第89話 きみと私の一年間
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新学期直前。
私とたまみは新学期の準備があるので、少し早く忍術学園に戻った。
きり丸はまだ引き受けたバイトが残っているらしく家に留まり、乱太郎達と登校するという。
そして、ついにその日がやってきた。
私もたまみも朝から道具整備やら教材作成、資料整理に追われてあっという間に時間が過ぎていった。
更に学園長の突然の思いつきで想定外の仕事が増えて、予想より時間がかかってしまった。
結局たまみとろくに話す暇もないまま夜になり、いつも通りたまみの部屋を訪ねる時間となった。
「今日もバタバタしましたねぇ、お疲れ様でした。」
たまみが労うようにお茶を出してくれる。
「ありがとう」と言いながらそっとその腕を引いて抱き寄せると、石鹸の香りがした。
湯上がりなのか髪もまだ濡れている。
「たまみもお疲れ様。」
濡れた髪を手ですくい口付けると、腕の中の彼女は甘えるように私の胸に寄り添ってきた。
あー、本当に可愛い…。
「たまみ、今日は何の日か覚えてるかい?」
「今日ですか?」
「うん」
「………何でしたっけ?」
どうやら、自分がこの世界に来た日…たまみの誕生日にしようと言った日がいつなのか、本人は分かっていなかったようだ。
私は彼女の頭を撫でて微笑んだ。
「誕生日おめでとう。一年間よく頑張ったね。」
「!?」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をするたまみ。
「一年前の今日、私達は出会ったんだよ。」
「あ…私、それが何日なのかはっきり分かってませんでした。」
たまみはごまかすように笑って頭をかいた。
「うん、突然のことで右も左も分からず…あのときは大変だったもんなぁ。」
「はい…。半助さんがいなかったらここまでやってこれませんでした。いっぱい助けてもらって…。」
「たいしたことはしてないよ。たまみは頑張り屋さんだから…今では崩した文字だって読み書きできるようになったよね。」
「えへへ、半助さんとの日記が楽しくて頑張っちゃいました。」
照れ笑いをしながら可愛いことを言ってくれる。
思わずその頭をよしよしと撫でた。
「私も…たまみが食堂でどんな風に過ごしているのかとか生徒達と何があったかとか…毎日楽しみに読んでるよ。」
「ふふ、つい半助さんが好きとか今日の半助さんは格好よかったとか書きたくなっちゃいます。」
「…っ。…それは……直接言ってほしいな。」
何と返そうか一瞬迷ったが、素直にそう言ってみるとたまみが嬉しそうに笑った。
二人で微笑んで見つめあい、そっと唇を重ねる。
ああ、ほんと可愛い…。
思わずぎゅっと抱きしめて腕のなかに閉じ込めた。
「初めの頃は色々心配だったけど…、もう日常生活は問題なく過ごせるようになったね。」
「最初は洗濯の仕方すら分かりませんでしたもんね。」
「いまや私のものまで洗ってくれて申し訳ないというか…すごく助かるよ、ありがとう。」
「半助さん放っておくとあんまり洗濯しないから…。でもお役にたてて嬉しいです。」
そういえば、一度たまみが洗濯してくれているところを学園内で偶然見かけたのを思い出した。
私の装束をにこにこと洗う彼女を、まるで奥さんみたいだよなと嬉しいような照れるような心持ちでほんの少し…ほんの少し眺めていると、それを山田先生に見つかってしまい随分からかわれたものだ…。
「?…何を思い出して笑ってるんですか?」
「いや…何でもないよ。そうそう、料理もすごく上手になったよね。かまどの扱い方も知らなかったのに。」
