第50話 きみに酔わされて
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その夜。
自室でお酒とお猪口を用意して土井先生を待つ。
自分で提案しておきながら、何だか今になって緊張してきた。
思えば、二人でお酒を飲んだことはなかった気がする。
というか。
昼間は忙しいから夜にと、さほど他意なく言っただけなのだけど、夜分に恋人を自室に招くのって…!?と今更ながら頭をかかえて考えこんでしまった。
はしたないとか思われてないかな…!?
そのとき、天井板がこんこんと鳴って少し外れた。
「入ってもいいですか?」
「ど、どうぞ。」
天井から土井先生がしゅたっと降り立った。
「何で天井から…?」
「こんな時間に女性の部屋に入るのが見つかったらまた噂になるかなと…。」
「確かに…。」
「……それで…」
土井先生は部屋の中をちらりと見渡した。
「…その、本当に…いいんですか?」
「はい、もうばっちり用意してありますよ!」
「ばっちり用意?」
「お豆腐とお味噌で田楽も作ってみたので一緒にどうぞ。さ、こちらへ。」
私がお座布団の上に座るように促すと、夜着を着た土井先生は「美味しそうだね」とゆっくりそこに座った。
私も隣に座ってお酒を注ぐ。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。…きみにこんな風にお酌してもらえるなんて…何だか嬉しいなぁ。」
土井先生が照れながらお酒に口をつけた。
「美味しいですか?」
「うん。…一緒に飲む?」
「私は飲むとすぐ寝ちゃうから…こっちのお茶を頂きます。それより、今日はどんな嫌味を言われたんですか?」
「嫌味…?…そう、それがですね…!」
そこから土井先生は安藤先生に言われたことや、生徒の成績が中々上がらないことのもどかしさ、一年は組のよい子達の良いところを語りだした。
私はお酌をしながら、そうですね分かります、と相槌をうつ。
お酒が進むにつれ土井先生の言葉は熱を帯びてきて、段々呂律が怪しくなってきた。
「…だからね、まだみんな伸びしろがいっぱいなんれすよ。たまみさんもそう思いませんか?」
「そうですね。テストが全てじゃないですし、それぞれの興味があるところをこれから伸ばしていけばいいですよね。」
「そうれす!テストの点数がすべてじゃあない!」
土井先生は気持ちよく熱弁してくれているけど、そろそろ飲ませるの止めといた方がいいのかなぁ。
迷っていると、またお猪口が差し出された。
「まだまだ飲めますよぉ。」
にへらと笑う土井先生が可愛くて、ついまた注いでしまった。
こんな土井先生、めったに見られない。
「たまみさんは、あいつらのどこが好きれすか?」
「えっ、好きなところですか?…うーん、いつも素直で元気いっぱいで、思いやりもあって優しいところとか…でしょうか。」
「うんうん、ですよねぇ。」
土井先生が笑顔で腕をくんで大きく頷く。
「じゃあ、私のどこが好きれすか?」
ん?
「土井先生の好きなところですか?…んー、いつも優しくていざとなったら頼もしいところ…とか。他にもいっぱいありますけど…。」
私が赤くなりながら言うと、土井先生は嬉しそうに笑った。
「私はねぇ、たまみさんの可愛くて癒されるところとか、だいすきれす。」
土井先生がニコニコと私の肩を抱き寄せた。
普段そんな風に言うことのない土井先生の不意打ち。
突然のことで私は真っ赤になって俯いた。
「一年は組のあいつらも、可愛くてねぇ…。」
あれっ、さっき可愛いって言ってくれたのもそういう意味だったのかな…。
「子どもって可愛いれすよねぇ。」
今の土井先生もめちゃくちゃ可愛いですけど…。
「子ども…何人欲しい?」
「えっ!?」
見上げると、土井先生が笑顔でこちらを見ていた。
「な、何人、って…!」
私はどぎまぎして既に空の湯飲みを手の中で回した。
「ど、土井先生は…どうなんですか?」
「ん~、そうだなぁ。たくさん欲しいかなぁ~。」
「…!」
それは私と…ということでしょうか!?と聞くに聞けず、何と返したらよいか分からなくなって、私は俯いた。
すると土井先生がぎゅっと私を抱きしめた。
畳に転がる空の湯飲み。
薄い夜着で露骨に感じる逞しい腕と厚い胸板。
「男の子なら~、きみに似て、可愛い子になるかなぁ。女の子なら、私に似て~子守り上手な…下の子のお世話もしてくれるように…なるかなぁ。」
そ、それって…!
