第76話 この手で守りたい
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ある日の午後。
昼食の練り物が食べられなくて食堂で一人ため息をついていると、勝手口から「すみませーん」と声が聞こえた。
「あ、お疲れ様です!」
たまみが笑顔で勝手口に向かい、そこには日に焼けた青年が立っていた。
「たまみさん、こんにちは。この前ご注文いただいた野菜を持ってきましたよ。」
「ありがとうございます。すごく美味しそうなお野菜で…あれ、ちょっと多くないですか?」
「あはは、たくさん採れたのでおまけしときました。」
「こんなに色々…ありがとうございます!あ、これ、よかったら道中召し上がってください。今日はかやくご飯のおにぎり作ったんです。」
「いつもありがとうございます…実は帰りに頂くたまみさんのおにぎりが楽しみで…。あ、それからこれ…たしか柿が好きだと言ってましたよね?」
「えっ、いいんですか?!」
「はい。あの、もし気に入ったら…その、よかったらうちに食べに…いや、また持ってきますから。」
…なっ!
なんだこれはっ…!!!
野菜を持って来た青年とたまみが仲良さげに話している。
いつの間にそんな業者と仲良く…!?
「土井先生、そんなにお箸強く握ったら折れますよ?」
「きり丸!」
「たまみさんを狙ってる奴は多いって前に言ったじゃないですか。うかうかしてるとヤバイっすよ。」
「…ああいう奴が他にもいるのか?」
「俺が他に知ってるのは、お米持ってきてくれる兄ちゃんとか…。」
「………」
「でもおかげで仕入れのおまけが結構増えたみたいで。さっすが俺が商売の基本を教えただけあります。」
「…何だその商売の基本って。」
「大したことじゃないですよ。こっちもサービスしたり自分を気に入ってもらえたら、相手からも色々よくしてもらえるって。たまみさんの場合、仕入れに来た人を労っておにぎり渡してるみたいですね。」
「…ほぉ。」
きり丸は自慢気に話している。
しかし、これはちょっと気に入られ過ぎではないのか…。
「あ!ほら、噂をすればまた。」
「!」
いつの間にか青年は帰っていて、代わりに兵庫水軍の面々が魚を持ってきてくれていた。
「いやー、今回は大漁でした。生徒さん達にもたくさん食わせてやってください。」
義丸さん達がたくさんのサンマをたまみに差し出す。
「わっ、こんなにいっぱい…ありがとうございます!」
たまみが嬉しそうに微笑むと、デレッとした顔になる水軍の男ども。
おいおいおい…何だこいつらは。
たまみはお愛想で笑ってるんだから勘違いするんじゃないぞ…!
「あ、重たいんでそっちまで運びますよ。」
義丸さんが奥に魚を置きに行く。
「重いのにここまで運んで頂いて申し訳ないです。」
「これくらい大したことないですよ!日頃から鍛えてるんで!」
やたらイイ笑顔で答える義丸さん。
たまみが感心したように「皆さん力持ちなんですねぇ。」と褒めると、「触ってもいいですよ。」と腕の筋肉をグッと見せつける。
おいおいおい、調子に乗るんじゃないぞ…!
「土井先生、そんなに強く握ったら湯飲み割れますよ?」
きり丸に言われてハッと我にかえった。
すると、今度は舳丸さんが急に彼女に近づき声をかけた。
「たまみさん、次の休みはご予定ありますか?」
「次の休みですか?」
「よかったら海鮮バーベキューでもしませんか?」
「海鮮バーベキュー?」
たまみが小首を傾げると、今度は義丸さんが彼女の肩に手を置いて楽しそうに話す。
「貝とか海老とかイカとか…とれたてを焼いて食べるのは格別ですよ!」
「土井先生~、あれいいんですか?…って、あれ、いない…。」
きり丸に言われるまでもなく、既に私はたまみのもとに行きその肩の手を笑顔で払いのけた。
「あいにくたまみさんには一年は組の補習を手伝ってもらわなくちゃいけないんですよ。」
「土井先生!」
たまみが安心した面持ちでこちらを見る。
すると、予想外に舳丸さんがムッとした顔で私につっかかってきた。
「土井先生、たまみさんはうら若き女性です。補佐とはいえ、休みの日まで仕事で縛るのは可哀想じゃないですか。」
むっ。
言ってることはもっともだが、しかし私は彼女の恋人なのだ。
むさ苦しい男の集まる浜に彼女が行くのを止める権利くらいある。
しかし恋仲であることはまだ公にしていないので、何と言い返そうかと考えていたとき…。
「じゃあ、補習を海でしたらいいじゃないですか?」
振り返ると乱太郎としんべヱがにこにこと何か企んでいるようだった。
「そしたら僕たちもたまみさんも海鮮バーベキューを食べられます!」
しんべヱが嬉しそうにそう言うと、勝手口の外から「いいんじゃないか。」と声がした。
「お頭!」
第三共栄丸さんがひょいと顔を覗かせた。
「大人数で食べた方が楽しいし、一年は組の補習が終わったらそのままバーベキューというのも楽しそうだ。」
「第三共栄丸さん、しかし海で補習というのは…」
「うむ、それもたまにはいいかもしれんな。」
「山田先生!」
山田先生がにやりと笑いどこからともなく入ってきた。
「海での補習メニュー、普段の実技の訓練とはまた違うものを考えましょう。」
あ、山田先生なにか思いついたみたいだ…。
乱太郎達はそんなことには気づかずバーベキューを楽しみに小躍りしているが…。
私は一つため息をついて頷いた。
昼食の練り物が食べられなくて食堂で一人ため息をついていると、勝手口から「すみませーん」と声が聞こえた。
「あ、お疲れ様です!」
たまみが笑顔で勝手口に向かい、そこには日に焼けた青年が立っていた。
「たまみさん、こんにちは。この前ご注文いただいた野菜を持ってきましたよ。」
「ありがとうございます。すごく美味しそうなお野菜で…あれ、ちょっと多くないですか?」
「あはは、たくさん採れたのでおまけしときました。」
「こんなに色々…ありがとうございます!あ、これ、よかったら道中召し上がってください。今日はかやくご飯のおにぎり作ったんです。」
「いつもありがとうございます…実は帰りに頂くたまみさんのおにぎりが楽しみで…。あ、それからこれ…たしか柿が好きだと言ってましたよね?」
「えっ、いいんですか?!」
「はい。あの、もし気に入ったら…その、よかったらうちに食べに…いや、また持ってきますから。」
…なっ!