「それは…半助さんのために美味しいご飯を作れるようになりたくて…。頑張って覚えました。」
可愛すぎるだろ…。
私の胸に頬を擦り寄せながら嬉しそうにそう言う彼女。
思わず抱きしめる腕に力をいれた。
「ありがとう。…うちで初めて雑炊を作ってくれたときもすごく嬉しかったよ。」
「私も…初めて半助さんのお家に行ってドキドキして…一緒にご飯作って嬉しかったです。」
頬を染めて嬉しそうに微笑むたまみ。
もう恋仲になって結構経つのに、ずっと変わらず…いやむしろ前よりもっと甘く私を愛してくれて…愛しさがどんどん募る。
人を愛するとはこういうことなのだなと改めて思う。
たまみがこの世界に…私の前に現れてくれて本当によかった…。
「私はたまみに出会えて本当に嬉しいけど、たまみにとっては全てが一からで戸惑うことも多かっただろう。……ここまで一年間本当によく頑張ったね。」
「……はい…」
ここまでの苦労を思い出したのか、たまみが少し涙ぐんだ。
その頭を優しく撫でる。
今日まで、きっと私が思う以上に辛いことや大変なことがあったのだろう。
「半助さんがいてくれたから…ここまで頑張れました。」
健気に微笑む姿に胸が締め付けられた。
「私こそ、たまみが一生懸命頑張る姿に励まされたし、何より、その…癒してもらったというか…」
「ほんとですか…?」
「ああ、たまみのおかげで私も頑張れたよ。」
「嬉しい…」
微笑む彼女の頬に手をあててゆっくり顔を近づける。
そっと目を閉じるたまみに優しく口付け強く抱きしめた。
「それで、ね…。」
「?」
「これ…何にしようか迷ったんだけど…誕生日プレゼント。よければ使って。」
「えっ!」
そう言うと私は背中に隠していたものを彼女に渡した。
驚きつつも嬉しそうな顔でたまみが広げると、それは薄桃色のエプロンだった。
「えーっ、可愛い~っ!!これ、半助さんが作ってくれたんですか!?すごーいっ!!」
横に付けたひらひらのフリルを触りながらたまみが嬉しそうにエプロンを眺めた。
「着るのが勿体ないくらい可愛いですね…!ありがとうございます!!」
満面の笑みで喜ぶたまみ。
私も嬉しくなりつられて笑った。
「うん、白も似合うけどたまみは色白だから薄い桃色も肌に映えるかなと思ってその色にしたんだ。肌触りのいい生地だから気持ちもいいだろう。」
「…!」
ん?
たまみが急にハッとした顔をして赤くなり俯いた。
どうしたんだろう。
「どうかした?」
「い、いえ…!その…それって……もしかして…」
何故か頬を染めてモジモジとこちらを見ている。
……あ。
もしかして…。
「毎日きみのご飯が食べたいな」というようなプロポーズ的な意味で受け取られたのだろうか。
もちろん気持ちとしては大いにその通りなのだが、正式に求婚するのにエプロンを…というのはさすがにどうだろう。
私は少し焦って笑いながらごまかした。
「あ、大きかったら調整するから。ちょっと着てみてくれるかい?」
「えっ、あの、今ここで…?」
「うん。」
「…そ、そんなに見たいんですか?」
「うん?そうだね…可愛いエプロン姿見てみたいな。」
「!」
「後ろから見ても可愛くなるようにリボンも工夫してみたんだ。」
たまみが赤くなって俯きながら、ぎゅっとエプロンを抱きしめた。
「わ、分かりました…じゃあ、ちょっと目を閉じててくださいね。」
言われた通りに目を閉じる。
よかった、喜んでくれたようだ。
何にしようか散々迷ったが、うちでご飯を作ってくれている後ろ姿を見て思いついた。
そういえばたまみは自分の前掛けを持っていないから、うちでは何も着けずに料理をしているなと。
しかも食堂で着ている割烹着は小柄なたまみにはちょっと大きい。
よし、エプロンを作って贈ろう…!
