(おまけ)

「失礼します！野村先生！すみません、急に自習にしてしまって…！！」

「土井先生！戻られましたか。小松田くんから聞きましたよ…『痴話喧嘩でたまみさんが出ていって、土井先生が授業を放って彼女を追いかけた』って。」

「はいぃ！？ち、痴話喧嘩などでは…っ！！」

「…でしょうね。まさか、あの真面目な土井先生が、そんな理由で仕事を投げて女性の後を追いかけるなんて情けないこと…するわけありませんよね？」

「も、もちろんです！！そ、そんな理由で職務放棄することなど…！！」

「…フーム……当たらずとも遠からず…といったところか…。」

「え？」

「いいえ、ならいいんです。何か事情がおありなんでしょう？小松田くんが話を広めると変にこじれそうだったので、一応彼には口止めして他の組には私から話をつけておきました。」

「野村先生…！すみません、ありがとうございますっ！！」

「構いませんよ。…しかし、今回の件で急遽私と木下先生が代わりに授業をすることになりまして。随分色々と予定が狂ってしまったんですよ。」

野村先生がクイッと眼鏡を上げた。
その目がキラリと怪しく光る。

「しばらく我々の夜の見回り当番、代わってもらえますかな？」

「…！！」


そして結局。
さらに仕事を増やされてしまい、たまみと逢う時間がまた少なくなってしまった。
しかし、こうなったら意地でもたまみのもとに通うと決めた私は…結果として二人でしばらく睡眠不足な日々を送ることになってしまったのだった。