第101話 無防備な彼女
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「んー…」
朝。
何だかよく眠ったような気がして目が覚めた。
寝すぎたのか背中と腰が痛い。
そして起きようとしたとき。
手に何かが触れているのを感じて横を見た。
「!!!!????」
右手が、利吉さんの手に握られている。
しかもすぐ近くに端正な顔立ちの寝顔があって、心臓が止まりかけた。
な、な、なんで利吉さんが…!?
そのとき、ふと左手にも抵抗を感じた。
反射的にそちらに顔を向けてみると…
「!!!!????」
左手が、土井先生に強く握りしめられている。
すやすやと眠る可愛らしい寝顔。
え!?
え!?
なに、この状況は一体…!?
右には利吉さん、左には土井先生が、私の手を握って眠っている…!
こ、これは、一体何事…!?
昨夜の記憶を思い出してみる。
…えーと、そうだ、利吉さんと土井先生が二人で寝るのが気になりすぎて、私も職員室で一緒に寝ると言ったんだった。
…うん、私が自らここに寝に来たのは思い出した。
でも、何で二人と手を繋いで眠っているの!?
「…………」
起こさないようにそっと二人を交互に見てみた。
気持ち良さそうにすやすやと眠る可愛い土井先生。
ほんのちょっとだけお口があいていて、柔らかそうなほっぺたを思わずつつきたくなる。
利吉さんは、普段のきりりとした鋭い目つきとは印象が違って、寝顔は子どものようにあどけなくて可愛かった。
…朝からこんな格好いい二人に挟まれてスゴいなこの状況……ってそうじゃなくて!
利吉さんと手を繋いで寝てるとか土井先生に怒られちゃう…!
利吉さんを起こさないようにそっと手を外そうとした。
しかしその瞬間、逆にぎゅっと握りしめられた。
「おはようございます。」
!!
驚いて見ると、嬉しそうに微笑む利吉さんと目があった。
「お…おはよう、ございます…」
小声で応えると、利吉さんは私の手を引いて手の甲に口づけた。
「目が覚めて最初に見るのがたまみさんだなんて…嬉しいですね。」
目を細めて嬉しそうに微笑む利吉さん。
何だかスゴくいけないことをしている気がして私は焦った。
「や、その…こ、これは一体どういう……」
オロオロすると、利吉さんは私の向こう側に眠っている土井先生に気づいて少し驚いた顔をした。
「ああ…そうでした。土井先生もあのまま眠ってしまったんですね。」
「…?」
「実は、たまみさんが眠ったあと一悶着ありまして。」
利吉さんが意味ありげに苦笑した。
一悶着って何だろう。
いやでも、なにがどうなるとこんなことになるの…!?
「たまみさん…手、あったかいですね…。」
「え?!そ、そうですか?」
そっと手が引かれた。
「もう少しこのまま……手を繋いで寝ましょうか。」
そう言うと、利吉さんは私の指を少し咥え、ゆっくり食むようにちゅっちゅっと口づけた。
ちらりと私の様子を伺う上目遣いの目線。
「…っ!!!?」
私は真っ赤になってその手を振り払った。
「可愛い。」
少し意地悪く微笑む利吉さんに、言葉が出なかった。
「夢ではたまみさんの方からしてくれたのに。」
よく聞き取れなかったけれど、利吉さんは一人何かを思い出したように笑い、焦る私を見て楽しんでいるようだった。
妖艶な雰囲気で肘枕をしながら横たわったままの利吉さん。
どうしたらいいか分からなくなり、私は反対側を向いて土井先生の手を引いた。
「土井先生…起きてください!」
とりあえず起こした方がいいような気がした。
腕を軽く揺さぶってみる。
「んん~…」
「朝ですよ!」
「うーん、たまみ…」
ぐいっ
急に土井先生が私を自分の上に抱き寄せた。
力強い腕が私の腰と首にガッチリと回される。
「え、ちょっ…!?」
「…きり丸が起きる前に……」
ぎゅうっと抱きしめられて、下腹にあたる固い感触。
こ、これって…!
