第107話 湿布
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「肩と背中と腰が痛い…!」
数日前から重い食材を運んだり同じ姿勢で作業を続けたりした結果、昨夜寝付けないほどに肩と背中と腰が痛くなってしまった。
今朝は顔を洗おうとしたときに腰に鋭い痛みが走り焦った。
このままぎっくり腰にでもなれば周りに迷惑をかけてしまう…。
ぎっくり腰になったことはないけれど、これはいわゆる前触れのような気がする。
私は意を決して医務室を訪ねてみることにした。
「失礼します、どなたか居ますか?」
声をかけて中に入ると、善法寺くんがちょうど包帯を作っているところだった。
「たまみさん、どうしたんですか?」
「ちょっと肩と背中と腰が痛くて…」
「大丈夫ですか?診察するのでうつ伏せに寝てください。」
「手を止めてごめんね。」
「とんでもない、保健委員として当然の務めです。」
善法寺くんはそう言うと背中を指で押しながらどこがどのように痛むのか丁寧に確認していった。
「これは大分凝ってますね。ここまでなる前にもっと早く仰ってくれれば…」
「うん、最近力仕事も多かったし忙しくて…」
「無理して体を壊すとかえって仕事に支障が出てしまいますよ。力仕事は声をかけてくれれば手伝いますから、いつでも仰ってください。」
「ありがとう…」
「湿布をしましょう。湯上がりに柔軟体操をして筋肉をほぐすのも効果的です。とりあえずすぐに薬を調合するので、このまま横になって待っていてください。」
善法寺くんは戸棚から数種類の薬草を取り出し、ゴリゴリと混ぜ始めた。
微かに草の香りが漂う。
六年生にもなると本当にしっかりして頼もしくなるのだなぁ。
今は可愛らしいきりちゃん達も、六年生になればこんな風に皆から頼られる先輩になるのかな…。
今は天真爛漫で自由な一年は組のみんながどのようになるのか想像して、つい微笑んでしまった。
「…たまみさんは、柔らかく笑うようになりましたね。」
「え?」
善法寺くんが薬草をすり潰す手をそのままににこりと微笑んだ。
「ふと、初めてお会いした頃を思い出しました。あの頃はまだ学園に慣れず緊張して表情もどこか固かったと思いますが、今ではたまみさんももうすっかりここの一員というか…穏やかな表情をされるなぁと思いまして。」
「そうかな…。」
穏やかな表情。
自分では気づかなかったけれど、そんなに違っていたのかな。
『もうすっかりここの一員』…。
その言葉が、胸に響いた。
自分の存在が認められたようで、なんだか嬉しかった。
「薬ができました。まずは揉みほぐして血行をよくしていきますね。」
「お願いします。」
善法寺くんが私の横に座り、肩から背中にかけて順にぐっと押していく。
「この辺りはどうですか?」
「いたた、ちょっと痛い…!」
「ではこれは?」
「あ、それ…、気持ちいいです…。」
「じゃあこの辺りを重点的に…。」
「…ん……すごい上手…気持ちい……」
「よかった。眠たくなったら寝てもいいですからね。」
「はぁい…」
心地いい指の感触。
あー、すごい癒される…。
そして本当に眠りかけた頃…。
数日前から重い食材を運んだり同じ姿勢で作業を続けたりした結果、昨夜寝付けないほどに肩と背中と腰が痛くなってしまった。
今朝は顔を洗おうとしたときに腰に鋭い痛みが走り焦った。
このままぎっくり腰にでもなれば周りに迷惑をかけてしまう…。
ぎっくり腰になったことはないけれど、これはいわゆる前触れのような気がする。
私は意を決して医務室を訪ねてみることにした。
「失礼します、どなたか居ますか?」
声をかけて中に入ると、善法寺くんがちょうど包帯を作っているところだった。
「たまみさん、どうしたんですか?」
「ちょっと肩と背中と腰が痛くて…」
「大丈夫ですか?診察するのでうつ伏せに寝てください。」
「手を止めてごめんね。」
「とんでもない、保健委員として当然の務めです。」
善法寺くんはそう言うと背中を指で押しながらどこがどのように痛むのか丁寧に確認していった。
「これは大分凝ってますね。ここまでなる前にもっと早く仰ってくれれば…」
「うん、最近力仕事も多かったし忙しくて…」
「無理して体を壊すとかえって仕事に支障が出てしまいますよ。力仕事は声をかけてくれれば手伝いますから、いつでも仰ってください。」
「ありがとう…」
「湿布をしましょう。湯上がりに柔軟体操をして筋肉をほぐすのも効果的です。とりあえずすぐに薬を調合するので、このまま横になって待っていてください。」
善法寺くんは戸棚から数種類の薬草を取り出し、ゴリゴリと混ぜ始めた。
微かに草の香りが漂う。
六年生にもなると本当にしっかりして頼もしくなるのだなぁ。
今は可愛らしいきりちゃん達も、六年生になればこんな風に皆から頼られる先輩になるのかな…。
今は天真爛漫で自由な一年は組のみんながどのようになるのか想像して、つい微笑んでしまった。
「…たまみさんは、柔らかく笑うようになりましたね。」
「え?」
善法寺くんが薬草をすり潰す手をそのままににこりと微笑んだ。
「ふと、初めてお会いした頃を思い出しました。あの頃はまだ学園に慣れず緊張して表情もどこか固かったと思いますが、今ではたまみさんももうすっかりここの一員というか…穏やかな表情をされるなぁと思いまして。」
「そうかな…。」
穏やかな表情。
自分では気づかなかったけれど、そんなに違っていたのかな。
『もうすっかりここの一員』…。
その言葉が、胸に響いた。
自分の存在が認められたようで、なんだか嬉しかった。
「薬ができました。まずは揉みほぐして血行をよくしていきますね。」
「お願いします。」
善法寺くんが私の横に座り、肩から背中にかけて順にぐっと押していく。
「この辺りはどうですか?」
「いたた、ちょっと痛い…!」
「ではこれは?」
「あ、それ…、気持ちいいです…。」
「じゃあこの辺りを重点的に…。」
「…ん……すごい上手…気持ちい……」
「よかった。眠たくなったら寝てもいいですからね。」
「はぁい…」
心地いい指の感触。
あー、すごい癒される…。
そして本当に眠りかけた頃…。