第70話 おすそわけ ~夏休み編④~
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たまみが奥の部屋で着替えている間、本当に他にもう着るものがなかったかと探してみるもやはりない。
隣のおばちゃんに借りに行く方がよかったか…。
迷っていると、障子があいてたまみが出てきた。
「あの、半助さん、これ…」
「!」
そう、明らかに丈が短いそれは、私のおさがりで作ったきり丸の予備の着物だった。
着物が小さくて見えてしまう胸の谷間。
袴も短くてすらりとのぞく白い脚。
恥ずかしそうに俯くたまみ…。
…いかん。
思わずゴクリとつばを飲み込み、無理矢理に目をそらした。
「す、すまない、き、きり丸の予備しかなくて…たまみは背が低いからどうかなと思ったけど…やっぱりだめだな、いま隣のおばちゃんに借りてくるから…!」
そう言って出ようとしたとき、家の外から人の気配がした。
「すみません、土井先生はいますか?」
「り、利吉くん!?」
暑くて開けていた玄関から利吉くんがひょいと顔をのぞかせた。
「土井先生、お久しぶりで…す…」
彼はすぐに家の中にいるたまみを見つけて固まった。
「なっ…たまみさん!?」
「あっ…み、見ないでください…!」
恥ずかしそうにしゃがんで背を向けるたまみ。
白くくびれた腰が見え、利吉くんが固まったまま見つめる。
慌てて隠すように私が割って入ると、彼は冷たい眼差しを私に向けた。
「土井先生…真っ昼間からたまみさんに何をさせているんですか…。」
「ち、違う!これは、他に着るものがなくてだな…!」
「土井先生がそんな変態教師だとは知りませんでした…」
「だ、だから、そうじゃなくて…!」
私は慌ててたまみを奥の部屋に押し込め、勢いよく障子をしめて隠した。
すると利吉くんが向こうのたまみに向かって呼びかけた。
「たまみさんっ!泊まる場所がないからって無理矢理そんな格好を強いられているのではありませんかっ!?今からでも遅くありません、私と一緒に…!」
「利吉くん!大声で誤解を招きそうなことを言わないでくれ!」
「ではなぜたまみさんがあんな格好をしているのか納得のいく説明をしてください。」
「だーかーら!さっきからそれを言おうとしてたんじゃないか!」
すると家の前にご近所さんが何だ何だと集まりだしたので、「あはは、何でもありません、大丈夫です…。」と愛想笑いしながら戸を閉めた。
また妙な噂が流れるじゃないか…!
痛みだした胃を押さえると、奥の部屋からたまみの声がした。
「利吉さん、あの、私がうっかり着物を汚してしまって、代わりに着れるものが他になかったんです…。」
利吉くんが眉間にシワを寄せたまま障子を見つめる。
「本当ですか?住む場所ならうちにもありますし、仕事だって他にも色々あるんですから、もし嫌なことがあるなら我慢しなくていいんですよ…!?」
「ほ、本当に大丈夫です!ありがとうございます…。」
利吉くんがやっと納得したように安堵の表情をみせた。
「まったく…利吉くんは私を何だと思ってるんだ…。」
じと目で睨み付けると、利吉くんは苦笑いしながら謝った。
「いやぁすみません。あんまり驚いたもので…。」
はははと笑う利吉くんに私はため息をついた。
まったく。
この私が、わざとそんな格好をさせるわけがないだろう。
そりゃあ、これを着たらどうなるのかなと全く考えなかった訳ではないが…断じてそれを見たくてわざと渡したわけではない。
たまみは小さいからもしかしたら案外きり丸のでもいけるんじゃないかなーとか思ったりしたからで…。
…うんうん、そうだ、やましいことはない!…はずだ。
…しかしまさか利吉くんが来るとは。
私は咳払いをして利吉くんに向き直った。
「で、何の用件だったんだい?」
すると利吉くんは大きな風呂敷に包んでいた荷物をどさっと前においた。
「仕事先で野菜をたくさん頂いたんです。私の家まで持って帰るにはちょっと荷物ですし、ここにたまみさんがいると父から聞いていたので、差し入れついでにお昼ご飯をご相伴にあずかろうかと思いまして。」
利吉くんはそう言うとニコリと笑った。
風呂敷には大根やゴボウなどの野菜がごろごろと包まれていた。
「こんなに貰ってしまっていいのかい?」
「はい。そのかわりと言ってはなんですがお昼ご飯をご一緒してもいいですか?」
「もちろんだ。きり丸が見たら飛んで喜びそうだな。あ、もうすぐバイトから戻るはすだから。」
するとたまみが障子の隙間から顔だけ覗かせて喜んだ。
「わっ!そんなにたくさん!ありがとうございます!」
「いえいえ、たまみさんに料理してもらうために持ってきたんですから。」
「何を作りましょうか。何かたべたいものとかありますか?」
「たまみさんが作ってくれるなら何でもいいですよ。」
「煮物にしましょうか、すごく美味しそ…ぅわっ!!」
たまみが障子に体重をかけたのか、障子が外れて前に転がった。
私よりたまみの近くに立っていた利吉くんが咄嗟に手を伸ばして彼女を起き上がらせる。
「大丈夫ですか?」
「あ、すみません…!」
至近距離で微笑む二人。
私は無言で二人の間に割って入り、たまみを奥の部屋に戻すと障子をはめ直した。
