第71話 あなたのために ~夏休み編⑤~
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今日はきり丸は例の団子屋のアルバイトに行っている。
私とたまみはバイトの手伝いをしなくてよかったので、久しぶりに自分の仕事や家事をして過ごしていた。
「あ、お味噌が足りないので少しだけ買い足しに行ってきますね。」
「ん、そうか…一人で大丈夫かい?」
「子どもじゃありませんし、大丈夫ですよ。」
「心配性ですね」とクスクス笑う彼女。
子どもじゃないから心配なのだが…。
いつもなら何だかんだと理由をつけてついていくが、今日は少しやりたいことがあった。
「気をつけて…あの笛はちゃんと持ってる?」
「いつも持ってますよ。」
可笑しそうに笑いながら出ていくたまみ。
送り出し彼女の気配が遠くなると、私は机の引き出しをあけた。
「さて、どこまでできるかな…。」
無意識ににこりと微笑むと、私は座って作業にとりかかった。
「ただいまです。」
暫くすると、たまみがにこにこと帰ってきた。
道中何事も起きなかったようで一安心する。
「おかえり。嬉しそうだね…何かあったのかい?」
「はい、実は…。」
彼女の手には、青と緑の生地が抱えられていた。
「半助さんときりちゃんに似合うと思いまして…!」
「私ときり丸に…?」
嬉しそうに頬を染めて差し出された反物は、肌触りもよくとても綺麗な色合いだった。
「本当はこっそり着物を作って驚かせたかったんですけど、一人で作れるか不安で…夏休みももうあまり残ってないですし、一緒に作ってくれますか?」
驚きのあまりぽかんとしてしまった。
すると彼女が不安げな顔をする。
「あ…えと、好みじゃなかったですか?」
「あ、いや、違うんだ…!そうじゃなくて…!」
私は慌てて引き出しをあけた。
不思議そうにしている彼女に、その中身を渡す。
「えっ…これって…!?」
彼女に渡したのは、薄い桃色の着物。
「うん、実はたまみにと思って内緒で作ってたんだ。まだ作りかけなんだけど…まさか同じようなことを考えていたとは。」
私は笑って頭をかいた。
実は先日、子守りをした赤ん坊を返しに行った帰り、たまたま店頭で売りだしていた反物が目にとまった。
それはたまみによく似合いそうな薄い桃色の生地で、可愛らしい花模様があしらわれていた。
たまみも着替えがないと困るよな…。
先日の一件を思い出して苦笑した。
何を着ても可愛いと思うが、この生地で着物を作って着せたらきっと可愛いだろうな…。
……いや、むしろ可愛すぎて危険か!?
そんなことを暫く悩み迷った結果、結局たまみの喜ぶ顔が見たくて、こっそり購入して彼女が眠ったあとにちくちくと縫っていたのだ。
まだ7割程度しか縫われていない桃色の着物を、たまみは嬉しそうにじっと見つめた。
「嬉しい…半助さんが私のために作ってくれてたなんて…!大事に着ます…!」
頬を染めて満面の笑みで着物をぎゅっと抱き締めるたまみ。
私も嬉しくなって、彼女をそっと抱き寄せた。
「どの柄がいいかすごく迷ったんだ…。」
「この生地、自分用に買うならこれがいいなぁって見てたやつなんです。びっくりしました…。」
「そうなのかい?」
「はい!半助さん、私の好みまで分かってくれてるなんて、流石ですね…!」
「一番よく似合いそうな柄を選んだらこれになったんだ。…たまみも、私ときり丸にいい色を選んでくれてありがとう。」
「喜んでもらえてよかったです…!」
「今日はアルバイトもないし、じゃあ早速作ろうか。」
「はい!」
互いに相手の喜ぶ顔に嬉しくなりながら、二人で協力して生地を測って裁断し、ちくちくと縫い始めた。
たまみは中々に集中力がある。
長い睫毛を伏せながら、小さな手で一生懸命に針を動かしている姿が愛らしかった。
横目でちらちらと見ていると、彼女が針を持ったまま眼を閉じてじっと止まった。
「…たまみ?眠くなった?」
彼女はゆっくりと目を開けて首を振った。
「いえ…。願いを込めてました。」
「願い?」
「この着物が…怪我から身を守ってくれますようにって…。」
たまみは穏やかな顔つきをしていたが、真剣な瞳は少し憂いを帯びていた。
「ありがとう………心配をかけてすまない…。」
そう言うと彼女は困ったように微笑んだ。
口には出さないが、いつも身を案じてくれているのだと…その目が語っていた。
…願い…か。
「では私も願いを込めておこうかな。」
「私はそんなに危険なことしないですよ…?」
「そうかなぁ…熊にあったり川に落ちたり…」
「あはは、そんなこともありましたね…。」
「しかしまぁ、それも心配なんだけど…私は、他の男が寄ってこないようにと願いをこめておこうかな?」
