第40話 蜂蜜
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養蜂場はそんなに遠くない山の中だった。
たまみさんと三治郎と虎若とともに、蜂を育てているというお爺さんに挨拶をする。
手土産に持ってきた野菜を渡すと、お爺さんは陽気な笑顔を向けて快く蜂蜜を分けてくださると言ってくれた。
「今日は蜂達も機嫌がいいから刺すこともないように思いますが、ではこちらの小屋から見ていてください。」
案内された小さな小屋は畳1畳程の物置みたいなもので、巣箱まで見通せる窓には網が貼られていた。
何かあったときの避難用としても使っているらしい。
養蜂技術はまださほど広まっていないため試行錯誤することが多いのだろう。
苦労の多い仕事のようで、改めて蜂蜜の貴重さを知った。
「じゃあ僕達、蜂蜜を採るの見てきますから、土井先生とたまみさんはここで待っててください。」
「大丈夫か?」
「もう何度も見学してますから!」
「わかった。あ、ちょっと待て、これを着なさい!」
念の為にとお借りした頭巾や衣服でなるべく肌を隠させる。
虎若は意気揚々と巣箱の方に歩いていき、三治郎も「楽しみにしててくださいねー。」と後に続いて歩いていった。
そのとき、ブーンと近くを蜂が飛んだ。
「!!土井先生、早く中に…!」
たまみさんが慌てて小屋に入り私を引っ張った。
すぐに戸を閉めて、蜂が入ってこないようにする。
「何もしなければ大丈夫と言ってたけど、あの羽音が怖いです…!」
たまみさんは怯えた顔をして窓から外を見た。
ふと彼女の身体が私にぴたりとくっついていることに気づき、その距離の近さに驚いた。
小屋は中に道具が置いてあり、大人が2人入るには狭かった。
たまみさんは蜂を警戒するあまり気づいてなさそうだが、彼女の柔らかい身体の感触に私は焦った。
「…せ、狭いですね。私は外で待っておきましょうか。」
はははと誤魔化しながらそう言うと、たまみさんは私の袖を掴んで引っ張った。
「一緒にいて…?」
怯えておねだりするように潤んだ眼差し。
「…!」
可愛いすぎて、衝動的に思わず抱きしめそうになった。
「…っ、……わかり、ました…。」
私は彼女の頭をぽんと撫で、平常心平常心と唱えながら大きく息を吐いた。
窓から外を見ると、お爺さんが巣箱から蜂の巣を取り出して蜂蜜を採っている。
虎若と三治郎はそれをワクワクした顔で見つめ、時折お爺さんと会話をしていた。
お爺さんは嬉しそうに話しながら、二人に色々と説明しているようだった。
…私の授業にもあれだけ興味をもって取り組んでもらいたいものだ。
ついため息がでてしまった。
「あ…土井先生、もしかして見に行きたかったですか?」
「え?」
「すみません、私、引き留めてしまって…。」
申し訳なさそうにそう言う彼女の頭をもう一度ぽんと撫でた。
「私がここに居たくて居てるんです。」
「土井先生…」
嬉しそうに微笑む彼女。
…近い。
近すぎて困る。
彼女の胸が私の腕に柔らかく当たり温かい。
少し動くだけで容易に抱きしめられるその距離に、自然と鼓動がはやくなる。
…私は咳払いをして窓の外に視線を戻した。
「あいつらがあんまり楽しそうにお爺さんの話を聞いてるから、私の授業もああはならないものかと思っていたんですよ。」
「一年は組のみんな、興味のあることには熱心に取り組みますもんね。」
「そうですね。」
私達は二人が楽しそうに蜂蜜をろ過していく姿を見守った。
「蜂蜜、できましたよー!」
二人が小皿に入れた蜂蜜を持ってきてくれた。
それは綺麗な甘そうな色をして日の光を反射し輝いていた。
たまみさんが小皿を受け取り指ですくってぱくりと食べた。
「んんっ!甘~い!!」
満面の笑み。
虎若と三治郎は顔を見合わせて嬉しそうにへへへと笑った。
「今、学園に持って帰る分も瓶に入れて貰ってますから!あと、蜂の巣も食べれるそうなんで、ちょっともらってきます!」
二人が蜂を刺激しないようそーっと足早に作業場へ向かっていった。
「土井先生もどうぞ、美味しいですよ!」
子どものように無邪気に蜂蜜を差し出すたまみさんに、悪戯心が芽生えた。
「じゃあ…頂きます。」
私はたまみさんの手をつかんで、まだ蜂蜜のついていた指をぺろりと舐めた。
「!!?」
「ん、確かに美味しいですね。」
「ど、土井先生っ……!」
