第117話 約束
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「…と、いうことがあってだな…。」
「ふふ、それは大変でしたねぇ。」
職員室で資料を作っていると、補習から帰ってきた土井先生があまりにげんなりしていたので事の経緯を聞いてみた。
しょんぼりと正座する土井先生の背中を慰めるように撫でながらお茶を出す。
「笑い事じゃないんだぞ!どうしてあいつらはたった今説明したばかりの事を覚えていないんだっ!?」
土井先生が泣きそうな顔で嘆く。
うーん、それはきっと興味がないからでは…と言いかけてやめた。
そんな事を言えば土井先生の胃に穴があいてしまうかもしれない。
「はぁ~…今日は真面目に聞いてくれていると思ったんたけどなぁ。ただ聞いていただけだったのか。」
「それで結局、明日も補習をするんですか?」
「そうだ。あいつらがちゃんと答えを言えるようになるまで、こうなったら毎日でも補習を続けてやる!!」
えええーっ!!
補習の無限ループ!!?
授業だけじゃなくて、土井先生に毎日補習してもらうなんて…う、羨ましすぎる…!!!
「あ…あの、私も一緒に…」
「いや、たまみも忙しいだろう。補習は私一人で十分だ。」
一緒に補習を受けてもいいですかって聞こうとしたのに、土井先生は私が手伝おうとしていると勘違いしてしまった。
「しかしこの調子で毎日補習をしていたら…仕事が滞りすぎて、例の約束もちょっと難しいかも……」
「え…それって……それって、もしかして、私の誕生日に一緒にお出かけしてくれるっていう例の約束ですか…?」
「うん」
えええええええっ!!?
ショックのあまり言葉もなく固まってしまった。
それは、誕生日に何がほしいかと聞かれて「1日デート」をおねだりした…非常にめちゃくちゃ楽しみにしていた約束!
その日だけは仕事のことも忘れてのんびりと、ちょっと甘味屋さんに寄ったり、こっそり手を繋いで歩いたり…なんてのを色々妄そ…空想したりして、とてもとてもとても楽しみにしていたのに…!!!!
「………ほ…補習は、その3つの忍術を覚えて言えるようになればいいんですね?」
「そうだなぁ。水月の術、山彦の術、天唾の術…この3つがちゃんと覚えられたら今回の補習は終了かな。」
「わかりました!頑張ります!!」
私は勢いよく立ち上がった。
キョトンと私を見上げている土井先生をそのままに、私はすぐさま自室に戻って準備を始めた。
数刻後。
中庭の木の下で気持ち良さそうにお昼寝している乱太郎くん、しんべヱくん、きりちゃんを発見。
私は三人を起こしてその場に座らせた。
寝ぼけ眼をこする三人の肩をポンと叩く。
「突然だけど、今から補習の補習の予習をします!」
「「「補習の補習の予習~???」」」
三人が不思議そうな顔をした。
「このままだと三人とも毎日補習三昧になるから、脱補習の為に今から予習を…いやこれは復習というのかな…むしろ補習の補習…?まぁ、とにかく、3つの忍術を覚えて貰います!!」
まるで他人事のようにキョトンとする三人。
「えーっと、今からですか?」
「うん」
「ここでですかぁ?」
「そう!」
「すみません、僕そろそろアルバイトが…」
「きりちゃん、今から説明する3つの忍術を覚えたらアルバイト私も手伝うから。」
「えっ、でも今日の仕事内容は…」
「手伝って、あ、げ、る。」
「わあーい!ありがとーござぃまぁーっす!」
「あとね。ドケチたるもの、わざわざ学費を払って勉強してるんだから、沢山覚えないと損だと思わない?」
「そっ…損!?」
「そうそう。同じ学費を払うなら沢山覚えた方がお得でしょ?」
「お得っ!!?」
きりちゃんが目を小銭に変えてシャキッと草の上に正座した。
よし、まずは1人!
「乱太郎くんも、立派な忍者になりたくて学園に来てるんでしょう?」
「あはは、はい、そうです…。」
曖昧に笑って頷く乱太郎くんと間近に目線を合わせる。
「もしかしたらお父様も忍務でこの忍術を使ったことあるかも。乱太郎くんもお父様と同じ忍術を覚えて使えたりしたら……カッコいいと思わない?」
「父ちゃんと同じ忍術を…?」
「そうそう。」
「………!…わ…私、頑張ります!」
乱太郎くんが意気込んできりちゃんの隣に正座した。
よし、これで2人目!
あとは……
「しんべヱくん、これ見て?」
「なんですかぁ?」
「ちゃぁんと覚えたら、この特製おやつをあげましょう!」
モノでつるだなんて、きっと教職員としてはあるまじき行為。
でも、使えるものは何でも使うのが忍者。
目的のためには手段は問わない世界なのだから…これくらいヨシとしよう、うん。
「わぁー、美味しそう!」
しんべヱくんが嬉しそうにきりちゃんの横に正座した。
よぉーし、つかみはオッケー!
これでまずはやる気を出せたかな!
