第40話 蜂蜜
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朝、食堂にいくと、たまみさんがいつものようにカウンターに立っていた。
挨拶をすると、真っ赤な顔をして「お、おはよ、う、ございます…!」と返された。
動揺して涙目になっているのが可愛いなと、思わず微笑んでしまった。
自分も赤くなりそうなところをぐっと堪えて、いつも通りに振る舞うよう意識する。
でも少しでも話したくて、つい天気の話題なんかを口にした。
「そうですね。」と窓の外を見る彼女の横顔に昨夜の横顔が重なって、慌ててお膳に目を落とす。
すると入り口から山田先生が入ってきたのが見えたので、「ありがとう」と言って席についた。
…こんなことで、授業は大丈夫だろうか。
あいつら、変なところで妙に勘がいいときがあったりするからなぁ…。
私は気を引き締め直した。
授業はいつも通りに終わった。
誰も何も気づいた様子はない。
たまみさんも普段通りに振る舞ってくれたので安心して教室をあとにする。
職員室にたまみさんと入り、彼女は明日使うプリントを作成し、私は生徒が提出した宿題に目を通す。
テストじゃないのだから調べて書けばよいものを、どうしてこいつらはこんな適当に答えを書くのだ…!
いい加減すぎる宿題の回答にげんなりしていると、たまみさんの視線を感じた。
「?…たまみさん、どうかしましたか?」
「あ、いえ、そのっ…!」
たまみさんは赤くなって俯き、小声で呟いた。
「ゆ、夢みたいだなと…思いまして…」
膝の上でぎゅっと手を握って伏し目がちに頬を染める姿がいじらしくて。
私は周りに人の気配がないことを確認してから、そっと彼女の手に自分の手を重ねた。
「私も…何度も、夢じゃないかと思いました…。」
「土井先生…。」
朱に染まった彼女の頬に手をあてる。
彼女が顔を上げ、その額に私の前髪が触れて…。
どたどたどたっ
「「!」」
足音が響いてきて私達はぱっと身を離した。
「失礼します!土井先生、たまみさん!」
勢いよく障子を開けて、三治郎と虎若が顔を出した。
にこにこしたその顔に、今度は悪い報告ではないと予想する。
「一緒に、蜂蜜を取りに行きませんか?」
「蜂蜜?」
「養蜂家の知り合いがいるんですけど、今年は蜂蜜がたくさん採れそうだから少し分けてくれることになったんです。この前のサソリでたまみさんに怖い思いをさせてしまったお詫びに、一緒にどうかなと思いまして。」
「そんなの気にしなくていいけど、…蜂蜜?」
「はい!」
たまみさんの目が興味を引かれたように輝いた。
分かりやすいなと苦笑する。
「蜂蜜かぁ、甘いのかな?」
「とっても甘いですよ!」
「でも、ハチに刺されない?」
「変に刺激しなければ大丈夫だと思いますよ。もし恐ければ巣箱の近くに小さな小屋があるので、そこで待っていてください。採れたての蜂蜜をすぐ持っていきますよ。すっごく美味しいんです!」
三治郎と虎若が「ねー!」と顔を見合わせて笑った。
たまみさんがこちらを伺うように見てくる。
その目を見ると、採れたての蜂蜜という響きに心動かされていたようだった。
「…場所は、ここから近いのか?」
結局、少しだけならということでその養蜂場に行ってみることになった。
挨拶をすると、真っ赤な顔をして「お、おはよ、う、ございます…!」と返された。
動揺して涙目になっているのが可愛いなと、思わず微笑んでしまった。
自分も赤くなりそうなところをぐっと堪えて、いつも通りに振る舞うよう意識する。
でも少しでも話したくて、つい天気の話題なんかを口にした。
「そうですね。」と窓の外を見る彼女の横顔に昨夜の横顔が重なって、慌ててお膳に目を落とす。
すると入り口から山田先生が入ってきたのが見えたので、「ありがとう」と言って席についた。
…こんなことで、授業は大丈夫だろうか。
あいつら、変なところで妙に勘がいいときがあったりするからなぁ…。
私は気を引き締め直した。
授業はいつも通りに終わった。
誰も何も気づいた様子はない。
たまみさんも普段通りに振る舞ってくれたので安心して教室をあとにする。
職員室にたまみさんと入り、彼女は明日使うプリントを作成し、私は生徒が提出した宿題に目を通す。
テストじゃないのだから調べて書けばよいものを、どうしてこいつらはこんな適当に答えを書くのだ…!
いい加減すぎる宿題の回答にげんなりしていると、たまみさんの視線を感じた。
「?…たまみさん、どうかしましたか?」
「あ、いえ、そのっ…!」
たまみさんは赤くなって俯き、小声で呟いた。
「ゆ、夢みたいだなと…思いまして…」
膝の上でぎゅっと手を握って伏し目がちに頬を染める姿がいじらしくて。
私は周りに人の気配がないことを確認してから、そっと彼女の手に自分の手を重ねた。
「私も…何度も、夢じゃないかと思いました…。」
「土井先生…。」
朱に染まった彼女の頬に手をあてる。
彼女が顔を上げ、その額に私の前髪が触れて…。
どたどたどたっ
「「!」」
足音が響いてきて私達はぱっと身を離した。
「失礼します!土井先生、たまみさん!」
勢いよく障子を開けて、三治郎と虎若が顔を出した。
にこにこしたその顔に、今度は悪い報告ではないと予想する。
「一緒に、蜂蜜を取りに行きませんか?」
「蜂蜜?」
「養蜂家の知り合いがいるんですけど、今年は蜂蜜がたくさん採れそうだから少し分けてくれることになったんです。この前のサソリでたまみさんに怖い思いをさせてしまったお詫びに、一緒にどうかなと思いまして。」
「そんなの気にしなくていいけど、…蜂蜜?」
「はい!」
たまみさんの目が興味を引かれたように輝いた。
分かりやすいなと苦笑する。
「蜂蜜かぁ、甘いのかな?」
「とっても甘いですよ!」
「でも、ハチに刺されない?」
「変に刺激しなければ大丈夫だと思いますよ。もし恐ければ巣箱の近くに小さな小屋があるので、そこで待っていてください。採れたての蜂蜜をすぐ持っていきますよ。すっごく美味しいんです!」
三治郎と虎若が「ねー!」と顔を見合わせて笑った。
たまみさんがこちらを伺うように見てくる。
その目を見ると、採れたての蜂蜜という響きに心動かされていたようだった。
「…場所は、ここから近いのか?」
結局、少しだけならということでその養蜂場に行ってみることになった。