第26話 おつかい
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
食堂のおばちゃんからお店を書いた地図をもらい、利吉さんと町へ向かった。
昨日は雨が降っていたので、道中足元が水溜まりになっているところがあった。
利吉さんはさりげなく手を引いてエスコートしてくれて、紳士だなぁと思う。
「このお店ですね。」
私は実は地図を読むのが苦手なので利吉さんに渡して場所を探してもらった。
おばちゃんのメモ通りにお味噌を買ってお店を出ると、利吉さんが少し遠くを指差した。
「すぐそこに最近有名な甘味処があるんですけど、行ってみませんか?」
「えっ、甘味?」
有名な甘味処と聞いて、私の目が輝く。
けれど、食堂のおばちゃんが帰りを待ってるのではないかと気になった。
そんな私の心を読んだのか、
「明日の朝食のお味噌って仰っていたので急ぎのおつかいではないでしょう。…ちなみに、その店はところてんが美味しいそうですよ。」
「ところてん…!」
私はその味を想像して早々に顔がにやけてしまった。
「あはは、たまみさんは分かりやすいですね。色んな味を知るのも仕事の役に立つでしょうし、社会見学と思って行きましょう。」
利吉さんに笑われながら背中を押され、少し躊躇う気持ちもあったものの結局立ち寄ってみることにした。
「ん~、美味しいっ!」
「確かに。これは有名になるのも分かりますね。」
幸せそうに食べる私。
それをニコニコと見ながら一緒に食べる利吉さん。
ふと店内の女性達の視線を感じた。
若い女性がたくさんいるお店の中で、利吉さんはとても注目を集めていた。
「みんな利吉さんを見てますよ。」
私がびっくりして言うと、
「そうですね。」
とあっさり肯定された。
そっか、そりゃプロの忍者だもんね。視線ぐらいすぐに気づくよね。
なんて考えていたら、
「私はたまみさんにだけ見てもらえたらそれでいいんです。」
さらりとそんなことを笑顔で言うから、私は赤くなってもくもくとところてんを食べ続けた。
「あと一つだけ寄ってもらいたいのですが…」
食べ終わってお店を出ると、利吉さんは迷いなく歩きだした。
「父上からちょっと頼まれてまして…」
「え、ここですか?」
紅などの化粧品を売っているお店だった。
「はい、女装用の紅を買うように頼まれていまして。…どの色がいいかも分からないので、一緒に来てもらえますか?」
女装用の紅…。
伝子さんの姿を思い浮かべ、父親の女装道具のおつかいをさせられる利吉さんを気の毒に思った。
私は一緒に店に入ると、どれが伝子さんに似合うかなと手に取ってみた。
「ちょっと、こっち向いてもらえますか?」
「はい?」
振り向くと利吉さんの薬指が近づいてきて。
私の唇をゆっくりなぞった。
「っ!?」
「うん、やっぱりこの色がいい。」
利吉さんはにっこり笑うと、手に持っていた紅をそのままお会計に持っていった。
私は横の鏡を見て紅を塗られたのだと気づき、突然のことに驚き固まって赤面した。
利吉さんは平然と「これをください。あ、あとこれも。」などと買い物を終え、唖然とする私を見て微笑んだ。
「どうしましたか?」
「…利吉さん、って、いつもこんな感じなのですか…?」
「こんな感じ?」
「えー、と……」
プロの忍者だから女性の扱い方も手慣れて…というかなんというか…直球で聞くのも躊躇われ何と言葉にすればよいか迷っていると、利吉さんは私の横にスッと並んで小声で囁いた。
「…たまみさんにだけです。仕事でもこんなことはしません。」
心を読まれたのかと驚いて利吉さんを見ると、真っ直ぐな眼差しとパチリと目があって、反射的に目をそらしてしまった。
「…でも、何だか平然としてるというか余裕そうに…」
「そう、見えます?」
見えると答えようとして利吉さんを見上げると、彼は少し恥ずかしそうに苦笑いしていた。
「それならよかったです。」
「…!」
一瞬見せた、はにかむ少年のような素の表情。
…ということは、本当はそうじゃないと…平然と見えるように振る舞っているけど心中はそうでないと…?
