第54話 ぬいぐるみ
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洗濯物を干し終わって廊下を歩いていると、きり丸くんが私を呼び止めた。
「たまみさん、これ要りませんか?」
その手にはぬいぐるみが二つ。
「ぬいぐるみ?何の人…形…」
私は持っていた桶を床に落とした。
「ちょっ…!こ、これっ!ど、どうしたの…!?」
そこには、土井先生の人形が二つあった。
「町で抜天坊に投げられたモノのなかに、これが混ざっていたんです。誰が投げたのかもどこから投げられたのかも分からないんですけど、そのまま放っておくのもあれだったんで…。」
「そ、それは…誰かが要らないから投げたってこと?」
「それもよく分からないんですけど…要りますか?」
私の目の前にずいっと土井先生のぬいぐるみを差し出すきり丸くん。
私はそれを手にとって眺めた。
とても上手に作られていて、まるで売り物のようだった。
しかもとても綺麗な状態で、新品のよう。
「一体誰が作ったんだろう…。」
二つのぬいぐるみのうち、一つは黒い忍装束を着ている。
「町で土井先生が忍者だと知ってる人はいないはずだし、学園の関係者ですかね。」
「関係者かぁ…ちょっと調べておいた方が…とりあえず報告したいから、これ預かってもいいかな?」
するときり丸くんの目が小銭になった。
「さすがにたまみさんでもタダでって訳にはいきませんよー!」
「うーん、そうねぇ…じゃあ、これでどう?」
私は食券五枚をきり丸くんに渡した。
「へへっ、毎度ありー!」
きり丸くんはほくほく顔で歩いていった。
値上げ交渉されなくてよかった…。
土井先生の人形なんて私にとっては食券程度の値じゃないのだけれど、持ち合わせが今それしか無かったので仕方ない。
私は手元のぬいぐるみに目を落とし、誰かに見つからないよう急いで自室に戻った。
自分の机の上に二つのぬいぐるみを並べてみた。
一つは、普段着ている小袖姿の土井先生。
もう一つは、黒い忍装束の土井先生。
どちらもとても可愛い顔。
前髪や小袖の模様までよく見て作られている…。
一体誰が作ったのだろう…。
土井先生のことが好きなくのたまとか?
でも仮にそうだとして、なぜ投げたのだろう…。
「ん?」
黒い忍び装束の胸に見覚えのあるマークが縫い付けられていた。
どこで見た模様だったかな…。
しげしげと眺めてみる。
しかし見れば見るほどよくできた人形だ。
職人さん並みの仕上がりだから、よほど器用な人が作ったのかな。
…職人か。
学園の関係者ってことは、生徒とも限らないよね。
土井先生を忍者だと知る学園に縁のある人。
よく出入りをしている人…。
「!」
思い出した。
このマーク。
たしか、これは…これは…!
「利吉さんの小袖の模様!」
なぜ利吉さんのトレードマークともいえるこの模様が?
土井先生の人形に縫い付けられているなんて…きっと何か意味があるはず…。
「ま、まさか…!」
私は、一つの結論にたどりつきよろめいた。
いや、まさかそんなはずは。
でも、それしか考えられない…!
「利吉さんが、土井先生のことを好きで、この人形を作った…!?」
いやいやいや、そんなばかな。
利吉さんが土井先生のことを好きだなんてそんな。
ハッ
もしかして。
もしかして…、土井先生に近づく私が邪魔だったから、自分に気持ちを向けさせようとして私に色々言ってくれていたとか…!?
いやいやいやいや、利吉さんは誠実な人だ。
そんなことをする人じゃない。
…でも、もしプロの忍者である利吉さんが本気で騙そうとしたのだとしたら?
私なんかじゃ見抜けないのでは…。
「いやいや、まさか…。うん、ないない…そんなはず、ない…。」
ではこの胸のマークは一体何なのか。
なぜ土井先生の人形に利吉さんのトレードマークが?
