第80話 核心
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
困ったことになってしまった。
食堂のおばちゃんとおつかいに出て忍術学園の門を潜ろうとかがんだとき、草履の鼻緒が切れてしまった。
すぐに直せると思いおばちゃんに先に行って貰うと、これがなかなか難しくて…。
手間取っているとおじいさんに声をかけられた。
「鼻緒が切れてしまったのかな?よければ直してしんぜよう。」
それは大きな荷物を持った小柄で太ったおじいさんだった。
私は自分で直せるからと遠慮したのだけれど、意外と強引なおじいさんで結局鼻緒を直すのを手伝って貰った。
「ありがとうございます、助かりました。」
「いやいや、困ったときはお互い様…うぅっ!!?」
立ち上がりかけたとき、おじいさんが腰を痛めたようでうずくまった。
「大丈夫ですか!?今すぐ医務室へ…!」
「いやいや、これは持病のようなもので診て貰うほどではない。しかしその荷物を持って歩くのはちとキツイな…。すまんが、すぐそこのわしの家まで一緒に運んでもらえないだろうか。」
もとはといえば私の鼻緒を直そうとして腰を痛めてしまったのだ。
私は少し迷ったけれど、すぐ近くに家があるということで、おじいさんの家まで荷物を運ぶことにした。
「…おじいさん、家はまだですか?」
「あと少しじゃよ。」
「すみませんが、私、これ以上は帰り道が分からなくなってしまいます…。」
「もう少し、もう少しだけ…あいたたた…!」
「大丈夫ですか?!」
このやりとりを何度繰り返しただろうか。
やはり医務室で診てもらうべきだったと…ご老人の『すぐそこ』は私の思う距離ではなかったと、とても後悔していた。
だんだん周りが人気のない道になり、林の中へと入っていったとき、さすがに不安になってきた。
「おじいさん、すみません、私、もう帰らなくては…。」
「いやはや、ありがとう。着きましたよ。」
「えっ?」
おじいさんが指差したのはどうみても今は誰も使われていない廃寺だった。
まさか、ここに住んでるのかしら…?
「そこの戸を開けたところに荷物を置いてくれんかね。」
言われるがままに戸を開けて荷物を置いた、そのとき。
「わはははは!引っ掛かったな!お前には人質になってもらうぞ!!」
「!!??」
おじいさんは突然縄を持って私に飛びかかり、不意をつかれた私は足をもつれさせ部屋のなかに転び、そのまま縛り上げられてしまった。
「え……えっ!?人質!?」
「そうだ、お前には戸部新左ヱ門を負かす為の人質になってもらう!」
そう笑いながら変装をといた男は、背が低く丸々とした侍風の身なりをしていた。
「私は天下の剣豪、花房牧之介だ!戸部の女、悪いがお前には暫くここにいてもらうぞ。」
「えぇぇっ!!?あなたが花房牧之介!!?」
「なんだ、私を知っているのか?さすがは天下の大剣豪だ。」
か弱い女子を人質に縛り上げて何を言うか。
というよりも…。
「じゃあ、土井先生のお嫁さんを偽ったのはあなたですか!?」
「そんなこともあったかな。」
かっかっか、と笑う男に、私はポカンとしてしまった。
こんな、こんな人に私はあんなに心痛むまで悩まされていたのか…!!!
こんな男性が女装したところで土井先生に釣り合う訳もなく、怒りを通り越して呆れて笑いが込み上げてきてしまった。
「何が可笑しい?」
「いえ、私、何に心痛めていたのかと…。」
「?」
あり得ない。
この男性が土井先生のお嫁さんとかホント無理過ぎる。
土井先生が怒っていたのも分かるわ…。
「おーい、どうかしたか?」
「!」
現状を思い出して私はハッとした。
いやいや、とりあえず今、自分は人質にされてしまったわけで…しかも、戸部の女とか言ってなかったっけ?
