第77話 紅葉
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先程までの甘い空気から一転し、半助さん…土井先生が、ぴりっと真剣な空気を纏った。
その視線の先には、赤い紅葉の上にござをひき琴を弾く女性。
白い着物に長い髪を下の方で一つに束ね、顔は俯いていてよく見えないけれど所作のひとつひとつが美しかった。
どうするのかと土井先生を見上げると、その視線が別の茂みに向けられた。
女性もそちらの方を向き、そこからすぐに3人の男性が現れた。
「何か聞こえると思ったら、随分綺麗なねーちゃんだな。」
「こんなところに一人で居たらひどい目にあっちゃうぜー?」
ニヤニヤと笑う男達に、女性が手を止めて顔を上げた。
「俺たちゃ見ての通り山賊だ。痛い目にあいたくなければ大人しくするんだな。」
男達が女性に歩み寄ると、突然三人の体が宙に浮いた。
「「「わあぁっ!?」」」
逆さまになって空中で暴れる男達。
女性が立ち上がり、すっと腕を水平に動かした。
「下衆め…。」
すると、暴れていた男達の動きが急に止まった。
「か…体が、動かねぇ…!?」
「な、なんだぁ…!?」
「この女…!?」
次の瞬間、男の一人が叫び声をあげた。
「こ、こいつっ、人間じゃねぇ…!!角がある…!」
見ると、確かに女性の頭には白い角が二本生えていた。
これが、噂の鬼…!!
彼女は薄く冷たい笑みを浮かべるとゆっくり言葉を発した。
「誰から食ってしまおうか…。」
低い笑い声に、男達が怯えて口々に情けない声をあげた。
「ば、化け物…!?」
「ひぃっ、い、命だけは…!!」
鬼は少しの間彼らを冷ややかに眺めると、興を削がれたように呟いた。
「腹の足しにもならなさそうな男どもめ…。」
鬼がゆっくりと腕を上げ、凛とした声が響いた。
「二度とこの山に踏みいるな。次ははらわた引きずり出して山犬の餌にでもしてやるぞ。」
冷たくそう言い放ち腕を再び水平に振ると、三人が急に大人しくなりぐったりとなった。
…妖術…!!
信じられない光景に目を見張っていると、鬼がゆっくりとこちらを向いた。
「…で、そこの者はいつまで見ているつもりだ?」
見つかった!!?
心臓の血が逆流するんじゃないかと思うほどドキリとして固まった。
土井先生は私を地面に降ろすと一人スッと立ち上がった。
「琴の音に惹かれて辿り着き、偶然居合わせてしまいました。あなたが紅葉と名乗る鬼ですか?」
全く臆することのない土井先生の声が響く。
鬼は少し間をおいて、「そうだとしたら?」と言った。
「何のためにこのようなことを?」
彼女の言葉を肯定ととらえたのか、土井先生が更に質問を重ねた。
「私の山に目障りな男どもが増えてきたから間引いてやろうと思ってね。」
「狙いはこのような輩だけだと?」
「山守の民に用はない。」
すると、女性の視線が突然こちらに向けられた。
「もう一人そこにいるのは?」
私のことだ!
観念して立ち上がり姿を見せると、女性の動きが止まった。
何となく空気が変わった気がした。
彼女はくるりと私達に背を向けた。
「…今からこの者達を処分する。血を見たくなければ即刻立ち去りなさい。」
すると、土井先生がサッと私を抱き上げた。
「わかりました、すぐに下山します。」
踵を返しその場を後にしようとする土井先生。
しかし、ふと足を止めて振り返った。
「村人に敵意があるかどうかに関わらず…あまり目立つと鬼退治の武士が遣わされることになりますよ。」
「そんなものは返り討ちにしてやるわ。」
「…忠告はしましたよ。」
そう言うと、土井先生は私を抱えて一気にその場から山を降り始めた。
「あの、土井先生…?」
もう調査は終わりなのかと目で尋ねると、彼は頷いて微笑んだ。
「今回の目的は、男が鬼に襲われるという噂の真偽を確かめることだ。退治するようにとは言われていない。まぁ村人に害をなすものでもなさそうだし、このまま放っておいて大丈夫だろう。」
私は先程見た信じられない光景にまだドキドキしていたけれど、土井先生の声に緊張感はなく、彼は普段通りだった。
「さすが土井先生、落ち着いてますね…!」
「ん?」
「私、あんな鬼とか初めて見て…未だに信じられない気持ちですけど、土井先生は全然動揺してないというか…」
堂堂と対峙する姿が格好よかった。
すると彼は眉をハの字にして苦笑した。
「……一年は組の担任をしていると、多少のことには動じなくなってくるのかもしれないな。」
確かに私がこの世界に来たときも土井先生は変な目で見るでもなく普通に接してくれたことを思い出した。
「さぁ、調査忍務も無事終わったし、日が暮れると寒くなるから早く帰ろう。」
あの山賊がどうなるのか気にはなったけれど、悪そうな人達だったし少し懲らしめられてもいいのかもしれない。
土井先生は私を抱えたまま急な斜面をとんとんと駆け降りていく。
あ…おにぎり、まだ全部食べてなかったな。
今夜また土井先生が部屋に来てくれたときにお夜食にしようかな…。
そして、先程のことを思い出す。
お部屋でおにぎり食べてたら、またさっきの続きになっちゃったりして…!
