第19話 腕枕
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なぜ、彼女がここに…!?
私は自分の横に寝ている彼女を見た。
今日は山田先生が出張で明日まで帰らない為、山田先生の分の書類整理もすることになり遅くまで仕事をしていた。
入浴もギリギリに済ませ、夜着を着て仕事をしていると、
「土井先生?まだお仕事されてるんですか?」
「たまみさん」
障子をスッとあけてたまみさんが顔を覗かせた。
彼女もまた夜着姿で、乾ききっていない長い髪をおろしている。
昼間と違う雰囲気にどきりとした。
「お手伝いしましょうか?今日のテストの採点とかもう終わってます?」
「いやぁ、採点したら気分が落ち込みそうなので後でやろうと思いましてまだ…。」
「なるほど…私も手伝います、山田先生の机借りますね。」
夜分に手伝わせてしまうことに少し躊躇ったが、彼女と一緒に居たい気持ちもあり押しきられてしまった。
そうして二人で残務を片付けていく。
「はぁ~、やっぱり今日も視力検査並みの点数だな…」
「どうしたらいいんでしょうねぇ。」
たまみさんと二人でため息をつく。
また胃が痛くなってきた。
引き出しをあけて、いつもの胃薬を口に含み、水で流し込んだ。
「土井先生の胃も心配です…」
たまみさんが心配そうな顔で見つめてくる。
「いつもの胃痛だから大丈夫ですよ。」
「いつもだから心配なんです。」
「はは、そうですね。…さ、あと少しだから頑張りましょう。」
そうして再び机に向かうと、すぐにものすごい睡魔に襲われた。
!?
…これは、普通じゃない…!
慌てて先程の薬の包み紙を見た。
まさか胃薬と間違えて睡眠薬を渡されたのでは…。
普段からの疲労と睡眠不足も相まって抵抗できず、思考が急激に薄れた私は筆を持ったまま意識を失った。
「…ん………」
ふいに目が覚めた。
蝋燭の灯りは消えていて、部屋には月明かりが微かに差し込んでいる。
私は布団に寝かされていた。
起き上がろうとすると、右手が重たい。
横を見ると…
「!?」
たまみさんが寝ていた。
なっ!
なぜ、彼女がここで眠って…!?
お、思い出せ。
思い出すんだ。
…
………
だめだ、何も思い出せない!
「………」
気持ち良さそうに眠る穏やかな寝息。
長い睫毛。
柔らかそうな唇。
少しはだけた衿元から見える白い肌。
「……………。」
つい眺めてしまった。
しかし、これはまさか…いや、いやいやそんなばかな。
とりあえず、起こさないように離れよう。
動こうとしてよく見ると、たまみさんは私の右手を腕枕にして、私に寄り添うようにくっついていた。
横向きに眠る彼女は、私の胸の上に右手を置き、私の右足の上に彼女の右足が絡まるように重なっていた。
「…!!」
触れる体の温かく柔らかい感触に、鼓動が早鐘を打つ。
こ、これは…!
思わず唾を飲み込んでしまった。
彼女の呼吸にあわせてその胸が微かに動き、ほんの少しだけ私に触れているところが柔らかく心地いい。
もっと触れたくなる手を我慢して抑えつけた。
ちょっ、まてまてまてこれは…!?
こんなの寝込みを襲ってくださいといっているような…というか誘われて…いや逆に既に…いや、いやいやいやそれはない…はずだ…!?
一瞬で色々と考えてしまい、とりあえずそっと体を離そうとした。
しかし完全に眠っている体は思いのほか重たく、起こしてしまいそうだった。
「んぅ……」
「!」
なんだその可愛すぎる声は……
「……」
いけないと思いつつ、その唇を親指でそっとなぞった。
……柔らかい。
彼女は目を覚まさなかった。
「!」
ふいに彼女の唇が微かに動いた。
寝言かと思ったが、それは言葉になるほどのものではなく…でも唇の動きは、私の名を呼んでいるような気がした。
…私の夢を、みている?
彼女の声に、姿に、その感触に、私のなかで何かが崩れた。
「…たまみ」
私は彼女の名前を呟くと、その額に口付けた。
そのまま、体を回転させ、彼女の上に覆い被さる。
「…たまみ。」
「………せ、んせ…?」
長い睫毛が揺れて、その瞳がゆっくり開かれた。
彼女が私を見て固まる。
しかし、もう止められなかった。
私は彼女の頬に手を当て、顔を近づけた。
唇が触れそうになった、そのとき。
カサッ
びくりと肩が揺れて、音のした方を見ると、すきま風で薬の包み紙が畳に落ちた音だった。
「ど、土井先生…あの、すみません…!」
「!」
たまみさんが涙目で謝ってきた。
その瞬間、私は我にかえって慌てて体を退けた。
「す、すまないっ…!」
拒絶されたと思った。
が、次に彼女が口にした言葉は予想とかけ離れていた。
「あのっ、怒りました…?」
「え?」
私はまぬけな声を出した。
今の状況で何に怒るのか?
むしろ私が怒られるの間違いでは?