大きな土井先生の手が、ゆるりと私の腰を撫でた。
「…だめ…?」
虚ろに甘えた声。
耳元で囁かれてゾクリとした。
身体が、思わずその声に反応する。
首筋に口づける優しい唇。
甘えたように「ね?」と呟く声。
「やっ、ダメ…!」
「……ちょっとだけ…」
押し退けようとする腕に、力が入らない。
「…たまみ……」
「やァッ…!」
首筋を舐められ、つい声が出てしまった。
そしてそのまま土井先生の手が腰から下に下がりかけたとき…。
「オホン!」
利吉さんの咳払いに、土井先生の目が大きく見開かれた。
「土井先生、朝っぱらから何してるんですか。」
「…利吉くん、何でうちに…」
そう言って土井先生は周りを見渡すと、驚いたように飛び起きた。
「学園!?…そうだ!学園長の煙玉で眠ってしまって…!」
やっと目が覚めたのか、土井先生はハッとして赤くなり私を離した。
「す、すまない…っ!家だと勘違いして…!」
「い…いえ…!」
ドキドキして目が合わせられなかった。
甘えてくる土井先生が可愛すぎて、職員室だというのに利吉さんがいなければこのまま応えてしまっていたかも…。
利吉さんは冷めた目で土井先生を見ていたけれど、腕を組んで私に聞いた。
「…たまみさんは、甘えられる方が好きですか?」
「え!?」
「……そうですか、いじめられる方が好きだと思ってましたが…なるほど。」
「いや、そ、そんなことは…」
焦る私に、利吉さんが小さな声で耳打ちした。
「さっきの、可愛い声でしたね。」
「!?」
「私にも、是非聞かせてくださ…」
ぐいっ!
土井先生が私を背中に隠して利吉さんを睨み付けた。
「たまみにちょっかいを出すんじゃない!」
「土井先生が私にあんな可愛い声を聞かせるからいけないんですよ。」
「あ、あれはわざとでは…!」
「色ボケ教師だと報告しときますよ?」
「なっ…!いや、だから今のはわざとではなくて…!」
何だかまた喧嘩になりそうな空気で、私は思いきってそのやりとりを遮った。
「あの!なんで学園長先生が煙玉を?」
さっき土井先生がちらりと言った言葉。
昨夜、一体何があったのか。
聞くと、土井先生と利吉さんは目をあわせて苦笑した。
「たまみの寝顔を利吉くんが不埒な目で見てたから喧嘩になって…。騒いでいたら、学園長がうるさいから寝ろって煙玉を投げてきたんだよ。」
「不埒とはなんですか。ただ眺めていただけです。しかも縄で縛ろうとしたり騒ぎ始めたのは土井先生でしょう。」
な…縄!?
「仕方ないだろう。きみみたいなのが一緒にいたら、そうでもしないとおちおち眠れもしない…。たまみ、利吉くんに何もされなかったかい?」
「だ、大丈夫…だと、思います。」
「…なんでそんなに歯切れが悪いんだ。」
「いえ、私も…眠ってましたし…。」
さっき指を咥えられたことを思い出して視線をそらしてしまった。
その様子に、土井先生が利吉さんを険しい顔で睨んだ。
「……利吉くん…」
「何もしてませんよ。私もついさっきまで熟睡してました。」
利吉さんは久々に深く眠ったと腕をあげて伸びをした。
その様子に土井先生もしぶしぶ納得したのか、ため息をつくと私の頭をぽんと撫でた。
「とりあえず何もなくてよかった。さ、生徒達が起きる前に部屋に戻って支度しておいで。」
そうして結局三人で過ごした夜は無事…無事なのかな…に終わり、今日もまた慌ただしい1日が始まったのだった。
朝。
何だかよく眠ったような気がして目が覚めた。
寝すぎたのか背中と腰が痛い。
そして起きようとしたとき。
手に何かが触れているのを感じて横を見た。
「!!!!????」
右手が、利吉さんの手に握られている。
しかもすぐ近くに端正な顔立ちの寝顔があって、心臓が止まりかけた。
な、な、なんで利吉さんが…!?