私は一人でそんなことを考え、紅葉したかのように頬を赤く染めた。
その視線の先には、赤い紅葉の上にござをひき琴を弾く女性。
白い着物に長い髪を下の方で一つに束ね、顔は俯いていてよく見えないけれど所作のひとつひとつが美しかった。
どうするのかと土井先生を見上げると、その視線が別の茂みに向けられた。
女性もそちらの方を向き、そこからすぐに3人の男性が現れた。
「何か聞こえると思ったら、随分綺麗なねーちゃんだな。」
「こんなところに一人で居たらひどい目にあっちゃうぜー?」
ニヤニヤと笑う男達に、女性が手を止めて顔を上げた。
「俺たちゃ見ての通り山賊だ。痛い目にあいたくなければ大人しくするんだな。」
男達が女性に歩み寄ると、突然三人の体が宙に浮いた。
「「「わあぁっ!?」」」
逆さまになって空中で暴れる男達。
女性が立ち上がり、すっと腕を水平に動かした。
「下衆め…。」
すると、暴れていた男達の動きが急に止まった。
「か…体が、動かねぇ…!?」
「な、なんだぁ…!?」
「この女…!?」
次の瞬間、男の一人が叫び声をあげた。
「こ、こいつっ、人間じゃねぇ…!!角がある…!」
見ると、確かに女性の頭には白い角が二本生えていた。
これが、噂の鬼…!!
彼女は薄く冷たい笑みを浮かべるとゆっくり言葉を発した。
「誰から食ってしまおうか…。」
低い笑い声に、男達が怯えて口々に情けない声をあげた。
「ば、化け物…!?」
「ひぃっ、い、命だけは…!!」
鬼は少しの間彼らを冷ややかに眺めると、興を削がれたように呟いた。
「腹の足しにもならなさそうな男どもめ…。」
鬼がゆっくりと腕を上げ、凛とした声が響いた。
「二度とこの山に踏みいるな。次ははらわた引きずり出して山犬の餌にでもしてやるぞ。」
冷たくそう言い放ち腕を再び水平に振ると、三人が急に大人しくなりぐったりとなった。
…妖術…!!
信じられない光景に目を見張っていると、鬼がゆっくりとこちらを向いた。
「…で、そこの者はいつまで見ているつもりだ?」
見つかった!!?
心臓の血が逆流するんじゃないかと思うほどドキリとして固まった。
土井先生は私を地面に降ろすと一人スッと立ち上がった。
「琴の音に惹かれて辿り着き、偶然居合わせてしまいました。あなたが紅葉と名乗る鬼ですか?」
全く臆することのない土井先生の声が響く。
鬼は少し間をおいて、「そうだとしたら?」と言った。
「何のためにこのようなことを?」
彼女の言葉を肯定ととらえたのか、土井先生が更に質問を重ねた。
「私の山に目障りな男どもが増えてきたから間引いてやろうと思ってね。」
「狙いはこのような輩だけだと?」
「山守の民に用はない。」
すると、女性の視線が突然こちらに向けられた。
「もう一人そこにいるのは?」
私のことだ!
観念して立ち上がり姿を見せると、女性の動きが止まった。
何となく空気が変わった気がした。
彼女はくるりと私達に背を向けた。
「…今からこの者達を処分する。血を見たくなければ即刻立ち去りなさい。」
すると、土井先生がサッと私を抱き上げた。
「わかりました、すぐに下山します。」
踵を返しその場を後にしようとする土井先生。
しかし、ふと足を止めて振り返った。
「村人に敵意があるかどうかに関わらず…あまり目立つと鬼退治の武士が遣わされることになりますよ。」
「そんなものは返り討ちにしてやるわ。」
「…忠告はしましたよ。」
そう言うと、土井先生は私を抱えて一気にその場から山を降り始めた。
「あの、土井先生…?」
もう調査は終わりなのかと目で尋ねると、彼は頷いて微笑んだ。
「今回の目的は、男が鬼に襲われるという噂の真偽を確かめることだ。退治するようにとは言われていない。まぁ村人に害をなすものでもなさそうだし、このまま放っておいて大丈夫だろう。」
私は先程見た信じられない光景にまだドキドキしていたけれど、土井先生の声に緊張感はなく、彼は普段通りだった。
「さすが土井先生、落ち着いてますね…!」
「ん?」
「私、あんな鬼とか初めて見て…未だに信じられない気持ちですけど、土井先生は全然動揺してないというか…」
堂堂と対峙する姿が格好よかった。
すると彼は眉をハの字にして苦笑した。
「……一年は組の担任をしていると、多少のことには動じなくなってくるのかもしれないな。」
確かに私がこの世界に来たときも土井先生は変な目で見るでもなく普通に接してくれたことを思い出した。
「さぁ、調査忍務も無事終わったし、日が暮れると寒くなるから早く帰ろう。」
あの山賊がどうなるのか気にはなったけれど、悪そうな人達だったし少し懲らしめられてもいいのかもしれない。
土井先生は私を抱えたまま急な斜面をとんとんと駆け降りていく。
あ…おにぎり、まだ全部食べてなかったな。
今夜また土井先生が部屋に来てくれたときにお夜食にしようかな…。
そして、先程のことを思い出す。
お部屋でおにぎり食べてたら、またさっきの続きになっちゃったりして…!
私は一人でそんなことを考え、紅葉したかのように頬を赤く染めた。