第67話 花火~夏休み編①~
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ご飯をたくさん炊いて3人でおにぎりを作っていく。
何だかピクニックの準備をしているみたいで楽しい。
和気あいあいと話しながら作っていると、きりちゃんの厳しいチェックが入った。
「土井先生、おにぎりが大きすぎます。」
「ん、そうか?」
「半助さんは手が大きいからおにぎりも大きくなっちゃうんですねぇ。」
「じゃあ僕とたまみさんで作るんで、土井先生は笹の葉に包んで縛ってください。」
「はいはい。」
「あ、そうだ水も汲んでこなきゃ。ちょっと行ってくるんで、たまみさんおにぎりお願いします。」
「重いでしょ、私がいこうか?」
「大丈夫です、慣れてるんで!」
きりちゃんはそう言うと井戸の方へ向かった。
「…たまみ」
「はい?」
「ほっぺにご飯粒がついてるよ。」
「えっ」
慌てて取ろうとした手が不意に掴まれた。
見上げようとした瞬間、頬をぺろりと舐められて…。
「ごちそうさま。」
半助さんが悪戯っ子みたいにニッと笑った。
「!」
驚いて真っ赤になると、半助さんが私の頭の上にぽんと手を乗せて「水汲みを手伝ってくるよ。」と井戸の方へ歩いていった。
私は突然のことにドキドキしながらおにぎりを作り続けた。
な、何だか半助さんがいつもと違う気がする…!
学園じゃないから…!?
こ、こんなのが毎日続いたら……!!
気づけば不揃いな大きさのおにぎりが沢山出来上がっていて、私は慌ててそれらを握り直した。
おにぎりを笹の葉に包み、竹筒にお水を入れ、3人で川辺の近くまでやってきた。
既に幾つか出店が並んでいる。
何のお店だろうと遠目に眺めていると、きりちゃんが私の持っていたおにぎりをパッと取って土井先生に行った。
「僕、この辺りでおにぎり売り始めるんで、たまみさんはライバル店がないか見てきてください。」
「ライバル店?」
「おにぎりを売ってるお店が他にあるかとか、他の食べ物売ってるお店がどれくらいの値段で売り出してるかとか…あ、土井先生もたまみさんの護衛で一緒に行ってくださいね。」
「護衛って…。まぁたまみは絡まれやすいからなぁ。」
「そ、そんなことは…」
「「あります」」
半助さんときりちゃんが揃って言い切った。
心当たりが無いわけでもないので、私はあははと笑ってごまかした。
じゃあ三人全員で見に行こうと言いかけて、でもおにぎりと竹筒をたくさん持ったまま人混みを歩くのは大変かなと思い直したとき。
「きり丸、視察は自分で行きなさい。これは私達が売っておくからゆっくり見てくるといい。」
そう言うと半助さんはきりちゃんからおにぎりをひょいと取って小銭を渡した。
「!?…土井先生、これは…?」
「敵情視察として出店で好きなものを食べてきたらいい。私とたまみからの軍資金だ。」
半助さんがとても優しくきりちゃんに微笑みかけた。
びっくりして固まっているその小さな背中を私はぽんと押した。
「私はあとで見させて貰うから、ゆっくり回ってきてね。」
にこりと笑いかけると、きりちゃんは子どもらしい笑顔を見せて「へへっ、じゃあ、いってきます!」と走っていった。
「あんまり遠くに行くんじゃないぞー!」
「はーい!」
きりちゃんが笑顔で手を振った。
「きり丸はああでも言わないとこういう祭とか自由に楽しまないから。」
半助さんは苦笑しながらも優しい声音でそう言った。
「いつも商売のことばかりで楽しむ側になりきれないから…こうしてここで銭稼ぎもちゃんとしてると思えば、勿体ないとか思わず楽しめるだろう。」
私は頷きながら、それでもちょっと心配で、人混みに紛れていく小さな背中を見えなくなるまで見送った。
「さて、きり丸が戻るまでにどれだけ売れるかな。」
「頑張りましょう!」
道を歩く人達に声をかけ続けると、おにぎりは思ったよりも売れていった。
…ただ、半助さんの機嫌がどんどん悪くなっていく。
