第77話 紅葉
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たまみの髪が風に揺れ、紅葉がひらひらと舞い散る。
赤く彩られた世界に小さな彼女が愛らしく映った。
サクッ、サクッ、サクッ
紅葉を踏みしめ、嬉しそうに微笑むたまみ。
薄桃色の小袖姿の彼女が赤い紅葉のなかに溶け込み、それはまるでどこか幻想的な絵のようだった。
…この景色を見せることができてよかった。
学園長が彼女を連れていくように言ったのは、きっとたまみにこの景色を見せてあげなさいということだろう。
たとえ鬼と呼ばれる存在が女性を襲わないのだとしても、この程度の調査なら私一人でも十分だ。
むしろ山賊やら鬼やらが出そうな場所にわざわざ連れてくる方が危険だ。
しかし、たまみの嬉しそうな顔を見ていると連れてきてよかったのだと思った。
危険からは、私が守ってやればいい。
「…半助さん…あ、忍務中だから土井先生の方がいいですか?」
「半助でいいよ。」
たまみが笑いながら私に歩み寄り見上げてきた。
「頭の上に紅葉が乗ってますよ?」
手を伸ばして取ろうとしてくれたが、小柄な彼女の手は全然届かなかった。
少し背を曲げて頭を下げると、たまみが私についた葉を取ってくれた。
「ふふ…半助さん、可愛いですね。」
そう言ってにこにこと笑う彼女こそが可愛らしい。
私は近くの枝に手を伸ばし、綺麗な紅葉を一枚取ると彼女の結った髪に挿した。
「…たまみこそ。」
そう呟きその頬に手を触れると、彼女が嬉しそうに目を細めた。
そのままゆっくり、腕のなかにそっとたまみを閉じ込める。
彼女は私の胸に頬を寄せて微笑んだ。
私達だけの静かな空間に、ザザザッと風が通り抜ける音がする。
「寒くない?」
「少し…。でも半助さんがぎゅってしてくれたら温かいです…。」
またそんな可愛いことを…。
思わずきつく抱きしめて、たまみの髪に口づけた。
紅葉を見るのはこれが初めてではないのに、こんなに美しいと思ったことはなかった。
たまみといると、今まで何でもなかったようなことにとても幸せを感じるようになったと思う。
たまみの艶やかな髪を撫でながらそんなことを考えていると、彼女がふとこちらを見上げてきた。
「そういえば…おにぎり作ってきたんです。」
「おにぎり?」
「はい、もし調査が長引いたらお腹すくかなと思って。…でも、今ここで食べたら気持ちいいだろうなぁと…。」
伺うように上目遣いで見上げてくるたまみ。
「じゃあいま食べようか。」
そう言うと、たまみが嬉々としてどこに座ろうかキョロキョロと辺りを見渡した。
しかし、二人並んで座れそうな倒木や石も見当たらない。
地面に座らせてたまみが腰を冷やすのも良くないだろうしなぁ…。
私は日が射して少し地面が温かくなっているところにあぐらをかいて座り、自分の膝をぽんぽんと叩いた。
「おいで。」
「…!」
たまみが驚いて照れたように目を泳がせた。
私だって平然とこんなことを言えるものではないのだが、たまみを冷たい地面に座らせるよりは…。
たまみは恥ずかしそうに躊躇いつつも、おずおずと近づいてきた。
一度立ち上がりひょいと抱えて膝の上に座らせると、彼女の背中からお腹に腕をまわして抱きしめた。
「これならじっとしていても寒くないだろう。」
耳元でそっと囁くと、耳まで赤くなり頷くたまみ。
屋根から星空を眺めるときはこうやって膝の上に乗せたりしていたが、昼間にこのようなことをしたのは初めてだったろうか。
「じゃあ…半助さん、どうぞ。」
たまみがニコニコと体を横に向ける。
小さなおにぎりが私の口元に差し出された。
……これは。
誰もいないのに、私は周囲を見渡した。
それから、遠慮がちに少し口を開いて…。
ぱくり。
「美味しいですか?」
嬉しそうに聞いてくるたまみ。
「うん、これは昆布の佃煮だね…美味しいよ。」
「よかった…!」
頬を染めて喜ぶ彼女。
あと一口で食べきることができそうな小さなおにぎり。