信じられない気持ちでじっと利吉さんを見つめていると、彼はひとつ咳払いしてサッと一歩踏み出した。
「さて、そろそろ帰りましょうか。日が暮れると歩きにくいでしょう。」
利吉さんはまた爽やかに微笑み歩きだした。
昨日は雨が降っていたので、道中足元が水溜まりになっているところがあった。
利吉さんはさりげなく手を引いてエスコートしてくれて、紳士だなぁと思う。
「このお店ですね。」
私は実は地図を読むのが苦手なので利吉さんに渡して場所を探してもらった。
おばちゃんのメモ通りにお味噌を買ってお店を出ると、利吉さんが少し遠くを指差した。
「すぐそこに最近有名な甘味処があるんですけど、行ってみませんか?」
「えっ、甘味?」
有名な甘味処と聞いて、私の目が輝く。
けれど、食堂のおばちゃんが帰りを待ってるのではないかと気になった。
そんな私の心を読んだのか、
「明日の朝食のお味噌って仰っていたので急ぎのおつかいではないでしょう。…ちなみに、その店はところてんが美味しいそうですよ。」
「ところてん…!」
私はその味を想像して早々に顔がにやけてしまった。
「あはは、たまみさんは分かりやすいですね。色んな味を知るのも仕事の役に立つでしょうし、社会見学と思って行きましょう。」
利吉さんに笑われながら背中を押され、少し躊躇う気持ちもあったものの結局立ち寄ってみることにした。
「ん~、美味しいっ!」
「確かに。これは有名になるのも分かりますね。」
幸せそうに食べる私。
それをニコニコと見ながら一緒に食べる利吉さん。
ふと店内の女性達の視線を感じた。
若い女性がたくさんいるお店の中で、利吉さんはとても注目を集めていた。
「みんな利吉さんを見てますよ。」
私がびっくりして言うと、
「そうですね。」
とあっさり肯定された。
そっか、そりゃプロの忍者だもんね。視線ぐらいすぐに気づくよね。
なんて考えていたら、
「私はたまみさんにだけ見てもらえたらそれでいいんです。」
さらりとそんなことを笑顔で言うから、私は赤くなってもくもくとところてんを食べ続けた。
「あと一つだけ寄ってもらいたいのですが…」
食べ終わってお店を出ると、利吉さんは迷いなく歩きだした。
「父上からちょっと頼まれてまして…」
「え、ここですか?」
紅などの化粧品を売っているお店だった。
「はい、女装用の紅を買うように頼まれていまして。…どの色がいいかも分からないので、一緒に来てもらえますか?」
女装用の紅…。
伝子さんの姿を思い浮かべ、父親の女装道具のおつかいをさせられる利吉さんを気の毒に思った。
私は一緒に店に入ると、どれが伝子さんに似合うかなと手に取ってみた。
「ちょっと、こっち向いてもらえますか?」
「はい?」
振り向くと利吉さんの薬指が近づいてきて。
私の唇をゆっくりなぞった。
「っ!?」
「うん、やっぱりこの色がいい。」
利吉さんはにっこり笑うと、手に持っていた紅をそのままお会計に持っていった。
私は横の鏡を見て紅を塗られたのだと気づき、突然のことに驚き固まって赤面した。
利吉さんは平然と「これをください。あ、あとこれも。」などと買い物を終え、唖然とする私を見て微笑んだ。
「どうしましたか?」
「…利吉さん、って、いつもこんな感じなのですか…?」
「こんな感じ?」
「えー、と……」
プロの忍者だから女性の扱い方も手慣れて…というかなんというか…直球で聞くのも躊躇われ何と言葉にすればよいか迷っていると、利吉さんは私の横にスッと並んで小声で囁いた。
「…たまみさんにだけです。仕事でもこんなことはしません。」
心を読まれたのかと驚いて利吉さんを見ると、真っ直ぐな眼差しとパチリと目があって、反射的に目をそらしてしまった。
「…でも、何だか平然としてるというか余裕そうに…」
「そう、見えます?」
見えると答えようとして利吉さんを見上げると、彼は少し恥ずかしそうに苦笑いしていた。
「それならよかったです。」
「…!」
一瞬見せた、はにかむ少年のような素の表情。
…ということは、本当はそうじゃないと…平然と見えるように振る舞っているけど心中はそうでないと…?
信じられない気持ちでじっと利吉さんを見つめていると、彼はひとつ咳払いしてサッと一歩踏み出した。
「さて、そろそろ帰りましょうか。日が暮れると歩きにくいでしょう。」
利吉さんはまた爽やかに微笑み歩きだした。