第118話 微笑みの理由
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あぁぁぁ…ッッ!!!
私は簪を眺めながら何度も何度も土井先生の…半助さんの言葉を思い出してはため息をついた。
結婚の約束って…婚約って、私が、半助さんと、ついに…っ!
嬉しすぎて夢じゃないかと思ってしまう。
けれど、この手に揺れる簪があの日のことを現実だと教えてくれた。
彼は本当に優しくて強くて頼もしくてお茶目で可愛くて爽やかでかっこ良くて…あらゆる誉め言葉が当てはまるんじゃないかなってくらい素敵すぎて。
強いて言えば忙しすぎるのが困ったものだけれど、それでも毎晩時間をつくって会いに来てくれる。
ホント私には勿体無いくらい最高な人なのに、なのになのに本当に、生涯を共にする相手を私に決めてくれただなんて…!!
嬉しすぎて、周りの全てが眩しく感じる。
見上げた青空はどこまでも美しく、道端に咲く花は可憐に風に揺れ朝露に光り。
世界はこんなにも美しいのかと、何もかもが煌めいて見えた。
こんなに幸せでいいのかな…!?
逆に不安になるほどの幸せ。
幸せすぎてこわいって、こういう感覚なんだなと思った。
「…それにしても……」
時がきたら、とはどういう意味だろう。
ずっと考えているのだけれど、よく分からない。
何かを待っている…?
それとも大きな仕事を控えているとか?
でも彼がそんな風に言葉を濁すのは随分前からのような気がする。
それは、そう……いつだったか、雨上がりの小高い丘で二人夕日に染まって佇んだあの日。
あのときは諸泉さんが現れて…。
そうだ、そのときから、半助さんは少し待ってと言うようになったんだ。
もしかして諸泉さんが、私に分からないところで何か半助さんに言ったのだろうか。
………タソガレドキ…
もしかして、まだ私を誘拐しようとか考えているのかな。
だとしたら………
あっ、もしかして!
私がずっと忍術学園の安全な敷地内で居られるように……いつか子どもが産まれたりしても学園内で守ることができるように、どこか隅っこにでも小屋を建てようとか考えてくれてるとか!??
それは嬉しい…!
だって、子どもが産まれたら仕事も辞めて一人で家で赤ちゃんを育てるとか寂しいから。
実は結構気になっていたりするんだよね…半助さん忙しいからきっとあんまり帰れなさそうだし。
愛する人と結婚したがために離れなきゃいけないとか悲しすぎる。
んー…でも学園内に新居を構えるとかさすがに無理じゃないのかな。
お金もかかるし…あ、だからもしかして半助さんは少し待ってとか言ってたのかな。
私は簪を手の中でゆらゆらと揺らした。
青い飾りが掌を小さく転がった。
………違う…。
私は目を閉じて考えた。
半助さんの眼差しはもっと真剣なものだった。
あの目は、何か…覚悟を決めているような、そういう類いのものだと思う。
だからこそ、私は曖昧にはぐらかす彼を最後まで追及できなかった。
何事もすぐにはっきりさせたいタチであるはずの私が口をつぐんだのは…彼の瞳が、信じてほしいと優しく揺れたから。
「…半助さん………」
私は簪を青空に掲げて眺めた。
…婚約の証……
そうだ、考えても答えは出ない。
私は半助さんを信じている。
今は、この気持ちを……幸せを、大切にしよう。
恋人以上、家族未満の今だけの一時を…。
そうして私はまたうっとりとため息をついて簪を眺めたのだった。
私は簪を眺めながら何度も何度も土井先生の…半助さんの言葉を思い出してはため息をついた。
結婚の約束って…婚約って、私が、半助さんと、ついに…っ!
嬉しすぎて夢じゃないかと思ってしまう。
けれど、この手に揺れる簪があの日のことを現実だと教えてくれた。
彼は本当に優しくて強くて頼もしくてお茶目で可愛くて爽やかでかっこ良くて…あらゆる誉め言葉が当てはまるんじゃないかなってくらい素敵すぎて。
強いて言えば忙しすぎるのが困ったものだけれど、それでも毎晩時間をつくって会いに来てくれる。
ホント私には勿体無いくらい最高な人なのに、なのになのに本当に、生涯を共にする相手を私に決めてくれただなんて…!!
嬉しすぎて、周りの全てが眩しく感じる。
見上げた青空はどこまでも美しく、道端に咲く花は可憐に風に揺れ朝露に光り。
世界はこんなにも美しいのかと、何もかもが煌めいて見えた。
こんなに幸せでいいのかな…!?
逆に不安になるほどの幸せ。
幸せすぎてこわいって、こういう感覚なんだなと思った。
「…それにしても……」
時がきたら、とはどういう意味だろう。
ずっと考えているのだけれど、よく分からない。
何かを待っている…?
それとも大きな仕事を控えているとか?
でも彼がそんな風に言葉を濁すのは随分前からのような気がする。
それは、そう……いつだったか、雨上がりの小高い丘で二人夕日に染まって佇んだあの日。
あのときは諸泉さんが現れて…。
そうだ、そのときから、半助さんは少し待ってと言うようになったんだ。
もしかして諸泉さんが、私に分からないところで何か半助さんに言ったのだろうか。
………タソガレドキ…
もしかして、まだ私を誘拐しようとか考えているのかな。
だとしたら………
あっ、もしかして!
私がずっと忍術学園の安全な敷地内で居られるように……いつか子どもが産まれたりしても学園内で守ることができるように、どこか隅っこにでも小屋を建てようとか考えてくれてるとか!??
それは嬉しい…!
だって、子どもが産まれたら仕事も辞めて一人で家で赤ちゃんを育てるとか寂しいから。
実は結構気になっていたりするんだよね…半助さん忙しいからきっとあんまり帰れなさそうだし。
愛する人と結婚したがために離れなきゃいけないとか悲しすぎる。
んー…でも学園内に新居を構えるとかさすがに無理じゃないのかな。
お金もかかるし…あ、だからもしかして半助さんは少し待ってとか言ってたのかな。
私は簪を手の中でゆらゆらと揺らした。
青い飾りが掌を小さく転がった。
………違う…。
私は目を閉じて考えた。
半助さんの眼差しはもっと真剣なものだった。
あの目は、何か…覚悟を決めているような、そういう類いのものだと思う。
だからこそ、私は曖昧にはぐらかす彼を最後まで追及できなかった。
何事もすぐにはっきりさせたいタチであるはずの私が口をつぐんだのは…彼の瞳が、信じてほしいと優しく揺れたから。
「…半助さん………」
私は簪を青空に掲げて眺めた。
…婚約の証……
そうだ、考えても答えは出ない。
私は半助さんを信じている。
今は、この気持ちを……幸せを、大切にしよう。
恋人以上、家族未満の今だけの一時を…。
そうして私はまたうっとりとため息をついて簪を眺めたのだった。