第67話 花火~夏休み編①~
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「あれ、土井先生ー?」
遠くから声がして振り返ると、乱太郎くんとしんべヱくんがやってきた。
「あ、きり丸とたまみさんもいる~!花火を見に来たんですかぁ?」
「うん、ついでにおにぎり売ってたの。」
「そうなんですか!僕達も花火始まるまで暇なんでお手伝いしますよ~!」
しんべヱくんがよだれをたらしながらおにぎりを見る。
すると半助さんが乱太郎くんとしんべヱくんに笑顔を向けた。
「そうか、じゃあきり丸を少し手伝ってやってくれ。」
「あれ、土井先生は?」
「たまみさんがこういう祭は初めてらしいから、私はちょっと案内をしてくる。」
「え~、そんなこと言ってただ一緒にお祭りデートしたいだけなんじゃないですかぁ?」
「そ、そういうのではなくてだな…!」
「はいはい、もういいですから早く土井先生もたまみさんも行ってきてください。おにぎり売りきったら僕達この辺で遊んでるんで。」
きりちゃんに促され、私と半助さんはそのまま出店を見て回ることにした。
「ごめんね、すぐ戻るからよろしくね。」
「もう完売できそうな感じですし、ゆっくり見てきていいですよー。」
きりちゃんがヒラヒラと手を振った。
気になって振り返っていると、石につまずきかけて前につんのめった。
「ほら、ちゃんと前を向いて歩かないと。」
「す、すみません…!」
半助さんがクスリと笑い、スッと前を指差した。
「あれは飴細工を作ってるお店。あれは鋳掛屋…壊れた鍋とかを直してくれるんだ。あそこらへんは農具とか神具を売ってる店、占いをやってる店…。そっちは食べ物屋が並んでて、蕎麦屋、天婦羅屋、だんご屋…。」
ゆっくり歩きながら色々説明をしてもらう。
物珍しげに足を止めて眺めたりしていると、半助さんが人混みではぐれないようにさりげなく手を握ってくれた。
「…たまみは危なっかしいから。」
目線は前を向いたまま、ぎゅっと手を握られた。
もし誰かに見られたら…そう頭では思ったものの、私はその手をきゅっと握り返して微笑んだ。
何をするでもなく、ただ手を繋いでお祭りの雰囲気のなかを歩いている。
…それだけで、とても嬉しかった。
ふと、おだんごの屋台が目に入って足を止めた。
あれは確か3人で一緒にバイトをしたおだんご屋さんの店主さん…。
見つめていると目があって、陽気な店主さんが挨拶してくれた。
「おっ!久しぶりじゃないか。」
「こんにちは。」
「たまみちゃんは来ないのかって色んなお客さんに聞かれてさ。また時間のあるときでいいから手伝っておくれよ。」
わわっ、そんなこと言ったらまた半助さんの機嫌が…!
ちらりと見上げるとやっぱり少しムッとした表情をしていて。
「あ、あの、私…!」
「おっと!そうだあんた旦那がいたんだってな。悪い悪い!前一緒に手伝ってくれてたのに、おれ知らなくてさ!」
「「えっ」」
「客の一人が話してたよ。たまみちゃんには旦那がいてフラれたってさ。」
あ、あの剣客の人…!?
私が咄嗟についた嘘が、まさかそんな風に広まっているなんて…!
