第76話 この手で守りたい
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兵庫水軍の人達と一緒に、バーベキューとお味噌汁の用意を着々と進めていく。
海鮮バーベキューと言っていたけれど、ご馳走になるだけでは申し訳ないので学園からはサツマイモやカボチャ等の今が旬の秋野菜、キノコ、お米等を持ってきた。
ご飯を炊き、野菜やキノコを切っていると、遠くで乱太郎君達が忍装束を脱ぎ始めるのが見えた。
えっ、まさかこの季節に海で泳ぐの…!?
びっくりして手を止めると、手元のキノコのお味噌汁からいい薫りがしてきた。
あ、もしかして。
山田先生からお味噌汁を作ってほしいとリクエストがあって、バーベキューなのにおかしいなと思ってたんだけど…これは海水で冷えた体を温める為…?
そんなことを考えながら驚いていると、真っ裸になったは組のみんなが恐る恐る海に入っていく。
冷たい水にあちこちから悲鳴が聞こえてきた…可哀想に…。
「ほらほら、水に入ってしまえば少しずつ慣れてくるから早く入りなさい。」
土井先生の声がする方に目線をうつすと…
「!?」
そこにはなんと褌一丁の土井先生がいた。
さすがに生徒とは違い真っ裸というわけではないけれど、みんなの補助をするためにザブザブと水の中に入っていく。
逞しい背中、引き締まったお尻…。
青空のしたでこんな風に眺めたことがなくて思わず顔が赤くなってしまった。
みんなの様子を見るフリをしてちらちらと土井先生を眺めていると、不意に視線がかち合った。
「!」
慌てて目をそらす。
…変に思われたかな………。
やらしいとか思われてたりして…!?
私はお味噌汁のお鍋をぐるぐるとかき混ぜながら、後で何て言い訳しようかなと考えたりした。
「たまみさん、もう準備も大体できたので、あっちで皆の様子を見ますか?」
舳丸さんが声をかけてくれて、浜の向こうの方の岩場を指差した。
「あそこからなら全体が見渡しやすいと思いますよ。」
「そうなんですか、ありがとうございます。じゃあ行ってみますね。」
「岩場は足元が危ないから、案内します。」
そう言って私の少し前を歩き出す舳丸さん。
寡黙で黙々と仕事をしているイメージの舳丸さんだけど、私が皆の様子を気にしているのに気づいて……途中土井先生に気を取られていたことには気づかれてないかな……こんな風に声をかけてくれるなんて優しいな。
岩場に着くと、ヨロヨロとする私にスッと手を差し出して力強く支えてくれた。
「ほら、ここなら少し高いから皆の様子が見えるでしょう。」
「あ、ほんとですね!」
見渡すと、数人が浅瀬で重さんから泳ぎ方の手ほどきを受け、数人が小舟に向かって泳いでいる。
土井先生は違う方角に泳いでいく子達を軌道修正させたり忙しそうに泳ぎ回っている…教室でも海でも大変だなぁ…。
山田先生は浜から全体を見て指示を出したりかけ声をかけたりしている。
「たまみさんは、くノ一なんですか?」
隣の舳丸さんが突然尋ねてきた。
「いいえ、私はちょっと訳あって忍術学園で働かせて貰ってるだけなので、忍者の心得はないんです。」
「そうでしたか。やっぱり…忍者には見えないなと皆で話してたんです。それともくノ一に見えないよう完全に隠せる位すごいくノ一なのかと。」
「あはは、何もできないただの一般人ですよ。」
「何もできないなんて。あんなに美味しいご飯が作れるだけですごいじゃないですか。」
「食堂のおばちゃんに毎日教えて貰って勉強中なんです。お世辞でもそう言って貰えると嬉しい…ありがとうございます。」
「俺はお世辞なんて言いませんよ。」
舳丸さんは海の方を見て真顔で呟いた。
「ほんと…土井先生は羨ましいですね…。」
「え?」
小さく呟かれた言葉が聞き取れなくて聞き返そうとしたとき、向こうの浜から第三共栄丸さんが大声で舳丸さんを呼んだ。
「おーい、ちょっと来てくれー!」
舳丸さんは表情を変えることもなく、
「すぐに戻ります。…落ちないように、気をつけて。」
と言い残し戻って行った。
私はそのまま岩に腰かけて皆の訓練を眺めた。
海の音、潮の匂い、涼しく心地好い海風…。
一年は組のみんなの声、一生懸命頑張る姿…。
心のなかで応援しながら眺めていると、小舟に向かって泳いでいる一人が突然進まなくなった。
あれは…、乱太郎くん?
