第66.5話 もしも土井先生が追いかける側だったら
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「…さて、あとはたまみだけだな。」
どこに隠れているのか。
鬼ごっことはいえ、私から逃げる術もない彼女はきっとどこかに隠れているに違いない。
すると、遠くの木の上から声がした。
「こんにちは。こんな所で何をしてるんですか?」
「り、利吉さん!静かに…!」
「?…何かあったんですか?」
「これは…その、かくかくしかじかで…!」
「へえ…。面白そうですね。」
「山田先生にお願いして木の上に乗せてもらったまではいいんですけど…皆のスイカが私にかかっているのかと思ったら、もうどうしようかと思って…!」
「…手伝いましょうか?」
「え?」
「私がたまみさんを連れて逃げましょうか。」
なっ…!?
耳をすませて会話を聞いていると、利吉くんがとんでもないことを言い出す。
私はそちらの方角に向かって慌てて走り出した。
「待て!利吉くん…!」
「ほらほら、土井先生がこっちに来ますよ。皆のスイカがかかってるんでしょ?」
利吉くんの楽しげな声がする。
たまみから離れさせる為にチョークを投げようとした瞬間。
「利吉さん、私を連れて逃げてください…!」
!!?
耳を疑った。
利吉くんの嬉しそうな声が続く。
「喜んで。」
……!!!
「では抱えるのでしっかり掴まってください。」
利吉くんがニヤリと嬉しそうに笑っている姿が、見えなくても手に取るように分かった。
たまみ…!
利吉くんに抱かれて私から逃げるだと…!?
「利吉くん!これは授業の一環だから邪魔しないでくれ!」
「たまみさんはくノ一じゃないんですから私が手助けしても構わないでしょう。それによい子のスイカがかかってるそうじゃないですか。私もたまには子ども達の為に一肌脱いでやりたいなー、と思ったまでですよ。」
最後の台詞が嘘くさすぎるぞ…!
すると、周りから「利吉さん頑張ってー!」「スイカのためにお願いしまーす!!」等と声援があがった。
「お、お前たち…!!」
「ほら、よい子達もああ言ってますよ。あ、私にはハンデは要らないので、目隠しは取ってくださいね。」
「……あー、分かった分かった。もう私の負けでいいから皆スイカを食べてきなさい。」
私はもう鬼ごっこを終わらせようと思い、目隠しをほどいた。
…そして、目の前に見えた光景に唖然とした。
利吉くんがたまみを横抱きに抱えて木から飛び降り、その衝撃でたまみが小さく声をあげて利吉くんの肩にしがみつく。
利吉くんが彼女に優しく「大丈夫ですか?」と声をかける…今にも口づけしそうな距離で。
赤面して頷く彼女にフッと笑うと、利吉くんはこちらに不敵に笑いかけて挑発的な目を向けてきた。
「土井先生が追ってこないなら…このままたまみさんは頂いていきます。」
「なっ!?」
「たまみさん、しっかり掴まっていてくださいね。」
利吉くんが腕の中のたまみに微笑みかけ、たまみは戸惑っておろおろしていた。
利吉くんはちらりとこちらを一瞥すると、足音もたてず走り出した。
「こら、待ちなさいっ…!」
慌てて後を追うも、流石はフリーの売れっ子忍者である利吉くん、狭い学園内とはいえすぐには追いつかない。
たまみを抱えながらもひょいひょいと上手く逃げていく。
利吉くんが小さい頃はよく追いかけっこをしたが、成長したな…。
などと一瞬感慨深いような気持ちにもなったが、たまみを連れて逃げられているのだからこちらとしても本気を出さなくては。
懐からチョークを取り出して利吉くんの進行方向に幾つか投げる。
利吉くんが紙一重でそれを避ける。
足が止まったところで更にチョークを投げる。
利吉くんがたまみを地面に立たせ、片手に苦無を持ちチョークを弾く。
もう片方の腕は彼女の腰にまわしてぎゅっと抱きしめる形で。
「その手を…」
出席簿を取り出し一気に間合いを詰める。
「離すんだっ!」
出席簿での攻撃を利吉くんが苦無で受け止める。
そのまま足払いをしようとした瞬間、利吉くんの手がたまみから離れて私の胸元を掴もうと伸びる。
半身をずらしてその手を逆に引き寄せ、脇腹を突こうとしたが利吉くんが身を翻して避ける。
体術も上手くなったな…!
