第45話 美人コンテスト
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今日はきり丸くんと山菜を採り、それを売るために町に来ていた。
「あれ、あの人だかりなんでしょうね。」
きり丸くんが指差した先には、たくさんの女性が集まっていた。
「人の集まるところには銭儲けのネタがあるかも!」
「あ、ちょっと待って…!」
きり丸くんが勢いよく人だかりの中に突っ込んでいき、何かのチラシを手にして戻ってきた。
「たまみさん、これスゴいですよ!」
「何これ…。」
チラシには『美人コンテスト』と書いてあり、なんと参加賞が米1週間分、優勝で一年分だという。
「参加だけでお米1週間分…!?」
「それを売ったら結構なお金になりますね!」
「まぁ確かに…でも条件よすぎて怪しくない?しかも美人じゃなきゃ出られないし残念…」
苦笑すると、目を小銭にしたきり丸くんが
「参加するだけならタダ!優勝しなくても参加だけしてみたらいいじゃないですか!!僕も出ます!」
「きり丸くんが!?」
「お米1週間分ですよっ!当然出ます!」
「うーん…。」
きり丸くんがチラシをじっと見た。
「開催地はここ以外でもやってたみたいですね。今回が4回目…最終回って書いてあります。もう今しかないですよ!」
「あ、ちょっと!」
きり丸くんに腕を引かれて受付の前まで来た。
参加賞が豪華なためか、そこには長蛇の列ができている。
しかしよく見ると何人か受付で弾かれている人がいた。
そして受付係の人と誰かが揉めだした。
「すみませんが、これは女装コンテストじゃなくて美人コンテストです。お帰りください。」
「ちょっと!俺…わたくしのどこが男だというの!?」
「そうよ、こいつらはともかく、私だけでも受付を通しなさいよ!」
受付で揉めていたのは女装した潮江くん、七松くん、食満くんだった。
「きり丸くん、あれって…!」
「関わらない方がよさそうですね…。また誰の女装が一番かとか決めようとしてたんじゃないすか。」
「そ、そうだね…。」
苦笑いして横を見ると、他にも弾かれている人がいた。
「おばあちゃん、年齢制限のとこ見た?25歳までって書いてあるでしょ。」
「私だって若い頃は美人だったんじゃ!今でも心は二十歳のままよ!」
…受付係の人、大変そうだなぁ…。
景品か良すぎて参加者の勢いがすごい…。
列が長すぎて、もうすぐ受付締切の看板が置かれていた。
ふと横を見ると、きり丸くんより小さな女の子が必死で話していた。
「お嬢ちゃん、これは16歳からしか出られないんだよ。悪いけど諦めてくれ。」
「お米ほしいの!出させて…!」
結局、受付してもらえなかったその女の子は泣きながらこちらの方に歩いてきた。
一人で悲しげに泣く姿が放っておけなくて、私はしゃがんでその子に話しかけた。
「大丈夫?一人で来たの?」
女の子は私を怪訝そうに見たあと泣きながら頷いた。
「お家は?一緒にいこっか?」
すると女の子はポロポロ泣きながら小さな声で言った。
「お母さん…、ご飯なくて…、赤ちゃん…、元気なくて…!」
女の子は着古して丈の短くなったボロボロの小袖でグシグシと顔を拭いた。
「………それで一人でお米を…?」
泣きじゃくり頷く女の子の頭を私は抱きしめて撫でた。
察するに、貧しさからお母さんが食べられず母乳が出なくて赤ちゃんが弱っているということか。
「…分かった、私が代わりに出てあげるから。お米、もらってくれる?」
「たまみさん!?」
きり丸くんが驚き動揺した顔で私を見た。
女の子が涙に濡れた目で私を見上げる。
私は安心させるよう微笑んでみせた。
周囲の無関心な反応からこういう子どもは多いのかもしれない。
いま助けたからといって救えるのかは疑問だし自己満足の偽善かもしれない。
だけど、それでも。
私には目の前で泣いている子をそのままにすることはできなかった。
「参加賞のお米、私はいらないから、もらってくれる?」
「……いいの?」
「うん。そのお米でお粥を作ってお母さんにも食べさせてあげよう。」
女の子はまた声を出して泣き出して、私の裾をぎゅっと握った。
「きり丸くん、この子をお母さんのところまで送ってあげてくれる?どんな状況か見てきて…。私は受付が終わる前に手続きしておくから。」
「たまみさん…」
きり丸くんは複雑な顔をしながらも何も言わず、女の子の手を握って自分の袖で涙を拭いてあげた。
「ほら…お母さんはどこにいるんだ?」
「……あっち…。」
二人が歩いていく後ろ姿を見えなくなるまで見送った。