そうと決めたら早く作りたくて、預かっている赤ん坊を連れたまま生地を買いに走った。
ちょうど色白の彼女に似合いそうな薄い桃色の生地を見つけ、たまみときり丸が寝静まった夜中に一人起きて縫った。
どうせなら彼女に似合うエプロンをと考え、記憶をたよりに南蛮の可愛らしいデザインを真似てフリルなども付けてみた。
思ったより可愛らしいデザインに仕上がったが、たまみにはよく似合うと思う。
これを着て家でご飯を作ってくれるところを想像してみる。
……
………
…イイ。よすぎる…!
可愛いエプロンで私ときり丸の為だけに料理をしてくれるたまみ。
想像するだけでつい顔がにやけてしまった。
「目、あけていいですよ。」
たまみの声にワクワクしながら目を開けると。
「!!!?」
「……こういうのがお好みなのですね…?」
「な、な、なっ…!!?」
そこには、裸にエプロンを着て恥ずかしそうにしているたまみがいた。
「…あの…そんなに見られると……」
あまりの驚きに固まった。
こ、これは…っ!?
「な、何で…!?」
「えっ?」
「ふ、ふつーに着てくれ…っっ!!」
「!」
慌てて畳に置かれている夜着を拾おうとすると、たまみも同時に手を伸ばした。
「…っ!」
目の前に胸の谷間が見えて、つい目が釘付けになった。
そのまま視線が流れて…エプロンの横からチラリと見える胸、くびれた腰、太もも……。
エプロンで少しだけ隠れているのがいやらしいというか、思わずその隙間から手を差し込みたい誘惑にかられた。
「え、あの、半助さん、肌の色に映えるとか肌触りよくて気持ちいいとか言うから、てっきり…!」
「い、いや、だからって…何で、その……」
「裸エプロンは男の浪漫だと本にも書いてたし、そういうことなのかなって…!」
「そ、そんな訳ないだろー!」
「す、すみません…っ!!」
誤解に気づき羞恥に泣きそうになる彼女。
一体何の本を読んでいるんだ…!
というか、それではさっきの私の会話…とんだ変態の台詞じゃないか!?
心のなかで突っ込んでみるものの、エプロンからチラリと見える素肌に目線が外せず…ついじっと見てしまった。
我ながらナイスなサイズで作ったものだ…このチラリズムの絶妙な隙間…!
…じゃなくて!!
私は変態ではないのだ。
たまみにそんな格好をさせるわけには…!
いやしかし、裸エプロンが男のロマンだと…?
ふーむ、なるほど…いやしかし…うん、……うん、なるほど。
「えっと、あの…半助さん?目が、こわい…?」
恥ずかしそうに、ほぼ反射的に私に背を向けるたまみ。
後ろは当然丸見えなわけで…。
腰に巻かれたリボンが可愛いお尻に垂れていて…。
思わずごくりと唾を飲み込んだ。
「たまみ…」
夜着で肌を隠そうとするたまみの手首を掴む。
その手をゆっくり横に開かせると、パサリと夜着が畳に落ちた。
知らず、声が低く掠れる。
「そういうつもりでは、なかったんだけど……」
羞恥に潤んだ彼女の瞳。
欲望に火のついた自分の目が映り込んだ。
戸惑いと羞恥に俯くたまみの顎を上に向かせる。
柔らかい唇をそっと舐めると遠慮がちに口を少し開けてくれ、己の情欲を伝えるように舌を絡ませ深く口付けた。
「んっ……ぅ…」
漏れる吐息。
薄く目を開けて彼女を見ると、たまみもまた恍惚とした顔になっていて…。
清楚なはずのエプロンとその淫靡な姿のギャップに身体が熱くなる。
「もっと、よく見せて……」
本当にそんなつもりじゃなかったのに。
決して、そういう変な目的のプレゼントではなかったのに。
………あんまりたまみが可愛くて。
欲情を抑えきれなくなり、肩口に吸い付くと脇腹から手を侵入させた。
「あっ…!」
「たまみ…っ」
びくりと反応するたまみに、もう我慢ならなくてそのまま押し倒した。
そうして結局、その夜はエプロン姿の彼女に料理を作って貰うのではなく、エプロン姿の彼女を美味しく頂いてしまったのだった…。