私は土井先生にも心当たりがないか聞いてみようと思い、隣の職員室へ向かった。
「たまみさん、これ要りませんか?」
その手にはぬいぐるみが二つ。
「ぬいぐるみ?何の人…形…」
私は持っていた桶を床に落とした。
「ちょっ…!こ、これっ!ど、どうしたの…!?」
そこには、土井先生の人形が二つあった。
「町で抜天坊に投げられたモノのなかに、これが混ざっていたんです。誰が投げたのかもどこから投げられたのかも分からないんですけど、そのまま放っておくのもあれだったんで…。」
「そ、それは…誰かが要らないから投げたってこと?」
「それもよく分からないんですけど…要りますか?」
私の目の前にずいっと土井先生のぬいぐるみを差し出すきり丸くん。
私はそれを手にとって眺めた。
とても上手に作られていて、まるで売り物のようだった。
しかもとても綺麗な状態で、新品のよう。
「一体誰が作ったんだろう…。」
二つのぬいぐるみのうち、一つは黒い忍装束を着ている。
「町で土井先生が忍者だと知ってる人はいないはずだし、学園の関係者ですかね。」
「関係者かぁ…ちょっと調べておいた方が…とりあえず報告したいから、これ預かってもいいかな?」
するときり丸くんの目が小銭になった。
「さすがにたまみさんでもタダでって訳にはいきませんよー!」
「うーん、そうねぇ…じゃあ、これでどう?」
私は食券五枚をきり丸くんに渡した。
「へへっ、毎度ありー!」
きり丸くんはほくほく顔で歩いていった。
値上げ交渉されなくてよかった…。
土井先生の人形なんて私にとっては食券程度の値じゃないのだけれど、持ち合わせが今それしか無かったので仕方ない。
私は手元のぬいぐるみに目を落とし、誰かに見つからないよう急いで自室に戻った。
自分の机の上に二つのぬいぐるみを並べてみた。
一つは、普段着ている小袖姿の土井先生。
もう一つは、黒い忍装束の土井先生。
どちらもとても可愛い顔。
前髪や小袖の模様までよく見て作られている…。
一体誰が作ったのだろう…。
土井先生のことが好きなくのたまとか?
でも仮にそうだとして、なぜ投げたのだろう…。
「ん?」
黒い忍び装束の胸に見覚えのあるマークが縫い付けられていた。
どこで見た模様だったかな…。
しげしげと眺めてみる。
しかし見れば見るほどよくできた人形だ。
職人さん並みの仕上がりだから、よほど器用な人が作ったのかな。
…職人か。
学園の関係者ってことは、生徒とも限らないよね。
土井先生を忍者だと知る学園に縁のある人。
よく出入りをしている人…。
「!」
思い出した。
このマーク。
たしか、これは…これは…!
「利吉さんの小袖の模様!」
なぜ利吉さんのトレードマークともいえるこの模様が?
土井先生の人形に縫い付けられているなんて…きっと何か意味があるはず…。
「ま、まさか…!」
私は、一つの結論にたどりつきよろめいた。
いや、まさかそんなはずは。
でも、それしか考えられない…!
「利吉さんが、土井先生のことを好きで、この人形を作った…!?」
いやいやいや、そんなばかな。
利吉さんが土井先生のことを好きだなんてそんな。
ハッ
もしかして。
もしかして…、土井先生に近づく私が邪魔だったから、自分に気持ちを向けさせようとして私に色々言ってくれていたとか…!?
いやいやいやいや、利吉さんは誠実な人だ。
そんなことをする人じゃない。
…でも、もしプロの忍者である利吉さんが本気で騙そうとしたのだとしたら?
私なんかじゃ見抜けないのでは…。
「いやいや、まさか…。うん、ないない…そんなはず、ない…。」
ではこの胸のマークは一体何なのか。
なぜ土井先生の人形に利吉さんのトレードマークが?
私は土井先生にも心当たりがないか聞いてみようと思い、隣の職員室へ向かった。