たまみは一瞬きょとんとして、その後笑いだした。
「半助さんはホントに心配性ですね。」
「…たまみがそうさせるんだよ。」
二人で笑いあって、またちくちくと縫い続けた。
「…半助さん…」
「ん?」
たまみを見ると、彼女は針を置いてこちらを嬉しそうに眺めていた。
「どうした?」
「…呼んだだけです。」
そう言うとたまみは私の腕によりかかってきた。
その甘えた仕草が愛しくて、私も針を置いてたまみの頭を撫でた。
まるで猫のように気持ち良さそうに微笑む彼女。
「半助さん、好き……」
「…私もだ。」
じっと私を見つめる瞳に引寄せられ、ゆっくりと唇を重ねる。
「…こんな風に半助さんとゆっくり過ごすのももう残り少しなんですね。」
たまみが私の胸に顔を埋めて呟いた。
「そうだなぁ…。」
柔らかい髪を撫でながら思い返す。
朝起きたらたまみが近くに寝ていて。
私の髪を丁寧に結ってくれたりして。
一緒に食材を買いに行って、温かく美味しいご飯を作ってもらったり。
日中は大体きり丸の引き受けたバイトの手伝いでてんてこまいだったが、一緒に洗濯をしてご近所さんに夫婦と間違われたり、一緒に赤ん坊のお世話をして将来に想いを馳せてみたり…。
思うがまま毎晩のように彼女を抱いたり…。
祭りも久しく行っていなかったが、たまみと手を繋いで歩き共に見た花火の風景やその音が昨日のことのように思い出される。
きり丸も、いつもの長期休暇よりとても楽しそうに過ごしていた。
「いい夏休みだったなぁ…。」
思わず心の声が漏れてしまった。
「私もずっと一緒に過ごせて嬉しかったです…。」
しかしすぐにたまみの瞳が曇る。
「…でもそれもあと少しなんですね…。」
俯く彼女をぎゅっと抱き寄せ、優しく額に口づけた。
「…そんな顔をするな。忍術学園に戻ったら今のようには一緒に居られないけど…今まで通り毎晩寝る前にはたまみの部屋に行くから。」
「…でも、半助さんとこんな風にのんびり触れ合える時間が少なくなるのが悲しいです…。」
「そうだな…。」
甘えて身を寄せてくるたまみ。
その頬に手を当てて、寂しさを埋めるかのように何度もゆっくりと口づける。
たまみが私の背に腕を回し、私も彼女の細い腰に手を回した。
「……なら…今のうちに、もっと触れ合っておこうか…。」
そう言うと私はゆっくりとたまみを床に押し倒した…。
私とたまみはバイトの手伝いをしなくてよかったので、久しぶりに自分の仕事や家事をして過ごしていた。
「あ、お味噌が足りないので少しだけ買い足しに行ってきますね。」
「ん、そうか…一人で大丈夫かい?」
「子どもじゃありませんし、大丈夫ですよ。」
「心配性ですね」とクスクス笑う彼女。
子どもじゃないから心配なのだが…。
いつもなら何だかんだと理由をつけてついていくが、今日は少しやりたいことがあった。
「気をつけて…あの笛はちゃんと持ってる?」
「いつも持ってますよ。」
可笑しそうに笑いながら出ていくたまみ。
送り出し彼女の気配が遠くなると、私は机の引き出しをあけた。
「さて、どこまでできるかな…。」
無意識ににこりと微笑むと、私は座って作業にとりかかった。
「ただいまです。」
暫くすると、たまみがにこにこと帰ってきた。
道中何事も起きなかったようで一安心する。
「おかえり。嬉しそうだね…何かあったのかい?」
「はい、実は…。」
彼女の手には、青と緑の生地が抱えられていた。
「半助さんときりちゃんに似合うと思いまして…!」
「私ときり丸に…?」
嬉しそうに頬を染めて差し出された反物は、肌触りもよくとても綺麗な色合いだった。
「本当はこっそり着物を作って驚かせたかったんですけど、一人で作れるか不安で…夏休みももうあまり残ってないですし、一緒に作ってくれますか?」
驚きのあまりぽかんとしてしまった。
すると彼女が不安げな顔をする。
「あ…えと、好みじゃなかったですか?」
「あ、いや、違うんだ…!そうじゃなくて…!」
私は慌てて引き出しをあけた。
不思議そうにしている彼女に、その中身を渡す。
「えっ…これって…!?」
彼女に渡したのは、薄い桃色の着物。
「うん、実はたまみにと思って内緒で作ってたんだ。まだ作りかけなんだけど…まさか同じようなことを考えていたとは。」
私は笑って頭をかいた。
実は先日、子守りをした赤ん坊を返しに行った帰り、たまたま店頭で売りだしていた反物が目にとまった。
それはたまみによく似合いそうな薄い桃色の生地で、可愛らしい花模様があしらわれていた。
たまみも着替えがないと困るよな…。
先日の一件を思い出して苦笑した。
何を着ても可愛いと思うが、この生地で着物を作って着せたらきっと可愛いだろうな…。
……いや、むしろ可愛すぎて危険か!?