私とたまみは新学期の準備があるので、少し早く忍術学園に戻った。
きり丸はまだ引き受けたバイトが残っているらしく家に留まり、乱太郎達と登校するという。
そして、ついにその日がやってきた。
私もたまみも朝から道具整備やら教材作成、資料整理に追われてあっという間に時間が過ぎていった。
更に学園長の突然の思いつきで想定外の仕事が増えて、予想より時間がかかってしまった。
結局たまみとろくに話す暇もないまま夜になり、いつも通りたまみの部屋を訪ねる時間となった。
「今日もバタバタしましたねぇ、お疲れ様でした。」
たまみが労うようにお茶を出してくれる。
「ありがとう」と言いながらそっとその腕を引いて抱き寄せると、石鹸の香りがした。
湯上がりなのか髪もまだ濡れている。
「たまみもお疲れ様。」
濡れた髪を手ですくい口付けると、腕の中の彼女は甘えるように私の胸に寄り添ってきた。
あー、本当に可愛い…。
「たまみ、今日は何の日か覚えてるかい?」
「今日ですか?」
「うん」
「………何でしたっけ?」
どうやら、自分がこの世界に来た日…たまみの誕生日にしようと言った日がいつなのか、本人は分かっていなかったようだ。
私は彼女の頭を撫でて微笑んだ。
「誕生日おめでとう。一年間よく頑張ったね。」
「!?」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をするたまみ。
「一年前の今日、私達は出会ったんだよ。」
「あ…私、それが何日なのかはっきり分かってませんでした。」
たまみはごまかすように笑って頭をかいた。
「うん、突然のことで右も左も分からず…あのときは大変だったもんなぁ。」
「はい…。半助さんがいなかったらここまでやってこれませんでした。いっぱい助けてもらって…。」
「たいしたことはしてないよ。たまみは頑張り屋さんだから…今では崩した文字だって読み書きできるようになったよね。」
「えへへ、半助さんとの日記が楽しくて頑張っちゃいました。」
照れ笑いをしながら可愛いことを言ってくれる。
思わずその頭をよしよしと撫でた。
「私も…たまみが食堂でどんな風に過ごしているのかとか生徒達と何があったかとか…毎日楽しみに読んでるよ。」
「ふふ、つい半助さんが好きとか今日の半助さんは格好よかったとか書きたくなっちゃいます。」
「…っ。…それは……直接言ってほしいな。」
何と返そうか一瞬迷ったが、素直にそう言ってみるとたまみが嬉しそうに笑った。
二人で微笑んで見つめあい、そっと唇を重ねる。
ああ、ほんと可愛い…。
思わずぎゅっと抱きしめて腕のなかに閉じ込めた。
「初めの頃は色々心配だったけど…、もう日常生活は問題なく過ごせるようになったね。」
「最初は洗濯の仕方すら分かりませんでしたもんね。」
「いまや私のものまで洗ってくれて申し訳ないというか…すごく助かるよ、ありがとう。」
「半助さん放っておくとあんまり洗濯しないから…。でもお役にたてて嬉しいです。」
そういえば、一度たまみが洗濯してくれているところを学園内で偶然見かけたのを思い出した。
私の装束をにこにこと洗う彼女を、まるで奥さんみたいだよなと嬉しいような照れるような心持ちでほんの少し…ほんの少し眺めていると、それを山田先生に見つかってしまい随分からかわれたものだ…。
「?…何を思い出して笑ってるんですか?」
「いや…何でもないよ。そうそう、料理もすごく上手になったよね。かまどの扱い方も知らなかったのに。」
「それは…半助さんのために美味しいご飯を作れるようになりたくて…。頑張って覚えました。」
可愛すぎるだろ…。
私の胸に頬を擦り寄せながら嬉しそうにそう言う彼女。
思わず抱きしめる腕に力をいれた。
「ありがとう。…うちで初めて雑炊を作ってくれたときもすごく嬉しかったよ。」
「私も…初めて半助さんのお家に行ってドキドキして…一緒にご飯作って嬉しかったです。」
