第66話 西瓜
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
なんで私がスイカをかけてあいつらと鬼ごっこをしなきゃならんのだ!
しかも目隠しして…。
場所は学園内の一部分だけだからそんなに広くはないが、皆にスイカを食べさせてやるためにわざと捕まるというのもよくないだろうしなぁ…。
しかし全力を出して逃げ切りあいつらがスイカを食べられなくなるのも大人げないというか可哀想な気がする…。
何だか微妙なことに巻き込まれてしまった。
とりあえず、周りの気配に注意してじっと待つことにした。
…さて、どこからどう出てくるかな。
始まってみると、あいつらの成長具合というか、今まで学んだことをどう活かしてくるのかなと少し楽しみになってきた。
ふっ、と気配が動いて耳をすます。
まず最初に出てきたのは…全員か!?
どうやら11人で私を囲んで捕まえる作戦のようだ。
しかも、何やら大きな物を引きずっている気がする…。
これはひょっとして…。
私はひらりと上に跳躍して難なくかわす。
「「「わあぁっ!!」」」
勢い余ったあいつらがぶつかり合う音。
これはやはり。
「畳返しの術か。四方から畳で私を囲って捕まえようとした着眼点はいいが、その程度じゃ私は捕まらないぞ!」
にやりと笑ってみせると悔しがる声がした。
少しその場を離れて木によりかかって待ってみる。
さて、次は…?
今度はバラバラに攻めてくるつもりなのか、あちらこちらで動く気配がする。
…あっちの壁には二人へばりついて気配を消そうとしているな。
観音隠れの術か…気配が全く消せていないぞ…。
…そこの茂みのなかには三人。
木の葉隠れの術…葉に当たってガサガサ音をたてちゃだめじゃないか…。
あっちの木の上には二人…。
狸隠れの術か…これもまた木の枝で音をたてているようじゃまだまだだな。
ドボンッ!
気配がするのと反対側の井戸から大きな音がした。
私がそちらを振り向くと、一斉に隠れていたやつらの気配が動いた。
夜半の嵐の術か。
そんな音で私の気を引いたくらいではごまかされないぞ。
近づく気配にチョークを軽く投げつけていく。
「いたっ!」「いてっ!」「あたっ!」
足を止めてその場にしゃがみこむ良い子達。
テストでは成績が伸びないが、こうして実践になってくるとちゃんと忍術を駆使して動いているところにちょっと感動してしまった。
私の教えてきたことは無駄じゃなかった…!
「ん?」
奇妙な音が近付いてくる。
これは…兵太夫と三治郎のからくりか。
何となく嫌な予感がして距離をおくと、空を切る音がして何かが飛んできた。
こ、これは!
咄嗟にそれをキャッチして、からくりの来た方角に投げ返した。
ボンッと音がして、兵太夫と三治郎のくしゃみと咳が聞こえてきた。
やはり、もっぱんか!
授業で作り方を教えたからな…!
いつも授業はあんな感じだが、実践でこんな風に使えるようになっていることが嬉かった。
一人密かに喜びを噛み締めていると、遠くからたまみの声がした。
「あれっ、利吉さん!」
「こんにちは。何だか面白そうなことをしていますね。」
「土井先生を捕まえたらスイカが食べられるからみんな一生懸命なんですよ。あ、利吉さんもスイカ食べますか?」
「ありがとうございます。…しかし私はこっちの方が…」
「ちょっ!?利吉さん!?や、やめてくださ…!」
ビシィッ!!
私は思いきりチョークを投げつけた。
「り、利吉さん!?大丈夫ですか!?」
「…頭にチョークで穴が開きました…!」
私は声のする方に怒鳴りつけた。
「鉢屋!利吉くんの変装をするのはやめなさい!」
「…あ、目隠ししててもばれちゃいましたか。」
「当たり前だ!利吉くんならこの程度のチョーク避けている。」
「いやぁすみません。あんまり面白そうなことをしているからつい一年生の援護を…。」
反省の色の無さそうな鉢屋の声が聞こえる。
援護だと?
よく気配を探ってみると五年生がぞろぞろと廊下を歩いてきているようだった。
「あ、たまみさん!見てくださいよこの珍しい色合いの…」
「た、竹谷くん!!その虫こっちに近付けないで!」
たまみの焦る声が聞こえると同時に、砂を踏むじゃりっという音がした。
すると久々知の声が響く。
「あっ、たまみさん!そっちは危ない!」
「えっ!?」
その声と同時に、ガサガサ、ドサッ!という物音がした。
「いたっ!」
「たまみさん!?」
この音は…落とし穴に落ちたのか!?
