第51話 自然のなかで
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ラッキョウの収穫が一段落つくと、みんなは他の畑を耕すのを手伝い始めた。
私は晩ご飯の準備をするために大木先生の家の台所を借りにきた。
すると、家の近くに可愛い兎とヤギが飼われていた。
「兎のラビちゃんとヤギのケロちゃんだ。」
「可愛いですねぇ。」
寄ってきたケロちゃんを撫でながら、なぜヤギなのにケロちゃんなのだろうと不思議に思った。
ラビちゃんも膝の上に乗ってきて撫でさせてくれる。
大木先生は我が子のようにデレデレと笑って「可愛いだろう!」と自慢していた。
動物が好きなのかなぁ。
にこにこしている大木先生に意外な一面を見た気がした。
「家のものは好きに使っていいぞ。何かあれば言ってくれ。」
そう言うと大木先生はそのままみんなの方へ歩いていった。
台所の道具と材料を確認して、みんなの晩ご飯を作り始める。
まずお米をといで炊き始め、野菜を切っていく。
いつも食堂でみんなのご飯作りを手伝っているとはいえ、知らないお家で15人分のご飯を作るのは勝手が違った。
井戸から水を組むだけでもちょっとした重労働だ。
「大丈夫か?」
大木先生がまた様子を見に来てくれた。
「はい、お野菜がたくさんあるので具沢山のお味噌汁とご飯でいいですか?」
「ああ、すまんな。」
私が野菜を切る後ろで、大木先生はじっと立っていた。
手際を観察されているのかな。
何だか先生の前で試験を受けているような気がして少し緊張していると。
「いいな。」
大木先生が呟いた。
「何がですか?」
振り返ったとたん、手が止まってしまった。
大木先生がこちらを見る眼差しはとても優しいものだった。
「もしも嫁がいたらこんな感じか…。」
大木先生が私の横に並んで腰に手を回した。
「わしも手伝おうか。」
「い、いえっ、大丈夫です!」
「遠慮するな、一人だと大変だろう。」
その目も口調もとても優しいのだけれど、距離が近すぎる…!
離れようと後ろに足を踏み出すも、大木先生の腕が離れない。
「あ、あのっ、大木先生、近いです…!」
「気にするな。そのまま続けてくれ。」
「無理です!」
抗議しようと見上げると、思ったより近くに大木先生の顔があった。
大木先生の瞳に自分が映っている。
その目が一度瞬かれると、大木先生の顔がゆっくり近づいてきた。
そのとき。
「大木先生、山田先生が呼んでますよ。」
土井先生が玄関から声をかけてきた。
「!…土井先生!」
「なんだ、いま忙し…」
「忙しくないです!ここは私に任せて早く行ってきてください!」
強引に大木先生を玄関まで押し出すと、大木先生はしぶしぶ山田先生の方へ歩いていった。
ほっと一安心して胸を撫で下ろす。
ふと見上げると、土井先生が無表情でこちらを見ていた。
「土井先生…?」
「………」
土井先生は無言のまま私の腕を引いて家のなかに入った。
そのままぐいっと押されて反転し、壁に体を押しつけられる。
土井先生の体が迫ってきて、壁との間に挟まれた。
「どい…せんせ…?」
土井先生が低く呟く。
「…こうなると思ってたんだ。」
「えっ?」
「…きみは隙が多すぎる。」
そう言うといきなり土井先生に唇をふさがれた。
「んっ…!?」
大木先生の家のなかで。
すぐそこに生徒達も居るのに…!
土井先生はゆっくり唇を離すと、私をきつく抱きしめた。
「…きみはもう私のものだ。…いいね?」
「…はい…。」
私が赤くなって答えると、土井先生は私の額に口づけして「よろしい」と小さく呟いて離れた。
するとすぐに遠くから、「土井先生~!」と呼ぶ声がした。
土井先生は私の頭を一撫ですると、いつもと同じ声で「どうしたー」と言いながら玄関を出ていった。
「………っ!?」
い、いまのは…!?!?
呆けながらふらふらと台所に戻った。
が、包丁を持ったまま先程の一連を反芻して手が止まってしまった。
そうして今日のお味噌汁の具は大きさがまばらになってしまったのだった。
早めの晩ご飯をみんなで食べる。
畑仕事でみんなぐったり疲れた様子だったけど、美味しそうに全部食べてもらえてよかった。
「やっぱりたまみくんに来てもらってよかったな。」
山田先生に褒めてもらえて素直に嬉しく、私は笑顔で皆のおかわりをよそっていった。
「学園の外でも食堂の味が食べられるなんて嬉しいです~。」
「まさかうちでたまみに飯を作って貰えるとはなぁ。しかも美味い!これからもここに住まないか?」
「たまみさんは僕たちのだからダメです~!ね、土井先生?」
「……そうだな、食堂のおばちゃんも…」
「土井先生、そこは正直に「一年は組のではなく私のだ!」くらい言わなきゃー!」
「なっ!?お前たち何を言って…!?」
「あ、私お茶入れて来ますー」
土井先生との仲が私の反応でバレてしまわないよつに、私はそそくさとその場を離れてみんなにお茶をいれに行った。
一休みすると、山田先生が「さて」と言って立ち上がった。
「外も暗くなった。そろそろ帰るか。」
「そうですか。ラッキョウはまた漬け物にしていい頃合いになれば学園に持っていきます。」
大木先生も立ち上がると、みんな帰る支度を始めた。
外はもう真っ暗で、私はこんな暗いなか本当に歩けるのかなと心配になった。
「途中までわしもついていこう。…山田先生、あそこに行くんでしょう?」
「ああ、丁度いい季節ですからな。」
こんな暗いなか、どこに立ち寄るのだろう?