頬を染めて嬉しそうに微笑むたまみ。
もう恋仲になって結構経つのに、ずっと変わらず…いやむしろ前よりもっと甘く私を愛してくれて…愛しさがどんどん募る。
人を愛するとはこういうことなのだなと改めて思う。
たまみがこの世界に…私の前に現れてくれて本当によかった…。
「私はたまみに出会えて本当に嬉しいけど、たまみにとっては全てが一からで戸惑うことも多かっただろう。……ここまで一年間本当によく頑張ったね。」
「……はい…」
ここまでの苦労を思い出したのか、たまみが少し涙ぐんだ。
その頭を優しく撫でる。
今日まで、きっと私が思う以上に辛いことや大変なことがあったのだろう。
「半助さんがいてくれたから…ここまで頑張れました。」
健気に微笑む姿に胸が締め付けられた。
「私こそ、たまみが一生懸命頑張る姿に励まされたし、何より、その…癒してもらったというか…」
「ほんとですか…?」
「ああ、たまみのおかげで私も頑張れたよ。」
「嬉しい…」
微笑む彼女の頬に手をあててゆっくり顔を近づける。
そっと目を閉じるたまみに優しく口付け強く抱きしめた。
「それで、ね…。」
「?」
「これ…何にしようか迷ったんだけど…誕生日プレゼント。よければ使って。」
「えっ!」
そう言うと私は背中に隠していたものを彼女に渡した。
驚きつつも嬉しそうな顔でたまみが広げると、それは薄桃色のエプロンだった。
「えーっ、可愛い~っ!!これ、半助さんが作ってくれたんですか!?すごーいっ!!」
横に付けたひらひらのフリルを触りながらたまみが嬉しそうにエプロンを眺めた。
「着るのが勿体ないくらい可愛いですね…!ありがとうございます!!」
満面の笑みで喜ぶたまみ。
私も嬉しくなりつられて笑った。
「うん、白も似合うけどたまみは色白だから薄い桃色も肌に映えるかなと思ってその色にしたんだ。肌触りのいい生地だから気持ちもいいだろう。」
「…!」
ん?
たまみが急にハッとした顔をして赤くなり俯いた。
どうしたんだろう。
「どうかした?」
「い、いえ…!その…それって……もしかして…」
何故か頬を染めてモジモジとこちらを見ている。
……あ。
もしかして…。
「毎日きみのご飯が食べたいな」というようなプロポーズ的な意味で受け取られたのだろうか。
もちろん気持ちとしては大いにその通りなのだが、正式に求婚するのにエプロンを…というのはさすがにどうだろう。
私は少し焦って笑いながらごまかした。
「あ、大きかったら調整するから。ちょっと着てみてくれるかい?」
「えっ、あの、今ここで…?」
「うん。」
「…そ、そんなに見たいんですか?」
「うん?そうだね…可愛いエプロン姿見てみたいな。」
「!」
「後ろから見ても可愛くなるようにリボンも工夫してみたんだ。」
たまみが赤くなって俯きながら、ぎゅっとエプロンを抱きしめた。
「わ、分かりました…じゃあ、ちょっと目を閉じててくださいね。」
言われた通りに目を閉じる。
よかった、喜んでくれたようだ。
何にしようか散々迷ったが、うちでご飯を作ってくれている後ろ姿を見て思いついた。
そういえばたまみは自分の前掛けを持っていないから、うちでは何も着けずに料理をしているなと。
しかも食堂で着ている割烹着は小柄なたまみにはちょっと大きい。
よし、エプロンを作って贈ろう…!
そうと決めたら早く作りたくて、預かっている赤ん坊を連れたまま生地を買いに走った。
ちょうど色白の彼女に似合いそうな薄い桃色の生地を見つけ、たまみときり丸が寝静まった夜中に一人起きて縫った。
どうせなら彼女に似合うエプロンをと考え、記憶をたよりに南蛮の可愛らしいデザインを真似てフリルなども付けてみた。
思ったより可愛らしいデザインに仕上がったが、たまみにはよく似合うと思う。
これを着て家でご飯を作ってくれるところを想像してみる。
……
………
…イイ。よすぎる…!