「私も…頑張るから…。」
な、何をですか!?
私は一滴もお酒は飲んでないのに、首まで赤くなっている気がした。
「たまみ…」
呼ばれて見上げると、土井先生は赤い顔で潤んだ真剣な眼差しを向けてきた。
心臓がばくばくと早鐘を打つ。
肩をぐいっと押されて、畳の上に押し倒された。
土井先生が私の顔の横に手をついて、覆い被さるように上から見下ろした。
熱い視線。
「ど、どいせんせ…!」
「…たまみ…」
土井先生の逞しく力強い体が私の上にのし掛かる。
頬に口づけされ、彼は私の肩に顔を埋めた。
お酒の匂い。
耳にかかる土井先生の息。
戸惑いと、緊張と、恥ずかしさが入り交じって、思わず涙目になる。
抵抗する手に力が入らない。
「どい…せんせ…!」
「………。」
…ん?
土井先生の動きが止まった。
「…土井先生…?」
土井先生の体重がのし掛かり、重たくて身動きが取れない。
耳元で、規則正しくスヤスヤと聞こえる息遣い。
「………寝ちゃった…?」
重たい。
持ち上げようとしても上がらない。
すやすやと眠る土井先生。
「…飲ませすぎたかな…。」
私は安心したような残念なようなとても複雑な気持ちでため息をついた。
自室でお酒とお猪口を用意して土井先生を待つ。
自分で提案しておきながら、何だか今になって緊張してきた。
思えば、二人でお酒を飲んだことはなかった気がする。
というか。
昼間は忙しいから夜にと、さほど他意なく言っただけなのだけど、夜分に恋人を自室に招くのって…!?と今更ながら頭をかかえて考えこんでしまった。
はしたないとか思われてないかな…!?
そのとき、天井板がこんこんと鳴って少し外れた。
「入ってもいいですか?」
「ど、どうぞ。」
天井から土井先生がしゅたっと降り立った。
「何で天井から…?」
「こんな時間に女性の部屋に入るのが見つかったらまた噂になるかなと…。」
「確かに…。」
「……それで…」
土井先生は部屋の中をちらりと見渡した。
「…その、本当に…いいんですか?」
「はい、もうばっちり用意してありますよ!」
「ばっちり用意?」
「お豆腐とお味噌で田楽も作ってみたので一緒にどうぞ。さ、こちらへ。」
私がお座布団の上に座るように促すと、夜着を着た土井先生は「美味しそうだね」とゆっくりそこに座った。
私も隣に座ってお酒を注ぐ。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。…きみにこんな風にお酌してもらえるなんて…何だか嬉しいなぁ。」
土井先生が照れながらお酒に口をつけた。
「美味しいですか?」
「うん。…一緒に飲む?」
「私は飲むとすぐ寝ちゃうから…こっちのお茶を頂きます。それより、今日はどんな嫌味を言われたんですか?」
「嫌味…?…そう、それがですね…!」
そこから土井先生は安藤先生に言われたことや、生徒の成績が中々上がらないことのもどかしさ、一年は組のよい子達の良いところを語りだした。
私はお酌をしながら、そうですね分かります、と相槌をうつ。
お酒が進むにつれ土井先生の言葉は熱を帯びてきて、段々呂律が怪しくなってきた。
「…だからね、まだみんな伸びしろがいっぱいなんれすよ。たまみさんもそう思いませんか?」
「そうですね。テストが全てじゃないですし、それぞれの興味があるところをこれから伸ばしていけばいいですよね。」
「そうれす!テストの点数がすべてじゃあない!」
土井先生は気持ちよく熱弁してくれているけど、そろそろ飲ませるの止めといた方がいいのかなぁ。
迷っていると、またお猪口が差し出された。
「まだまだ飲めますよぉ。」
にへらと笑う土井先生が可愛くて、ついまた注いでしまった。
こんな土井先生、めったに見られない。
「たまみさんは、あいつらのどこが好きれすか?」
「えっ、好きなところですか?…うーん、いつも素直で元気いっぱいで、思いやりもあって優しいところとか…でしょうか。」
「うんうん、ですよねぇ。」
土井先生が笑顔で腕をくんで大きく頷く。
「じゃあ、私のどこが好きれすか?」
ん?