たまみさんはゆっくり起き上がり、泣きそうに真っ赤な顔で俯いた。
私は自分の横に寝ている彼女を見た。
今日は山田先生が出張で明日まで帰らない為、山田先生の分の書類整理もすることになり遅くまで仕事をしていた。
入浴もギリギリに済ませ、夜着を着て仕事をしていると、
「土井先生?まだお仕事されてるんですか?」
「たまみさん」
障子をスッとあけてたまみさんが顔を覗かせた。
彼女もまた夜着姿で、乾ききっていない長い髪をおろしている。
昼間と違う雰囲気にどきりとした。
「お手伝いしましょうか?今日のテストの採点とかもう終わってます?」
「いやぁ、採点したら気分が落ち込みそうなので後でやろうと思いましてまだ…。」
「なるほど…私も手伝います、山田先生の机借りますね。」
夜分に手伝わせてしまうことに少し躊躇ったが、彼女と一緒に居たい気持ちもあり押しきられてしまった。
そうして二人で残務を片付けていく。
「はぁ~、やっぱり今日も視力検査並みの点数だな…」
「どうしたらいいんでしょうねぇ。」
たまみさんと二人でため息をつく。
また胃が痛くなってきた。
引き出しをあけて、いつもの胃薬を口に含み、水で流し込んだ。
「土井先生の胃も心配です…」
たまみさんが心配そうな顔で見つめてくる。
「いつもの胃痛だから大丈夫ですよ。」
「いつもだから心配なんです。」
「はは、そうですね。…さ、あと少しだから頑張りましょう。」
そうして再び机に向かうと、すぐにものすごい睡魔に襲われた。
!?
…これは、普通じゃない…!
慌てて先程の薬の包み紙を見た。
まさか胃薬と間違えて睡眠薬を渡されたのでは…。
普段からの疲労と睡眠不足も相まって抵抗できず、思考が急激に薄れた私は筆を持ったまま意識を失った。
「…ん………」
ふいに目が覚めた。
蝋燭の灯りは消えていて、部屋には月明かりが微かに差し込んでいる。
私は布団に寝かされていた。
起き上がろうとすると、右手が重たい。
横を見ると…
「!?」
たまみさんが寝ていた。
なっ!
なぜ、彼女がここで眠って…!?
お、思い出せ。
思い出すんだ。
…
………
だめだ、何も思い出せない!
「………」
気持ち良さそうに眠る穏やかな寝息。
長い睫毛。
柔らかそうな唇。
少しはだけた衿元から見える白い肌。
「……………。」
つい眺めてしまった。
しかし、これはまさか…いや、いやいやそんなばかな。
とりあえず、起こさないように離れよう。
動こうとしてよく見ると、たまみさんは私の右手を腕枕にして、私に寄り添うようにくっついていた。
横向きに眠る彼女は、私の胸の上に右手を置き、私の右足の上に彼女の右足が絡まるように重なっていた。
「…!!」
触れる体の温かく柔らかい感触に、鼓動が早鐘を打つ。
こ、これは…!
思わず唾を飲み込んでしまった。
彼女の呼吸にあわせてその胸が微かに動き、ほんの少しだけ私に触れているところが柔らかく心地いい。
もっと触れたくなる手を我慢して抑えつけた。
ちょっ、まてまてまてこれは…!?
こんなの寝込みを襲ってくださいといっているような…というか誘われて…いや逆に既に…いや、いやいやいやそれはない…はずだ…!?
一瞬で色々と考えてしまい、とりあえずそっと体を離そうとした。
しかし完全に眠っている体は思いのほか重たく、起こしてしまいそうだった。
「んぅ……」
「!」
なんだその可愛すぎる声は……
「……」
いけないと思いつつ、その唇を親指でそっとなぞった。
……柔らかい。
彼女は目を覚まさなかった。
「!」
ふいに彼女の唇が微かに動いた。
寝言かと思ったが、それは言葉になるほどのものではなく…でも唇の動きは、私の名を呼んでいるような気がした。
…私の夢を、みている?
彼女の声に、姿に、その感触に、私のなかで何かが崩れた。
「…たまみ」
私は彼女の名前を呟くと、その額に口付けた。
そのまま、体を回転させ、彼女の上に覆い被さる。
「…たまみ。」
「………せ、んせ…?」
長い睫毛が揺れて、その瞳がゆっくり開かれた。
彼女が私を見て固まる。
しかし、もう止められなかった。
私は彼女の頬に手を当て、顔を近づけた。
唇が触れそうになった、そのとき。
カサッ
びくりと肩が揺れて、音のした方を見ると、すきま風で薬の包み紙が畳に落ちた音だった。
「ど、土井先生…あの、すみません…!」
「!」
たまみさんが涙目で謝ってきた。
その瞬間、私は我にかえって慌てて体を退けた。
「す、すまないっ…!」
拒絶されたと思った。
が、次に彼女が口にした言葉は予想とかけ離れていた。
「あのっ、怒りました…?」
「え?」
私はまぬけな声を出した。
今の状況で何に怒るのか?
むしろ私が怒られるの間違いでは?
たまみさんはゆっくり起き上がり、泣きそうに真っ赤な顔で俯いた。