第23話 子守り
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次の休日。
俺は内職と子守りのバイトを引き受けていて、子守りを土井先生に手伝ってもらうことにした。
「バイトは同時にたくさん受けるんじゃないといつも言ってるだろう…」
「すみませ~ん、俺は横で内職の仕事してるんで、土井先生は子守りをしてもらえますか?」
呆れながらも土井先生は眠っている赤ん坊を受け取ってくれた。
だけどそのとき赤ん坊の目が覚めてしまって、急に大きな泣き声をあげた。
あやしていると、たまみさんが驚いた顔で障子から顔を覗かせた。
「あの、赤ちゃんの泣き声が……って、土井先生………?」
たまみさんが土井先生と赤ん坊を交互に見て動揺した顔をしたので、土井先生が慌てて首をふった。
「ち、違うんです!私の子どもではなくて…!きり丸の子守りのアルバイトで!」
「えっ……ああ、そうなんですか…!」
あからさまにホッとするたまみさんと、その表情にホッとする土井先生と、変な勘違いをさせなくてよかったと冷や汗をかく俺。
たまみさんは土井先生が抱っこしている赤ん坊をまじまじと見た。
「え~…可愛い…!私も、抱いてみていいですか?」
たまみさんは「可愛いすぎ…!」と言いながら赤ん坊をゆらゆらと抱いた。
あれ、何だか抱き方が上手いな。
だけど赤ん坊がまた泣き出して、土井先生が赤ん坊の顔を覗きこんだ。
「お腹がすいてるのかな?飴湯を飲ませてみようか。」
「飴湯?どうやって作るんですか?」
たまみさんは飴湯の作り方を知らなかったようで、土井先生が丁寧に教えた。
「可愛いな~。たくさん飲んで大きくなるんだよぉ。」
たまみさんは、いとおしそうに赤ん坊を腕に抱えながら飴湯を飲ませている。
本当の母親みたいに幸せそうなその顔に、俺はなぜか胸がしめつけられる思いがして目をそらした。
そしてふと目に入った土井先生の表情。
土井先生もまた、とても優しい眼差しで赤ん坊を……そしてたまみさんを見ていた。
「そうだ、おしめも替えなくちゃな。きり丸、替えの分は?」
「ここです。」
「どうやって替えるんですか?」
「えー、まずここをこうして…」
土井先生が慣れた手つきでおしめを替え、その手際のよさにたまみさんが「おぉ~」と驚いた。
「土井先生って、すっごく赤ちゃんのお世話慣れてるんですね…!」
たまみさんが驚きつつちょっと疑うような目を向けた。
あらぬ疑いをかけられたら悪いのでここは俺もフォローしておこう。
「土井先生はいつも俺の子守りのバイトを手伝ってくれるから、独身なのに子守りのプロになったんですよ!」
「そ、そうなのね…。でも自分の子どもじゃないのにこれだけ上手になるってすごい…!」
「…何だかちょっと複雑な気分だな。」
「え、普通に褒めてるんですよ!」
そんなやり取りをしていると、赤ん坊がまた泣き出した。
「おー、よしよし。飴湯も飲んで、おしめもきれいになったし、お昼寝しましょうね~」
そう言って土井先生が抱っこすると、赤ん坊はすやすやと眠りだした。
「「すごい…」」
やっぱり土井先生は子守りのプロだ。
暫く抱いてから布団に寝かせる。
土井先生とたまみさんは眠る赤ん坊の顔を見ながら、起こさないよう小声で話していた。
「睫毛が長いですねぇ。」
「そうだね。」
「小さなお口も可愛いですねぇ。」
「うん。」
「このすべすべでもちもちしたほっぺ、いいなぁ…可愛いなぁ。」
「……」
土井先生もたまみさんもデレデレした顔をしている。
でも、土井先生は…赤ん坊だけでなくそれを見るたまみさんにもデレデレしているように見えた。
その様子が気になって、俺はうっかり机に置いた内職の道具を肘で落としてしまった。
その音で赤ん坊がまた泣き出す。
「あ、起きちゃった。今度は私も寝かしつけてみてもいいですか?」
たまみさんは赤ん坊を抱くと立ち上がり、ゆらゆらと揺れながら子守唄を歌った。
……それは、とても温かい歌声だった。
内職の手を止めることなくその歌に聞き入っていると、いつの間にか赤ん坊も静かになって眠ったようだった。
ふと、土井先生を横目で見てみる。
土井先生は目を閉じて心地良さそうにたまみさんの歌声を聴いていた。
「土井先生、目を閉じてないで手を動かして内職手伝ってください」
そう言いかけて、俺は言葉を飲み込んだ。
土井先生の表情はとても穏やかで、二人がとても幸せそうに見えたから…。
でも結局、内職の締め切り時間が近づいてきて、二人にも一緒に手伝ってもらった。
途中で赤ん坊がまた起きても、土井先生はおんぶしながら内職を手伝ってくれた。
たまみさんはそんな土井先生の姿に驚いている。