そのとき、ふと左手にも抵抗を感じた。
反射的にそちらに顔を向けてみると…
「!!!!????」
左手が、土井先生に強く握りしめられている。
すやすやと眠る可愛らしい寝顔。
え!?
え!?
なに、この状況は一体…!?
右には利吉さん、左には土井先生が、私の手を握って眠っている…!
こ、これは、一体何事…!?
昨夜の記憶を思い出してみる。
…えーと、そうだ、利吉さんと土井先生が二人で寝るのが気になりすぎて、私も職員室で一緒に寝ると言ったんだった。
…うん、私が自らここに寝に来たのは思い出した。
でも、何で二人と手を繋いで眠っているの!?
「…………」
起こさないようにそっと二人を交互に見てみた。
気持ち良さそうにすやすやと眠る可愛い土井先生。
ほんのちょっとだけお口があいていて、柔らかそうなほっぺたを思わずつつきたくなる。
利吉さんは、普段のきりりとした鋭い目つきとは印象が違って、寝顔は子どものようにあどけなくて可愛かった。
…朝からこんな格好いい二人に挟まれてスゴいなこの状況……ってそうじゃなくて!
利吉さんと手を繋いで寝てるとか土井先生に怒られちゃう…!
利吉さんを起こさないようにそっと手を外そうとした。
しかしその瞬間、逆にぎゅっと握りしめられた。
「おはようございます。」
!!
驚いて見ると、嬉しそうに微笑む利吉さんと目があった。
「お…おはよう、ございます…」
小声で応えると、利吉さんは私の手を引いて手の甲に口づけた。
「目が覚めて最初に見るのがたまみさんだなんて…嬉しいですね。」
目を細めて嬉しそうに微笑む利吉さん。
何だかスゴくいけないことをしている気がして私は焦った。
「や、その…こ、これは一体どういう……」
オロオロすると、利吉さんは私の向こう側に眠っている土井先生に気づいて少し驚いた顔をした。
「ああ…そうでした。土井先生もあのまま眠ってしまったんですね。」
「…?」
「実は、たまみさんが眠ったあと一悶着ありまして。」
利吉さんが意味ありげに苦笑した。
一悶着って何だろう。
いやでも、なにがどうなるとこんなことになるの…!?
「たまみさん…手、あったかいですね…。」
「え?!そ、そうですか?」
そっと手が引かれた。
「もう少しこのまま……手を繋いで寝ましょうか。」
そう言うと、利吉さんは私の指を少し咥え、ゆっくり食むようにちゅっちゅっと口づけた。
ちらりと私の様子を伺う上目遣いの目線。
「…っ!!!?」
私は真っ赤になってその手を振り払った。
「可愛い。」
少し意地悪く微笑む利吉さんに、言葉が出なかった。
「夢ではたまみさんの方からしてくれたのに。」
よく聞き取れなかったけれど、利吉さんは一人何かを思い出したように笑い、焦る私を見て楽しんでいるようだった。
妖艶な雰囲気で肘枕をしながら横たわったままの利吉さん。
どうしたらいいか分からなくなり、私は反対側を向いて土井先生の手を引いた。
「土井先生…起きてください!」
とりあえず起こした方がいいような気がした。
腕を軽く揺さぶってみる。
「んん~…」
「朝ですよ!」
「うーん、たまみ…」
ぐいっ
急に土井先生が私を自分の上に抱き寄せた。
力強い腕が私の腰と首にガッチリと回される。
「え、ちょっ…!?」
「…きり丸が起きる前に……」
ぎゅうっと抱きしめられて、下腹にあたる固い感触。
こ、これって…!
