第53話 日記
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
たまみさんから日記を受け取った。
毎日一緒に仕事をしているが、一体どんなことが書いてあるのかと少しワクワクしながら開いてみる。
随分畏まった出だしの文章と、生徒のような可愛らしい文章。
その素直な文が彼女らしいなと思った。
魚のさばき方か…。
私が後ろからぴったりくっついて教えていたやつだな。
恥ずかしがるたまみさん、可愛いかったな…。
自然と口角があがり、誰が見ている訳でもないのに咳払いをして顔を戻した。
筆をとり、崩し字が微妙に間違っているところを余白に訂正する。
…これだけじゃ、何だか採点してるみたいで味気ないな。
私は余白に少し文章を付け足した。
その晩。
長屋の見回りが終わると、私は天井裏に登ってたまみさんの部屋の上に来た。
コンコンと軽く天井板を叩き、「たまみさん、今大丈夫ですか?」と声をかける。
「ど、土井先生!?…だ、大丈夫ですけど…!」
音をたてないよう畳に降り立つ。
たまみさんはお風呂から戻って髪をとかしているところだった。
「あ、すみません…出直しましょうか?」
「いえ、大丈夫です。…ど、どうしたんですか?」
私は懐から日記を取り出した。
「今日中に返さないと、今日の分が書けないかなと思いまして。」
「あ…!お手数かけてしまってすみません!」
たまみさんが申し訳なさそうな顔をするので、私は首を振った。
「見回りのついでに寄っただけですから。…それに…」
「?」
私は壁の方を見ながら小さく言った。
「こ、これを口実に…少しでもたまみさんと二人の時間を作れるかな…と。」
たまみさんの頬が朱に染まり、恥ずかしそうに微笑んだ。
「…嬉しいです。」
彼女はそのまま私にそっと抱きついて胸に頬を寄せた。
背中に回される華奢な腕。
夜着越しにも分かる体の柔らかさ。
湯上がりのせっけんの匂い。
「好き…」
たまみさんの甘えた可愛い声。
たまらずぎゅっと抱きしめると、更に可愛い声で甘えてきた。
「だいすき…」
くぅ…。
ここが学園でなかったら…!
ぐっと堪えて、たまみさんのまだ濡れている艶やかな髪を撫でた。
「私もです…」
すると彼女が顔をあげて私の目をじっと見つめた。
……だめだ…。
止まらなくなりそうだから、やめておこうと思ったのに。
真っ直ぐな瞳に吸い寄せられるように、その柔らかな唇に唇を重ねた。
ゆっくりと、優しく食むように、角度を変えて何度もついばむ。
上唇をゆっくり舐めあげた。
応えようとする彼女の舌を絡めとり、深く口づけた。
「ふっ…ぅんっ…」
彼女の苦しげな息。
くぐもった声。
視界の端に、既に敷かれた布団が目に入る。
これ以上は……
ゆっくりと唇を離す。
すると首にたまみさんの腕が回された。
「…もっと…」
「…っ!」
恍惚とした表情。
たまらず、再び深く口づけした。
先程よりも深く、激しく。
「んっ…ぅっ…!」
布団の上に彼女を組み敷いた。
「ど、い…せんせっ…」
「…たまみっ…!」
彼女の手のひらの上に手を重ね、指を絡め、深く口づけた。
互いの息が荒くなり、彼女の襟元に手をかける。
ギシッ、ギシッ、ギシッ
「…!」
生徒が廊下を歩く音。
こんな時間に…厠にでも行くのか。
二人の視線が廊下に向けられ、足音が遠ざかるとやがて目があった。
「…また邪魔が…」
私は小声で呟いて大きなため息をついた。
いっそ、今の足音は聞かなかったことにしてこのまま想いを遂げてしまおうか。
…そんな考えが頭をよぎる程だった。
「…きみといると…自制心がきかなくなる…」
私は彼女の肩口に顔を埋めて低く唸った。
たまみさんは嬉しそうな恥ずかしそうな微笑みを浮かべて私の背に腕を回した。
「…ほらまた…あまり煽られると困る…」
私はため息をついて苦笑した。
身を起こして彼女の手を引き、起き上がらせる。
彼女は照れ笑いしながら日記を手にとった。
「…日記、見てもいいですか?」
頷くと、たまみさんはぱらりとページをめくった。
私が書いた文章に気付いて目を見開く。
「土井先生もお返事書いてくれたんですね…嬉しい!」
「少しだけど読みの練習と例文にもなるかなと思って。」
「…『いつも…美味しいご飯をありがとう。今日の…魚もお味噌汁も…美味しかったです。午後は雨のなか…マラソンで…よい子達を手助けするのに…疲れていたのですが…癒されました。』…?」
「うん、あってる。」
にこりと笑うと、たまみさんが嬉しそうに日記を抱きしめた。
「嬉しい…!ありがとうございます!」
「また明日も楽しみにしてるよ。」
「ふふ…何だか、交換日記みたいですね。」
「交換日記か…。」
まさか25歳にもなってそんなことをするとは思いもよらなかったが、たまみさんの崩し字の練習になるならまぁいいか…。
返却のときはこうしてまた会える訳だし…。
しかし、私の理性がもつだろうか…。