目を凝らしてよく見てみる。
乱太郎くんは水面を叩くように両手をバタバタとさせ、体が垂直に近くなり口元が水面を浮き沈みしていた。
溺れかけている!?
慌てて周囲を見てみる。
土井先生と重さんは、さっき泳ぎ方を習っていた生徒達が小舟まで泳ぎ出したのをサポートしていて気づいていない。
山田先生は第三共栄丸さん達と話し込んでいて気づいていない。
小舟でみんなを待つ義丸さんは、ちょうど小舟に辿り着いた生徒に貝を渡したり話していて気づいていない。
「だっ、誰か………!!」
大声で助けを求めてみたが、風と波の音で声がかき消されて届かない…!
両手を広げて大きく振ってみても誰も気づいてくれない…!
浮きそうな木材などの物も周りにない。
どうする!?
浜の方に戻って人を呼ぶ?!
もう一度、乱太郎くんを見てみる。
さっきよりも沈んで顔が水面から上がらなくなってきている!!
だめだ、この岩場を越えて戻っている時間はない!
どうする!?
唇を噛んだ。
落ち着け!
こうなったら私が泳いで…
いや、私って泳げるの?!
胸に手を当てて目を閉じた。
…およげる。
記憶はないけれど、たぶん泳げる気がした。
もう一度、周りを見る。
やはり誰も乱太郎くんに気づいていない。
「…やるしかない!」
私は覚悟を決めて着ているものを全て脱いだ。
着衣のまま泳ぐのは危険な気がした。
岩場のギリギリのところまで行って足を下に伸ばすと、水面にかろうじて爪先が届いた。
冷たい!
でも、乱太郎くんを助けなきゃ!!
私は冷たい水を少し体にかけた後、思いきって海の中へ飛び込んだ。
海鮮バーベキューと言っていたけれど、ご馳走になるだけでは申し訳ないので学園からはサツマイモやカボチャ等の今が旬の秋野菜、キノコ、お米等を持ってきた。
ご飯を炊き、野菜やキノコを切っていると、遠くで乱太郎君達が忍装束を脱ぎ始めるのが見えた。
えっ、まさかこの季節に海で泳ぐの…!?
びっくりして手を止めると、手元のキノコのお味噌汁からいい薫りがしてきた。
あ、もしかして。
山田先生からお味噌汁を作ってほしいとリクエストがあって、バーベキューなのにおかしいなと思ってたんだけど…これは海水で冷えた体を温める為…?
そんなことを考えながら驚いていると、真っ裸になったは組のみんなが恐る恐る海に入っていく。
冷たい水にあちこちから悲鳴が聞こえてきた…可哀想に…。
「ほらほら、水に入ってしまえば少しずつ慣れてくるから早く入りなさい。」
土井先生の声がする方に目線をうつすと…
「!?」
そこにはなんと褌一丁の土井先生がいた。
さすがに生徒とは違い真っ裸というわけではないけれど、みんなの補助をするためにザブザブと水の中に入っていく。
逞しい背中、引き締まったお尻…。
青空のしたでこんな風に眺めたことがなくて思わず顔が赤くなってしまった。
みんなの様子を見るフリをしてちらちらと土井先生を眺めていると、不意に視線がかち合った。
「!」
慌てて目をそらす。
…変に思われたかな………。
やらしいとか思われてたりして…!?
