第73話 疑惑
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仕事が終わり一区切りついたので忍術学園に立ち寄った。
夜中ではあったが、少し気になる情報があったので学園長先生と父上にも伝えておこうと思ったのだ。
父上への報告が終わり部屋を出ると、廊下にたまみさんが座っていた。
こんな時間になぜ…?
「たまみさん?」
考えるより先に声をかけていた。
俯いていた彼女がこちらを振り返る。
「り、きち、さん…」
「!」
大きく見開かれた瞳は涙に濡れていた。
「どうしたんですか?」
慌てて駆け寄ると、たまみさんが涙を堪えて言った。
「…ど、土井先生が、帰ってこなくて…」
そういえば先程土井先生は忍務で出ていると聞いた。
父上は別段心配しているようでもなかったが、予定より帰りが遅くなっているのだろうか。
「…お嫁さんの、ところに…いるのかなって…」
「?」
お嫁さん…?
「…誰のお嫁さんですか?」
「…土井先生の…」
「!?」
土井先生のお嫁さん…!?
土井先生とは長い付き合いだがそんな話は聞いたことがない。
「…詳しく聞かせて貰えますか?」
彼女は弱々しく頷くと事の経緯を話してくれた。
私は横に座り、彼女の背を擦りながら静かに話を聞いていた。
「…それで、もしかしたら今お嫁さんのところにいるのかなとか、色々余計なことを考えてしまって…お見苦しいところを、すみません…。」
たまみさんはそう言うとまた俯いて膝を抱えた。
正直、彼女の話はまだ推測の域を出ず、真実とするには証拠が足りない。
しかし、火のない所に煙は立たぬというし、夕食時にも食堂に姿を見せず、未だ忍務から戻らないというのも確かに少し不自然な気がした。
「今から行ってみますか?」
「え?」
「土井先生の家に。」
「…!」
「もし本当に土井先生にゆかりのある女性が数年ぶりに彼をたよりに来たのであれば、まだ土井先生の家にいるかもしれません。」
「………」
「自分の目で、確かめたくないですか?」
「………」
彼女は躊躇っているようだった。
それは真実を突き止めることがこわいのか、闇のなか学園の外に出ることがこわいのか、それとも…夜中に私と出かけることに躊躇いがあるのか。
まぁどれももっともな考えで、忍ではない普通の女性がこんな時間に出かけて見に行こうとは思わないかもしれない。
「すみません、こんな夜中にそんなことを言われても困りますよね。いずれにしても私は一旦戻るので、その道中ついでに土井先生の家にも寄ろうと思います。…結果報告だけしましょうか?」
するとたまみさんは暫く黙って考えた後に答えた。
「私も…行きます!もしその女性がいるのなら…どんな人なのか…自分の目で見たいです。」
「…見たくない結果を見ることになるかもしれませんがいいですか?」
たまみさんは複雑な顔をして頷いた。
「…土井先生を、幸せにできるような人なのか…確かめておきたいです。」
私は驚いて彼女の顔をじっと見た。
「それは…あなたが身を引くつもりだということですか。」
「………そう、すべきなのかなって…。」
そんな悲しそうな顔でそんな言葉を…。
見ている方が痛々しくなって、私はそっと彼女を抱きしめた。
「もし、そんなことになれば…私を頼ってください…。」
「利吉さん…」
「忍術学園に居づらくなるなら、うちに来てもいいしどこか別に住む場所を探してもいいし…私が必ず何とかします。仕事だって世の中には色々ありますし、何もここにこだわらなくても大丈夫です。」
たまみさんは私の腕のなかで何も言わずじっとしていた。
「まだ結果が決まったわけではないから悲しまないで…。でも、これだけは覚えておいてください。」
私は彼女を抱く腕にぎゅっと力を入れた。
「もしそんなことになれば…私が土井先生を忘れさせてみせます。」
「…利吉さん…」
「さあ、行きましょうか。」
私は彼女を横抱きに抱えて駆け出した。
夜中ではあったが、少し気になる情報があったので学園長先生と父上にも伝えておこうと思ったのだ。
父上への報告が終わり部屋を出ると、廊下にたまみさんが座っていた。
こんな時間になぜ…?