「なんなんださっきから。『おにぎり買ったら一緒に花火見てくれますか』とか、たまみに絡む輩が多すぎる!」
「あはは…まぁ売れたんだからいいじゃないですか。」
「よくない!やっぱりきみは目を離すと危険だ…!」
まったく…と不機嫌そうな半助さんの腕にそっと腕をからませて、私は真っ直ぐに見つめた。
「怒っちゃイヤです…。」
「………。」
半助さんは驚いた顔をして、大きなため息をついた。
「…そうだな、すまない。つい…。」
私は絡ませた腕にそっと寄り添って小声で呟いた。
「…私が好きなのは半助さんだけです…。」
「たまみ…」
半助さんの瞳が柔らかく揺らいだ。
その大きな手がゆっくりと頬に触れる。
目の前に、半助さんしか見えなくなって…
「オホン!」
パッと身を離すと、いつの間にかきりちゃんが近くに戻ってきていた。
「お二人さん、そーいうのは人の居ないところでしてください。」
「き、きり丸!早かったじゃないか。」
「そうですか?」
きりちゃんはパッと背中の後ろから1本のトウモロコシを出した。
「これ、旨そうだったから軍資金で買っちゃいました!一緒に食べましょう!」
それは大きくてこんがりと焼けてとても美味しそうだった。
お醤油の香ばしい匂いとトウモロコシの甘そうな香りがする。
「きりちゃん先に好きなだけ食べていいよ。」
「じゃあ二人の余った分を私が貰おう。」
「えっ、半助さんどうぞ先に…!」
「先にたまみが食べたいだけ食べたらいいよ。」
「んじゃ僕は遠慮なく頂きまーっす!」
嬉しそうにトウモロコシを頬張るきりちゃん。
半助さんはそれをニコニコと優しい目で見ていた。
途中できりちゃんからトウモロコシを受け取り、結局私が先に頂くことになった。
ぱくっとかじりつくと、トウモロコシの甘さとお醤油の辛さ、こんがりと焼けた香ばしさでとても美味しかった。
ぱくぱくとゆっくり味わって食べる。
「んっ…美味しいね。」
「ほんと!これは当たりでした!」
「…はい、あとは半助さんどうぞ。」
「もういいのかい?」
私は頷いてトウモロコシを半助さんの前に差し出した。
「はい、あーん?」
「じ、自分で食べるから…!」
半助さんが顔を赤くしてトウモロコシを受け取った。
「ホントはあーんってしてほしいくせに。」
ゴツン!
「何か言ったかきり丸?」
「い、言ってません…!」
拳骨を落とされて涙ぐむきりちゃん。
半助さんはがぶりとトウモロコシを食べて、にこりと頷いた。
「うん、うまいな。」
もぐもぐと咀嚼する半助さんを見て、3人で1本のトウモロコシを分けあって食べていることを嬉しく思った。
夏らしい甘いトウモロコシの味が口に残り、私はそっときりちゃんの頭を撫でた。
何だかピクニックの準備をしているみたいで楽しい。
和気あいあいと話しながら作っていると、きりちゃんの厳しいチェックが入った。
「土井先生、おにぎりが大きすぎます。」
「ん、そうか?」
「半助さんは手が大きいからおにぎりも大きくなっちゃうんですねぇ。」
「じゃあ僕とたまみさんで作るんで、土井先生は笹の葉に包んで縛ってください。」
「はいはい。」
「あ、そうだ水も汲んでこなきゃ。ちょっと行ってくるんで、たまみさんおにぎりお願いします。」
「重いでしょ、私がいこうか?」
「大丈夫です、慣れてるんで!」
きりちゃんはそう言うと井戸の方へ向かった。
「…たまみ」
「はい?」
「ほっぺにご飯粒がついてるよ。」
「えっ」
慌てて取ろうとした手が不意に掴まれた。
見上げようとした瞬間、頬をぺろりと舐められて…。
「ごちそうさま。」
半助さんが悪戯っ子みたいにニッと笑った。
「!」
驚いて真っ赤になると、半助さんが私の頭の上にぽんと手を乗せて「水汲みを手伝ってくるよ。」と井戸の方へ歩いていった。
私は突然のことにドキドキしながらおにぎりを作り続けた。
な、何だか半助さんがいつもと違う気がする…!
学園じゃないから…!?
こ、こんなのが毎日続いたら……!!