一人になったことに一抹の不安を感じたけれど、私は列の最後尾に静かに並んだ。
「あれ、あの人だかりなんでしょうね。」
きり丸くんが指差した先には、たくさんの女性が集まっていた。
「人の集まるところには銭儲けのネタがあるかも!」
「あ、ちょっと待って…!」
きり丸くんが勢いよく人だかりの中に突っ込んでいき、何かのチラシを手にして戻ってきた。
「たまみさん、これスゴいですよ!」
「何これ…。」
チラシには『美人コンテスト』と書いてあり、なんと参加賞が米1週間分、優勝で一年分だという。
「参加だけでお米1週間分…!?」
「それを売ったら結構なお金になりますね!」
「まぁ確かに…でも条件よすぎて怪しくない?しかも美人じゃなきゃ出られないし残念…」
苦笑すると、目を小銭にしたきり丸くんが
「参加するだけならタダ!優勝しなくても参加だけしてみたらいいじゃないですか!!僕も出ます!」
「きり丸くんが!?」
「お米1週間分ですよっ!当然出ます!」
「うーん…。」
きり丸くんがチラシをじっと見た。
「開催地はここ以外でもやってたみたいですね。今回が4回目…最終回って書いてあります。もう今しかないですよ!」
「あ、ちょっと!」
きり丸くんに腕を引かれて受付の前まで来た。
参加賞が豪華なためか、そこには長蛇の列ができている。
しかしよく見ると何人か受付で弾かれている人がいた。
そして受付係の人と誰かが揉めだした。
「すみませんが、これは女装コンテストじゃなくて美人コンテストです。お帰りください。」
「ちょっと!俺…わたくしのどこが男だというの!?」
「そうよ、こいつらはともかく、私だけでも受付を通しなさいよ!」
受付で揉めていたのは女装した潮江くん、七松くん、食満くんだった。
「きり丸くん、あれって…!」
「関わらない方がよさそうですね…。また誰の女装が一番かとか決めようとしてたんじゃないすか。」
「そ、そうだね…。」
苦笑いして横を見ると、他にも弾かれている人がいた。
「おばあちゃん、年齢制限のとこ見た?25歳までって書いてあるでしょ。」
「私だって若い頃は美人だったんじゃ!今でも心は二十歳のままよ!」
…受付係の人、大変そうだなぁ…。
景品か良すぎて参加者の勢いがすごい…。
列が長すぎて、もうすぐ受付締切の看板が置かれていた。
ふと横を見ると、きり丸くんより小さな女の子が必死で話していた。
「お嬢ちゃん、これは16歳からしか出られないんだよ。悪いけど諦めてくれ。」
「お米ほしいの!出させて…!」
結局、受付してもらえなかったその女の子は泣きながらこちらの方に歩いてきた。
一人で悲しげに泣く姿が放っておけなくて、私はしゃがんでその子に話しかけた。
「大丈夫?一人で来たの?」
女の子は私を怪訝そうに見たあと泣きながら頷いた。
「お家は?一緒にいこっか?」
すると女の子はポロポロ泣きながら小さな声で言った。
「お母さん…、ご飯なくて…、赤ちゃん…、元気なくて…!」
女の子は着古して丈の短くなったボロボロの小袖でグシグシと顔を拭いた。
「………それで一人でお米を…?」
泣きじゃくり頷く女の子の頭を私は抱きしめて撫でた。
察するに、貧しさからお母さんが食べられず母乳が出なくて赤ちゃんが弱っているということか。
「…分かった、私が代わりに出てあげるから。お米、もらってくれる?」
「たまみさん!?」
きり丸くんが驚き動揺した顔で私を見た。
女の子が涙に濡れた目で私を見上げる。
私は安心させるよう微笑んでみせた。
周囲の無関心な反応からこういう子どもは多いのかもしれない。
いま助けたからといって救えるのかは疑問だし自己満足の偽善かもしれない。
だけど、それでも。
私には目の前で泣いている子をそのままにすることはできなかった。
「参加賞のお米、私はいらないから、もらってくれる?」
「……いいの?」
「うん。そのお米でお粥を作ってお母さんにも食べさせてあげよう。」
女の子はまた声を出して泣き出して、私の裾をぎゅっと握った。
「きり丸くん、この子をお母さんのところまで送ってあげてくれる?どんな状況か見てきて…。私は受付が終わる前に手続きしておくから。」
「たまみさん…」
きり丸くんは複雑な顔をしながらも何も言わず、女の子の手を握って自分の袖で涙を拭いてあげた。
「ほら…お母さんはどこにいるんだ?」
「……あっち…。」
二人が歩いていく後ろ姿を見えなくなるまで見送った。
一人になったことに一抹の不安を感じたけれど、私は列の最後尾に静かに並んだ。