「たまみさん?」
考えるより先に声をかけていた。
俯いていた彼女がこちらを振り返る。
「り、きち、さん…」
「!」
大きく見開かれた瞳は涙に濡れていた。
「どうしたんですか?」
慌てて駆け寄ると、たまみさんが涙を堪えて言った。
「…ど、土井先生が、帰ってこなくて…」
そういえば先程土井先生は忍務で出ていると聞いた。
父上は別段心配しているようでもなかったが、予定より帰りが遅くなっているのだろうか。
「…お嫁さんの、ところに…いるのかなって…」
「?」
お嫁さん…?
「…誰のお嫁さんですか?」
「…土井先生の…」
「!?」
土井先生のお嫁さん…!?
土井先生とは長い付き合いだがそんな話は聞いたことがない。
「…詳しく聞かせて貰えますか?」
彼女は弱々しく頷くと事の経緯を話してくれた。
私は横に座り、彼女の背を擦りながら静かに話を聞いていた。
「…それで、もしかしたら今お嫁さんのところにいるのかなとか、色々余計なことを考えてしまって…お見苦しいところを、すみません…。」
たまみさんはそう言うとまた俯いて膝を抱えた。
正直、彼女の話はまだ推測の域を出ず、真実とするには証拠が足りない。
しかし、火のない所に煙は立たぬというし、夕食時にも食堂に姿を見せず、未だ忍務から戻らないというのも確かに少し不自然な気がした。
「今から行ってみますか?」
「え?」
「土井先生の家に。」
「…!」
「もし本当に土井先生にゆかりのある女性が数年ぶりに彼をたよりに来たのであれば、まだ土井先生の家にいるかもしれません。」
「………」
「自分の目で、確かめたくないですか?」
「………」
彼女は躊躇っているようだった。
それは真実を突き止めることがこわいのか、闇のなか学園の外に出ることがこわいのか、それとも…夜中に私と出かけることに躊躇いがあるのか。
まぁどれももっともな考えで、忍ではない普通の女性がこんな時間に出かけて見に行こうとは思わないかもしれない。
「すみません、こんな夜中にそんなことを言われても困りますよね。いずれにしても私は一旦戻るので、その道中ついでに土井先生の家にも寄ろうと思います。…結果報告だけしましょうか?」
するとたまみさんは暫く黙って考えた後に答えた。
「私も…行きます!もしその女性がいるのなら…どんな人なのか…自分の目で見たいです。」
「…見たくない結果を見ることになるかもしれませんがいいですか?」
たまみさんは複雑な顔をして頷いた。
「…土井先生を、幸せにできるような人なのか…確かめておきたいです。」
私は驚いて彼女の顔をじっと見た。
「それは…あなたが身を引くつもりだということですか。」
「………そう、すべきなのかなって…。」
そんな悲しそうな顔でそんな言葉を…。
見ている方が痛々しくなって、私はそっと彼女を抱きしめた。
「もし、そんなことになれば…私を頼ってください…。」
「利吉さん…」
「忍術学園に居づらくなるなら、うちに来てもいいしどこか別に住む場所を探してもいいし…私が必ず何とかします。仕事だって世の中には色々ありますし、何もここにこだわらなくても大丈夫です。」
たまみさんは私の腕のなかで何も言わずじっとしていた。
「まだ結果が決まったわけではないから悲しまないで…。でも、これだけは覚えておいてください。」
私は彼女を抱く腕にぎゅっと力を入れた。
「もしそんなことになれば…私が土井先生を忘れさせてみせます。」
「…利吉さん…」
「さあ、行きましょうか。」
私は彼女を横抱きに抱えて駆け出した。