第85話 隠し事
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何か隠してるんじゃないかと言われてどきりとした。
まさか、太ってこそこそダイエットしていることがバレた…!?
それにしても、急に天井裏に行ったりして何があったのかな…。
まさか、正直に話さない私に怒って帰っちゃった…!?
彼の消えた天井を眺めていると、サッと冷たい空気が入ってきた。
何だろうと障子の方に目をやると、静かにあけられた障子のそばに見知らぬ男性が無言で立っていた。
「……ど、どなたですか…?」
尋ねるも、男性は無表情のままでこちらを見下ろしている。
…こわい…!!
逃げようにも部屋の入り口を塞がれ逃げ場がない。
「………。」
男性が言葉もなくゆっくり近づいてくる。
その腕がこちらに伸ばされた。
それは、昼間練習していた護身術の形そのものだったにも関わらず、恐怖に身がすくんで体が動かなかった。
腕を捕まれ、その場に押し倒された。
抵抗しようにも、力が強すぎて全くびくともしない。
助けを呼ばなくちゃ…!!
しかし、声を出そうとした瞬間、口許を手で覆われ声も出なくなってしまった。
ゆっくりと、男性の顔が近づいてくる。
どうしよう…!
半助さん…!!!
「練習の成果は?」
!?
耳元に聞こえたその声は。
いま助けてと願った彼のもので。
何がどうなっているのか訳がわからず男性の顔を見ると、男性はバッと変装を解いて半助さんの姿になった。
「恐がらせてすまない。私だよ。」
「は…半……!?っ、なんで…!?」
未だ恐怖が拭えず震えている私を、半助さんがぎゅっと抱きしめた。
「今ので分かっただろう。護身術を練習しても実際には使えないこともある…。」
半助さんが苦しい程きつく抱きしめた。
「だから、一人で出歩かないとか…未然に予防する方が大事だと私は思う。」
大きな手がそっと頭を撫でる。
「自分で、じゃなくて……私に、きみを守らせてくれ…。」
「半助さん……」
怯えて冷たくなった気持ちが、温かくなっていくのを感じた。
数日とはいえあんなに真面目に護身術の練習を頑張ったのに。
いざというときには恐怖で全く動けないことを身をもって知った…。
…ん?
どうして、半助さんが護身術のことを?
「…あの、どうして私が護身術を練習してると…?」
半助さんは困ったように苦笑して頭をかいた。
「たまみに用があって食堂に行ったら居なかったから…悪いと思ったけどあとをつけたんだ。そしたら、利吉くんと二人で護身術の練習をしてるから…。」
「!」
「どうして私に嘘をついてまで…利吉くんと二人で隠れて護身術の練習を?」
真っ直ぐにじっと目を見つめられて、目がそらせなくなった。
もう、ごまかせない…。
「私では、頼りない?」
「ち、違うんです!そうではなくて…!」
私は観念して静かに話し出した。
「実は…私…」
「…うん」
私が躊躇いがちに言おうとすると、半助さんも心なしか緊張した顔になった。
「お正月に…お餅とか色々食べ過ぎて…」
「……うん?」
「太ってしまったから…内緒でダイエットしようと思いまして…」
「…………」
「学園裏で隠れて運動してたら、くノ一教室で護身術の練習をしてるのが見えて。運動ついでにやってみようと図書室で本を借りて練習していたら利吉さんに見つかって…。遠慮したんですけど、ダイエットのことは言えず結局教えてもらうことになってしまって…。」
「…えーと、つまり…」
「はい」
「痩せるために運動していただけだと?」
「…はい。」
「……え、それだけ?」
「………はい。」
「すごく真剣に練習してたよね?」
「根が真面目なのでつい…」
半助さんが疑いの眼差しを向けながら頬を触ってきた。
「…本当に?太ったかな?」
「ホントです!お腹とか、腰まわりとか…」
「えー、気づかなかったけど…。」
半助さんの目線が下がって腰の辺りを見ているので、両頬を手で挟んで上を向かせる。
「見ないでください…!」
「だって信じられなくて。」
「みんなに内緒で痩せて元に戻ろうと思っていたのに…よりによって一番知られたくない半助さんに知られてしまうなんて。」
「私には隠し事はしないでくれ…。」
半助さんが深いため息をついて悲しそうに私を見つめた。
「もしかして、たまみに何かあったんじゃないかとか…色々考えて、すごく心配したんだぞ…。」
「ごめんなさい…。」
「まったく…。でもまぁ、たいしたことじゃなくてよかった!多少丸くなってもいいじゃないか!」
半助さんがカラカラと笑った。
たいしたことじゃないって、そんなことないんですけど…!
