第77話 紅葉
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(おまけ)
数日後、職員室にて。
「やぁ利吉くん、いらっしゃい。」
「失礼します、土井先生。」
「もう忍務は終わったのかな、『紅葉さん』?」
そう言うと、利吉くんは微妙な表情で顔を曇らせた。
「…もう山賊が出なくなったので忍務終了です。…何故、あの距離で私が変装していると分かったのですか?」
「そりゃ声とか動きで分かるよ。」
「そうですか…。」
「それに、私に紅葉伝説を教えてくれたのは利吉くんのお母上だ。紅葉と名乗る鬼って聞いたときに、すぐきみの顔が浮かんだよ。」
「………。」
「山の麓の茶屋のおばあさんにあれだけ詳細な情報を流したのも利吉くんだろう?そんなに噂好きには見えないおばあさんだったから、随分細かいところまで知っているのがまずひっかかったんだ。山賊の足を罠でひっかけて宙吊りにして、暗器の麻酔で身動きできなくするのも見えたし…。」
「…さすが、土井先生の目は誤魔化せませんでしたね。」
「普通に山賊を狩るよりも、伝説とか神話になぞらえてもののけの類が犯人だとしておく。その方が長期間山賊を寄り付かなくさせる効果がありそうだし、よく考えたね。人の恐怖心は、長く残るものだ。」
「山の持ち主の依頼でして。」
「村人が山賊に困っているから退治してほしいと?」
「…そうです。」
「そんなとこかなと思ったよ。」
「しかし何故土井先生はたまみさんとあの山に…?」
「学園長先生が私と彼女に調査に行くように言ったんだよ。」
「…何故たまみさんと?」
「学園長先生が、たまみにも綺麗な紅葉を見せてあげなさいって。」
「鬼の調査がてら紅葉狩…ですか。」
「あ、彼女は鬼の正体が利吉くんだって分かってないから。女装して仕事してるとこ、あんまり知られたくないかなと思って話してないよ。」
「………ご丁寧にお気遣いどうも。」
「たまみは素直だから、ホントに鬼がいるのだと信じこんでいたよ。」
噂をすればなんとやら。
そのときタイミングよくたまみが職員室に入ってきた。
「あ、利吉さん!」
すると、藪から棒に突然たまみが利吉くんに得意気に話し出した。
「利吉さん、私、本物の鬼を見たんです…!すっごい綺麗な女性で、妖術で山賊をやっつけたりしててスゴかったんですよ!利吉さんも、鬼って見たことありますか!?」
大発見をしたかのように嬉しそうに話す彼女。
利吉くんはとても複雑そうに顔をひきつらせていた。
そのやりとりがおかしくて、私は笑いを堪えることができず肩を震わせた。
「?…土井先生、どうかしたんですか?」
「………」
不思議そうに私を見るたまみと、じろりと私を睨む利吉くん。
「いやいや、ごめん、何でもないよ。」
そうして私と利吉くんは、暫くたまみが子どものように鬼のすごさを熱弁するのを黙って聞いていたのだった。
数日後、職員室にて。
「やぁ利吉くん、いらっしゃい。」
「失礼します、土井先生。」
「もう忍務は終わったのかな、『紅葉さん』?」
そう言うと、利吉くんは微妙な表情で顔を曇らせた。
「…もう山賊が出なくなったので忍務終了です。…何故、あの距離で私が変装していると分かったのですか?」
「そりゃ声とか動きで分かるよ。」
「そうですか…。」
「それに、私に紅葉伝説を教えてくれたのは利吉くんのお母上だ。紅葉と名乗る鬼って聞いたときに、すぐきみの顔が浮かんだよ。」
「………。」
「山の麓の茶屋のおばあさんにあれだけ詳細な情報を流したのも利吉くんだろう?そんなに噂好きには見えないおばあさんだったから、随分細かいところまで知っているのがまずひっかかったんだ。山賊の足を罠でひっかけて宙吊りにして、暗器の麻酔で身動きできなくするのも見えたし…。」
「…さすが、土井先生の目は誤魔化せませんでしたね。」
「普通に山賊を狩るよりも、伝説とか神話になぞらえてもののけの類が犯人だとしておく。その方が長期間山賊を寄り付かなくさせる効果がありそうだし、よく考えたね。人の恐怖心は、長く残るものだ。」
「山の持ち主の依頼でして。」
「村人が山賊に困っているから退治してほしいと?」
「…そうです。」
「そんなとこかなと思ったよ。」
「しかし何故土井先生はたまみさんとあの山に…?」
「学園長先生が私と彼女に調査に行くように言ったんだよ。」
「…何故たまみさんと?」
「学園長先生が、たまみにも綺麗な紅葉を見せてあげなさいって。」
「鬼の調査がてら紅葉狩…ですか。」
「あ、彼女は鬼の正体が利吉くんだって分かってないから。女装して仕事してるとこ、あんまり知られたくないかなと思って話してないよ。」
「………ご丁寧にお気遣いどうも。」
「たまみは素直だから、ホントに鬼がいるのだと信じこんでいたよ。」
噂をすればなんとやら。
そのときタイミングよくたまみが職員室に入ってきた。
「あ、利吉さん!」
すると、藪から棒に突然たまみが利吉くんに得意気に話し出した。
「利吉さん、私、本物の鬼を見たんです…!すっごい綺麗な女性で、妖術で山賊をやっつけたりしててスゴかったんですよ!利吉さんも、鬼って見たことありますか!?」
大発見をしたかのように嬉しそうに話す彼女。
利吉くんはとても複雑そうに顔をひきつらせていた。
そのやりとりがおかしくて、私は笑いを堪えることができず肩を震わせた。
「?…土井先生、どうかしたんですか?」
「………」
不思議そうに私を見るたまみと、じろりと私を睨む利吉くん。
「いやいや、ごめん、何でもないよ。」
そうして私と利吉くんは、暫くたまみが子どものように鬼のすごさを熱弁するのを黙って聞いていたのだった。