可愛いエプロンで私ときり丸の為だけに料理をしてくれるたまみ。
想像するだけでつい顔がにやけてしまった。
「目、あけていいですよ。」
たまみの声にワクワクしながら目を開けると。
「!!!?」
「……こういうのがお好みなのですね…?」
「な、な、なっ…!!?」
そこには、裸にエプロンを着て恥ずかしそうにしているたまみがいた。
「…あの…そんなに見られると……」
あまりの驚きに固まった。
こ、これは…っ!?
「な、何で…!?」
「えっ?」
「ふ、ふつーに着てくれ…っっ!!」
「!」
慌てて畳に置かれている夜着を拾おうとすると、たまみも同時に手を伸ばした。
「…っ!」
目の前に胸の谷間が見えて、つい目が釘付けになった。
そのまま視線が流れて…エプロンの横からチラリと見える胸、くびれた腰、太もも……。
エプロンで少しだけ隠れているのがいやらしいというか、思わずその隙間から手を差し込みたい誘惑にかられた。
「え、あの、半助さん、肌の色に映えるとか肌触りよくて気持ちいいとか言うから、てっきり…!」
「い、いや、だからって…何で、その……」
「裸エプロンは男の浪漫だと本にも書いてたし、そういうことなのかなって…!」
「そ、そんな訳ないだろー!」
「す、すみません…っ!!」
誤解に気づき羞恥に泣きそうになる彼女。
一体何の本を読んでいるんだ…!
というか、それではさっきの私の会話…とんだ変態の台詞じゃないか!?
心のなかで突っ込んでみるものの、エプロンからチラリと見える素肌に目線が外せず…ついじっと見てしまった。
我ながらナイスなサイズで作ったものだ…このチラリズムの絶妙な隙間…!
…じゃなくて!!
私は変態ではないのだ。
たまみにそんな格好をさせるわけには…!
いやしかし、裸エプロンが男のロマンだと…?
ふーむ、なるほど…いやしかし…うん、……うん、なるほど。
「えっと、あの…半助さん?目が、こわい…?」
恥ずかしそうに、ほぼ反射的に私に背を向けるたまみ。
後ろは当然丸見えなわけで…。
腰に巻かれたリボンが可愛いお尻に垂れていて…。
思わずごくりと唾を飲み込んだ。
「たまみ…」
夜着で肌を隠そうとするたまみの手首を掴む。
その手をゆっくり横に開かせると、パサリと夜着が畳に落ちた。
知らず、声が低く掠れる。
「そういうつもりでは、なかったんだけど……」
羞恥に潤んだ彼女の瞳。
欲望に火のついた自分の目が映り込んだ。
戸惑いと羞恥に俯くたまみの顎を上に向かせる。
柔らかい唇をそっと舐めると遠慮がちに口を少し開けてくれ、己の情欲を伝えるように舌を絡ませ深く口付けた。
「んっ……ぅ…」
漏れる吐息。
薄く目を開けて彼女を見ると、たまみもまた恍惚とした顔になっていて…。
清楚なはずのエプロンとその淫靡な姿のギャップに身体が熱くなる。
「もっと、よく見せて……」
本当にそんなつもりじゃなかったのに。
決して、そういう変な目的のプレゼントではなかったのに。
………あんまりたまみが可愛くて。
欲情を抑えきれなくなり、肩口に吸い付くと脇腹から手を侵入させた。
「あっ…!」
「たまみ…っ」
びくりと反応するたまみに、もう我慢ならなくてそのまま押し倒した。
そうして結局、その夜はエプロン姿の彼女に料理を作って貰うのではなく、エプロン姿の彼女を美味しく頂いてしまったのだった…。