でも、いつの間にか心配をかけてしまっていたのか…。
私は、些細なことでも隠し事はもうやめておこうと心に思った。
まさか、太ってこそこそダイエットしていることがバレた…!?
それにしても、急に天井裏に行ったりして何があったのかな…。
まさか、正直に話さない私に怒って帰っちゃった…!?
彼の消えた天井を眺めていると、サッと冷たい空気が入ってきた。
何だろうと障子の方に目をやると、静かにあけられた障子のそばに見知らぬ男性が無言で立っていた。
「……ど、どなたですか…?」
尋ねるも、男性は無表情のままでこちらを見下ろしている。
…こわい…!!
逃げようにも部屋の入り口を塞がれ逃げ場がない。
「………。」
男性が言葉もなくゆっくり近づいてくる。
その腕がこちらに伸ばされた。
それは、昼間練習していた護身術の形そのものだったにも関わらず、恐怖に身がすくんで体が動かなかった。
腕を捕まれ、その場に押し倒された。
抵抗しようにも、力が強すぎて全くびくともしない。
助けを呼ばなくちゃ…!!
しかし、声を出そうとした瞬間、口許を手で覆われ声も出なくなってしまった。
ゆっくりと、男性の顔が近づいてくる。
どうしよう…!
半助さん…!!!
「練習の成果は?」
!?
耳元に聞こえたその声は。
いま助けてと願った彼のもので。
何がどうなっているのか訳がわからず男性の顔を見ると、男性はバッと変装を解いて半助さんの姿になった。
「恐がらせてすまない。私だよ。」
「は…半……!?っ、なんで…!?」
未だ恐怖が拭えず震えている私を、半助さんがぎゅっと抱きしめた。
「今ので分かっただろう。護身術を練習しても実際には使えないこともある…。」
半助さんが苦しい程きつく抱きしめた。
「だから、一人で出歩かないとか…未然に予防する方が大事だと私は思う。」
大きな手がそっと頭を撫でる。
「自分で、じゃなくて……私に、きみを守らせてくれ…。」
「半助さん……」
怯えて冷たくなった気持ちが、温かくなっていくのを感じた。
数日とはいえあんなに真面目に護身術の練習を頑張ったのに。
いざというときには恐怖で全く動けないことを身をもって知った…。
…ん?
どうして、半助さんが護身術のことを?
「…あの、どうして私が護身術を練習してると…?」
半助さんは困ったように苦笑して頭をかいた。
「たまみに用があって食堂に行ったら居なかったから…悪いと思ったけどあとをつけたんだ。そしたら、利吉くんと二人で護身術の練習をしてるから…。」
「!」
「どうして私に嘘をついてまで…利吉くんと二人で隠れて護身術の練習を?」
真っ直ぐにじっと目を見つめられて、目がそらせなくなった。
もう、ごまかせない…。
「私では、頼りない?」
「ち、違うんです!そうではなくて…!」
私は観念して静かに話し出した。
「実は…私…」
「…うん」
私が躊躇いがちに言おうとすると、半助さんも心なしか緊張した顔になった。
「お正月に…お餅とか色々食べ過ぎて…」
「……うん?」
「太ってしまったから…内緒でダイエットしようと思いまして…」
「…………」
「学園裏で隠れて運動してたら、くノ一教室で護身術の練習をしてるのが見えて。運動ついでにやってみようと図書室で本を借りて練習していたら利吉さんに見つかって…。遠慮したんですけど、ダイエットのことは言えず結局教えてもらうことになってしまって…。」
「…えーと、つまり…」
「はい」
「痩せるために運動していただけだと?」
「…はい。」
「……え、それだけ?」
「………はい。」
「すごく真剣に練習してたよね?」
「根が真面目なのでつい…」
半助さんが疑いの眼差しを向けながら頬を触ってきた。
「…本当に?太ったかな?」
「ホントです!お腹とか、腰まわりとか…」
「えー、気づかなかったけど…。」
半助さんの目線が下がって腰の辺りを見ているので、両頬を手で挟んで上を向かせる。
「見ないでください…!」
「だって信じられなくて。」
「みんなに内緒で痩せて元に戻ろうと思っていたのに…よりによって一番知られたくない半助さんに知られてしまうなんて。」
「私には隠し事はしないでくれ…。」
半助さんが深いため息をついて悲しそうに私を見つめた。
「もしかして、たまみに何かあったんじゃないかとか…色々考えて、すごく心配したんだぞ…。」
「ごめんなさい…。」
「まったく…。でもまぁ、たいしたことじゃなくてよかった!多少丸くなってもいいじゃないか!」
半助さんがカラカラと笑った。
たいしたことじゃないって、そんなことないんですけど…!
でも、いつの間にか心配をかけてしまっていたのか…。
私は、些細なことでも隠し事はもうやめておこうと心に思った。