咄嗟に助けに行こうとしたとき。
「ど~い~せんせ~!」
「しんべヱ!呼んじゃだめだよっ!」
しんべヱと乱太郎の走ってくる音がする。
そして同じ方向から何やら食べ物のにおいが…これは、ひょっとして…!
「あっ!!」
しんべヱが石につまづいたようで、代わりに何かが飛んでくる気配がした。
背筋に悪寒が走る。
これは!
間違いない…!
お鍋とちくわだ…!!!!
「たまみ、早く手を!」
ちくわが飛んでくる前にたまみを引き上げようと慌ててしゃがんで手を伸ばす。
すると…
ぎゅっ
「土井先生つかまえた!」
「へ?」
落とし穴から手を出したのは、きり丸だった。
目隠しがスッと外されて、目の前にはきり丸とたまみが二人で落とし穴に入っていた。
「なっ…!」
「俺、落とし穴に隠れてたんですよ。ちくわに驚いた土井先生を落とし穴に落とす作戦だったんですけど、まさかたまみさんが落ちてくるとは…。」
「虫に驚いて足元見てなくて…きりちゃんゴメンね。でも結果オーライってことで…!あ、土井先生、肩にちくわが…。」
「ひっ!?」
たまみが私の肩のちくわを取って楽しそうに笑った。
そして、あちこちから「わーいスイカだ!」という声が聞こえてくる。
やられた…。
五年生とたまみに気をとられてきり丸の気配に気づかず、ちくわに心乱されてしまった。
山田先生の愉快そうな笑い声が聞こえてくる。
「わはは、土井先生の弱点…ちくわとたまみくんを使ってよく捕まえたな!他にも色々忍術をちゃんと使おうとしていて日頃の成果が伺えた!みんな食べに行っていいぞ!」
「「「「「わーい!」」」」」」
みんながぞろぞろと食堂へ走っていく。
しかし気になる会話がちらりと聞こえた。
「誰か忍術使ってたの?」
「何のことだろうね。」
「まぁ土井先生捕まえられたからいいんじゃない?」
「五年生の先輩方が通って土井先生の気が散ったのもラッキーだったね。」
「しんべヱの転び方もナイスだったね。」
「えへへ~!」
なにぃ~!?
あいつら、忍術を使っているつもりじゃなかったのか!?
私は愕然として山田先生と目を合わせ、がっくりと項垂れた。
「教えたはずだ…教えたはずだー!」
しかも目隠しして…。
場所は学園内の一部分だけだからそんなに広くはないが、皆にスイカを食べさせてやるためにわざと捕まるというのもよくないだろうしなぁ…。
しかし全力を出して逃げ切りあいつらがスイカを食べられなくなるのも大人げないというか可哀想な気がする…。
何だか微妙なことに巻き込まれてしまった。
とりあえず、周りの気配に注意してじっと待つことにした。
…さて、どこからどう出てくるかな。
始まってみると、あいつらの成長具合というか、今まで学んだことをどう活かしてくるのかなと少し楽しみになってきた。
ふっ、と気配が動いて耳をすます。
まず最初に出てきたのは…全員か!?
どうやら11人で私を囲んで捕まえる作戦のようだ。
しかも、何やら大きな物を引きずっている気がする…。
これはひょっとして…。
私はひらりと上に跳躍して難なくかわす。
「「「わあぁっ!!」」」
勢い余ったあいつらがぶつかり合う音。
これはやはり。
「畳返しの術か。四方から畳で私を囲って捕まえようとした着眼点はいいが、その程度じゃ私は捕まらないぞ!」
にやりと笑ってみせると悔しがる声がした。
少しその場を離れて木によりかかって待ってみる。
さて、次は…?
今度はバラバラに攻めてくるつもりなのか、あちらこちらで動く気配がする。
…あっちの壁には二人へばりついて気配を消そうとしているな。
観音隠れの術か…気配が全く消せていないぞ…。
…そこの茂みのなかには三人。
木の葉隠れの術…葉に当たってガサガサ音をたてちゃだめじゃないか…。
あっちの木の上には二人…。
狸隠れの術か…これもまた木の枝で音をたてているようじゃまだまだだな。
ドボンッ!
気配がするのと反対側の井戸から大きな音がした。
私がそちらを振り向くと、一斉に隠れていたやつらの気配が動いた。
夜半の嵐の術か。
そんな音で私の気を引いたくらいではごまかされないぞ。
近づく気配にチョークを軽く投げつけていく。
「いたっ!」「いてっ!」「あたっ!」
足を止めてその場にしゃがみこむ良い子達。
テストでは成績が伸びないが、こうして実践になってくるとちゃんと忍術を駆使して動いているところにちょっと感動してしまった。
私の教えてきたことは無駄じゃなかった…!