大きな土井先生の手が、ゆるりと私の腰を撫でた。
「…だめ…?」
虚ろに甘えた声。
耳元で囁かれてゾクリとした。
身体が、思わずその声に反応する。
首筋に口づける優しい唇。
甘えたように「ね?」と呟く声。
「やっ、ダメ…!」
「……ちょっとだけ…」
押し退けようとする腕に、力が入らない。
「…たまみ……」
「やァッ…!」
首筋を舐められ、つい声が出てしまった。
そしてそのまま土井先生の手が腰から下に下がりかけたとき…。
「オホン!」
利吉さんの咳払いに、土井先生の目が大きく見開かれた。
「土井先生、朝っぱらから何してるんですか。」
「…利吉くん、何でうちに…」
そう言って土井先生は周りを見渡すと、驚いたように飛び起きた。
「学園!?…そうだ!学園長の煙玉で眠ってしまって…!」
やっと目が覚めたのか、土井先生はハッとして赤くなり私を離した。
「す、すまない…っ!家だと勘違いして…!」
「い…いえ…!」
ドキドキして目が合わせられなかった。
甘えてくる土井先生が可愛すぎて、職員室だというのに利吉さんがいなければこのまま応えてしまっていたかも…。
利吉さんは冷めた目で土井先生を見ていたけれど、腕を組んで私に聞いた。
「…たまみさんは、甘えられる方が好きですか?」
「え!?」
「……そうですか、いじめられる方が好きだと思ってましたが…なるほど。」
「いや、そ、そんなことは…」
焦る私に、利吉さんが小さな声で耳打ちした。
「さっきの、可愛い声でしたね。」
「!?」
「私にも、是非聞かせてくださ…」
ぐいっ!
土井先生が私を背中に隠して利吉さんを睨み付けた。
「たまみにちょっかいを出すんじゃない!」
「土井先生が私にあんな可愛い声を聞かせるからいけないんですよ。」
「あ、あれはわざとでは…!」
「色ボケ教師だと報告しときますよ?」
「なっ…!いや、だから今のはわざとではなくて…!」
何だかまた喧嘩になりそうな空気で、私は思いきってそのやりとりを遮った。
「あの!なんで学園長先生が煙玉を?」
さっき土井先生がちらりと言った言葉。
昨夜、一体何があったのか。
聞くと、土井先生と利吉さんは目をあわせて苦笑した。
「たまみの寝顔を利吉くんが不埒な目で見てたから喧嘩になって…。騒いでいたら、学園長がうるさいから寝ろって煙玉を投げてきたんだよ。」
「不埒とはなんですか。ただ眺めていただけです。しかも縄で縛ろうとしたり騒ぎ始めたのは土井先生でしょう。」
な…縄!?
「仕方ないだろう。きみみたいなのが一緒にいたら、そうでもしないとおちおち眠れもしない…。たまみ、利吉くんに何もされなかったかい?」
「だ、大丈夫…だと、思います。」
「…なんでそんなに歯切れが悪いんだ。」
「いえ、私も…眠ってましたし…。」
さっき指を咥えられたことを思い出して視線をそらしてしまった。
その様子に、土井先生が利吉さんを険しい顔で睨んだ。
「……利吉くん…」
「何もしてませんよ。私もついさっきまで熟睡してました。」
利吉さんは久々に深く眠ったと腕をあげて伸びをした。
その様子に土井先生もしぶしぶ納得したのか、ため息をつくと私の頭をぽんと撫でた。
「とりあえず何もなくてよかった。さ、生徒達が起きる前に部屋に戻って支度しておいで。」
そうして結局三人で過ごした夜は無事…無事なのかな…に終わり、今日もまた慌ただしい1日が始まったのだった。