そんな心配をしているなどと露ほども知らない彼女は、にこにこと嬉しそうに日記を両手に抱いていた。
毎日一緒に仕事をしているが、一体どんなことが書いてあるのかと少しワクワクしながら開いてみる。
随分畏まった出だしの文章と、生徒のような可愛らしい文章。
その素直な文が彼女らしいなと思った。
魚のさばき方か…。
私が後ろからぴったりくっついて教えていたやつだな。
恥ずかしがるたまみさん、可愛いかったな…。
自然と口角があがり、誰が見ている訳でもないのに咳払いをして顔を戻した。
筆をとり、崩し字が微妙に間違っているところを余白に訂正する。
…これだけじゃ、何だか採点してるみたいで味気ないな。
私は余白に少し文章を付け足した。
その晩。
長屋の見回りが終わると、私は天井裏に登ってたまみさんの部屋の上に来た。
コンコンと軽く天井板を叩き、「たまみさん、今大丈夫ですか?」と声をかける。
「ど、土井先生!?…だ、大丈夫ですけど…!」
音をたてないよう畳に降り立つ。
たまみさんはお風呂から戻って髪をとかしているところだった。
「あ、すみません…出直しましょうか?」
「いえ、大丈夫です。…ど、どうしたんですか?」
私は懐から日記を取り出した。
「今日中に返さないと、今日の分が書けないかなと思いまして。」
「あ…!お手数かけてしまってすみません!」
たまみさんが申し訳なさそうな顔をするので、私は首を振った。
「見回りのついでに寄っただけですから。…それに…」
「?」
私は壁の方を見ながら小さく言った。
「こ、これを口実に…少しでもたまみさんと二人の時間を作れるかな…と。」
たまみさんの頬が朱に染まり、恥ずかしそうに微笑んだ。
「…嬉しいです。」
彼女はそのまま私にそっと抱きついて胸に頬を寄せた。
背中に回される華奢な腕。
夜着越しにも分かる体の柔らかさ。
湯上がりのせっけんの匂い。
「好き…」
たまみさんの甘えた可愛い声。
たまらずぎゅっと抱きしめると、更に可愛い声で甘えてきた。
「だいすき…」
くぅ…。
ここが学園でなかったら…!
ぐっと堪えて、たまみさんのまだ濡れている艶やかな髪を撫でた。
「私もです…」
すると彼女が顔をあげて私の目をじっと見つめた。
……だめだ…。
止まらなくなりそうだから、やめておこうと思ったのに。
真っ直ぐな瞳に吸い寄せられるように、その柔らかな唇に唇を重ねた。
ゆっくりと、優しく食むように、角度を変えて何度もついばむ。
上唇をゆっくり舐めあげた。
応えようとする彼女の舌を絡めとり、深く口づけた。
「ふっ…ぅんっ…」
彼女の苦しげな息。
くぐもった声。
視界の端に、既に敷かれた布団が目に入る。
これ以上は……
ゆっくりと唇を離す。
すると首にたまみさんの腕が回された。
「…もっと…」
「…っ!」
恍惚とした表情。
たまらず、再び深く口づけした。
先程よりも深く、激しく。
「んっ…ぅっ…!」
布団の上に彼女を組み敷いた。
「ど、い…せんせっ…」
「…たまみっ…!」
彼女の手のひらの上に手を重ね、指を絡め、深く口づけた。
互いの息が荒くなり、彼女の襟元に手をかける。
ギシッ、ギシッ、ギシッ
「…!」
生徒が廊下を歩く音。
こんな時間に…厠にでも行くのか。
二人の視線が廊下に向けられ、足音が遠ざかるとやがて目があった。
「…また邪魔が…」
私は小声で呟いて大きなため息をついた。
いっそ、今の足音は聞かなかったことにしてこのまま想いを遂げてしまおうか。
…そんな考えが頭をよぎる程だった。
「…きみといると…自制心がきかなくなる…」
私は彼女の肩口に顔を埋めて低く唸った。
たまみさんは嬉しそうな恥ずかしそうな微笑みを浮かべて私の背に腕を回した。
「…ほらまた…あまり煽られると困る…」
私はため息をついて苦笑した。
身を起こして彼女の手を引き、起き上がらせる。
彼女は照れ笑いしながら日記を手にとった。
「…日記、見てもいいですか?」
頷くと、たまみさんはぱらりとページをめくった。
私が書いた文章に気付いて目を見開く。
「土井先生もお返事書いてくれたんですね…嬉しい!」
「少しだけど読みの練習と例文にもなるかなと思って。」
「…『いつも…美味しいご飯をありがとう。今日の…魚もお味噌汁も…美味しかったです。午後は雨のなか…マラソンで…よい子達を手助けするのに…疲れていたのですが…癒されました。』…?」
「うん、あってる。」
にこりと笑うと、たまみさんが嬉しそうに日記を抱きしめた。
「嬉しい…!ありがとうございます!」
「また明日も楽しみにしてるよ。」
「ふふ…何だか、交換日記みたいですね。」
「交換日記か…。」
まさか25歳にもなってそんなことをするとは思いもよらなかったが、たまみさんの崩し字の練習になるならまぁいいか…。
返却のときはこうしてまた会える訳だし…。
しかし、私の理性がもつだろうか…。
そんな心配をしているなどと露ほども知らない彼女は、にこにこと嬉しそうに日記を両手に抱いていた。