第22話 初めての雑炊
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「ここが土井先生のお家ですか…!」
「はい、しばらく帰っていなかったのでちょっと埃っぽいと思いますが…」
私はそういうと戸をあけてたまみさんを中に招いた。
とりあえず窓をあけて換気をする。
たまみさんは物珍しそうに囲炉裏などをまじまじと見ていた。
彼女はこれまで学園のなかで過ごしているのでこういう普通の民家の中は見慣れないのだと気づいた。
「たまみさん、ちょっと大家さんと話してきますので待っててください。」
「あ、はい。お掃除とか、何かしておきましょうか?」
「いえ大丈夫です、すぐに戻ります。」
私は急いで大家さんのもとへ向かった。
が、大家さんは怒っているわけでもなく「きり丸が?はて、最近会った記憶はないのだが…」と首を傾げた。
不思議そうなその様子に、さきほどのきり丸の様子を思い出した。
もしかしてきり丸のやつ…!
たまみさんをここへ連れてくるためにわざと嘘をついたな!
帰ったら拳骨だと思いながら、我が家の戸をくぐろうとしたとき。
「半助!あんた先週のどぶ掃除またサボっただろう!」
「と、隣のおばちゃん!」
隣のおばちゃんに見つかってしまった。
これはややこしいタイミングだと背中を冷や汗が伝う。
「す、すみません、ちょっと忘…いえ、仕事で帰れなくて。」
「そんなこといって全然帰らないじゃないか。家のなかもまた埃だらけになってるんじゃないだろうね。」
「あっ、ちょっと待っ…!」
私の制止もきかず、おばちゃんが家の戸をくぐってしまった。
「あら…!」
部屋の端にちょこんと座っていたたまみさんがびっくりしてこちらを見ていた。
「あららら、半助、この方は?」
おばちゃんの目が楽しげに輝いている。
やはりややこしいことになってきた。
しかしこんなこともあろうかと、たまみさんには事前に、忍者であることや仕事のことは隠していると話してあった。
「えー、彼女は遠い親戚なんですが、ちょっと用事で立ち寄りまして。」
「はじめまして、たまみと申します。」
たまみさんはにこやかに挨拶をした。
「親戚?私はてっきりやっと半助にいい人ができたのかと…」
おばちゃんの探るような目が刺さる。
「な、何を言ってるんですか!そんなこと…!」
予想通りの質問だったにも関わらず、妙に焦って噛んでしまい、はっきりと否定する言葉も出せなかった。
おばちゃんは「ふーん」と楽しそうに言いながらたまみさんに好奇の目を向けた。
「たまみさん、あなた恋人は?結婚は?」
「えっ。いえ、その…なかなか。」
彼女はあははと笑ってごまかそうとしたが、おばちゃんはさらに突っ込んで聞いてきた。
「そんなに可愛いのに!どういう人が好みなの?」
「えっ、えっと…優しくて頼もしい人とか…。」
「ふーん、なるほどそうねぇ。優しいだけでもだめだし、決めるときはビシッと決めてほしいわよねぇ。」
…おばちゃんがちらちらとこちらを見てくる。
なんだ、何が言いたいのだ。
「ふふ、目は口ほどにものを言うというけれど、たまみさんは分かりやすいわね。」
「えっ、それはどういう…」
「半助、あんた頑張りなさいよ!」
隣のおばちゃんは私の背中をぱしりと叩いて満足そうに家に帰っていった。
…とりあえずなんとか乗り切ったようだ。
「今のが土井先生の仰ってた隣のおばちゃんですか?」
「ええ、そうです。勝手に親戚ってことにしてしまってすみません。」
「いえ、職場が一緒だと話したら仕事内容まで聞かれそうですもんね。でもなんだかいい人そうな方ですね。」
「はい、隣のおばちゃんにはほんと色々お世話になってますからね…」
「…それで、あの、大家さんはどうでした?」
たまみさんがおそるおそる聞いてきて、ここに来た本来の目的を思い出した。
「ああ、大丈夫でしたよ。」
「よかった!」
自分のことのように喜んでくれる彼女。
いい子なんだよな…。
ふと、窓の外に目がいった。
…このまま帰るのが、なんだかもったいない気がしてきた。
もう少し、このままここに居たいな…。
「………あの、」
「はい?」
「……もしよかったら晩御飯、ここで食べていきませんか?」
「えっ」
「いえ、その、変な意味じゃなくて、忍術学園の外のことはあまり知らないでしょうし…!せっかくなので、近くで材料を買って、少し早目の晩御飯を食べてから学園に戻ってもいいかな……なんて…!」
何だか焦って早口になってしまった。
たまみさんをちらりと見てみると、彼女はとても嬉しそうに微笑んでいて…
「はい、是非!」
と迷いなく頷いてくれた。
その満面の笑みに私も嬉しくなって、早速2人で買い出しに行くことにした。
「はい、しばらく帰っていなかったのでちょっと埃っぽいと思いますが…」
私はそういうと戸をあけてたまみさんを中に招いた。
とりあえず窓をあけて換気をする。
たまみさんは物珍しそうに囲炉裏などをまじまじと見ていた。
彼女はこれまで学園のなかで過ごしているのでこういう普通の民家の中は見慣れないのだと気づいた。
「たまみさん、ちょっと大家さんと話してきますので待っててください。」
「あ、はい。お掃除とか、何かしておきましょうか?」
「いえ大丈夫です、すぐに戻ります。」
私は急いで大家さんのもとへ向かった。
が、大家さんは怒っているわけでもなく「きり丸が?はて、最近会った記憶はないのだが…」と首を傾げた。
不思議そうなその様子に、さきほどのきり丸の様子を思い出した。
もしかしてきり丸のやつ…!