たまみさんは真っ赤になって口をパクパクさせていた。
その反応が可愛らしくて、私は満足して笑った。
たまみさんと三治郎と虎若とともに、蜂を育てているというお爺さんに挨拶をする。
手土産に持ってきた野菜を渡すと、お爺さんは陽気な笑顔を向けて快く蜂蜜を分けてくださると言ってくれた。
「今日は蜂達も機嫌がいいから刺すこともないように思いますが、ではこちらの小屋から見ていてください。」
案内された小さな小屋は畳1畳程の物置みたいなもので、巣箱まで見通せる窓には網が貼られていた。
何かあったときの避難用としても使っているらしい。
養蜂技術はまださほど広まっていないため試行錯誤することが多いのだろう。
苦労の多い仕事のようで、改めて蜂蜜の貴重さを知った。
「じゃあ僕達、蜂蜜を採るの見てきますから、土井先生とたまみさんはここで待っててください。」
「大丈夫か?」
「もう何度も見学してますから!」
「わかった。あ、ちょっと待て、これを着なさい!」
念の為にとお借りした頭巾や衣服でなるべく肌を隠させる。
虎若は意気揚々と巣箱の方に歩いていき、三治郎も「楽しみにしててくださいねー。」と後に続いて歩いていった。
そのとき、ブーンと近くを蜂が飛んだ。
「!!土井先生、早く中に…!」
たまみさんが慌てて小屋に入り私を引っ張った。
すぐに戸を閉めて、蜂が入ってこないようにする。
「何もしなければ大丈夫と言ってたけど、あの羽音が怖いです…!」
たまみさんは怯えた顔をして窓から外を見た。
ふと彼女の身体が私にぴたりとくっついていることに気づき、その距離の近さに驚いた。
小屋は中に道具が置いてあり、大人が2人入るには狭かった。
たまみさんは蜂を警戒するあまり気づいてなさそうだが、彼女の柔らかい身体の感触に私は焦った。
「…せ、狭いですね。私は外で待っておきましょうか。」
はははと誤魔化しながらそう言うと、たまみさんは私の袖を掴んで引っ張った。
「一緒にいて…?」
怯えておねだりするように潤んだ眼差し。
「…!」
可愛いすぎて、衝動的に思わず抱きしめそうになった。
「…っ、……わかり、ました…。」
私は彼女の頭をぽんと撫で、平常心平常心と唱えながら大きく息を吐いた。
窓から外を見ると、お爺さんが巣箱から蜂の巣を取り出して蜂蜜を採っている。
虎若と三治郎はそれをワクワクした顔で見つめ、時折お爺さんと会話をしていた。
お爺さんは嬉しそうに話しながら、二人に色々と説明しているようだった。
…私の授業にもあれだけ興味をもって取り組んでもらいたいものだ。
ついため息がでてしまった。
「あ…土井先生、もしかして見に行きたかったですか?」
「え?」
「すみません、私、引き留めてしまって…。」
申し訳なさそうにそう言う彼女の頭をもう一度ぽんと撫でた。
「私がここに居たくて居てるんです。」
「土井先生…」
嬉しそうに微笑む彼女。
…近い。
近すぎて困る。
彼女の胸が私の腕に柔らかく当たり温かい。
少し動くだけで容易に抱きしめられるその距離に、自然と鼓動がはやくなる。
…私は咳払いをして窓の外に視線を戻した。
「あいつらがあんまり楽しそうにお爺さんの話を聞いてるから、私の授業もああはならないものかと思っていたんですよ。」
「一年は組のみんな、興味のあることには熱心に取り組みますもんね。」
「そうですね。」
私達は二人が楽しそうに蜂蜜をろ過していく姿を見守った。
「蜂蜜、できましたよー!」
二人が小皿に入れた蜂蜜を持ってきてくれた。
それは綺麗な甘そうな色をして日の光を反射し輝いていた。
たまみさんが小皿を受け取り指ですくってぱくりと食べた。
「んんっ!甘~い!!」
満面の笑み。
虎若と三治郎は顔を見合わせて嬉しそうにへへへと笑った。
「今、学園に持って帰る分も瓶に入れて貰ってますから!あと、蜂の巣も食べれるそうなんで、ちょっともらってきます!」
二人が蜂を刺激しないようそーっと足早に作業場へ向かっていった。
「土井先生もどうぞ、美味しいですよ!」
子どものように無邪気に蜂蜜を差し出すたまみさんに、悪戯心が芽生えた。
「じゃあ…頂きます。」
私はたまみさんの手をつかんで、まだ蜂蜜のついていた指をぺろりと舐めた。
「!!?」
「ん、確かに美味しいですね。」
「ど、土井先生っ……!」
たまみさんは真っ赤になって口をパクパクさせていた。
その反応が可愛らしくて、私は満足して笑った。