私は瞬時に懐から煙玉を取り出し地面に叩きつけた。
「しまっ…!」
一瞬できたその隙に勢いよく地を蹴り、斜め前方に立ち竦んでいたたまみを抱き抱えて飛び退いた。
「彼女は返してもらうよ。」
「…っ!」
利吉くんが悔しそうな顔でこちらを睨む。
すると、周りから拍手が聞こえてきた。
振り返ると、くノ一教室の生徒達がずらりと並んでこちらを見ている。
「すごーい!利吉さんから奪い返したわよ!」
「いつも一年は組に振り回されてる土井先生とは思えないでしゅ!」
「やっぱり愛の力ってやつじゃないー?」
「私も奪い合われたぁい!」
きゃいきゃいと黄色い声で好き勝手なことを話す少女達。
いつのまにこんなギャラリーが…!
利吉くんも鬼ごっこに集中しすぎて気づいていなかったようで、かなり気まずそうな顔をしている。
抱き抱えていたたまみを降ろすと、彼女もまた赤い顔をして恥ずかしそうにしていた。
その場に救いを求めて山田先生を探してみたが、見当たらない。
「あ、山田先生と一年は組はもう食堂でスイカ食べてましたよー!」
「な、なに!?」
「見てられないからもう食べてしまおうとか言ってましたぁ。」
何だってー!
では、今のやりとりは全く無駄で…ただくノ一教室の生徒に見られていただけだったというのか。
「たまみ…行くぞ!」
私は彼女の手を引いて食堂へ逃げようとした。
「あ…利吉さんもよければスイカ食べていきますか?」
「いえ、今日はやめておきます…また改めて。」
たまみが声をかけたが利吉くんもこれ以上見世物になりたくはなかったようで、すぐにその場を離れた。
私は大きくため息をつくと、彼女の腕を引っ張りながら食堂へと急いだ。
後ろから「今、たまみって呼び捨てにしてたよね?あの二人ってやっぱり…!?」等と話す声が聞こえてきたが、あえて聞こえないふりをした。
どこに隠れているのか。
鬼ごっことはいえ、私から逃げる術もない彼女はきっとどこかに隠れているに違いない。
すると、遠くの木の上から声がした。
「こんにちは。こんな所で何をしてるんですか?」
「り、利吉さん!静かに…!」
「?…何かあったんですか?」
「これは…その、かくかくしかじかで…!」
「へえ…。面白そうですね。」
「山田先生にお願いして木の上に乗せてもらったまではいいんですけど…皆のスイカが私にかかっているのかと思ったら、もうどうしようかと思って…!」
「…手伝いましょうか?」
「え?」
「私がたまみさんを連れて逃げましょうか。」
なっ…!?
耳をすませて会話を聞いていると、利吉くんがとんでもないことを言い出す。
私はそちらの方角に向かって慌てて走り出した。
「待て!利吉くん…!」
「ほらほら、土井先生がこっちに来ますよ。皆のスイカがかかってるんでしょ?」
利吉くんの楽しげな声がする。
たまみから離れさせる為にチョークを投げようとした瞬間。
「利吉さん、私を連れて逃げてください…!」
!!?
耳を疑った。
利吉くんの嬉しそうな声が続く。
「喜んで。」
……!!!
「では抱えるのでしっかり掴まってください。」
利吉くんがニヤリと嬉しそうに笑っている姿が、見えなくても手に取るように分かった。
たまみ…!
利吉くんに抱かれて私から逃げるだと…!?
「利吉くん!これは授業の一環だから邪魔しないでくれ!」
「たまみさんはくノ一じゃないんですから私が手助けしても構わないでしょう。それによい子のスイカがかかってるそうじゃないですか。私もたまには子ども達の為に一肌脱いでやりたいなー、と思ったまでですよ。」
最後の台詞が嘘くさすぎるぞ…!
