第49話 仮面
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たまみさんが焔硝蔵に入ると、私は扉を閉めた。
小さな窓から光が入るだけで、中はとても暗い。
私と違い闇に慣れていないたまみさんは、少し怯えたように見えた。
「…たまみさん」
先程、鉢屋が扮する私に赤面していた彼女。
その表情が私に対するものであったとしても、私の心は穏やかではなかった。
「さっき…何を言われたのですか?」
「えっ」
明らかに動揺する彼女。
「あんな赤い顔して…。私じゃないのに…。」
私は彼女に詰め寄った。
たまみさんは私の口調に怯んだのか一歩下がった。
彼女の肩が壁にぶつかる。
理不尽なのは分かっていた。
忍ではない彼女が鉢屋の変装を見抜けるはずもない。
前に決めた合い言葉も、相手に不信感を抱かなければ使うこともないだろう…。
しかし、彼女は慌てて手を振って言った。
「ちゃんと、土井先生じゃないのは分かったんですよ!」
驚いた。
鉢屋の変装をたまみさんが見破った?
「…なんで分かったんですか?」
「土井先生は背が高いから…見上げるとき結構首を上に向けるんです。でも、鉢屋くんはそこまでじゃなかったから…。雑炊って言っても分かってなかったし…!」
なるほど、身長か。
確かにそれは変装しても変わらない。
そして念のため合い言葉を決めておいてよかったと思った。
「…じゃあ、どうしてあんな赤い顔してたんですか?」
「そ、それは…!」
たまみさんが頬を染めて俯く。
…気に入らない。
私は彼女の顔の横の壁に両手をついた。
「…きみのそんな顔を見ていいのは…私だけだ。」
たまみさんが私を見上げた。
その唇に唇を重ねる。
「んっ…!」
後頭部に手を回し、苦しい程に強く抱きしめ深く口づけた。
たまみさんが私の腕を掴み小さくもがく。
ゆっくりと、唇を離して額をくっつけた。
「…私以外に…そんな可愛い顔をしないでください…。」
彼女は涙目で頷いた。
私はそっと優しく彼女を抱き寄せた。
「それで…何を、言われたんです?」
たまみさんが私の胸に顔を埋めたまま静かに言った。
「い…一緒に、なって…くれませんか…とか…。」
「なっ!」
鉢屋のやつ!
そ、そんなことをたまみさんに…!?
「その…本物の土井先生じゃないと思っても…土井先生のことが好きすぎて…その顔と声で言われたら動揺してしまって……すみません…。」
「…たまみさん…。」
私のことが好きすぎて…?
思わず彼女をきつく抱きしめた。
そんな風に言われたら、何も言えないじゃないか…。
「すまない…ついやきもちをやいてしまって…。」
「いえ…土井先生にやきもちやいてもらえるなんて嬉しいです…。」
「…いつもやいてますよ。」
「ほんとに…?」
「…きみが私のものだと、誰も近づくんじゃないと、…皆に言いたくてたまらない…。」
「土井先生……嬉しい…。」
私は彼女の額に口づけた。
そうして、暗い焔硝蔵のなかで暫く二人抱きしめあっていた。
小さな窓から光が入るだけで、中はとても暗い。
私と違い闇に慣れていないたまみさんは、少し怯えたように見えた。
「…たまみさん」
先程、鉢屋が扮する私に赤面していた彼女。
その表情が私に対するものであったとしても、私の心は穏やかではなかった。
「さっき…何を言われたのですか?」
「えっ」
明らかに動揺する彼女。
「あんな赤い顔して…。私じゃないのに…。」
私は彼女に詰め寄った。
たまみさんは私の口調に怯んだのか一歩下がった。
彼女の肩が壁にぶつかる。
理不尽なのは分かっていた。
忍ではない彼女が鉢屋の変装を見抜けるはずもない。
前に決めた合い言葉も、相手に不信感を抱かなければ使うこともないだろう…。
しかし、彼女は慌てて手を振って言った。
「ちゃんと、土井先生じゃないのは分かったんですよ!」
驚いた。
鉢屋の変装をたまみさんが見破った?
「…なんで分かったんですか?」
「土井先生は背が高いから…見上げるとき結構首を上に向けるんです。でも、鉢屋くんはそこまでじゃなかったから…。雑炊って言っても分かってなかったし…!」
なるほど、身長か。
確かにそれは変装しても変わらない。
そして念のため合い言葉を決めておいてよかったと思った。
「…じゃあ、どうしてあんな赤い顔してたんですか?」
「そ、それは…!」
たまみさんが頬を染めて俯く。
…気に入らない。
私は彼女の顔の横の壁に両手をついた。
「…きみのそんな顔を見ていいのは…私だけだ。」
たまみさんが私を見上げた。
その唇に唇を重ねる。
「んっ…!」
後頭部に手を回し、苦しい程に強く抱きしめ深く口づけた。
たまみさんが私の腕を掴み小さくもがく。
ゆっくりと、唇を離して額をくっつけた。
「…私以外に…そんな可愛い顔をしないでください…。」
彼女は涙目で頷いた。
私はそっと優しく彼女を抱き寄せた。
「それで…何を、言われたんです?」
たまみさんが私の胸に顔を埋めたまま静かに言った。
「い…一緒に、なって…くれませんか…とか…。」
「なっ!」
鉢屋のやつ!
そ、そんなことをたまみさんに…!?
「その…本物の土井先生じゃないと思っても…土井先生のことが好きすぎて…その顔と声で言われたら動揺してしまって……すみません…。」
「…たまみさん…。」
私のことが好きすぎて…?
思わず彼女をきつく抱きしめた。
そんな風に言われたら、何も言えないじゃないか…。
「すまない…ついやきもちをやいてしまって…。」
「いえ…土井先生にやきもちやいてもらえるなんて嬉しいです…。」
「…いつもやいてますよ。」
「ほんとに…?」
「…きみが私のものだと、誰も近づくんじゃないと、…皆に言いたくてたまらない…。」
「土井先生……嬉しい…。」
私は彼女の額に口づけた。
そうして、暗い焔硝蔵のなかで暫く二人抱きしめあっていた。