第106話 これからは
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「ただいまー」
乱太郎と遊んで家に帰ると、土井先生とたまみさんが「おかえり」と出迎えてくれた。
二人とも機嫌がよさそうだ…きっと昼間いい感じで過ごせたのだろう。
よかったよかった。
「きり丸、遅かったじゃないか。もう晩ご飯の用意もできるから手を洗ってきなさい。」
「はーい」
美味しそうなにおいがしている。
あれは…山菜の雑炊と煮物かな。
ふと見ると、見慣れない土鍋が使われている。
「お鍋買ったんですか?」
「そうなの。半助さんが買ってくれて…可愛いでしょ?」
土鍋の可愛さなんてよく分からないけど、にこにこと嬉しそうにご飯を作っているたまみさんは可愛らしいと思った。
土井先生を見上げると、土井先生もお鍋じゃなくてたまみさんを見ていて…同じようなことを考えているんだろうなと思った。
「あー美味しかった!ごちそうさまでした!」
満腹になって手を合わせると、土井先生とたまみさんが目を見合わせた。
何だろうと不思議に思うと、たまみさんが何かを差し出した。
「きりちゃん、ちょっと早いけどお誕生日おめでとう。」
「え…?!」
「きり丸、もうすぐ誕生日だろう?少し早いが私とたまみからだ。」
差し出されたのは手のひらくらいの黄色い小銭入れ。
ひっくり返して見てみると、そこには俺の名前が刺繍されていた。
「黄色は金運が上がるらしいの。小銭が貯まりますようにって願いながら名前を刺繍したのよ。」
「あ…ありがとうございます…っ!」
たまみさんが…俺のために願いをこめて刺繍を…?
「…僕、頑張って小銭集めます!!」
嬉しくて勢いよくそう言うと、土井先生が苦笑しながら頭の上にぽんと手を乗せた。
「ほどほどにな。…これからは、たまみときり丸の誕生日を同時に…一緒に祝おうか。新学期の前後は忙しくなってしまうしな。」
「えっ、たまみさんも誕生日なんですか…って、記憶が戻ったんですか?」
「ううん。…ここに…忍術学園に来た日を誕生日にしようって、半助さんが決めてくれたの。」
「そうなんですか…。たまみさんが来たのもこれくらいの時期でしたもんね。」
「そういうことだ。これからは毎年、二人の誕生日を一緒に祝おう。」
これからは、毎年…。
土井先生が重ねて言ったその言葉の意味を考えた。
これから毎年…ということは、ずっと…?
それはつまり…。
土井先生、ちゃんと結婚しようとか言ったのかな…。
二人を交互に見てみても、その辺のことはよく分からなかった。
でも、まあ言葉にしていてもしていなくても…二人の気持ちは同じっぽいよな…。
俺は笑顔で頷いて、刺繍の入った小銭入れをぎゅっと握りしめた。
乱太郎と遊んで家に帰ると、土井先生とたまみさんが「おかえり」と出迎えてくれた。
二人とも機嫌がよさそうだ…きっと昼間いい感じで過ごせたのだろう。
よかったよかった。
「きり丸、遅かったじゃないか。もう晩ご飯の用意もできるから手を洗ってきなさい。」
「はーい」
美味しそうなにおいがしている。
あれは…山菜の雑炊と煮物かな。
ふと見ると、見慣れない土鍋が使われている。
「お鍋買ったんですか?」
「そうなの。半助さんが買ってくれて…可愛いでしょ?」
土鍋の可愛さなんてよく分からないけど、にこにこと嬉しそうにご飯を作っているたまみさんは可愛らしいと思った。
土井先生を見上げると、土井先生もお鍋じゃなくてたまみさんを見ていて…同じようなことを考えているんだろうなと思った。
「あー美味しかった!ごちそうさまでした!」
満腹になって手を合わせると、土井先生とたまみさんが目を見合わせた。
何だろうと不思議に思うと、たまみさんが何かを差し出した。
「きりちゃん、ちょっと早いけどお誕生日おめでとう。」
「え…?!」
「きり丸、もうすぐ誕生日だろう?少し早いが私とたまみからだ。」
差し出されたのは手のひらくらいの黄色い小銭入れ。
ひっくり返して見てみると、そこには俺の名前が刺繍されていた。
「黄色は金運が上がるらしいの。小銭が貯まりますようにって願いながら名前を刺繍したのよ。」
「あ…ありがとうございます…っ!」
たまみさんが…俺のために願いをこめて刺繍を…?
「…僕、頑張って小銭集めます!!」
嬉しくて勢いよくそう言うと、土井先生が苦笑しながら頭の上にぽんと手を乗せた。
「ほどほどにな。…これからは、たまみときり丸の誕生日を同時に…一緒に祝おうか。新学期の前後は忙しくなってしまうしな。」
「えっ、たまみさんも誕生日なんですか…って、記憶が戻ったんですか?」
「ううん。…ここに…忍術学園に来た日を誕生日にしようって、半助さんが決めてくれたの。」
「そうなんですか…。たまみさんが来たのもこれくらいの時期でしたもんね。」
「そういうことだ。これからは毎年、二人の誕生日を一緒に祝おう。」
これからは、毎年…。
土井先生が重ねて言ったその言葉の意味を考えた。
これから毎年…ということは、ずっと…?
それはつまり…。
土井先生、ちゃんと結婚しようとか言ったのかな…。
二人を交互に見てみても、その辺のことはよく分からなかった。
でも、まあ言葉にしていてもしていなくても…二人の気持ちは同じっぽいよな…。
俺は笑顔で頷いて、刺繍の入った小銭入れをぎゅっと握りしめた。