それでも、赤ん坊をあやしながらきびきびと手を動かす土井先生に、たまみさんがみとれていたのは俺の勘違いではないと思う。
俺は内職と子守りのバイトを引き受けていて、子守りを土井先生に手伝ってもらうことにした。
「バイトは同時にたくさん受けるんじゃないといつも言ってるだろう…」
「すみませ~ん、俺は横で内職の仕事してるんで、土井先生は子守りをしてもらえますか?」
呆れながらも土井先生は眠っている赤ん坊を受け取ってくれた。
だけどそのとき赤ん坊の目が覚めてしまって、急に大きな泣き声をあげた。
あやしていると、たまみさんが驚いた顔で障子から顔を覗かせた。
「あの、赤ちゃんの泣き声が……って、土井先生………?」
たまみさんが土井先生と赤ん坊を交互に見て動揺した顔をしたので、土井先生が慌てて首をふった。
「ち、違うんです!私の子どもではなくて…!きり丸の子守りのアルバイトで!」
「えっ……ああ、そうなんですか…!」
あからさまにホッとするたまみさんと、その表情にホッとする土井先生と、変な勘違いをさせなくてよかったと冷や汗をかく俺。
たまみさんは土井先生が抱っこしている赤ん坊をまじまじと見た。
「え~…可愛い…!私も、抱いてみていいですか?」
たまみさんは「可愛いすぎ…!」と言いながら赤ん坊をゆらゆらと抱いた。
あれ、何だか抱き方が上手いな。
だけど赤ん坊がまた泣き出して、土井先生が赤ん坊の顔を覗きこんだ。
「お腹がすいてるのかな?飴湯を飲ませてみようか。」
「飴湯?どうやって作るんですか?」
たまみさんは飴湯の作り方を知らなかったようで、土井先生が丁寧に教えた。
「可愛いな~。たくさん飲んで大きくなるんだよぉ。」
たまみさんは、いとおしそうに赤ん坊を腕に抱えながら飴湯を飲ませている。
本当の母親みたいに幸せそうなその顔に、俺はなぜか胸がしめつけられる思いがして目をそらした。
そしてふと目に入った土井先生の表情。
土井先生もまた、とても優しい眼差しで赤ん坊を……そしてたまみさんを見ていた。
「そうだ、おしめも替えなくちゃな。きり丸、替えの分は?」
「ここです。」
「どうやって替えるんですか?」
「えー、まずここをこうして…」
土井先生が慣れた手つきでおしめを替え、その手際のよさにたまみさんが「おぉ~」と驚いた。
「土井先生って、すっごく赤ちゃんのお世話慣れてるんですね…!」
たまみさんが驚きつつちょっと疑うような目を向けた。
あらぬ疑いをかけられたら悪いのでここは俺もフォローしておこう。
「土井先生はいつも俺の子守りのバイトを手伝ってくれるから、独身なのに子守りのプロになったんですよ!」
「そ、そうなのね…。でも自分の子どもじゃないのにこれだけ上手になるってすごい…!」
「…何だかちょっと複雑な気分だな。」
「え、普通に褒めてるんですよ!」
そんなやり取りをしていると、赤ん坊がまた泣き出した。
「おー、よしよし。飴湯も飲んで、おしめもきれいになったし、お昼寝しましょうね~」
そう言って土井先生が抱っこすると、赤ん坊はすやすやと眠りだした。
「「すごい…」」
やっぱり土井先生は子守りのプロだ。
暫く抱いてから布団に寝かせる。
土井先生とたまみさんは眠る赤ん坊の顔を見ながら、起こさないよう小声で話していた。
「睫毛が長いですねぇ。」
「そうだね。」
「小さなお口も可愛いですねぇ。」
「うん。」
「このすべすべでもちもちしたほっぺ、いいなぁ…可愛いなぁ。」
「……」
土井先生もたまみさんもデレデレした顔をしている。
でも、土井先生は…赤ん坊だけでなくそれを見るたまみさんにもデレデレしているように見えた。
その様子が気になって、俺はうっかり机に置いた内職の道具を肘で落としてしまった。
その音で赤ん坊がまた泣き出す。
「あ、起きちゃった。今度は私も寝かしつけてみてもいいですか?」
たまみさんは赤ん坊を抱くと立ち上がり、ゆらゆらと揺れながら子守唄を歌った。
……それは、とても温かい歌声だった。
内職の手を止めることなくその歌に聞き入っていると、いつの間にか赤ん坊も静かになって眠ったようだった。
ふと、土井先生を横目で見てみる。
土井先生は目を閉じて心地良さそうにたまみさんの歌声を聴いていた。
「土井先生、目を閉じてないで手を動かして内職手伝ってください」
そう言いかけて、俺は言葉を飲み込んだ。
土井先生の表情はとても穏やかで、二人がとても幸せそうに見えたから…。
でも結局、内職の締め切り時間が近づいてきて、二人にも一緒に手伝ってもらった。
途中で赤ん坊がまた起きても、土井先生はおんぶしながら内職を手伝ってくれた。
たまみさんはそんな土井先生の姿に驚いている。
それでも、赤ん坊をあやしながらきびきびと手を動かす土井先生に、たまみさんがみとれていたのは俺の勘違いではないと思う。