「あんたが旦那だろ。可愛い嫁さん貰うと心配が尽きないね。」
店主さんがカラカラと笑うと、半助さんも頭をかきながら「ええ、まぁ。」と曖昧に肯定した。
びっくりして半助さんを見上げていると、彼はフッと表情を柔らかくして握っている手にぎゅっと力を入れた。
「今日はおまけでこれやるから、またよろしく頼むよ。旦那さんも一緒でも大歓迎だし。」
店主さんはニッと笑うとおだんごを入れ物に入れて5本もくれた。
「こんなに貰ってしまっていいんですか?」
「ああ、またよろしく頼むよ。」
私は半助さんと目を合わせて苦笑しあい、そのままおだんごを受け取りその場を後にした。
「…何だか勘違いさせちゃいましたね。」
伺うように聞いてみると、半助さんはこちらを見ずに「イヤかい?」と聞いてきた。
「…いいえ…。」
赤くなって小さく答えると、半助さんもまた赤い顔でこちらを振り返り、
「私もだ。」
と優しく微笑んだ。
私は胸の高鳴りを抑えることができなくて、気持ちのままに半助さんの腕に寄り添った。
と、そのとき。
少し離れた所から歓声が沸き上がった。
何だろうと見に行ってみると、そこは金魚すくいの屋台だった。
「すごいなぁ兄ちゃん達!!優勝は間違いないな!」
「ぎんぎーん!俺はいついかなるときもお前には負けん!!」
「何言ってやがる!俺の方が一匹多くすくってるだろうが!」
「俺の方が活きのいいデカイ金魚をすくってる!」
…あ、潮江くんと食満くんだ。
まさかこんなところでまで競いあっているとは…!
後ろには他の六年生達も並んで見ていた。
「お前たち、子どもの邪魔じゃないか。何を本気で争っているんだ。」
「「土井先生!!」」
みんなが驚いて私達を見た。
「土井先生こそ、こんなところでデートですか?」
立花くんがニヤリとして聞いてくる。
半助さんはしれっとした顔で「きり丸があっちでバイトしてるから手伝わされていたんだ。」と答えた。
ふと看板を見てみると、そこには『一番多く金魚をすくったお客様に金魚柄の手拭いプレゼント!』と書いてあった。
その下には見本の手拭いが飾られてある。
「…可愛い…!」
思わずこぼれた一言に半助さんが反応した。
「欲しい?」
「えっ」
見上げると、半助さんはにこりと笑って店主に代金を払いポイとお椀を受け取った。
「いいか、金魚すくいというのはこうやるんだ。」
半助さんは潮江くんと食満くんを一瞥すると、スッとしゃがんで滑らかな手つきで金魚を次々とすくいあげた。
「す、すごい…!」
あっという間にお椀が金魚でいっぱいになって、店の主から新しいお椀を受けとる。
「さ、さすが土井先生だな…!」
六年生達がじっとその手つきを見て感嘆の声をあげた。
「ふん、だが土井先生もあいつはすくえないだろう。」
潮江くんが一番大きく元気に泳いでいる金魚を指差した。
すると半助さんは口角をニッとあげて「これか?」といいながらひょいっとお椀にすくった。
「兄ちゃん凄いな!もうこれ以上すくえる奴はいないだろうから、景品の手拭い持っていってくれていいぜ。」
「いいんですか?」
「構わんよ。いい客寄せになってくれた。」
ふと周りを見渡すと、ワクワクした目で子ども達が集まってきて並んでいた。
「では遠慮なく。」
半助さんはにこりと笑って景品を受け取った。
「やってみる?」
半助さんからまだ破れていないポイを貰って金魚をすくおうとしてみたけれど、それはさっきまでと違いすぐに破れてしまった。
「難しい…!土井先生、すっごい上手ですねぇ!」