私はお味噌汁のお鍋をぐるぐるとかき混ぜながら、後で何て言い訳しようかなと考えたりした。
「たまみさん、もう準備も大体できたので、あっちで皆の様子を見ますか?」
舳丸さんが声をかけてくれて、浜の向こうの方の岩場を指差した。
「あそこからなら全体が見渡しやすいと思いますよ。」
「そうなんですか、ありがとうございます。じゃあ行ってみますね。」
「岩場は足元が危ないから、案内します。」
そう言って私の少し前を歩き出す舳丸さん。
寡黙で黙々と仕事をしているイメージの舳丸さんだけど、私が皆の様子を気にしているのに気づいて……途中土井先生に気を取られていたことには気づかれてないかな……こんな風に声をかけてくれるなんて優しいな。
岩場に着くと、ヨロヨロとする私にスッと手を差し出して力強く支えてくれた。
「ほら、ここなら少し高いから皆の様子が見えるでしょう。」
「あ、ほんとですね!」
見渡すと、数人が浅瀬で重さんから泳ぎ方の手ほどきを受け、数人が小舟に向かって泳いでいる。
土井先生は違う方角に泳いでいく子達を軌道修正させたり忙しそうに泳ぎ回っている…教室でも海でも大変だなぁ…。
山田先生は浜から全体を見て指示を出したりかけ声をかけたりしている。
「たまみさんは、くノ一なんですか?」
隣の舳丸さんが突然尋ねてきた。
「いいえ、私はちょっと訳あって忍術学園で働かせて貰ってるだけなので、忍者の心得はないんです。」
「そうでしたか。やっぱり…忍者には見えないなと皆で話してたんです。それともくノ一に見えないよう完全に隠せる位すごいくノ一なのかと。」
「あはは、何もできないただの一般人ですよ。」
「何もできないなんて。あんなに美味しいご飯が作れるだけですごいじゃないですか。」
「食堂のおばちゃんに毎日教えて貰って勉強中なんです。お世辞でもそう言って貰えると嬉しい…ありがとうございます。」
「俺はお世辞なんて言いませんよ。」
舳丸さんは海の方を見て真顔で呟いた。
「ほんと…土井先生は羨ましいですね…。」
「え?」
小さく呟かれた言葉が聞き取れなくて聞き返そうとしたとき、向こうの浜から第三共栄丸さんが大声で舳丸さんを呼んだ。
「おーい、ちょっと来てくれー!」
舳丸さんは表情を変えることもなく、
「すぐに戻ります。…落ちないように、気をつけて。」
と言い残し戻って行った。
私はそのまま岩に腰かけて皆の訓練を眺めた。
海の音、潮の匂い、涼しく心地好い海風…。
一年は組のみんなの声、一生懸命頑張る姿…。
心のなかで応援しながら眺めていると、小舟に向かって泳いでいる一人が突然進まなくなった。
あれは…、乱太郎くん?
目を凝らしてよく見てみる。
乱太郎くんは水面を叩くように両手をバタバタとさせ、体が垂直に近くなり口元が水面を浮き沈みしていた。
溺れかけている!?
慌てて周囲を見てみる。
土井先生と重さんは、さっき泳ぎ方を習っていた生徒達が小舟まで泳ぎ出したのをサポートしていて気づいていない。
山田先生は第三共栄丸さん達と話し込んでいて気づいていない。
小舟でみんなを待つ義丸さんは、ちょうど小舟に辿り着いた生徒に貝を渡したり話していて気づいていない。
「だっ、誰か………!!」
大声で助けを求めてみたが、風と波の音で声がかき消されて届かない…!
両手を広げて大きく振ってみても誰も気づいてくれない…!
浮きそうな木材などの物も周りにない。
どうする!?
浜の方に戻って人を呼ぶ?!
もう一度、乱太郎くんを見てみる。
さっきよりも沈んで顔が水面から上がらなくなってきている!!
だめだ、この岩場を越えて戻っている時間はない!
どうする!?
唇を噛んだ。
落ち着け!
こうなったら私が泳いで…
いや、私って泳げるの?!
胸に手を当てて目を閉じた。
…およげる。
記憶はないけれど、たぶん泳げる気がした。
もう一度、周りを見る。
やはり誰も乱太郎くんに気づいていない。
「…やるしかない!」
私は覚悟を決めて着ているものを全て脱いだ。
着衣のまま泳ぐのは危険な気がした。
岩場のギリギリのところまで行って足を下に伸ばすと、水面にかろうじて爪先が届いた。
冷たい!
でも、乱太郎くんを助けなきゃ!!
私は冷たい水を少し体にかけた後、思いきって海の中へ飛び込んだ。