまえる。
「こら、一人で行くんじゃない。私も行こう。」
「す、すみません…。」
「たまみのうっかりにはもう慣れてるよ。」
からかうように言うと、彼女はえへへと頭をかいた。
「じゃあ僕、ちょっと犬の散歩に行ってきます。」
きり丸が外に繋いでいた犬の手綱を引いて散歩に連れ出した。
これ以上はバイトを引き受けるんじゃないぞと念をおしておくが、はたしてどうなることやら…。
お米を買いにたまみと二人で町を歩く。
「そういえば、たまみの食器はまだ用意してなかったな。」
「あ、はい。学園から借りてきたらよかったでしょうか…。」
私は彼女の頭をぽんと撫でると、空を見上げながら言った。
「いや…、ちゃんと買ってうちに置いておけばいい…。…あー…その、もし、嫌じゃなければ…これからも長期休暇とかは…いや、そうでなくてもだが…うちで過ごしたらいいから…。」
「!」
たまみは驚いて私をじっと見つめたあと、頬を染めて私の手を握った。
「嬉しい…。」
私は無言でその手をぎゅっと握り返した。
少し歩くと、米屋の近くにちょうどお箸や器が売られている店があった。
店に入ると、花の模様があしらわれた可愛らしいお椀が目に入った。
値段も手頃なもので、お箸と湯呑みもセットになっている。
「これなんかどうだい?」
「わぁ、可愛いですね!」
たまみがお椀を手に持って微笑んだ。
大きさも彼女の手にちょうどいい位だった。
「よし、じゃあこれは私から。」
店員を呼ぼうとすると、彼女が私の袖を引いた。
「あの、自分で出します…!」
遠慮しようとするたまみの手を袖から外してそっと握った。
「私が、贈りたいんだ。」
そのまま彼女の頬に手を伸ばす。
「きみに…うちに居てほしいから。……受け取って、くれるかい?」
彼女は頬を染めて目を見開いた。
私の遠回しな言葉は、少しは伝わっているのだろうか。
彼女は潤んだ瞳で、嬉しそうにゆっくりと頷いた。
「はい…!ありがとうございます…」
その答えを聞いて、私もまた笑顔で頷いた。
「ただいま戻りましたぁ。」
二人が食材を買って帰って来た。
私もちょうど洗濯が終わって家の中に入ったところだった。
「きりちゃん、その野菜はすぐに使うから出しておいてね。」
「はーい。」
きりちゃん?
きり丸は気にする様子もなく普通に接している。
買い出しに行っている間に何かあったのだろうか。
「あ!」
たまみがしまったという顔をした。
「お米、重いから帰りに買おうと思って忘れてました…!ちょっと行ってきます!」
慌てて出ようとする彼女をガシッとつかまえる。
「こら、一人で行くんじゃない。私も行こう。」
「す、すみません…。」
「たまみのうっかりにはもう慣れてるよ。」
からかうように言うと、彼女はえへへと頭をかいた。
「じゃあ僕、ちょっと犬の散歩に行ってきます。」
きり丸が外に繋いでいた犬の手綱を引いて散歩に連れ出した。
これ以上はバイトを引き受けるんじゃないぞと念をおしておくが、はたしてどうなることやら…。
お米を買いにたまみと二人で町を歩く。
「そういえば、たまみの食器はまだ用意してなかったな。」
「あ、はい。学園から借りてきたらよかったでしょうか…。」
私は彼女の頭をぽんと撫でると、空を見上げながら言った。
「いや…、ちゃんと買ってうちに置いておけばいい…。…あー…その、もし、嫌じゃなければ…これからも長期休暇とかは…いや、そうでなくてもだが…うちで過ごしたらいいから…。」
「!」
たまみは驚いて私をじっと見つめたあと、頬を染めて私の手を握った。
「嬉しい…。」
私は無言でその手をぎゅっと握り返した。
少し歩くと、米屋の近くにちょうどお箸や器が売られている店があった。
店に入ると、花の模様があしらわれた可愛らしいお椀が目に入った。
値段も手頃なもので、お箸と湯呑みもセットになっている。
「これなんかどうだい?」
「わぁ、可愛いですね!」
たまみがお椀を手に持って微笑んだ。
大きさも彼女の手にちょうどいい位だった。
「よし、じゃあこれは私から。」
店員を呼ぼうとすると、彼女が私の袖を引いた。
「あの、自分で出します…!」
遠慮しようとするたまみの手を袖から外してそっと握った。
「私が、贈りたいんだ。」
そのまま彼女の頬に手を伸ばす。
「きみに…うちに居てほしいから。……受け取って、くれるかい?」
彼女は頬を染めて目を見開いた。
私の遠回しな言葉は、少しは伝わっているのだろうか。
彼女は潤んだ瞳で、嬉しそうにゆっくりと頷いた。
「はい…!ありがとうございます…」
その答えを聞いて、私もまた笑顔で頷いた。