なんだこれはっ…!!!
野菜を持って来た青年とたまみが仲良さげに話している。
いつの間にそんな業者と仲良く…!?
「土井先生、そんなにお箸強く握ったら折れますよ?」
「きり丸!」
「たまみさんを狙ってる奴は多いって前に言ったじゃないですか。うかうかしてるとヤバイっすよ。」
「…ああいう奴が他にもいるのか?」
「俺が他に知ってるのは、お米持ってきてくれる兄ちゃんとか…。」
「………」
「でもおかげで仕入れのおまけが結構増えたみたいで。さっすが俺が商売の基本を教えただけあります。」
「…何だその商売の基本って。」
「大したことじゃないですよ。こっちもサービスしたり自分を気に入ってもらえたら、相手からも色々よくしてもらえるって。たまみさんの場合、仕入れに来た人を労っておにぎり渡してるみたいですね。」
「…ほぉ。」
きり丸は自慢気に話している。
しかし、これはちょっと気に入られ過ぎではないのか…。
「あ!ほら、噂をすればまた。」
「!」
いつの間にか青年は帰っていて、代わりに兵庫水軍の面々が魚を持ってきてくれていた。
「いやー、今回は大漁でした。生徒さん達にもたくさん食わせてやってください。」
義丸さん達がたくさんのサンマをたまみに差し出す。
「わっ、こんなにいっぱい…ありがとうございます!」
たまみが嬉しそうに微笑むと、デレッとした顔になる水軍の男ども。
おいおいおい…何だこいつらは。
たまみはお愛想で笑ってるんだから勘違いするんじゃないぞ…!
「あ、重たいんでそっちまで運びますよ。」
義丸さんが奥に魚を置きに行く。
「重いのにここまで運んで頂いて申し訳ないです。」
「これくらい大したことないですよ!日頃から鍛えてるんで!」
やたらイイ笑顔で答える義丸さん。
たまみが感心したように「皆さん力持ちなんですねぇ。」と褒めると、「触ってもいいですよ。」と腕の筋肉をグッと見せつける。
おいおいおい、調子に乗るんじゃないぞ…!
「土井先生、そんなに強く握ったら湯飲み割れますよ?」
きり丸に言われてハッと我にかえった。
すると、今度は舳丸さんが急に彼女に近づき声をかけた。
「たまみさん、次の休みはご予定ありますか?」
「次の休みですか?」
「よかったら海鮮バーベキューでもしませんか?」
「海鮮バーベキュー?」
たまみが小首を傾げると、今度は義丸さんが彼女の肩に手を置いて楽しそうに話す。
「貝とか海老とかイカとか…とれたてを焼いて食べるのは格別ですよ!」
「土井先生~、あれいいんですか?…って、あれ、いない…。」
きり丸に言われるまでもなく、既に私はたまみのもとに行きその肩の手を笑顔で払いのけた。
「あいにくたまみさんには一年は組の補習を手伝ってもらわなくちゃいけないんですよ。」
「土井先生!」
たまみが安心した面持ちでこちらを見る。
すると、予想外に舳丸さんがムッとした顔で私につっかかってきた。
「土井先生、たまみさんはうら若き女性です。補佐とはいえ、休みの日まで仕事で縛るのは可哀想じゃないですか。」
むっ。
言ってることはもっともだが、しかし私は彼女の恋人なのだ。
むさ苦しい男の集まる浜に彼女が行くのを止める権利くらいある。
しかし恋仲であることはまだ公にしていないので、何と言い返そうかと考えていたとき…。
「じゃあ、補習を海でしたらいいじゃないですか?」
振り返ると乱太郎としんべヱがにこにこと何か企んでいるようだった。
「そしたら僕たちもたまみさんも海鮮バーベキューを食べられます!」
しんべヱが嬉しそうにそう言うと、勝手口の外から「いいんじゃないか。」と声がした。
「お頭!」
第三共栄丸さんがひょいと顔を覗かせた。
「大人数で食べた方が楽しいし、一年は組の補習が終わったらそのままバーベキューというのも楽しそうだ。」
「第三共栄丸さん、しかし海で補習というのは…」
「うむ、それもたまにはいいかもしれんな。」
「山田先生!」
山田先生がにやりと笑いどこからともなく入ってきた。
「海での補習メニュー、普段の実技の訓練とはまた違うものを考えましょう。」
あ、山田先生なにか思いついたみたいだ…。
乱太郎達はそんなことには気づかずバーベキューを楽しみに小躍りしているが…。
私は一つため息をついて頷いた。