第49話 仮面
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「たまみさん、今お時間大丈夫ですか?」
突然、廊下で土井先生から呼び止められた。
「はい、何でしょう?」
「ちょっとここでは…。」
「?」
何だろうと思いながらついていくと、焔硝蔵の入口に連れていかれた。
「たまみさん…」
土井先生がこちらを向いた。
何だかいつもと違う。
土井先生は真剣な顔をして私を見つめた。
「好きです…」
驚いて見上げると、その目は切なそうに揺れていた。
「私と…一緒になって貰えますか?」
「!!」
えっ
いま、なんて…
私は思考が停止して時が止まったように固まってしまった。
「えっ、あの…一緒に、って…!?」
自分でも分かるくらい顔に熱が集まってしどろもどろに噛んでしまった。
土井先生は私をじっと見つめている。
「たまみさん…」
土井先生が私の手をそっと握った。
「!」
私は重ねられた手をじっと見た。
「…土井先生……」
土井先生は私の言葉を待って真っ直ぐに私を見つめていた。
「…土井先生…雑炊の件…覚えてますか?」
「雑炊…?」
土井先生は一瞬だけ不思議そうな顔をして、眉をハの字にすると苦笑した。
「すみません、最近忙しくて物忘れが多くて…何でしたっけ?」
「…!」
私は手を離して一歩下がり、距離をとった。
「…あなた、どなたですか?」
土井先生は驚いた表情をしたあと、ニヤリと笑った。
「バレましたか。」
土井先生がくるりと身を翻すと、そこには食堂で何度か話したことのある不破くんの姿をした鉢屋三郎くんがいた。
「鉢屋くん…!!!」
キレた。
普段温厚なつもりの私だけれど、これは、さすがに怒ってもいいでしょう…!
「あのねぇ、変装が上手いって聞いていたけど、こういうイタズラはダメだよね…!?」
半泣きで怒る私に鉢屋くんは焦って謝った。
「す、すみません!いや、お二人が付き合ってるって噂を聞いたからちょっと確かめてみようと思ってつい…!」
「…噂?」
何か見られていたのだろうか。
…心当たりはありすぎて分からない…。
それとも私の言動が分かりやすかったとか…?
「夜の食堂で二人がイチャイチャしてたって噂になってますよ。」
鉢屋くんが私の反応を試すように言った。
イチャイチャ!?
食堂でそんなことをした記憶はないけれど、二人でカステラを食べていたのを誰かに見られて…!?
「あれは…!私、ときどき夜にお菓子作りの練習してるんだけど、その日は土井先生が遅くまで見回りとかしてて…たまたま焼き上がる時間だったから食べてもらって、そのまま後片付けとか手伝ってくれただけだから…!」
一応嘘はついてない…はず。
早口でまくしたてると、鉢屋くんは「へぇ~」とじと目でこちらを見てきた。
「それにしても、何で本物じゃないと分かったんですか?」
「…見上げたときの違和感…土井先生はもっと背が高いから、見上げたときの角度が違う…。あと、手ももっと大きいし…。」
「なるほど。土井先生のことよく見てますね。」
「!」
鉢屋くんはニヤニヤと笑っていた。
「だ、だいたい、そういう噂があるからって鉢屋くんが土井先生に変装して私をからかっていい理由にはならないよね!?」
しかもあんな台詞を…!
思い出すだけで顔が赤くなる。
「いやぁ、たまみさんの反応が可愛くてつい…すみませんでした。お詫びに…土井先生に言われてみたい言葉とかないですか?」
「えっ?」
鉢屋くんは悪戯っぽく笑むとまた一瞬で土井先生に変装した。
言われてみたい言葉…?
正直…なくは、ない。
目の前にいるのは土井先生の偽物で、その言葉も本物の言葉ではないというのに…思わず何を言ってほしいかと真剣に考えてしまった自分がいた。
『土井先生』は、そんな私を見てフッと微笑んだ。
「たまみ…誰よりもきみを愛してる…。」
「!!」
嘘だ。
これは、嘘だと頭では分かっているのに。
その顔で、その声で、そんなことを言われたら…!
私は顔が赤くなるのを止められず、俯いて目をそらした。
「や…やめて、ください…!」
つい、土井先生に対するのと同じ口調になってしまう。
「可愛い顔をよく見せて…。」
彼の指が私の顎に触れて上を向かせた。
その瞬間。
スコーンッ!!
