第65話 こもれび
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
算数の抜き打ちテストをした日の夜、きり丸が話があると職員室に来た。
何事かと聞いてみれば、たまみがきり丸と同じように裏山で補習を受けたがっているという。
「何で補習授業なんか受けたいんだ?」
「も~、これだから土井先生はその歳まで独身なんです。」
「余計なお世話だっ!」
拳骨を振りかざすと、きり丸が慌てて説明した。
「だからぁ。土井先生はいつも『みんなの土井先生』じゃないですか。それを独り占めして『自分だけの土井先生』にしたいんじゃないですか?…こう、自分だけの特別!みたいな。」
「…何でそんなことが分かるんだ?」
「そりゃあ、それくらい分かりますよ。」
「…そんな風に思うものなのか?」
「そうです。」
「…お前もそう思ったのか?」
「ぼ、僕は関係ないでしょう!あくまで僕は、たまみさんの気持ちを代弁したまでですっ!」
「ふーん…そうか。」
きり丸が赤くなって腕を組みそっぽを向いた。
ふむ…そうなのか、そんな風に思ってくれるのだな。
なぜか嬉しく思いながら、しかしたまみは毎晩部屋で話をしたり私を独占している時間があるはずなのにと不思議に思った。
足りなかったのだろうか。
それとも、『教師』としての私を占有したいということなのか…。
「…土井先生、なにニヤけてるんですか。」
「なっ…!ニヤけてなどない!」
再び拳を振りかざすと、きり丸は慌てて逃げていった。
「とにかく、俺はちゃんと伝えましたからねー!」
「…まったく。」
どうしたものかな…。
私は可愛い彼女の可愛らしい我儘に口元が緩むのを抑えられなかった。
翌日。
きり丸と補習授業をした場所へたまみを連れていった。
驚かせてみたくて行き先を告げずに連れ出したのだが、到着するとたまみは期待通り目を丸くして驚いていた。
彼女は嬉しそうに頬を染めて、何やらモジモジしている。
…おいおい、可愛いすぎるだろう…。
もしもたまみが生徒だったら、私は卒業まで待つことができたのだろうか……。
………自信ないなぁ。
「…それで、何を教えて欲しいのかな?」
私の言葉に、彼女がまたしどろもどろになる。
…恋仲で、深い仲でもあるというのに、ときどきこうして恥ずかしがる彼女がとても愛しかった。
じっとその返事を待ってみる。
すると、
「…兵法について教えてください。」
「兵法?」
予想外の答えだった。
「土井先生は火薬と兵法に詳しいと聞いたので…。土井先生が得意とするものがどういうものなのか知りたいんです。」
たまみは目を輝かせて私を見上げた。
兵法に興味があるのではなく、私が詳しい事柄に興味があるというのか。
…また可愛らしいことを言ってくれる。
「…じゃあ、基本のところから説明するよ。」
「はい!」
「…まず、戦というのはなるべく戦わず相手も傷つけず目的を達成するのが一番いいんだ。その為には敵をよく知り何を考えているか見抜くことが大切になってくる。そして、敵を知る手段として忍者はとても重要で…」
説明している間、たまみはじっと私を見つめて真剣な顔で話を聞いていた。
…一年は組のあいつらもこれだけ熱心に聞いてくれたらなぁ。
心のなかでそんなことを呟きながら、目の前の可愛い生徒に順をおって説明していく。
「情報をもたらすのが忍者の本分で、敵の動きや情勢、疲労や混乱は特に見逃さないようにしなければならない。」
たまみは時折頷いたり相槌をうちながら一生懸命に聞いてくれる。
質問があればその都度聞いてくれて、普段の授業…脱線するのを元に戻すのに必死だ…より気持ちのいい補習だった。
「軍の動かし方も、山、川、湿地、平地、条件の悪い場所、それぞれに注意しなければならないことがあって…」