そう思って土井先生を見上げると、ふっと微笑まれた。
土井先生は行き先を知っているようだった。
私は晩ご飯の準備をするために大木先生の家の台所を借りにきた。
すると、家の近くに可愛い兎とヤギが飼われていた。
「兎のラビちゃんとヤギのケロちゃんだ。」
「可愛いですねぇ。」
寄ってきたケロちゃんを撫でながら、なぜヤギなのにケロちゃんなのだろうと不思議に思った。
ラビちゃんも膝の上に乗ってきて撫でさせてくれる。
大木先生は我が子のようにデレデレと笑って「可愛いだろう!」と自慢していた。
動物が好きなのかなぁ。
にこにこしている大木先生に意外な一面を見た気がした。
「家のものは好きに使っていいぞ。何かあれば言ってくれ。」
そう言うと大木先生はそのままみんなの方へ歩いていった。
台所の道具と材料を確認して、みんなの晩ご飯を作り始める。
まずお米をといで炊き始め、野菜を切っていく。
いつも食堂でみんなのご飯作りを手伝っているとはいえ、知らないお家で15人分のご飯を作るのは勝手が違った。
井戸から水を組むだけでもちょっとした重労働だ。
「大丈夫か?」
大木先生がまた様子を見に来てくれた。
「はい、お野菜がたくさんあるので具沢山のお味噌汁とご飯でいいですか?」
「ああ、すまんな。」
私が野菜を切る後ろで、大木先生はじっと立っていた。
手際を観察されているのかな。
何だか先生の前で試験を受けているような気がして少し緊張していると。
「いいな。」
大木先生が呟いた。
「何がですか?」
振り返ったとたん、手が止まってしまった。
大木先生がこちらを見る眼差しはとても優しいものだった。
「もしも嫁がいたらこんな感じか…。」
大木先生が私の横に並んで腰に手を回した。
「わしも手伝おうか。」
「い、いえっ、大丈夫です!」
「遠慮するな、一人だと大変だろう。」
その目も口調もとても優しいのだけれど、距離が近すぎる…!
離れようと後ろに足を踏み出すも、大木先生の腕が離れない。
「あ、あのっ、大木先生、近いです…!」
「気にするな。そのまま続けてくれ。」
「無理です!」
抗議しようと見上げると、思ったより近くに大木先生の顔があった。
大木先生の瞳に自分が映っている。
その目が一度瞬かれると、大木先生の顔がゆっくり近づいてきた。
そのとき。
「大木先生、山田先生が呼んでますよ。」
土井先生が玄関から声をかけてきた。
「!…土井先生!」
「なんだ、いま忙し…」
「忙しくないです!ここは私に任せて早く行ってきてください!」
強引に大木先生を玄関まで押し出すと、大木先生はしぶしぶ山田先生の方へ歩いていった。
ほっと一安心して胸を撫で下ろす。
ふと見上げると、土井先生が無表情でこちらを見ていた。
「土井先生…?」
「………」
土井先生は無言のまま私の腕を引いて家のなかに入った。
そのままぐいっと押されて反転し、壁に体を押しつけられる。
土井先生の体が迫ってきて、壁との間に挟まれた。
「どい…せんせ…?」
土井先生が低く呟く。
「…こうなると思ってたんだ。」
「えっ?」
「…きみは隙が多すぎる。」
そう言うといきなり土井先生に唇をふさがれた。
「んっ…!?」
大木先生の家のなかで。
すぐそこに生徒達も居るのに…!
土井先生はゆっくり唇を離すと、私をきつく抱きしめた。
「…きみはもう私のものだ。…いいね?」
「…はい…。」
私が赤くなって答えると、土井先生は私の額に口づけして「よろしい」と小さく呟いて離れた。
するとすぐに遠くから、「土井先生~!」と呼ぶ声がした。
土井先生は私の頭を一撫ですると、いつもと同じ声で「どうしたー」と言いながら玄関を出ていった。
「………っ!?」
い、いまのは…!?!?
呆けながらふらふらと台所に戻った。
が、包丁を持ったまま先程の一連を反芻して手が止まってしまった。
そうして今日のお味噌汁の具は大きさがまばらになってしまったのだった。
早めの晩ご飯をみんなで食べる。
畑仕事でみんなぐったり疲れた様子だったけど、美味しそうに全部食べてもらえてよかった。
「やっぱりたまみくんに来てもらってよかったな。」
山田先生に褒めてもらえて素直に嬉しく、私は笑顔で皆のおかわりをよそっていった。
「学園の外でも食堂の味が食べられるなんて嬉しいです~。」
「まさかうちでたまみに飯を作って貰えるとはなぁ。しかも美味い!これからもここに住まないか?」
「たまみさんは僕たちのだからダメです~!ね、土井先生?」
「……そうだな、食堂のおばちゃんも…」
「土井先生、そこは正直に「一年は組のではなく私のだ!」くらい言わなきゃー!」
「なっ!?お前たち何を言って…!?」
「あ、私お茶入れて来ますー」
土井先生との仲が私の反応でバレてしまわないよつに、私はそそくさとその場を離れてみんなにお茶をいれに行った。
一休みすると、山田先生が「さて」と言って立ち上がった。
「外も暗くなった。そろそろ帰るか。」
「そうですか。ラッキョウはまた漬け物にしていい頃合いになれば学園に持っていきます。」
大木先生も立ち上がると、みんな帰る支度を始めた。
外はもう真っ暗で、私はこんな暗いなか本当に歩けるのかなと心配になった。
「途中までわしもついていこう。…山田先生、あそこに行くんでしょう?」
「ああ、丁度いい季節ですからな。」
こんな暗いなか、どこに立ち寄るのだろう?
そう思って土井先生を見上げると、ふっと微笑まれた。
土井先生は行き先を知っているようだった。