『土井先生』が頭を押さえて地面に倒れた。
その横に転がる一本の白いチョーク。
「こら!人の顔で一体何をしている…!」
突然、廊下で土井先生から呼び止められた。
「はい、何でしょう?」
「ちょっとここでは…。」
「?」
何だろうと思いながらついていくと、焔硝蔵の入口に連れていかれた。
「たまみさん…」
土井先生がこちらを向いた。
何だかいつもと違う。
土井先生は真剣な顔をして私を見つめた。
「好きです…」
驚いて見上げると、その目は切なそうに揺れていた。
「私と…一緒になって貰えますか?」
「!!」
えっ
いま、なんて…
私は思考が停止して時が止まったように固まってしまった。
「えっ、あの…一緒に、って…!?」
自分でも分かるくらい顔に熱が集まってしどろもどろに噛んでしまった。
土井先生は私をじっと見つめている。
「たまみさん…」
土井先生が私の手をそっと握った。
「!」
私は重ねられた手をじっと見た。
「…土井先生……」
土井先生は私の言葉を待って真っ直ぐに私を見つめていた。
「…土井先生…雑炊の件…覚えてますか?」
「雑炊…?」
土井先生は一瞬だけ不思議そうな顔をして、眉をハの字にすると苦笑した。
「すみません、最近忙しくて物忘れが多くて…何でしたっけ?」
「…!」
私は手を離して一歩下がり、距離をとった。
「…あなた、どなたですか?」
土井先生は驚いた表情をしたあと、ニヤリと笑った。
「バレましたか。」
土井先生がくるりと身を翻すと、そこには食堂で何度か話したことのある不破くんの姿をした鉢屋三郎くんがいた。
「鉢屋くん…!!!」
キレた。
普段温厚なつもりの私だけれど、これは、さすがに怒ってもいいでしょう…!
「あのねぇ、変装が上手いって聞いていたけど、こういうイタズラはダメだよね…!?」
半泣きで怒る私に鉢屋くんは焦って謝った。
「す、すみません!いや、お二人が付き合ってるって噂を聞いたからちょっと確かめてみようと思ってつい…!」
「…噂?」
何か見られていたのだろうか。
…心当たりはありすぎて分からない…。
それとも私の言動が分かりやすかったとか…?
「夜の食堂で二人がイチャイチャしてたって噂になってますよ。」
鉢屋くんが私の反応を試すように言った。
イチャイチャ!?
食堂でそんなことをした記憶はないけれど、二人でカステラを食べていたのを誰かに見られて…!?
「あれは…!私、ときどき夜にお菓子作りの練習してるんだけど、その日は土井先生が遅くまで見回りとかしてて…たまたま焼き上がる時間だったから食べてもらって、そのまま後片付けとか手伝ってくれただけだから…!」
一応嘘はついてない…はず。
早口でまくしたてると、鉢屋くんは「へぇ~」とじと目でこちらを見てきた。
「それにしても、何で本物じゃないと分かったんですか?」
「…見上げたときの違和感…土井先生はもっと背が高いから、見上げたときの角度が違う…。あと、手ももっと大きいし…。」
「なるほど。土井先生のことよく見てますね。」
「!」
鉢屋くんはニヤニヤと笑っていた。
「だ、だいたい、そういう噂があるからって鉢屋くんが土井先生に変装して私をからかっていい理由にはならないよね!?」
しかもあんな台詞を…!
思い出すだけで顔が赤くなる。
「いやぁ、たまみさんの反応が可愛くてつい…すみませんでした。お詫びに…土井先生に言われてみたい言葉とかないですか?」
「えっ?」
鉢屋くんは悪戯っぽく笑むとまた一瞬で土井先生に変装した。
言われてみたい言葉…?
正直…なくは、ない。
目の前にいるのは土井先生の偽物で、その言葉も本物の言葉ではないというのに…思わず何を言ってほしいかと真剣に考えてしまった自分がいた。
『土井先生』は、そんな私を見てフッと微笑んだ。
「たまみ…誰よりもきみを愛してる…。」
「!!」
嘘だ。
これは、嘘だと頭では分かっているのに。
その顔で、その声で、そんなことを言われたら…!
私は顔が赤くなるのを止められず、俯いて目をそらした。
「や…やめて、ください…!」
つい、土井先生に対するのと同じ口調になってしまう。
「可愛い顔をよく見せて…。」
彼の指が私の顎に触れて上を向かせた。
その瞬間。
スコーンッ!!
『土井先生』が頭を押さえて地面に倒れた。
その横に転がる一本の白いチョーク。
「こら!人の顔で一体何をしている…!」