「さぁ、じゃあみんなちゃんと覚えてね!!」
「「「はいっ!!」」」
穴があくほど見聞きし続けている土井先生の授業。
私は彼になりきったつもりで乱太郎くん達と木陰に座り、ありったけの情熱をこめて説明を始めた。
「ふふ、それは大変でしたねぇ。」
職員室で資料を作っていると、補習から帰ってきた土井先生があまりにげんなりしていたので事の経緯を聞いてみた。
しょんぼりと正座する土井先生の背中を慰めるように撫でながらお茶を出す。
「笑い事じゃないんだぞ!どうしてあいつらはたった今説明したばかりの事を覚えていないんだっ!?」
土井先生が泣きそうな顔で嘆く。
うーん、それはきっと興味がないからでは…と言いかけてやめた。
そんな事を言えば土井先生の胃に穴があいてしまうかもしれない。
「はぁ~…今日は真面目に聞いてくれていると思ったんたけどなぁ。ただ聞いていただけだったのか。」
「それで結局、明日も補習をするんですか?」
「そうだ。あいつらがちゃんと答えを言えるようになるまで、こうなったら毎日でも補習を続けてやる!!」
えええーっ!!
補習の無限ループ!!?
授業だけじゃなくて、土井先生に毎日補習してもらうなんて…う、羨ましすぎる…!!!
「あ…あの、私も一緒に…」
「いや、たまみも忙しいだろう。補習は私一人で十分だ。」
一緒に補習を受けてもいいですかって聞こうとしたのに、土井先生は私が手伝おうとしていると勘違いしてしまった。
「しかしこの調子で毎日補習をしていたら…仕事が滞りすぎて、例の約束もちょっと難しいかも……」
「え…それって……それって、もしかして、私の誕生日に一緒にお出かけしてくれるっていう例の約束ですか…?」
「うん」
えええええええっ!!?
ショックのあまり言葉もなく固まってしまった。
それは、誕生日に何がほしいかと聞かれて「1日デート」をおねだりした…非常にめちゃくちゃ楽しみにしていた約束!
その日だけは仕事のことも忘れてのんびりと、ちょっと甘味屋さんに寄ったり、こっそり手を繋いで歩いたり…なんてのを色々妄そ…空想したりして、とてもとてもとても楽しみにしていたのに…!!!!
「………ほ…補習は、その3つの忍術を覚えて言えるようになればいいんですね?」
「そうだなぁ。水月の術、山彦の術、天唾の術…この3つがちゃんと覚えられたら今回の補習は終了かな。」
「わかりました!頑張ります!!」
私は勢いよく立ち上がった。
キョトンと私を見上げている土井先生をそのままに、私はすぐさま自室に戻って準備を始めた。
数刻後。
中庭の木の下で気持ち良さそうにお昼寝している乱太郎くん、しんべヱくん、きりちゃんを発見。
私は三人を起こしてその場に座らせた。
寝ぼけ眼をこする三人の肩をポンと叩く。
「突然だけど、今から補習の補習の予習をします!」
「「「補習の補習の予習~???」」」
三人が不思議そうな顔をした。
「このままだと三人とも毎日補習三昧になるから、脱補習の為に今から予習を…いやこれは復習というのかな…むしろ補習の補習…?まぁ、とにかく、3つの忍術を覚えて貰います!!」
まるで他人事のようにキョトンとする三人。
「えーっと、今からですか?」
「うん」
「ここでですかぁ?」
「そう!」
「すみません、僕そろそろアルバイトが…」
「きりちゃん、今から説明する3つの忍術を覚えたらアルバイト私も手伝うから。」
「えっ、でも今日の仕事内容は…」
「手伝って、あ、げ、る。」
「わあーい!ありがとーござぃまぁーっす!」
「あとね。ドケチたるもの、わざわざ学費を払って勉強してるんだから、沢山覚えないと損だと思わない?」
「そっ…損!?」
「そうそう。同じ学費を払うなら沢山覚えた方がお得でしょ?」
「お得っ!!?」
きりちゃんが目を小銭に変えてシャキッと草の上に正座した。
よし、まずは1人!
「乱太郎くんも、立派な忍者になりたくて学園に来てるんでしょう?」
「あはは、はい、そうです…。」
曖昧に笑って頷く乱太郎くんと間近に目線を合わせる。
「もしかしたらお父様も忍務でこの忍術を使ったことあるかも。乱太郎くんもお父様と同じ忍術を覚えて使えたりしたら……カッコいいと思わない?」
「父ちゃんと同じ忍術を…?」
「そうそう。」
「………!…わ…私、頑張ります!」
乱太郎くんが意気込んできりちゃんの隣に正座した。
よし、これで2人目!
あとは……
「しんべヱくん、これ見て?」
「なんですかぁ?」
「ちゃぁんと覚えたら、この特製おやつをあげましょう!」
モノでつるだなんて、きっと教職員としてはあるまじき行為。
でも、使えるものは何でも使うのが忍者。
目的のためには手段は問わない世界なのだから…これくらいヨシとしよう、うん。
「わぁー、美味しそう!」
しんべヱくんが嬉しそうにきりちゃんの横に正座した。
よぉーし、つかみはオッケー!
これでまずはやる気を出せたかな!
「さぁ、じゃあみんなちゃんと覚えてね!!」
「「「はいっ!!」」」
穴があくほど見聞きし続けている土井先生の授業。
私は彼になりきったつもりで乱太郎くん達と木陰に座り、ありったけの情熱をこめて説明を始めた。