第81話 心落ち着くところ
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その夜。
いつものようにたまみの部屋にいくと、彼女がおもむろに抱きついてきた。
「っと…、どうしたんだい?」
受けとめて頭を撫でると、たまみが私の胸に顔を埋めたまま言った。
「ぎゅってしてください…。」
「………」
昼間のことが恐かったのだろうか。
私は彼女をぐっと抱きしめた。
どれくらいそうしていただろう。
やがてたまみがそっと顔をあげた。
「…離さないで、ください…。」
「たまみ…」
彼女の頬に手をあて、優しく口づけた。
「もう、離せないよ…。」
彼女の頭を抱き寄せ、耳元で囁く。
「ずっと、私の傍にいてくれ…。」
たまみが私の背に腕を回しぎゅっとしがみついた。
涙目で頷く彼女にまた唇を重ねる。
「…今日は、朝まで一緒にいようか。」
「えっ…いいんですか?」
「たまにはいいだろう。…山田先生にも、護衛を兼ねて、って伝えてある。」
そうして二人で布団に入ると、私は彼女がどこにも行けないように腕の中に閉じ込めた。
「一緒だと、温かいですね。」
嬉しそうに微笑むたまみ。
「そうだね。」
「半助さん」
「ん?」
「おやすみなさい…」
「おやすみ…」
頭をゆっくり撫でると、たまみが心地よさそうに目を閉じた。
今夜はたまみが不安がっているといけないからと山田先生に頼んでここで寝ることを了承してもらったが…本当は、私自身が不安だった。
朝、目が覚めたらたまみがいなくなってしまってやしないかと。
彼女の額にかかる髪をそっとよけてやる。
昼間の騒動で疲れているのか、もううとうとしているようだった。
…あの巻物は、もう燃やしてしまおう。
これまでは、たまみがもし帰りたいと思ったときのために巻物の存在を静観していた。
彼女の元いた世界は多分ここよりも豊かな世界なのではないかと思う。
来たときにはふっくらと綺麗だった彼女の指先も、今では水仕事でかさつく働き者の手になってしまった。
彼女の警戒心のなさは、警戒する必要のない世界にいたからではないかと思っていた。
ここでの暮らしが彼女にとって過酷に感じられるなら、私に愛想をつかしたときもう帰りたいと思うかもしれないと危惧していた。
しかし、たまみが帰りたくないと言ってくれるのなら…その気持ちがずっと変わらないことを願うしかないのだが…巻物は必要ない。
燃やしてこの世からなくしてしまえば、タソガレドキがたまみを狙う理由もなくなる。
たまみが心惑うこともなくなるはずだ…。
腕の中で安心したようにすやすやと眠る彼女。
その額にそっと口づける。
「大丈夫…大丈夫だ。」
半ば自分にも言い聞かせるように呟く。
小さなたまみをぎゅっと抱きしめ、私もゆっくり目を閉じた…。
いつものようにたまみの部屋にいくと、彼女がおもむろに抱きついてきた。
「っと…、どうしたんだい?」
受けとめて頭を撫でると、たまみが私の胸に顔を埋めたまま言った。
「ぎゅってしてください…。」
「………」
昼間のことが恐かったのだろうか。
私は彼女をぐっと抱きしめた。
どれくらいそうしていただろう。
やがてたまみがそっと顔をあげた。
「…離さないで、ください…。」
「たまみ…」
彼女の頬に手をあて、優しく口づけた。
「もう、離せないよ…。」
彼女の頭を抱き寄せ、耳元で囁く。
「ずっと、私の傍にいてくれ…。」
たまみが私の背に腕を回しぎゅっとしがみついた。
涙目で頷く彼女にまた唇を重ねる。
「…今日は、朝まで一緒にいようか。」
「えっ…いいんですか?」
「たまにはいいだろう。…山田先生にも、護衛を兼ねて、って伝えてある。」
そうして二人で布団に入ると、私は彼女がどこにも行けないように腕の中に閉じ込めた。
「一緒だと、温かいですね。」
嬉しそうに微笑むたまみ。
「そうだね。」
「半助さん」
「ん?」
「おやすみなさい…」
「おやすみ…」
頭をゆっくり撫でると、たまみが心地よさそうに目を閉じた。
今夜はたまみが不安がっているといけないからと山田先生に頼んでここで寝ることを了承してもらったが…本当は、私自身が不安だった。
朝、目が覚めたらたまみがいなくなってしまってやしないかと。
彼女の額にかかる髪をそっとよけてやる。
昼間の騒動で疲れているのか、もううとうとしているようだった。
…あの巻物は、もう燃やしてしまおう。
これまでは、たまみがもし帰りたいと思ったときのために巻物の存在を静観していた。
彼女の元いた世界は多分ここよりも豊かな世界なのではないかと思う。
来たときにはふっくらと綺麗だった彼女の指先も、今では水仕事でかさつく働き者の手になってしまった。
彼女の警戒心のなさは、警戒する必要のない世界にいたからではないかと思っていた。
ここでの暮らしが彼女にとって過酷に感じられるなら、私に愛想をつかしたときもう帰りたいと思うかもしれないと危惧していた。
しかし、たまみが帰りたくないと言ってくれるのなら…その気持ちがずっと変わらないことを願うしかないのだが…巻物は必要ない。
燃やしてこの世からなくしてしまえば、タソガレドキがたまみを狙う理由もなくなる。
たまみが心惑うこともなくなるはずだ…。
腕の中で安心したようにすやすやと眠る彼女。
その額にそっと口づける。
「大丈夫…大丈夫だ。」
半ば自分にも言い聞かせるように呟く。
小さなたまみをぎゅっと抱きしめ、私もゆっくり目を閉じた…。