私が立ち上がって褒めると、半助さんは頬をかいて照れながら笑った。
「コツさえつかめれば、ね。ほらお前たちももう子どもに譲ってあげなさい。」
六年生のみんなはお蕎麦を食べに行こうと話し始め、私達もきりちゃんの方に戻ることにした。
「はい、これ。」
半助さんが景品の手拭いを渡してくれた。
白地に赤く可愛い金魚が描かれている。
「可愛い…!ありがとうございます!!」
半助さんが私の為にとってくれた。
そのことも嬉しくて、私はめいっぱいの笑顔でお礼を言った。
半助さんは私の頭をぽんと撫でると嬉しそうに微笑んだ。
遠くから声がして振り返ると、乱太郎くんとしんべヱくんがやってきた。
「あ、きり丸とたまみさんもいる~!花火を見に来たんですかぁ?」
「うん、ついでにおにぎり売ってたの。」
「そうなんですか!僕達も花火始まるまで暇なんでお手伝いしますよ~!」
しんべヱくんがよだれをたらしながらおにぎりを見る。
すると半助さんが乱太郎くんとしんべヱくんに笑顔を向けた。
「そうか、じゃあきり丸を少し手伝ってやってくれ。」
「あれ、土井先生は?」
「たまみさんがこういう祭は初めてらしいから、私はちょっと案内をしてくる。」
「え~、そんなこと言ってただ一緒にお祭りデートしたいだけなんじゃないですかぁ?」
「そ、そういうのではなくてだな…!」
「はいはい、もういいですから早く土井先生もたまみさんも行ってきてください。おにぎり売りきったら僕達この辺で遊んでるんで。」
きりちゃんに促され、私と半助さんはそのまま出店を見て回ることにした。
「ごめんね、すぐ戻るからよろしくね。」
「もう完売できそうな感じですし、ゆっくり見てきていいですよー。」
きりちゃんがヒラヒラと手を振った。
気になって振り返っていると、石につまずきかけて前につんのめった。
「ほら、ちゃんと前を向いて歩かないと。」
「す、すみません…!」
半助さんがクスリと笑い、スッと前を指差した。
「あれは飴細工を作ってるお店。あれは鋳掛屋…壊れた鍋とかを直してくれるんだ。あそこらへんは農具とか神具を売ってる店、占いをやってる店…。そっちは食べ物屋が並んでて、蕎麦屋、天婦羅屋、だんご屋…。」
ゆっくり歩きながら色々説明をしてもらう。
物珍しげに足を止めて眺めたりしていると、半助さんが人混みではぐれないようにさりげなく手を握ってくれた。
「…たまみは危なっかしいから。」
目線は前を向いたまま、ぎゅっと手を握られた。
もし誰かに見られたら…そう頭では思ったものの、私はその手をきゅっと握り返して微笑んだ。
何をするでもなく、ただ手を繋いでお祭りの雰囲気のなかを歩いている。
…それだけで、とても嬉しかった。
ふと、おだんごの屋台が目に入って足を止めた。
あれは確か3人で一緒にバイトをしたおだんご屋さんの店主さん…。
見つめていると目があって、陽気な店主さんが挨拶してくれた。
「おっ!久しぶりじゃないか。」
「こんにちは。」
「たまみちゃんは来ないのかって色んなお客さんに聞かれてさ。また時間のあるときでいいから手伝っておくれよ。」
わわっ、そんなこと言ったらまた半助さんの機嫌が…!
ちらりと見上げるとやっぱり少しムッとした表情をしていて。
「あ、あの、私…!」
「おっと!そうだあんた旦那がいたんだってな。悪い悪い!前一緒に手伝ってくれてたのに、おれ知らなくてさ!」
「「えっ」」
「客の一人が話してたよ。たまみちゃんには旦那がいてフラれたってさ。」
あ、あの剣客の人…!?
私が咄嗟についた嘘が、まさかそんな風に広まっているなんて…!
