第23話 子守り
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「よし、これで全部できた!赤ん坊もそろそろ返しに行かなきゃいけないし、二人ともありがとうございました。」
片付けながらお礼を言うと、二人ともとても寂しそうな顔をした。
「もうそんな時間か…」
「もう帰っちゃうの?」
たまみさんは赤ん坊を撫でた。
土井先生がそれを見ながら俺に聞いてきた。
「私も一緒に行こうか?」
「いえ、その赤ん坊の家、内職の花を渡すのと近い所にあるし一人で大丈夫です。」
「そうか…。」
土井先生はいつも赤ん坊を返すときには寂しそうな顔をしているが、なぜか今日はいつにもまして寂しそうだった。
たまみさんは赤ん坊をぎゅっと抱いてその頭に頬擦りした。
「どうか元気に育ってね…」
涙目でそう言う姿は、まるで自分の子どもを里子にでも出すように見えた。
「じゃあ、気をつけてな。」
土井先生が名残惜しそうに赤ん坊を渡してくれた。
たまみさんをもう一度見ると、あんまり悲しそうな顔をしているから、俺はこう言った。
「たまみさん、そんなに悲しがらなくてもいいですよ。」
「…なんで?」
「だって、たまみさんが元気な赤ちゃんたくさん産めばいいじゃないですか。」
「!」
からかうなとかちょっと怒られるかなと思ったけど、たまみさんは意外にも「そっか!」と納得の表情を見せた。
「そうだね、じゃあ、そのときはきり丸くんお兄ちゃんとして手伝ってくれる?」
………ん?
お兄ちゃんとして?
それって…。
ちらりと土井先生を見てみた。
土井先生は、真っ赤な顔をして口に手を当てて横を向いていた。
え、やっぱり、そういうことだよな。
俺が兄ちゃんってことは、父ちゃんは土井先生?
え、二人ってそういう仲だっけ…いつの間に…?
いやそんなはずはない。
…じゃあ、たまみさんの頭のなかで、子どもを産むなら土井先生と…って話になってるってこと?
俺は笑いを堪えきれず、笑顔でこう返した。
「いいですよ。土井先生は忙しくてなかなか家に帰らないだろうし、俺が子守りを手伝います。」
「…!」
ここまで言って、たまみさんはようやく自分の言葉の意味に気づいたようだ。
「あ、やっ、その、そういう意味で、言ったんじゃなくて…!」
たまみさんは真っ赤になってごにょごにょ言い出した。
俺は何だかおかしくて、そのまま笑いながら部屋を出て歩きだした。
もし土井先生が結婚したら俺は出ていかなくちゃってあんなに思っていたのに。
お兄ちゃんとして手伝えって。
でも、たしかにたまみさんちょっと抜けてるし、土井先生はいつも忙しそうだし、休みの日ぐらい俺が赤ん坊の面倒見たり手伝ってやる方がいいのかもしれない。
それはきっと、俺の大嫌いなタダ働きだ。
だけど、不思議と全然嫌じゃなかった。
必要としてもらえる。
それが、嬉しかった。
ずっと一人であれこれ考えていたのに、今はそんな先のことを考えると何だか楽しみな気がしてきた。
…それは、きっともっとずっと先の話だと思うけど。
片付けながらお礼を言うと、二人ともとても寂しそうな顔をした。
「もうそんな時間か…」
「もう帰っちゃうの?」
たまみさんは赤ん坊を撫でた。
土井先生がそれを見ながら俺に聞いてきた。
「私も一緒に行こうか?」
「いえ、その赤ん坊の家、内職の花を渡すのと近い所にあるし一人で大丈夫です。」
「そうか…。」
土井先生はいつも赤ん坊を返すときには寂しそうな顔をしているが、なぜか今日はいつにもまして寂しそうだった。
たまみさんは赤ん坊をぎゅっと抱いてその頭に頬擦りした。
「どうか元気に育ってね…」
涙目でそう言う姿は、まるで自分の子どもを里子にでも出すように見えた。
「じゃあ、気をつけてな。」
土井先生が名残惜しそうに赤ん坊を渡してくれた。
たまみさんをもう一度見ると、あんまり悲しそうな顔をしているから、俺はこう言った。
「たまみさん、そんなに悲しがらなくてもいいですよ。」
「…なんで?」
「だって、たまみさんが元気な赤ちゃんたくさん産めばいいじゃないですか。」
「!」
からかうなとかちょっと怒られるかなと思ったけど、たまみさんは意外にも「そっか!」と納得の表情を見せた。
「そうだね、じゃあ、そのときはきり丸くんお兄ちゃんとして手伝ってくれる?」
………ん?
お兄ちゃんとして?
それって…。
ちらりと土井先生を見てみた。
土井先生は、真っ赤な顔をして口に手を当てて横を向いていた。
え、やっぱり、そういうことだよな。
俺が兄ちゃんってことは、父ちゃんは土井先生?
え、二人ってそういう仲だっけ…いつの間に…?
いやそんなはずはない。
…じゃあ、たまみさんの頭のなかで、子どもを産むなら土井先生と…って話になってるってこと?
俺は笑いを堪えきれず、笑顔でこう返した。
「いいですよ。土井先生は忙しくてなかなか家に帰らないだろうし、俺が子守りを手伝います。」
「…!」
ここまで言って、たまみさんはようやく自分の言葉の意味に気づいたようだ。
「あ、やっ、その、そういう意味で、言ったんじゃなくて…!」
たまみさんは真っ赤になってごにょごにょ言い出した。
俺は何だかおかしくて、そのまま笑いながら部屋を出て歩きだした。
もし土井先生が結婚したら俺は出ていかなくちゃってあんなに思っていたのに。
お兄ちゃんとして手伝えって。
でも、たしかにたまみさんちょっと抜けてるし、土井先生はいつも忙しそうだし、休みの日ぐらい俺が赤ん坊の面倒見たり手伝ってやる方がいいのかもしれない。
それはきっと、俺の大嫌いなタダ働きだ。
だけど、不思議と全然嫌じゃなかった。
必要としてもらえる。
それが、嬉しかった。
ずっと一人であれこれ考えていたのに、今はそんな先のことを考えると何だか楽しみな気がしてきた。
…それは、きっともっとずっと先の話だと思うけど。