「土井先生の好きなところですか?…んー、いつも優しくていざとなったら頼もしいところ…とか。他にもいっぱいありますけど…。」
私が赤くなりながら言うと、土井先生は嬉しそうに笑った。
「私はねぇ、たまみさんの可愛くて癒されるところとか、だいすきれす。」
土井先生がニコニコと私の肩を抱き寄せた。
普段そんな風に言うことのない土井先生の不意打ち。
突然のことで私は真っ赤になって俯いた。
「一年は組のあいつらも、可愛くてねぇ…。」
あれっ、さっき可愛いって言ってくれたのもそういう意味だったのかな…。
「子どもって可愛いれすよねぇ。」
今の土井先生もめちゃくちゃ可愛いですけど…。
「子ども…何人欲しい?」
「えっ!?」
見上げると、土井先生が笑顔でこちらを見ていた。
「な、何人、って…!」
私はどぎまぎして既に空の湯飲みを手の中で回した。
「ど、土井先生は…どうなんですか?」
「ん~、そうだなぁ。たくさん欲しいかなぁ~。」
「…!」
それは私と…ということでしょうか!?と聞くに聞けず、何と返したらよいか分からなくなって、私は俯いた。
すると土井先生がぎゅっと私を抱きしめた。
畳に転がる空の湯飲み。
薄い夜着で露骨に感じる逞しい腕と厚い胸板。
「男の子なら~、きみに似て、可愛い子になるかなぁ。女の子なら、私に似て~子守り上手な…下の子のお世話もしてくれるように…なるかなぁ。」
そ、それって…!
「私も…頑張るから…。」
な、何をですか!?
私は一滴もお酒は飲んでないのに、首まで赤くなっている気がした。
「たまみ…」
呼ばれて見上げると、土井先生は赤い顔で潤んだ真剣な眼差しを向けてきた。
心臓がばくばくと早鐘を打つ。
肩をぐいっと押されて、畳の上に押し倒された。
土井先生が私の顔の横に手をついて、覆い被さるように上から見下ろした。
熱い視線。
「ど、どいせんせ…!」
「…たまみ…」
土井先生の逞しく力強い体が私の上にのし掛かる。
頬に口づけされ、彼は私の肩に顔を埋めた。
お酒の匂い。
耳にかかる土井先生の息。
戸惑いと、緊張と、恥ずかしさが入り交じって、思わず涙目になる。
抵抗する手に力が入らない。
「どい…せんせ…!」
「………。」
…ん?
土井先生の動きが止まった。
「…土井先生…?」
土井先生の体重がのし掛かり、重たくて身動きが取れない。
耳元で、規則正しくスヤスヤと聞こえる息遣い。
「………寝ちゃった…?」
重たい。
持ち上げようとしても上がらない。
すやすやと眠る土井先生。
「…飲ませすぎたかな…。」
私は安心したような残念なようなとても複雑な気持ちでため息をついた。