こうして私達はしゃがんで地面にときどき図を書いたりしながら補習授業を続けた…。
何事かと聞いてみれば、たまみがきり丸と同じように裏山で補習を受けたがっているという。
「何で補習授業なんか受けたいんだ?」
「も~、これだから土井先生はその歳まで独身なんです。」
「余計なお世話だっ!」
拳骨を振りかざすと、きり丸が慌てて説明した。
「だからぁ。土井先生はいつも『みんなの土井先生』じゃないですか。それを独り占めして『自分だけの土井先生』にしたいんじゃないですか?…こう、自分だけの特別!みたいな。」
「…何でそんなことが分かるんだ?」
「そりゃあ、それくらい分かりますよ。」
「…そんな風に思うものなのか?」
「そうです。」
「…お前もそう思ったのか?」
「ぼ、僕は関係ないでしょう!あくまで僕は、たまみさんの気持ちを代弁したまでですっ!」
「ふーん…そうか。」
きり丸が赤くなって腕を組みそっぽを向いた。
ふむ…そうなのか、そんな風に思ってくれるのだな。
なぜか嬉しく思いながら、しかしたまみは毎晩部屋で話をしたり私を独占している時間があるはずなのにと不思議に思った。
足りなかったのだろうか。
それとも、『教師』としての私を占有したいということなのか…。
「…土井先生、なにニヤけてるんですか。」
「なっ…!ニヤけてなどない!」
再び拳を振りかざすと、きり丸は慌てて逃げていった。
「とにかく、俺はちゃんと伝えましたからねー!」
「…まったく。」
どうしたものかな…。
私は可愛い彼女の可愛らしい我儘に口元が緩むのを抑えられなかった。
翌日。
きり丸と補習授業をした場所へたまみを連れていった。
驚かせてみたくて行き先を告げずに連れ出したのだが、到着するとたまみは期待通り目を丸くして驚いていた。
彼女は嬉しそうに頬を染めて、何やらモジモジしている。
…おいおい、可愛いすぎるだろう…。
もしもたまみが生徒だったら、私は卒業まで待つことができたのだろうか……。
………自信ないなぁ。
「…それで、何を教えて欲しいのかな?」
私の言葉に、彼女がまたしどろもどろになる。
…恋仲で、深い仲でもあるというのに、ときどきこうして恥ずかしがる彼女がとても愛しかった。
じっとその返事を待ってみる。
すると、
「…兵法について教えてください。」
「兵法?」
予想外の答えだった。
「土井先生は火薬と兵法に詳しいと聞いたので…。土井先生が得意とするものがどういうものなのか知りたいんです。」
たまみは目を輝かせて私を見上げた。
兵法に興味があるのではなく、私が詳しい事柄に興味があるというのか。
…また可愛らしいことを言ってくれる。
「…じゃあ、基本のところから説明するよ。」
「はい!」
「…まず、戦というのはなるべく戦わず相手も傷つけず目的を達成するのが一番いいんだ。その為には敵をよく知り何を考えているか見抜くことが大切になってくる。そして、敵を知る手段として忍者はとても重要で…」
説明している間、たまみはじっと私を見つめて真剣な顔で話を聞いていた。
…一年は組のあいつらもこれだけ熱心に聞いてくれたらなぁ。
心のなかでそんなことを呟きながら、目の前の可愛い生徒に順をおって説明していく。
「情報をもたらすのが忍者の本分で、敵の動きや情勢、疲労や混乱は特に見逃さないようにしなければならない。」
たまみは時折頷いたり相槌をうちながら一生懸命に聞いてくれる。
質問があればその都度聞いてくれて、普段の授業…脱線するのを元に戻すのに必死だ…より気持ちのいい補習だった。
「軍の動かし方も、山、川、湿地、平地、条件の悪い場所、それぞれに注意しなければならないことがあって…」
こうして私達はしゃがんで地面にときどき図を書いたりしながら補習授業を続けた…。