すると、周りから「利吉さん頑張ってー!」「スイカのためにお願いしまーす!!」等と声援があがった。
「お、お前たち…!!」
「ほら、よい子達もああ言ってますよ。あ、私にはハンデは要らないので、目隠しは取ってくださいね。」
「……あー、分かった分かった。もう私の負けでいいから皆スイカを食べてきなさい。」
私はもう鬼ごっこを終わらせようと思い、目隠しをほどいた。
…そして、目の前に見えた光景に唖然とした。
利吉くんがたまみを横抱きに抱えて木から飛び降り、その衝撃でたまみが小さく声をあげて利吉くんの肩にしがみつく。
利吉くんが彼女に優しく「大丈夫ですか?」と声をかける…今にも口づけしそうな距離で。
赤面して頷く彼女にフッと笑うと、利吉くんはこちらに不敵に笑いかけて挑発的な目を向けてきた。
「土井先生が追ってこないなら…このままたまみさんは頂いていきます。」
「なっ!?」
「たまみさん、しっかり掴まっていてくださいね。」
利吉くんが腕の中のたまみに微笑みかけ、たまみは戸惑っておろおろしていた。
利吉くんはちらりとこちらを一瞥すると、足音もたてず走り出した。
「こら、待ちなさいっ…!」
慌てて後を追うも、流石はフリーの売れっ子忍者である利吉くん、狭い学園内とはいえすぐには追いつかない。
たまみを抱えながらもひょいひょいと上手く逃げていく。
利吉くんが小さい頃はよく追いかけっこをしたが、成長したな…。
などと一瞬感慨深いような気持ちにもなったが、たまみを連れて逃げられているのだからこちらとしても本気を出さなくては。
懐からチョークを取り出して利吉くんの進行方向に幾つか投げる。
利吉くんが紙一重でそれを避ける。
足が止まったところで更にチョークを投げる。
利吉くんがたまみを地面に立たせ、片手に苦無を持ちチョークを弾く。
もう片方の腕は彼女の腰にまわしてぎゅっと抱きしめる形で。
「その手を…」
出席簿を取り出し一気に間合いを詰める。
「離すんだっ!」
出席簿での攻撃を利吉くんが苦無で受け止める。
そのまま足払いをしようとした瞬間、利吉くんの手がたまみから離れて私の胸元を掴もうと伸びる。
半身をずらしてその手を逆に引き寄せ、脇腹を突こうとしたが利吉くんが身を翻して避ける。
体術も上手くなったな…!
私は瞬時に懐から煙玉を取り出し地面に叩きつけた。
「しまっ…!」
一瞬できたその隙に勢いよく地を蹴り、斜め前方に立ち竦んでいたたまみを抱き抱えて飛び退いた。
「彼女は返してもらうよ。」
「…っ!」
利吉くんが悔しそうな顔でこちらを睨む。
すると、周りから拍手が聞こえてきた。
振り返ると、くノ一教室の生徒達がずらりと並んでこちらを見ている。
「すごーい!利吉さんから奪い返したわよ!」
「いつも一年は組に振り回されてる土井先生とは思えないでしゅ!」
「やっぱり愛の力ってやつじゃないー?」
「私も奪い合われたぁい!」
きゃいきゃいと黄色い声で好き勝手なことを話す少女達。
いつのまにこんなギャラリーが…!
利吉くんも鬼ごっこに集中しすぎて気づいていなかったようで、かなり気まずそうな顔をしている。
抱き抱えていたたまみを降ろすと、彼女もまた赤い顔をして恥ずかしそうにしていた。
その場に救いを求めて山田先生を探してみたが、見当たらない。
「あ、山田先生と一年は組はもう食堂でスイカ食べてましたよー!」
「な、なに!?」
「見てられないからもう食べてしまおうとか言ってましたぁ。」
何だってー!
では、今のやりとりは全く無駄で…ただくノ一教室の生徒に見られていただけだったというのか。
「たまみ…行くぞ!」
私は彼女の手を引いて食堂へ逃げようとした。
「あ…利吉さんもよければスイカ食べていきますか?」
「いえ、今日はやめておきます…また改めて。」
たまみが声をかけたが利吉くんもこれ以上見世物になりたくはなかったようで、すぐにその場を離れた。
私は大きくため息をつくと、彼女の腕を引っ張りながら食堂へと急いだ。
後ろから「今、たまみって呼び捨てにしてたよね?あの二人ってやっぱり…!?」等と話す声が聞こえてきたが、あえて聞こえないふりをした。