気づけば不揃いな大きさのおにぎりが沢山出来上がっていて、私は慌ててそれらを握り直した。
おにぎりを笹の葉に包み、竹筒にお水を入れ、3人で川辺の近くまでやってきた。
既に幾つか出店が並んでいる。
何のお店だろうと遠目に眺めていると、きりちゃんが私の持っていたおにぎりをパッと取って土井先生に行った。
「僕、この辺りでおにぎり売り始めるんで、たまみさんはライバル店がないか見てきてください。」
「ライバル店?」
「おにぎりを売ってるお店が他にあるかとか、他の食べ物売ってるお店がどれくらいの値段で売り出してるかとか…あ、土井先生もたまみさんの護衛で一緒に行ってくださいね。」
「護衛って…。まぁたまみは絡まれやすいからなぁ。」
「そ、そんなことは…」
「「あります」」
半助さんときりちゃんが揃って言い切った。
心当たりが無いわけでもないので、私はあははと笑ってごまかした。
じゃあ三人全員で見に行こうと言いかけて、でもおにぎりと竹筒をたくさん持ったまま人混みを歩くのは大変かなと思い直したとき。
「きり丸、視察は自分で行きなさい。これは私達が売っておくからゆっくり見てくるといい。」
そう言うと半助さんはきりちゃんからおにぎりをひょいと取って小銭を渡した。
「!?…土井先生、これは…?」
「敵情視察として出店で好きなものを食べてきたらいい。私とたまみからの軍資金だ。」
半助さんがとても優しくきりちゃんに微笑みかけた。
びっくりして固まっているその小さな背中を私はぽんと押した。
「私はあとで見させて貰うから、ゆっくり回ってきてね。」
にこりと笑いかけると、きりちゃんは子どもらしい笑顔を見せて「へへっ、じゃあ、いってきます!」と走っていった。
「あんまり遠くに行くんじゃないぞー!」
「はーい!」
きりちゃんが笑顔で手を振った。
「きり丸はああでも言わないとこういう祭とか自由に楽しまないから。」
半助さんは苦笑しながらも優しい声音でそう言った。
「いつも商売のことばかりで楽しむ側になりきれないから…こうしてここで銭稼ぎもちゃんとしてると思えば、勿体ないとか思わず楽しめるだろう。」
私は頷きながら、それでもちょっと心配で、人混みに紛れていく小さな背中を見えなくなるまで見送った。
「さて、きり丸が戻るまでにどれだけ売れるかな。」
「頑張りましょう!」
道を歩く人達に声をかけ続けると、おにぎりは思ったよりも売れていった。
…ただ、半助さんの機嫌がどんどん悪くなっていく。
「なんなんださっきから。『おにぎり買ったら一緒に花火見てくれますか』とか、たまみに絡む輩が多すぎる!」
「あはは…まぁ売れたんだからいいじゃないですか。」
「よくない!やっぱりきみは目を離すと危険だ…!」
まったく…と不機嫌そうな半助さんの腕にそっと腕をからませて、私は真っ直ぐに見つめた。
「怒っちゃイヤです…。」
「………。」
半助さんは驚いた顔をして、大きなため息をついた。
「…そうだな、すまない。つい…。」
私は絡ませた腕にそっと寄り添って小声で呟いた。
「…私が好きなのは半助さんだけです…。」
「たまみ…」
半助さんの瞳が柔らかく揺らいだ。
その大きな手がゆっくりと頬に触れる。
目の前に、半助さんしか見えなくなって…
「オホン!」
パッと身を離すと、いつの間にかきりちゃんが近くに戻ってきていた。
「お二人さん、そーいうのは人の居ないところでしてください。」
「き、きり丸!早かったじゃないか。」
「そうですか?」
きりちゃんはパッと背中の後ろから1本のトウモロコシを出した。
「これ、旨そうだったから軍資金で買っちゃいました!一緒に食べましょう!」
それは大きくてこんがりと焼けてとても美味しそうだった。
お醤油の香ばしい匂いとトウモロコシの甘そうな香りがする。
「きりちゃん先に好きなだけ食べていいよ。」
「じゃあ二人の余った分を私が貰おう。」
「えっ、半助さんどうぞ先に…!」
「先にたまみが食べたいだけ食べたらいいよ。」
「んじゃ僕は遠慮なく頂きまーっす!」
嬉しそうにトウモロコシを頬張るきりちゃん。
半助さんはそれをニコニコと優しい目で見ていた。
途中できりちゃんからトウモロコシを受け取り、結局私が先に頂くことになった。
ぱくっとかじりつくと、トウモロコシの甘さとお醤油の辛さ、こんがりと焼けた香ばしさでとても美味しかった。
ぱくぱくとゆっくり味わって食べる。
「んっ…美味しいね。」
「ほんと!これは当たりでした!」
「…はい、あとは半助さんどうぞ。」
「もういいのかい?」
私は頷いてトウモロコシを半助さんの前に差し出した。
「はい、あーん?」
「じ、自分で食べるから…!」
半助さんが顔を赤くしてトウモロコシを受け取った。
「ホントはあーんってしてほしいくせに。」
ゴツン!
「何か言ったかきり丸?」
「い、言ってません…!」
拳骨を落とされて涙ぐむきりちゃん。
半助さんはがぶりとトウモロコシを食べて、にこりと頷いた。
「うん、うまいな。」
もぐもぐと咀嚼する半助さんを見て、3人で1本のトウモロコシを分けあって食べていることを嬉しく思った。
夏らしい甘いトウモロコシの味が口に残り、私はそっときりちゃんの頭を撫でた。