そんなことを暫く悩み迷った結果、結局たまみの喜ぶ顔が見たくて、こっそり購入して彼女が眠ったあとにちくちくと縫っていたのだ。
まだ7割程度しか縫われていない桃色の着物を、たまみは嬉しそうにじっと見つめた。
「嬉しい…半助さんが私のために作ってくれてたなんて…!大事に着ます…!」
頬を染めて満面の笑みで着物をぎゅっと抱き締めるたまみ。
私も嬉しくなって、彼女をそっと抱き寄せた。
「どの柄がいいかすごく迷ったんだ…。」
「この生地、自分用に買うならこれがいいなぁって見てたやつなんです。びっくりしました…。」
「そうなのかい?」
「はい!半助さん、私の好みまで分かってくれてるなんて、流石ですね…!」
「一番よく似合いそうな柄を選んだらこれになったんだ。…たまみも、私ときり丸にいい色を選んでくれてありがとう。」
「喜んでもらえてよかったです…!」
「今日はアルバイトもないし、じゃあ早速作ろうか。」
「はい!」
互いに相手の喜ぶ顔に嬉しくなりながら、二人で協力して生地を測って裁断し、ちくちくと縫い始めた。
たまみは中々に集中力がある。
長い睫毛を伏せながら、小さな手で一生懸命に針を動かしている姿が愛らしかった。
横目でちらちらと見ていると、彼女が針を持ったまま眼を閉じてじっと止まった。
「…たまみ?眠くなった?」
彼女はゆっくりと目を開けて首を振った。
「いえ…。願いを込めてました。」
「願い?」
「この着物が…怪我から身を守ってくれますようにって…。」
たまみは穏やかな顔つきをしていたが、真剣な瞳は少し憂いを帯びていた。
「ありがとう………心配をかけてすまない…。」
そう言うと彼女は困ったように微笑んだ。
口には出さないが、いつも身を案じてくれているのだと…その目が語っていた。
…願い…か。
「では私も願いを込めておこうかな。」
「私はそんなに危険なことしないですよ…?」
「そうかなぁ…熊にあったり川に落ちたり…」
「あはは、そんなこともありましたね…。」
「しかしまぁ、それも心配なんだけど…私は、他の男が寄ってこないようにと願いをこめておこうかな?」
たまみは一瞬きょとんとして、その後笑いだした。
「半助さんはホントに心配性ですね。」
「…たまみがそうさせるんだよ。」
二人で笑いあって、またちくちくと縫い続けた。
「…半助さん…」
「ん?」
たまみを見ると、彼女は針を置いてこちらを嬉しそうに眺めていた。
「どうした?」
「…呼んだだけです。」
そう言うとたまみは私の腕によりかかってきた。
その甘えた仕草が愛しくて、私も針を置いてたまみの頭を撫でた。
まるで猫のように気持ち良さそうに微笑む彼女。
「半助さん、好き……」
「…私もだ。」
じっと私を見つめる瞳に引寄せられ、ゆっくりと唇を重ねる。
「…こんな風に半助さんとゆっくり過ごすのももう残り少しなんですね。」
たまみが私の胸に顔を埋めて呟いた。
「そうだなぁ…。」
柔らかい髪を撫でながら思い返す。
朝起きたらたまみが近くに寝ていて。
私の髪を丁寧に結ってくれたりして。
一緒に食材を買いに行って、温かく美味しいご飯を作ってもらったり。
日中は大体きり丸の引き受けたバイトの手伝いでてんてこまいだったが、一緒に洗濯をしてご近所さんに夫婦と間違われたり、一緒に赤ん坊のお世話をして将来に想いを馳せてみたり…。
思うがまま毎晩のように彼女を抱いたり…。
祭りも久しく行っていなかったが、たまみと手を繋いで歩き共に見た花火の風景やその音が昨日のことのように思い出される。
きり丸も、いつもの長期休暇よりとても楽しそうに過ごしていた。
「いい夏休みだったなぁ…。」
思わず心の声が漏れてしまった。
「私もずっと一緒に過ごせて嬉しかったです…。」
しかしすぐにたまみの瞳が曇る。
「…でもそれもあと少しなんですね…。」
俯く彼女をぎゅっと抱き寄せ、優しく額に口づけた。
「…そんな顔をするな。忍術学園に戻ったら今のようには一緒に居られないけど…今まで通り毎晩寝る前にはたまみの部屋に行くから。」
「…でも、半助さんとこんな風にのんびり触れ合える時間が少なくなるのが悲しいです…。」
「そうだな…。」
甘えて身を寄せてくるたまみ。
その頬に手を当てて、寂しさを埋めるかのように何度もゆっくりと口づける。
たまみが私の背に腕を回し、私も彼女の細い腰に手を回した。
「……なら…今のうちに、もっと触れ合っておこうか…。」
そう言うと私はゆっくりとたまみを床に押し倒した…。