とある休日。

一年は組のみんなはしんべヱくんのお家に遊びに行くようで、意気揚々と楽しそうに出かけていった。

「あの、お家のどぶ掃除、やっぱり私もいきますよ…？」

実は今日は土井先生の近所のどぶ掃除の日。
そして、きりちゃんはしんべヱくんの家に行くのを楽しみにしていたので、土井先生はあえてどぶ掃除のことを話していなかった。
せめて私が手伝いに行こうと思ったのだけれど…

「たまみは背中を痛めてるんだからいいよ。」

土井先生が私の背を気遣うようにぽんと撫でた。
すると山田先生が隣でうんうんと頷く。

「たまみくん、今回は私が行くから心配しなくていい。たまにはゆっくり体を休めなさい。」

今日は山田先生がどぶ掃除を手伝ってくれることになっていて、二人はもう出かける身支度を終えていた。
何だか山田先生は嬉しそうで、はりきって柔軟体操もしていたらしい。

山田先生は、土井先生と二人でどぶ掃除に行くのが楽しいのかな…？
土井先生も嬉しそうに見える…。

山田先生と土井先生の間にある、ときに親子のようにも見える空気。
その優しい関係が、きっと今の二人の微笑みの基にあるのだと思う。

…私は少し羨ましく思いつつ二人を見送り、自室の前でふと立ち止まった。

「…あ。」

そういえば、たけのこがたくさん食堂にある。

山や竹林で丁度たけのこが旬を迎える時期。
いつも野菜を運んでくれる農家の方が、私のご馳走するおにぎりのお礼だと、たけのこをたくさんくれたのだ。
たけのこはすぐに成長してしまい鮮度が大切なので、この量をどうしようかと食堂のおばちゃんと悩んでいたのだ。

「そうだ、少しだけ頂いて、私も土井先生の家に行こう！お世話になってるご近所さんにたけのこをお裾分けしよう！」

私は食堂のおばちゃんに声をかけ、たけのこを背負い、意気揚々と忍術学園の門を出た。