「あの、私、戸部先生とは何もありませんけど…。」
「言い逃れは見苦しいぞ。この前倒れた戸部新左ヱ門をかいがいしく介抱していただろう。私はこの目で見たのだ。」
「それって、ただおにぎりを渡してたときのことじゃあ…周りに他の生徒もいたでしょう。」
「他の生徒だと?」
「はい、私はただの食堂のお手伝いです。」
そう言うと、彼は一瞬呆然としたがすぐに気を取り直した様子で呟いた。
「ま…まあいい。それでも知り合いなら一応人質にはなるだろう。今から周りに罠をしかけてくるから、このままここで待っていろ。」
花房牧之介は勢いよく外に出ていき、私は一人その場に残された。
……しまった…。
また騙されてこんなところまでのこのこ着いてきてしまった…。
土井先生にバレたらまた知らない人についていって…とか怒られちゃうかも…。
戸部先生、内緒でこっそり助けてくれないかな…。
とりあえず縄がほどけないかともがいてみる。
思ったよりしっかり結ばれていて全然とれそうにない。
「大丈夫?」
聞き覚えのある声が頭上からして見上げる。
「!!」
暗い忍装束をまとい包帯で顔を隠した男。
私の背後に立っていたのは、タソガレドキ忍組頭の雑渡昆奈門だった。
食堂のおばちゃんとおつかいに出て忍術学園の門を潜ろうとかがんだとき、草履の鼻緒が切れてしまった。
すぐに直せると思いおばちゃんに先に行って貰うと、これがなかなか難しくて…。
手間取っているとおじいさんに声をかけられた。
「鼻緒が切れてしまったのかな?よければ直してしんぜよう。」
それは大きな荷物を持った小柄で太ったおじいさんだった。
私は自分で直せるからと遠慮したのだけれど、意外と強引なおじいさんで結局鼻緒を直すのを手伝って貰った。
「ありがとうございます、助かりました。」
「いやいや、困ったときはお互い様…うぅっ!!?」
立ち上がりかけたとき、おじいさんが腰を痛めたようでうずくまった。
「大丈夫ですか!?今すぐ医務室へ…!」
「いやいや、これは持病のようなもので診て貰うほどではない。しかしその荷物を持って歩くのはちとキツイな…。すまんが、すぐそこのわしの家まで一緒に運んでもらえないだろうか。」
もとはといえば私の鼻緒を直そうとして腰を痛めてしまったのだ。
私は少し迷ったけれど、すぐ近くに家があるということで、おじいさんの家まで荷物を運ぶことにした。
「…おじいさん、家はまだですか?」
「あと少しじゃよ。」
「すみませんが、私、これ以上は帰り道が分からなくなってしまいます…。」
「もう少し、もう少しだけ…あいたたた…!」
「大丈夫ですか?!」
このやりとりを何度繰り返しただろうか。
やはり医務室で診てもらうべきだったと…ご老人の『すぐそこ』は私の思う距離ではなかったと、とても後悔していた。
だんだん周りが人気のない道になり、林の中へと入っていったとき、さすがに不安になってきた。
「おじいさん、すみません、私、もう帰らなくては…。」
「いやはや、ありがとう。着きましたよ。」
「えっ?」
おじいさんが指差したのはどうみても今は誰も使われていない廃寺だった。
まさか、ここに住んでるのかしら…?
「そこの戸を開けたところに荷物を置いてくれんかね。」
言われるがままに戸を開けて荷物を置いた、そのとき。
「わはははは!引っ掛かったな!お前には人質になってもらうぞ!!」
「!!??」
おじいさんは突然縄を持って私に飛びかかり、不意をつかれた私は足をもつれさせ部屋のなかに転び、そのまま縛り上げられてしまった。
「え……えっ!?人質!?」
「そうだ、お前には戸部新左ヱ門を負かす為の人質になってもらう!」
そう笑いながら変装をといた男は、背が低く丸々とした侍風の身なりをしていた。
「私は天下の剣豪、花房牧之介だ!戸部の女、悪いがお前には暫くここにいてもらうぞ。」
「えぇぇっ!!?あなたが花房牧之介!!?」
「なんだ、私を知っているのか?さすがは天下の大剣豪だ。」
か弱い女子を人質に縛り上げて何を言うか。
というよりも…。
「じゃあ、土井先生のお嫁さんを偽ったのはあなたですか!?」
「そんなこともあったかな。」
かっかっか、と笑う男に、私はポカンとしてしまった。
こんな、こんな人に私はあんなに心痛むまで悩まされていたのか…!!!
こんな男性が女装したところで土井先生に釣り合う訳もなく、怒りを通り越して呆れて笑いが込み上げてきてしまった。
「何が可笑しい?」
「いえ、私、何に心痛めていたのかと…。」
「?」
あり得ない。
この男性が土井先生のお嫁さんとかホント無理過ぎる。
土井先生が怒っていたのも分かるわ…。
「おーい、どうかしたか?」
「!」
現状を思い出して私はハッとした。
いやいや、とりあえず今、自分は人質にされてしまったわけで…しかも、戸部の女とか言ってなかったっけ?
「あの、私、戸部先生とは何もありませんけど…。」
「言い逃れは見苦しいぞ。この前倒れた戸部新左ヱ門をかいがいしく介抱していただろう。私はこの目で見たのだ。」
「それって、ただおにぎりを渡してたときのことじゃあ…周りに他の生徒もいたでしょう。」
「他の生徒だと?」
「はい、私はただの食堂のお手伝いです。」
そう言うと、彼は一瞬呆然としたがすぐに気を取り直した様子で呟いた。
「ま…まあいい。それでも知り合いなら一応人質にはなるだろう。今から周りに罠をしかけてくるから、このままここで待っていろ。」
花房牧之介は勢いよく外に出ていき、私は一人その場に残された。
……しまった…。
また騙されてこんなところまでのこのこ着いてきてしまった…。
土井先生にバレたらまた知らない人についていって…とか怒られちゃうかも…。
戸部先生、内緒でこっそり助けてくれないかな…。
とりあえず縄がほどけないかともがいてみる。
思ったよりしっかり結ばれていて全然とれそうにない。
「大丈夫?」
聞き覚えのある声が頭上からして見上げる。
「!!」
暗い忍装束をまとい包帯で顔を隠した男。
私の背後に立っていたのは、タソガレドキ忍組頭の雑渡昆奈門だった。