残りも食べさせようとしてくれたので、私はそれを咥えて彼女の顎を上にあげた。
「!?」
咥えたおにぎりを、彼女の口元に運ぶ。
たまみが驚きつつも口を開けて、そのまま二人でおにぎりを食む。
「……ん…」
二人でおにぎりを分け合い、彼女の唇を軽く舐めてゆっくり顔を離す。
たまみは真っ赤になってまだもぐもぐと咀嚼していた。
「美味しいよ。」
もう一度そう言うと、彼女は頬を染めもぐもぐしながら頷いた。
以前の私なら、こんな大胆なことしようとも思わなかったに違いないが…どうもたまみといると、自然と体が動いてしまうというか…。
赤くなる彼女が可愛いくて、もっとそういう顔を見たくなるというか…。
自分が普段の自分ではなくなるような気がする。
「半助さんって、ときどきこう、何というか…。」
たまみが膝の上でもじもじとする。
「…たまみがそうさせるんだよ。」
「……そうなんですか?」
「ああ。」
視線が重なって、どちらからともなく唇をあわせた。
柔らかい唇をついばみ、甘い陶酔感に浸っていると、たまみがおにぎりの包みを地面に置いて私の首に両腕をまわした。
「…たまみ……」
愛しい気持ちが募り、彼女の背に腕をまわしてそのままごろんと後ろに倒れた。
たまみが私の上に乗るような形になる。
驚いて起き上がろうとする彼女の後頭部に手を当て、深く口づけた。
「んっ……!」
柔らかい舌を絡めとり、長い口づけを交わす。
私の上で徐々に恍惚とした表情を浮かべる彼女に、理性が掠め取られていく。
待て、だめだ、こんなところで…!
しかし今なら誰も居ないし…。
いやいや、そもそも今は忍務中で…!
そんな葛藤をしていると。
突然、どこからともなく琴の音が聞こえてきた。
「…?…どうしましたか?」
「琴の音がする…」
「!」
「……あっちからだな。」
私はたまみを抱き上げ荷物を持つと、気配を消して足音をたてないよう音のする方へ近づいた。
「…あそこだ。」
草陰に身を隠し、茂みの隙間からそっと覗き見る。
そこには、白い着物を着て琴を弾く女性がいた。
赤く彩られた世界に小さな彼女が愛らしく映った。
サクッ、サクッ、サクッ
紅葉を踏みしめ、嬉しそうに微笑むたまみ。
薄桃色の小袖姿の彼女が赤い紅葉のなかに溶け込み、それはまるでどこか幻想的な絵のようだった。
…この景色を見せることができてよかった。
学園長が彼女を連れていくように言ったのは、きっとたまみにこの景色を見せてあげなさいということだろう。
たとえ鬼と呼ばれる存在が女性を襲わないのだとしても、この程度の調査なら私一人でも十分だ。
むしろ山賊やら鬼やらが出そうな場所にわざわざ連れてくる方が危険だ。
しかし、たまみの嬉しそうな顔を見ていると連れてきてよかったのだと思った。
危険からは、私が守ってやればいい。
「…半助さん…あ、忍務中だから土井先生の方がいいですか?」
「半助でいいよ。」
たまみが笑いながら私に歩み寄り見上げてきた。
「頭の上に紅葉が乗ってますよ?」
手を伸ばして取ろうとしてくれたが、小柄な彼女の手は全然届かなかった。
少し背を曲げて頭を下げると、たまみが私についた葉を取ってくれた。
「ふふ…半助さん、可愛いですね。」
そう言ってにこにこと笑う彼女こそが可愛らしい。
私は近くの枝に手を伸ばし、綺麗な紅葉を一枚取ると彼女の結った髪に挿した。
「…たまみこそ。」
そう呟きその頬に手を触れると、彼女が嬉しそうに目を細めた。
そのままゆっくり、腕のなかにそっとたまみを閉じ込める。
彼女は私の胸に頬を寄せて微笑んだ。
私達だけの静かな空間に、ザザザッと風が通り抜ける音がする。
「寒くない?」
「少し…。でも半助さんがぎゅってしてくれたら温かいです…。」
またそんな可愛いことを…。
思わずきつく抱きしめて、たまみの髪に口づけた。
紅葉を見るのはこれが初めてではないのに、こんなに美しいと思ったことはなかった。