「ん?」
奇妙な音が近付いてくる。
これは…兵太夫と三治郎のからくりか。
何となく嫌な予感がして距離をおくと、空を切る音がして何かが飛んできた。
こ、これは!
咄嗟にそれをキャッチして、からくりの来た方角に投げ返した。
ボンッと音がして、兵太夫と三治郎のくしゃみと咳が聞こえてきた。
やはり、もっぱんか!
授業で作り方を教えたからな…!
いつも授業はあんな感じだが、実践でこんな風に使えるようになっていることが嬉かった。
一人密かに喜びを噛み締めていると、遠くからたまみの声がした。
「あれっ、利吉さん!」
「こんにちは。何だか面白そうなことをしていますね。」
「土井先生を捕まえたらスイカが食べられるからみんな一生懸命なんですよ。あ、利吉さんもスイカ食べますか?」
「ありがとうございます。…しかし私はこっちの方が…」
「ちょっ!?利吉さん!?や、やめてくださ…!」
ビシィッ!!
私は思いきりチョークを投げつけた。
「り、利吉さん!?大丈夫ですか!?」
「…頭にチョークで穴が開きました…!」
私は声のする方に怒鳴りつけた。
「鉢屋!利吉くんの変装をするのはやめなさい!」
「…あ、目隠ししててもばれちゃいましたか。」
「当たり前だ!利吉くんならこの程度のチョーク避けている。」
「いやぁすみません。あんまり面白そうなことをしているからつい一年生の援護を…。」
反省の色の無さそうな鉢屋の声が聞こえる。
援護だと?
よく気配を探ってみると五年生がぞろぞろと廊下を歩いてきているようだった。
「あ、たまみさん!見てくださいよこの珍しい色合いの…」
「た、竹谷くん!!その虫こっちに近付けないで!」
たまみの焦る声が聞こえると同時に、砂を踏むじゃりっという音がした。
すると久々知の声が響く。
「あっ、たまみさん!そっちは危ない!」
「えっ!?」
その声と同時に、ガサガサ、ドサッ!という物音がした。
「いたっ!」
「たまみさん!?」
この音は…落とし穴に落ちたのか!?
咄嗟に助けに行こうとしたとき。
「ど~い~せんせ~!」
「しんべヱ!呼んじゃだめだよっ!」
しんべヱと乱太郎の走ってくる音がする。
そして同じ方向から何やら食べ物のにおいが…これは、ひょっとして…!
「あっ!!」
しんべヱが石につまづいたようで、代わりに何かが飛んでくる気配がした。
背筋に悪寒が走る。
これは!
間違いない…!
お鍋とちくわだ…!!!!
「たまみ、早く手を!」
ちくわが飛んでくる前にたまみを引き上げようと慌ててしゃがんで手を伸ばす。
すると…
ぎゅっ
「土井先生つかまえた!」
「へ?」
落とし穴から手を出したのは、きり丸だった。
目隠しがスッと外されて、目の前にはきり丸とたまみが二人で落とし穴に入っていた。
「なっ…!」
「俺、落とし穴に隠れてたんですよ。ちくわに驚いた土井先生を落とし穴に落とす作戦だったんですけど、まさかたまみさんが落ちてくるとは…。」
「虫に驚いて足元見てなくて…きりちゃんゴメンね。でも結果オーライってことで…!あ、土井先生、肩にちくわが…。」
「ひっ!?」
たまみが私の肩のちくわを取って楽しそうに笑った。
そして、あちこちから「わーいスイカだ!」という声が聞こえてくる。
やられた…。
五年生とたまみに気をとられてきり丸の気配に気づかず、ちくわに心乱されてしまった。
山田先生の愉快そうな笑い声が聞こえてくる。
「わはは、土井先生の弱点…ちくわとたまみくんを使ってよく捕まえたな!他にも色々忍術をちゃんと使おうとしていて日頃の成果が伺えた!みんな食べに行っていいぞ!」
「「「「「わーい!」」」」」」
みんながぞろぞろと食堂へ走っていく。
しかし気になる会話がちらりと聞こえた。
「誰か忍術使ってたの?」
「何のことだろうね。」
「まぁ土井先生捕まえられたからいいんじゃない?」
「五年生の先輩方が通って土井先生の気が散ったのもラッキーだったね。」
「しんべヱの転び方もナイスだったね。」
「えへへ~!」
なにぃ~!?
あいつら、忍術を使っているつもりじゃなかったのか!?
私は愕然として山田先生と目を合わせ、がっくりと項垂れた。
「教えたはずだ…教えたはずだー!」