「あんたが旦那だろ。可愛い嫁さん貰うと心配が尽きないね。」
店主さんがカラカラと笑うと、半助さんも頭をかきながら「ええ、まぁ。」と曖昧に肯定した。
びっくりして半助さんを見上げていると、彼はフッと表情を柔らかくして握っている手にぎゅっと力を入れた。
「今日はおまけでこれやるから、またよろしく頼むよ。旦那さんも一緒でも大歓迎だし。」
店主さんはニッと笑うとおだんごを入れ物に入れて5本もくれた。
「こんなに貰ってしまっていいんですか?」
「ああ、またよろしく頼むよ。」
私は半助さんと目を合わせて苦笑しあい、そのままおだんごを受け取りその場を後にした。
「…何だか勘違いさせちゃいましたね。」
伺うように聞いてみると、半助さんはこちらを見ずに「イヤかい?」と聞いてきた。
「…いいえ…。」
赤くなって小さく答えると、半助さんもまた赤い顔でこちらを振り返り、
「私もだ。」
と優しく微笑んだ。
私は胸の高鳴りを抑えることができなくて、気持ちのままに半助さんの腕に寄り添った。
と、そのとき。
少し離れた所から歓声が沸き上がった。
何だろうと見に行ってみると、そこは金魚すくいの屋台だった。
「すごいなぁ兄ちゃん達!!優勝は間違いないな!」
「ぎんぎーん!俺はいついかなるときもお前には負けん!!」
「何言ってやがる!俺の方が一匹多くすくってるだろうが!」
「俺の方が活きのいいデカイ金魚をすくってる!」
…あ、潮江くんと食満くんだ。
まさかこんなところでまで競いあっているとは…!
後ろには他の六年生達も並んで見ていた。
「お前たち、子どもの邪魔じゃないか。何を本気で争っているんだ。」
「「土井先生!!」」
みんなが驚いて私達を見た。
「土井先生こそ、こんなところでデートですか?」
立花くんがニヤリとして聞いてくる。
半助さんはしれっとした顔で「きり丸があっちでバイトしてるから手伝わされていたんだ。」と答えた。
ふと看板を見てみると、そこには『一番多く金魚をすくったお客様に金魚柄の手拭いプレゼント!』と書いてあった。
その下には見本の手拭いが飾られてある。
「…可愛い…!」
思わずこぼれた一言に半助さんが反応した。
「欲しい?」
「えっ」
見上げると、半助さんはにこりと笑って店主に代金を払いポイとお椀を受け取った。
「いいか、金魚すくいというのはこうやるんだ。」
半助さんは潮江くんと食満くんを一瞥すると、スッとしゃがんで滑らかな手つきで金魚を次々とすくいあげた。
「す、すごい…!」
あっという間にお椀が金魚でいっぱいになって、店の主から新しいお椀を受けとる。
「さ、さすが土井先生だな…!」
六年生達がじっとその手つきを見て感嘆の声をあげた。
「ふん、だが土井先生もあいつはすくえないだろう。」
潮江くんが一番大きく元気に泳いでいる金魚を指差した。
すると半助さんは口角をニッとあげて「これか?」といいながらひょいっとお椀にすくった。
「兄ちゃん凄いな!もうこれ以上すくえる奴はいないだろうから、景品の手拭い持っていってくれていいぜ。」
「いいんですか?」
「構わんよ。いい客寄せになってくれた。」
ふと周りを見渡すと、ワクワクした目で子ども達が集まってきて並んでいた。
「では遠慮なく。」
半助さんはにこりと笑って景品を受け取った。
「やってみる?」
半助さんからまだ破れていないポイを貰って金魚をすくおうとしてみたけれど、それはさっきまでと違いすぐに破れてしまった。
「難しい…!土井先生、すっごい上手ですねぇ!」
私が立ち上がって褒めると、半助さんは頬をかいて照れながら笑った。
「コツさえつかめれば、ね。ほらお前たちももう子どもに譲ってあげなさい。」
六年生のみんなはお蕎麦を食べに行こうと話し始め、私達もきりちゃんの方に戻ることにした。
「はい、これ。」
半助さんが景品の手拭いを渡してくれた。
白地に赤く可愛い金魚が描かれている。
「可愛い…!ありがとうございます!!」
半助さんが私の為にとってくれた。
そのことも嬉しくて、私はめいっぱいの笑顔でお礼を言った。
半助さんは私の頭をぽんと撫でると嬉しそうに微笑んだ。