たまみさんをここへ連れてくるためにわざと嘘をついたな!
帰ったら拳骨だと思いながら、我が家の戸をくぐろうとしたとき。
「半助!あんた先週のどぶ掃除またサボっただろう!」
「と、隣のおばちゃん!」
隣のおばちゃんに見つかってしまった。
これはややこしいタイミングだと背中を冷や汗が伝う。
「す、すみません、ちょっと忘…いえ、仕事で帰れなくて。」
「そんなこといって全然帰らないじゃないか。家のなかもまた埃だらけになってるんじゃないだろうね。」
「あっ、ちょっと待っ…!」
私の制止もきかず、おばちゃんが家の戸をくぐってしまった。
「あら…!」
部屋の端にちょこんと座っていたたまみさんがびっくりしてこちらを見ていた。
「あららら、半助、この方は?」
おばちゃんの目が楽しげに輝いている。
やはりややこしいことになってきた。
しかしこんなこともあろうかと、たまみさんには事前に、忍者であることや仕事のことは隠していると話してあった。
「えー、彼女は遠い親戚なんですが、ちょっと用事で立ち寄りまして。」
「はじめまして、たまみと申します。」
たまみさんはにこやかに挨拶をした。
「親戚?私はてっきりやっと半助にいい人ができたのかと…」
おばちゃんの探るような目が刺さる。
「な、何を言ってるんですか!そんなこと…!」
予想通りの質問だったにも関わらず、妙に焦って噛んでしまい、はっきりと否定する言葉も出せなかった。
おばちゃんは「ふーん」と楽しそうに言いながらたまみさんに好奇の目を向けた。
「たまみさん、あなた恋人は?結婚は?」
「えっ。いえ、その…なかなか。」
彼女はあははと笑ってごまかそうとしたが、おばちゃんはさらに突っ込んで聞いてきた。
「そんなに可愛いのに!どういう人が好みなの?」
「えっ、えっと…優しくて頼もしい人とか…。」
「ふーん、なるほどそうねぇ。優しいだけでもだめだし、決めるときはビシッと決めてほしいわよねぇ。」
…おばちゃんがちらちらとこちらを見てくる。
なんだ、何が言いたいのだ。
「ふふ、目は口ほどにものを言うというけれど、たまみさんは分かりやすいわね。」
「えっ、それはどういう…」
「半助、あんた頑張りなさいよ!」
隣のおばちゃんは私の背中をぱしりと叩いて満足そうに家に帰っていった。
…とりあえずなんとか乗り切ったようだ。
「今のが土井先生の仰ってた隣のおばちゃんですか?」
「ええ、そうです。勝手に親戚ってことにしてしまってすみません。」
「いえ、職場が一緒だと話したら仕事内容まで聞かれそうですもんね。でもなんだかいい人そうな方ですね。」
「はい、隣のおばちゃんにはほんと色々お世話になってますからね…」
「…それで、あの、大家さんはどうでした?」
たまみさんがおそるおそる聞いてきて、ここに来た本来の目的を思い出した。
「ああ、大丈夫でしたよ。」
「よかった!」
自分のことのように喜んでくれる彼女。
いい子なんだよな…。
ふと、窓の外に目がいった。
…このまま帰るのが、なんだかもったいない気がしてきた。
もう少し、このままここに居たいな…。
「………あの、」
「はい?」
「……もしよかったら晩御飯、ここで食べていきませんか?」
「えっ」
「いえ、その、変な意味じゃなくて、忍術学園の外のことはあまり知らないでしょうし…!せっかくなので、近くで材料を買って、少し早目の晩御飯を食べてから学園に戻ってもいいかな……なんて…!」
何だか焦って早口になってしまった。
たまみさんをちらりと見てみると、彼女はとても嬉しそうに微笑んでいて…
「はい、是非!」
と迷いなく頷いてくれた。
その満面の笑みに私も嬉しくなって、早速2人で買い出しに行くことにした。