「隣のおばちゃんに着るもの借りてくるから少し待ってて。」
私はそう言うと、キッと利吉くんを目で制止してその場をあとにした。
隣のおばちゃんに借りに行く方がよかったか…。
迷っていると、障子があいてたまみが出てきた。
「あの、半助さん、これ…」
「!」
そう、明らかに丈が短いそれは、私のおさがりで作ったきり丸の予備の着物だった。
着物が小さくて見えてしまう胸の谷間。
袴も短くてすらりとのぞく白い脚。
恥ずかしそうに俯くたまみ…。
…いかん。
思わずゴクリとつばを飲み込み、無理矢理に目をそらした。
「す、すまない、き、きり丸の予備しかなくて…たまみは背が低いからどうかなと思ったけど…やっぱりだめだな、いま隣のおばちゃんに借りてくるから…!」
そう言って出ようとしたとき、家の外から人の気配がした。
「すみません、土井先生はいますか?」
「り、利吉くん!?」
暑くて開けていた玄関から利吉くんがひょいと顔をのぞかせた。
「土井先生、お久しぶりで…す…」
彼はすぐに家の中にいるたまみを見つけて固まった。
「なっ…たまみさん!?」
「あっ…み、見ないでください…!」
恥ずかしそうにしゃがんで背を向けるたまみ。
白くくびれた腰が見え、利吉くんが固まったまま見つめる。
慌てて隠すように私が割って入ると、彼は冷たい眼差しを私に向けた。
「土井先生…真っ昼間からたまみさんに何をさせているんですか…。」
「ち、違う!これは、他に着るものがなくてだな…!」
「土井先生がそんな変態教師だとは知りませんでした…」
「だ、だから、そうじゃなくて…!」
私は慌ててたまみを奥の部屋に押し込め、勢いよく障子をしめて隠した。
すると利吉くんが向こうのたまみに向かって呼びかけた。
「たまみさんっ!泊まる場所がないからって無理矢理そんな格好を強いられているのではありませんかっ!?今からでも遅くありません、私と一緒に…!」
「利吉くん!大声で誤解を招きそうなことを言わないでくれ!」
「ではなぜたまみさんがあんな格好をしているのか納得のいく説明をしてください。」
「だーかーら!さっきからそれを言おうとしてたんじゃないか!」
すると家の前にご近所さんが何だ何だと集まりだしたので、「あはは、何でもありません、大丈夫です…。」と愛想笑いしながら戸を閉めた。
また妙な噂が流れるじゃないか…!
痛みだした胃を押さえると、奥の部屋からたまみの声がした。
「利吉さん、あの、私がうっかり着物を汚してしまって、代わりに着れるものが他になかったんです…。」
利吉くんが眉間にシワを寄せたまま障子を見つめる。
「本当ですか?住む場所ならうちにもありますし、仕事だって他にも色々あるんですから、もし嫌なことがあるなら我慢しなくていいんですよ…!?」
「ほ、本当に大丈夫です!ありがとうございます…。」
利吉くんがやっと納得したように安堵の表情をみせた。
「まったく…利吉くんは私を何だと思ってるんだ…。」
じと目で睨み付けると、利吉くんは苦笑いしながら謝った。
「いやぁすみません。あんまり驚いたもので…。」
はははと笑う利吉くんに私はため息をついた。
まったく。
この私が、わざとそんな格好をさせるわけがないだろう。
そりゃあ、これを着たらどうなるのかなと全く考えなかった訳ではないが…断じてそれを見たくてわざと渡したわけではない。
たまみは小さいからもしかしたら案外きり丸のでもいけるんじゃないかなーとか思ったりしたからで…。
…うんうん、そうだ、やましいことはない!…はずだ。
…しかしまさか利吉くんが来るとは。
私は咳払いをして利吉くんに向き直った。
「で、何の用件だったんだい?」
すると利吉くんは大きな風呂敷に包んでいた荷物をどさっと前においた。
「仕事先で野菜をたくさん頂いたんです。私の家まで持って帰るにはちょっと荷物ですし、ここにたまみさんがいると父から聞いていたので、差し入れついでにお昼ご飯をご相伴にあずかろうかと思いまして。」
利吉くんはそう言うとニコリと笑った。
風呂敷には大根やゴボウなどの野菜がごろごろと包まれていた。
「こんなに貰ってしまっていいのかい?」
「はい。そのかわりと言ってはなんですがお昼ご飯をご一緒してもいいですか?」
「もちろんだ。きり丸が見たら飛んで喜びそうだな。あ、もうすぐバイトから戻るはすだから。」
するとたまみが障子の隙間から顔だけ覗かせて喜んだ。
「わっ!そんなにたくさん!ありがとうございます!」
「いえいえ、たまみさんに料理してもらうために持ってきたんですから。」
「何を作りましょうか。何かたべたいものとかありますか?」
「たまみさんが作ってくれるなら何でもいいですよ。」
「煮物にしましょうか、すごく美味しそ…ぅわっ!!」
たまみが障子に体重をかけたのか、障子が外れて前に転がった。
私よりたまみの近くに立っていた利吉くんが咄嗟に手を伸ばして彼女を起き上がらせる。
「大丈夫ですか?」
「あ、すみません…!」
至近距離で微笑む二人。
私は無言で二人の間に割って入り、たまみを奥の部屋に戻すと障子をはめ直した。
「隣のおばちゃんに着るもの借りてくるから少し待ってて。」
私はそう言うと、キッと利吉くんを目で制止してその場をあとにした。