たまみといると、今まで何でもなかったようなことにとても幸せを感じるようになったと思う。
たまみの艶やかな髪を撫でながらそんなことを考えていると、彼女がふとこちらを見上げてきた。
「そういえば…おにぎり作ってきたんです。」
「おにぎり?」
「はい、もし調査が長引いたらお腹すくかなと思って。…でも、今ここで食べたら気持ちいいだろうなぁと…。」
伺うように上目遣いで見上げてくるたまみ。
「じゃあいま食べようか。」
そう言うと、たまみが嬉々としてどこに座ろうかキョロキョロと辺りを見渡した。
しかし、二人並んで座れそうな倒木や石も見当たらない。
地面に座らせてたまみが腰を冷やすのも良くないだろうしなぁ…。
私は日が射して少し地面が温かくなっているところにあぐらをかいて座り、自分の膝をぽんぽんと叩いた。
「おいで。」
「…!」
たまみが驚いて照れたように目を泳がせた。
私だって平然とこんなことを言えるものではないのだが、たまみを冷たい地面に座らせるよりは…。
たまみは恥ずかしそうに躊躇いつつも、おずおずと近づいてきた。
一度立ち上がりひょいと抱えて膝の上に座らせると、彼女の背中からお腹に腕をまわして抱きしめた。
「これならじっとしていても寒くないだろう。」
耳元でそっと囁くと、耳まで赤くなり頷くたまみ。
屋根から星空を眺めるときはこうやって膝の上に乗せたりしていたが、昼間にこのようなことをしたのは初めてだったろうか。
「じゃあ…半助さん、どうぞ。」
たまみがニコニコと体を横に向ける。
小さなおにぎりが私の口元に差し出された。
……これは。
誰もいないのに、私は周囲を見渡した。
それから、遠慮がちに少し口を開いて…。
ぱくり。
「美味しいですか?」
嬉しそうに聞いてくるたまみ。
「うん、これは昆布の佃煮だね…美味しいよ。」
「よかった…!」
頬を染めて喜ぶ彼女。
あと一口で食べきることができそうな小さなおにぎり。
残りも食べさせようとしてくれたので、私はそれを咥えて彼女の顎を上にあげた。
「!?」
咥えたおにぎりを、彼女の口元に運ぶ。
たまみが驚きつつも口を開けて、そのまま二人でおにぎりを食む。
「……ん…」
二人でおにぎりを分け合い、彼女の唇を軽く舐めてゆっくり顔を離す。
たまみは真っ赤になってまだもぐもぐと咀嚼していた。
「美味しいよ。」
もう一度そう言うと、彼女は頬を染めもぐもぐしながら頷いた。
以前の私なら、こんな大胆なことしようとも思わなかったに違いないが…どうもたまみといると、自然と体が動いてしまうというか…。
赤くなる彼女が可愛いくて、もっとそういう顔を見たくなるというか…。
自分が普段の自分ではなくなるような気がする。
「半助さんって、ときどきこう、何というか…。」
たまみが膝の上でもじもじとする。
「…たまみがそうさせるんだよ。」
「……そうなんですか?」
「ああ。」
視線が重なって、どちらからともなく唇をあわせた。
柔らかい唇をついばみ、甘い陶酔感に浸っていると、たまみがおにぎりの包みを地面に置いて私の首に両腕をまわした。
「…たまみ……」
愛しい気持ちが募り、彼女の背に腕をまわしてそのままごろんと後ろに倒れた。
たまみが私の上に乗るような形になる。
驚いて起き上がろうとする彼女の後頭部に手を当て、深く口づけた。
「んっ……!」
柔らかい舌を絡めとり、長い口づけを交わす。
私の上で徐々に恍惚とした表情を浮かべる彼女に、理性が掠め取られていく。
待て、だめだ、こんなところで…!
しかし今なら誰も居ないし…。
いやいや、そもそも今は忍務中で…!
そんな葛藤をしていると。
突然、どこからともなく琴の音が聞こえてきた。
「…?…どうしましたか?」
「琴の音がする…」
「!」
「……あっちからだな。」
私はたまみを抱き上げ荷物を持つと、気配を消して足音をたてないよう音のする方へ近づいた。
「…あそこだ。」
草陰に身を隠し、茂みの隙間からそっと覗き見る。
そこには、白い着物を着て琴を弾く女性がいた。